1.公共交通政策
(1)県の役割
マイカーの普及が進んでいる今日の時代においても、バス・電車・鉄道・タクシー等の公共交通は、地域社会にとって必要不可欠であります。18歳未満の青少年は自動車の免許を持てませんし、高齢者で75才以上になりますと自動車の免許を持たない人の割合は本県では64%でして、県の総人口において自動車の免許を持たない人の割合は32.4%です。こういう人たちにとって生活上必要な移動手段としての公共交通を適切に確保していくことは、自動車による移動のために道路を整備していくのと同様に、政治行政が果たしていくべき責務であります。
我が国では国鉄の民営化もあり、どちらかというと交通に関する事業は、公営ではなく民営で行うのが妥当と考えられ、公営だった地方バスもそのほとんどが民営化されるか民間事業者に移譲されてきました。一方、車の保有も一軒に1台から一人に1台へと増加が続く中、公共交通の利用は減少が続き、公共交通を守っていくためには公的関与が求められるようになり、そのための法的フレームとして国は、平成19年に地域公共交通活性化再生法を、平成25年には交通政策基本法を制定しました。
この交通政策基本法は、第2条において「交通に関する施策の推進は、国民その他の者の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという基本的認識の下に行われなければならない。」と明記し、すべての国民の交通に対する需要の充足を重視する方向で交通に関する施策を推進することを基本理念の一つとして位置づけ、国や地方公共団体の責務を定めています。
地方公共団体とは都道府県及び市町村のことですが、平成の時代におけるこうした交通に関する法の制定においては、公共交通に関する地方公共団体の施策は、主に住民に密着している市町村が担うものとの想定されていたように思われます。それが令和の時代となり令和2年に改正された地域公共交通活性化再生法においては、市町村と共に都道府県の役割を重視する方向での法改正が図られました。このことは、公共交通はネットワークとして個別最適ではなく広域的に全体最適の在り方が追求されるべきと考えられることから、妥当な方向での法改正だと見ています。こうした法改正を受けて、県も県下の市町と共同の当事者として、望ましい公共交通の確立に向けて、どう関与し役割を果たしていくのか明確にしていかなければなりません。
そこで、3点お尋ねいたします。先ず、公共交通政策の県政における位置づけについてであります。すべての県民に、交通に対する基本的需要の充足が図られるよう公共交通を確保整備していくことは、道路整備と同様に県政における重要な政策課題であると考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。次に、県民にとって望ましい公共交通の確立に向けて、県は、どのように関与し役割を果たしていくお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。
第3点は、やまぐち未来維新プランにおいて本県の公共交通政策の方針を示すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。