2.観光宿泊と飲食業及びイベント関係の需要喚起について
今年の夏は、コロナの影響で大きな打撃を受けていると思われる観光宿泊関係、飲食関係、イベント関係のところを訪ねて、その実情の把握に努めてまいりました。ついては、以下そのことを通して見えてきたことを申し上げ、望まれる需要喚起の支援策についてお伺いいたします。
先ず、観光宿泊関係についてであります。私が訪ねたホテル・旅館では、4月から6月にかけてはお客が激減し、予約のキャンセルが相次ぎ、売り上げは対前年比1割を切り、止むなく休業したところが幾つもありました。7月になって下旬ごろからプレミアム宿泊券やGoToトラベル事業など国・県・市による需要喚起策が効を奏してきた面もあると思われますが、客の回復が見られるようになりました。それでもビジネスホテルや普通旅館での戻りは、現在のところ4割から5割ほどでして依然として厳しい経営状況が続いています。
一方、ホテルや旅館でも上級クラスの所は、8月は、ほぼ前年並みを回復しそれ以上の所もあります。さらに数カ月先まで予約満室の所もあるようですが、需要喚起策の効果が切れた後には不安があるようで、コロナが収束して元に復するまでの間は支援を続けてほしいというのが切実な声であります。このようにプレミアム宿泊券やGoToトラベル等による需要喚起の効果は、どちらかといえば主にハイクラスの所に向き、一般クラスの所までは充分及んでいない感があります。
観光において宿泊と同様に大きなウェイトを占めているのは、土産関連です。
土産に関しては、土産品となる特産物の生産者と、それを販売している土産品店がその主な事業者ですが、私の見るところ、土産品店に対する支援が手薄のように思われます。
土産品となる特産物を生産する事業者は、近年はネット販売に力を入れて、コロナ禍の状況においても一定の売り上げを確保しているところもありますし、この度の県の9月補正予算においては、県特産品の全国向けWEB販売に対して50%の割引分を補助する「やまぐち特産品需要創出事業」が、1億4000万円計上されていましてそのプラス効果が大いに期待されます。
一方、土産品店は、観光名所やJR駅・道の駅・高速道のパーキング店などの土産品店がありますが、その中でコロナの影響が最も深刻なのは観光名所の土産品店であります。また、そうしたところの土産品店は、観光客への食事提供もしているところが多く、そのことも併せ重なって極めて厳しい経営状況に陥っています。然るに、これまでの観光需要喚起策には、こうした土産品店への支援につながるものがなく、目下のところGoToトラベル事業で10月1日から地域共通クーポンが使えるようになることに一抹の期待が寄せられていますが、今後、廃業を考えるところが出てくるのではないかと懸念しています。
飲食業では、その関係のお店が多い山口市の湯田温泉の様子を申し上げますと、3月ごろから売り上げが対前年2割から3割に落ち込みました。4月、5月は緊急事態宣言のもと4月下旬から5月の連休明けにかけて多くの店が休業要請に応えて休業し、売り上げは更に大きく低下しました。6月になって徐々に客が戻り、順調に元に復する流れになっていたのが、7月になってユーチュ―バーに係るコロナ感染の広がりが発生し、その影響で一気に客が再び遠のきました。8月を経て9月の今日、客の戻りはおおよそ5割ほどのようで山口市は、割増30%の市内飲食店向けプレミアム券の発行を支援するなどして市内飲食店の需要喚起を図ろうとしています。県下各市町の飲食業も、ほぼ同様な状況ではないでしょうか。
イベント関係も予定されていた行事、会合、大会等がほとんど中止若しくは規模縮小となり、それに携わる事業者は仕事の大幅な減少の中、如何にして事業継続を図っていくかに苦慮しています。
或る小規模ながらイベント関係の仕事を専らにしている会社の方に実情を聞きますと、2月は例年通りだったのが、3月は仕事が6割減、4月・5月は8割減、6月から8月は6割減で、9月から10月は5割減の見通しとのことでした。現在は、小規模な催しの仕事は幾らかあるようですが、大きな規模の催しは未だほとんどなく、売り上げが伸びる見通しが立たないようです。
以上、私なりの実情把握を申し上げましたが、このことを踏まえ望まれる需要喚起の施策について以下お尋ねいたします。
ア.観光宿泊関係の需要喚起について
先ず、観光宿泊関係の需要喚起に関してです。このことにつきましては、ビジネスホテルや一般クラスの旅館にも効果が行き届く支援策及び観光名所等の土産品店への支援策が必要であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
