令和6年11月定例県議会 明るい高齢社会に向けて(1)

 1. 介護人材の確保

(1)介護人材育成への取り組み

今年の3月に策定された「第8次やまぐち高齢者プラン」は、本県における介護職員の不足を、令和8年は2749人、令和22年は2816人と推計していまして、介護人材を育成供給する環境の整備強化が、喫緊の課題であることを明らかにしています。しかし、そのことに対応して介護人材を育成供給する環境の整備が進んでいるのかと申しますと、現状はそうではなく、その供給力はむしろ低下しているのではないかと見ています。

県下の高校で、介護福祉士の国家資格を取るために専攻科を設けていたのが、中村女子高校と周防大島高校ですが、中村女子高校は令和5年度から生徒募集を停止し、周防大島高校は来年度から生徒募集を停止されるようです。中村女子高校の福祉専攻科は、多い時は40人の新規入学があったのですが、それが10人前後となり、さらに一桁になるという状況に至り経営判断から募集停止となりました。また、介護人材の育成を含む福祉系の専門学校は、介護保険制度が始まった当時の平成12年には6校ありましたが、現在は半減して3校であります。

こうした介護人材を育成する教育施設の現況からして、今後将来に向けて本県が必要とする介護人材の確保は図られるのか、危惧しています。
ついては、将来的に必要とされる介護人材の確保に向けて、介護人材の育成にどう取り組むのか、ご所見をお伺いいたします。
(2) 福祉・介護の魅力発信

唯今、介護人材の確保に向けて介護人材の育成への取り組みを問いましたが、私なりに、介護人材の確保という課題解決に向けて、県ができることは何かということに関心を向けて介護現場の声を聞く努力を続けた結果、至った結論は、介護に関する広報・情報発信の充実強化に取り組むことであります。そのことを通して、県民意識の中において介護職に対するプラスイメージの醸成を図ることにより、介護職を選ぼうとする人たちのすそ野を広げることが、介護人材確保のベースとなると思われます。介護保険制度は、国が一元的に制度設計していますので、県がかかわれる余地が少ない中、広報・情報発信の面においては、効果的な寄与ができるのではないかとみている次第です。

このことに関しては、昨年9月の定例県議会において林議員の一般質問に答えて、「福祉・介護関係団体との意見交換の場を新たに設け、現場の声を反映しながら、介護職の専門性や仕事のやりがい・誇りを発信する動画の制作やイベントの開催など協働した広報を展開し、県民に向け、訴求力の高い情報発信を行う。」旨、村岡知事が表明されました。そして、その後「福祉・介護の魅力発信推進会議」が、介護・福祉団体の関係者、県の担当者、県社協の関係者等を構成メンバーとして開催されました。

私は、こうした取り組みを高く評価するものです。ただ、この福祉・介護の魅力発信の取り組みは、即効性があるものではなく、継続することによってその効果が顕在化してくるものと思われます。そして、そのためには、福祉・介護の魅力発信の取り組みが、PDCAサイクルにおける検証と評価を年々経ていくことを通してブラッシュアップされていくという形で継続されていくことが望まれます。また、そのための財源確保も必要です。

ついては、福祉・介護の魅力発信について、今後どう取り組まれていくのかご所見をお伺いいたします。
(3) ノーリフティングケアの普及促進

介護職が、選ばれる職種になって人材確保が図られていくためには、身体の健康が保持される仕事にしていく取り組みが必要です。このことから注目されているのが、ノーリフティングケアであります。持ち上げ、抱え上げ、引きずりなどのケアをなくし、リフト等の福祉用具を積極的に使用するとともに、職員の身体に負担のかかる作業を見直すもので、介護の職場へのノーリフティングケアの導入は、腰痛の減少のみならず、介護の質の向上や業務改善などの効果が見られることから、その導入が広がりつつあります。

ノーリフティングケアは、かつてオーストラリアで看護師の身体疲労による腰痛訴え率が上がり、離職者が増えて深刻な看護師不足に陥ったことから、オーストラリア看護連盟が腰痛予防対策として1998年にノーリフトをスタートさせたことに端を発しています。

2012年に日本ノーリフト協会が行った調査によれば、日本における介護職の腰痛率は、実に72%です。介護の現場では、人手不足のなか働く人の高齢化も進んでいまして、ノーリフティングケアの速やかな導入普及が求められています。

ついては、ノーリフティングケアの普及促進を、県の介護人材確保に向けた施策の柱の一つに位置付けて推進すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
(4) 外国人介護人材の確保・定着

国は、外国人材受け入れ環境整備を、介護人材確保対策の重要な柱の一つに位置付けています。

ご案内のように、外国人労働者の在留資格として、「特定技能」と「技能実習」があります。「特定技能」は、労働力として即戦力になることが求められ、就労する分野の知識が一定以上あることが必要です。「技能実習」は、日本で技術を習得して母国に持ち帰ることが目的となっていますが、働きつつ学ぶということで実質労働力になっている面もあります。入国前に特定の技能を習得しておく必要はありませんが、介護職種の場合は日本語能力検定N4レベルであることが求められます。ただ、この帰国を前提とする技能実習制度は廃止して、特定技能への移行を前提とする「育成就労」制度を新設する関連法の法改正が、今年の6月、国会で可決成立いたしました。この法改正により、外国人人材の主力は特定技能外国人となっていくことが予想されます。

出入国在留管理局が発表した令和6年6月末時点での速報値では、この特定技能外国人は、全国で25万1747人、山口県は2253人です。そのうち介護職の人数は、全国で3万6719人、山口県は425人で、本県の介護の分野においても特定技能外国人が、事業を支える大事なメンバーになってきていることが窺えます。そして、その需要は、今後ますます増大していくことと思われることから、外国人介護人材の確保・定着を図る施策の推進が望まれます。昨年9月、本県がベトナムのビンズン省と介護分野における協力の覚書を交わしたことは、そうした施策の一環として評価するものです。

高齢者介護施設の関係者の間でも、外国人介護人材の県外流出を防ぎ、いかにして県内定住を実現していくかが、課題となっており、外国人材受け入れの事業所への支援と併せ、外国人人材が、山口へ帰属意識や愛着を持つことにつながるような施策への期待があります。

そこでお尋ねです。県は今後、外国人介護人材の確保・定着にどう取り組んでいくお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

 

→(答弁