1.全国学力・学習状況調査の実施について
先般5月27日、2年ぶりに全国学力・学習状況調査、所謂全国学力テストが実施されました。昨年度は新型コロナ感染に対する緊急措置として臨時休業が行われ中止となりましたが、例年は4月末頃に実施されてきました。国による誤答分析等の採点結果は7月末頃各学校に届くようですが、山口県では、この全国テストを実施した際に、全児童生徒の答案をコピーし、各学校で採点し、その結果を県教委に報告するようになっています。
この作業は、各学校で採点した結果を県教委が集約して各学校に6月末頃に返し、その後の授業改善に生かすことを目的にしていると聞いています。しかし、学校現場からは各学校で採点しても、国から誤答分析等の採点結果が7月末頃に戻ってくることやその結果と各学校での採点結果とに違いがあること、そもそも答案のコピーに膨大な時間と費用を要することや採点する際の正誤の判断が難しく通常のテストの倍以上の時間を要すること等から各学校でのコピー、採点、県教委への報告などの業務は、本当に必要なのか疑問視する声が多いと伺っています。
ある学校では、この全国学力テストの回答を全てコピーすることで多くの費用がかかり、実際に授業で使いたいプリント等を、学校費の予算枠では印刷出来なくなった。また、ある学校では、生徒数が多くコピーに時間がかかるため、コピーをする先生はその間他の仕事が一切出来なくなってしまったとなどいう事案が発生しているとのことです。
全国学力テストの答案のコピー、採点、報告は、先生方の授業力向上をねらってのことと思われますが、県教委から届いた結果より、1ヶ月遅れだが国から戻ってきた結果の方が、誤答分析がされており研修に役立つと話す現場の先生方も多いようです。また、先生方がこの全国テストの結果をもとにした授業改善に関する研修を行うのは夏休みになることが多く、7月末頃届く国の分析結果が活用できるので、あえて県独自の学力テスト分析を急ぐ必要はないとの指摘もあります。そうしたことから、先生方からは、現在行っている、各学校での答案のコピー、採点、県教委への報告に関する業務は必要ないという声が聞かれる次第です。
学校における働き方改革の推進は、今日の教育行政における大きな課題ですが、このことに関して中央教育審議会は平成31年1月25日に答申を行っています。これを見ますと、「学校及び教師が担う業務の明確化・適正化」に触れ、これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務を、1.基本的には学校以外が担うべき業務、2.学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務、3.教師の業務だが、負担軽減が可能な業務の三つに分類し、その3.教師の業務だが、負担軽減が可能な業務の一つに学習評価や成績処理を挙げています。
文部科学省はこの答申を受けて、平成31年3月18日付で各都道府県知事、各都道府県教育委員会教育長等宛に事務次官名で「学校における働き方改革に関する取り組みの徹底について」ということで通知を発出していまして、「学校及び教師が担う業務の明確化・適正化」に関しては、「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」について「必要性が低下し、慣習的に行われている業務は、業務の優先順位をつける中で思い切って廃止していくこと。」を促しています。
そこでお尋ねです。先ず、全国学力テストの自校採点とその採点結果の報告を県教委に行うよう学校に求めている都道府県は、本県以外にどの程度あるのかお伺いいたします。
次に、学力テストの自校採点とその結果の県教委への報告の必要性についてであります。これらの作業は、教師の業務だが、負担軽減が可能な業務の一つとされている学習評価や成績処理に相当すると考えられ、思い切って廃止することが望ましいのか、本県も検討すべき時期に来ていると思われます。今後も、これら作業を続けるとすれば、その必要性についての明確な説明が求められます。そこでお尋ねです。全国学力テストの、自校採点及びその結果の県教委報告の作業は、学校の働き方改革における教師の負担軽減の一環として廃止することも検討するのか、続けるとすればその必要性についてどう考えているのかお伺いいたします。
次に、学力テストの答案のコピーについてであります。私は、学力テストの自校採点については、教師が服務すべき業務としては、廃止が検討されていいと考えますが、教師が、自発的な任意で行うことを排除すべきとは考えていません。児童生徒の答案を採点することで、児童生徒たちの誤答傾向が分かり、そのことが学習指導に役立つ利点もあると思われるからです。その自校採点のためには、答案のコピーが必要です。
そこで、学力テストにおける答案のコピーについては、その費用は、予算措置を行うこと、また、コピーの作業効率を上げるため高性能コピー機の導入を進めていく等の対応が求められますが、こうしたことにつきご所見をお伺いいたします。
→(副教育長答弁)