イ.飲食関係の需要喚起について
次に飲食関係についてです。飲食店へのお客の戻りのためには、安心安全のイメージの確立が求められます。そのためには、飲食店の組合が、先ず自律的に加盟店に対してコロナ対策の徹底向上を図っていくよう取り組んでいくことが重要でして、県や市町は、そうした取組を促し支援し、広く周知していくことが有効であると考えます。
これから私たちは、withコロナの時代、afterコロナの時代を生きていくことになりますが、こうした時代のキーワードは、自律ではないでしょうか。
具体的な自律の取組みとしては、組合内に、加盟店に対してコロナ対策の普及徹底を推進するセクションを設けるとか、定期的に研修会を開催するなどのことが考えられます。こうしたことへの支援も含め、県は飲食関係の需要喚起に今後どう取り組まれるのか、ご所見をお伺いいたします。
次に、イベント関係について2点、お伺いいたします。
ウ.県のイベントの代替開催について
第1点は、県の本年度当初予算に計上されていたイベントで中止になったものは、何等かの別の形での代替開催を考えるべきではないでしょうか、ご所見をお伺いいたします。
エ.総合相談室の設置について
第2点は、様々な行事、会合、イベント開催に関する総合相談室の設置についてであります。
9月19日からイベント開催の制限が緩和され、収容率要件は、クラシック音楽コンサートなど感染リスクの少ないイベントは100%以内、その他スポーツなどのイベントは50%以内とし、感染防止の条件が担保されていると見做される場合は、5000人の人数制限もしなくていいこととなりました。
このことに関し、国は各都道府県知事宛てに事務連絡を発し、イベント開催にあたっての人数上限や収容率についての目安となる基準を示した上で、各都道府県においては、それぞれの地域の感染状況に応じて、異なる基準を設定しうること、全国的な移動を伴うイベント又はイベント参加者が1000人を超えるようなイベントの事前相談に応じること等々、イベント開催の制限緩和にあたって都道府県が留意し対応すべきことを種々求めています。こうした国の要請にも応えつつ、県民の様々な行事や会合開催にあたっての相談にも応じる総合相談室の設置が、今日、必要なのではないでしょうか。
県は、8月24日に毎日24時間対応の新型コロナウィルス感染症専用相談ダイヤルを開設いたしました。これは、県民の新型コロナウィルス感染への不安の解消や早期対応に資する措置で、県民の目線に立ち寄り添う対応として評価したいと思います。そして、次いでコロナの影響で自粛や中止になっている様々な大小の各種行事、会合、イベント等の再開にあたって県民の不安や疑問に答え指導助言を行う総合相談室を設置して、必要な感染対策は徹底しつつ、不要な自粛や中止はなくしてイベント等各種社会経済活動の再開を図っていくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
オ.雇用の確保と事業継続について
次に、関連することとして観光宿泊、飲食、イベントの業種における雇用の確保と事業継続についてお伺いいたします。
県信用保証協会のデータによりますと、今年の4月から7月までの4か月間における保証承諾件数は9719件、保証金額は1656億円であります。これは、前年令和元年1年間の保証件数の1.5倍強、保証金額は2倍強であります。国のコロナ経済対策による無利子・無担保、保証料負担なしなどの融資により如何に多くの事業者が、コロナによる収入減の急場をしのいだかが窺われます。これまで雇用関係は、雇用調整助成金で維持し、施設維持の固定費などは、コロナ対策の融資や持続化給付金などで、これまでどうにか持ちこたえてきたものの、コロナ収束の見通しが見えない現在、資金繰りに急迫する事業者の増加が予想され、それは特に、観光宿泊、飲食、イベント関係において多く見られるのではないかと思われます。これを乗り切るためには、雇用に関しては雇用調整助成金の特例措置が年末まで延長されましたので当面クリアできるとしても、固定費等の支出に関しての資金需要に、再度の持続化給付金や一層条件緩和された融資などによる支援が求められると思われます。
ついては、国・県・市町が連携して、これから予想される資金需要に応え、観光宿泊、飲食、イベントの事業者においても雇用が確保され、事業継続が図られるよう支援策を講じていくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。