令和3年6月定例県議会【3.学校給食費の公会計化について】

3.学校給食費の公会計化について

文部科学省が、平成28年度に都道府県を対象に完全給食を実施している公立小学校・中学校572校を抽出して行った「学校給食費の徴収状況に関する調査」では、学校給食費の徴収・管理業務を主に学校が行い、未納の保護者への督促を行っている者は、学級担任46.0%、副校長・教頭41%であるなど、教員の業務負担になっている様子が窺えます。

実際、学校給食費等の学校徴収金滞納者への徴収業務は、教職員に大きな精神的負荷となっているようです。滞納者に対して支払いをお願いし、当該滞納者から「金を払ってやるから、明日の12時に取りに来い。」と一方的な連絡があり、指示された時刻に校長、学校事務職員が家庭訪問をすると留守になっているということが続き、結局支払いはなかったといった事例も聞いています。

また、給食費の未納があった場合は、先生のポケットマネーやPTA会費で穴埋めするか、未納額分減額した食材費での給食にするしかないということで苦慮する学校もあるとのことです。

こうしたことへの対応に、先生方が多くの時間を費やし、精神的に消耗していくような事態は、早く解消していかなければなりません。そのために、現在推進されているのが、学校給食費の公会計化であります。学校給食費を、市や町の会計に組み入れる公会計化がなされていれば、保護者からの学校給食費の徴収・管理業務は、学校ではなく市や町が自らの業務として行うことになり、教員の業務負担の軽減になります。また、給食費の未納があったとしても、給食に必要な食材費等の費用は、公的に確保されます。

中央教育審議会が、平成31年1月25日に「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」答申し、学校給食費や教材費、修学旅行費等の学校徴収金に係る未納金の督促等も含めたその徴収・管理については、基本的には学校・教師の本来的な業務ではなく「学校以外が担うべき業務」であり、地方公共団体が担っていくべきであるとし、特に学校給食費については公会計化及び地方公共団体による徴収を基本とすべきであるとしました。これは、学校現場の実情を踏まえた妥当かつ当然の提言と思われます。

文部科学省は、この答申を受けて令和元年7月に都道府県の知事及び教育長等に「学校給食費等の徴収に関する公会計化等の推進について」の通知を発出し、本県はその通知を踏まえて同年8月に県下の各市町の長及び教育長に対し、「学校給食費の公会計化の取組の推進、さらには学校給食費以外の学校徴収金についても、徴収・管理を地方公共団体の業務とすること等、学校の負担軽減を図る取組の推進」について、適切な対応をお願いしています。

そこでお尋ねです。先ず、本県の小中学校における学校給食費の公会計化の進捗状況をお伺いいたします。

次に、学校給食費の公会計化における県のリーダーシップについてであります。全国の都道府県のなかで群馬県は、平成29年度に県内35市町村全てにおいて学校給食費の公会計化を達成しています。文部科学省が作成した「学校給食費の公会計化等に関する先行事例」に群馬県の取組みが紹介されていますが、それを見ますと、県が中心となりリーダーシップをとり、予算面での支援は特段行わなかったものの、県内の市町村を直接何度も訪問し、学校給食費の公会計化を訴え推進したことが記されています。

そこでお尋ねです。学校給食費の公会計化を行うのは市町ですが、本県も群馬県のように、県がリーダーシップをとり県内全ての市町における学校給食費の公会計化を、速やかに実現すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

更に、関連してお尋ねです。令和元年8月に県内の各市町の長及び教育長宛ての「学校給食費等の公会計化」に関する通知は、山口県教育委員会教育長名でなされていますが、私は、改めて知事と教育長連名の通知を発出し、知事部局と県教委が相携えて学校給食費の公会計化を推進していく必要があるのではないかと思っています。ついては、このことにつき併せご所見をお伺いいたします。

次に、本県の学校における働き方改革の推進において、学校給食費の公会計化の位置づけはどうなっているのか、お伺いいたします。現在は案の段階で来月7月に策定予定の「山口県 学校における働き方改革加速化プラン」をみますと、学校給食費の公会計化の明記がありません。私は、このプランの柱の一つである「業務の見直し・効率化」のところに、統合型校務支援システムの導入と運用等と併せ、学校給食費の公会計化も明記すべきと考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。

→(教育長答弁