4.学校の事務体制の強化について
現在、進行している「学校における働き方改革」の取り組みは、中央教育審議会が平成31年1月25日に行った答申に沿ったものであります。この答申は、我が国の教育が新しい時代においても持続可能であるための改革の方向を示したものであると言えますが、そのためには、二つの課題を乗り切らなければならないと指摘しています。第一の課題は、平成30年9月に公表された教員勤務実態調査の分析結果及び確定値が示している教師の働き方の実態を改革すること。第二の課題は、子供を取り巻く変化への対応のために「チームとしての学校」の機能強化を図ることであります。
この第二の課題「チームとしての学校」の機能強化に関しては、中央教育審議会は平成27年12月に答申を行っていて、「学校のマネジメント機能の強化」の必要性を訴え、そのことに向けて講ずべき施策の一つに事務体制の強化を挙げています。
このことに関しては、平成31年1月の答申も、「学校における働き方改革の推進に当たっては、事務職員の校務運営への参画を一層拡大することが必要である。事務職員は、その学校運営事務に関する専門性を生かしつつ、より広い視点に立って、学校運営について副校長・教頭とともに校長を補佐する役割が期待されている。」として、「事務職員の質の向上や学校事務の適正化と効率的な処理、事務機能の強化を更に進めるべきである。」と、述べています。
即ち、学校の働き方改革を進めていく上においても、チームとしての学校の機能強化を図っていく上においても、事務体制の強化が求められている、このことを先ず確認し、そのことを踏まえて以下数点お伺いいたします。
第一点は、学校事務体制の強化に向けた取組方針についてであります。唯今、述べましたように、「学校における働き方改革」を推進し、「チームとしての学校」の機能強化を図っていく上において学校の事務体制の強化が求められています。本県は、この課題に、どう取り組んでいく方針なのか、ご所見をお伺いいたします。尚、ここでいう学校は、県立の高校等だけではなく市町立の小学校・中学校も含めてのものです。
第二点は、小中学校事務職員の研修についてです。私も今回、学校の事務体制のことに関心を向けて初めて知ったのですが、県立高校等の事務職員は、任命権者は県知事で、一般行政職員として採用され配属が県立高校等の事務職になっているということであります。従って、知事部局への人事異動もあり得ます。一方、市町立小中学校の事務職員の任命権者は県教育長で、学校事務職員としての採用であります。従って、人事異動は公立の小中学校間内においてであります。
こうした任命権者及び採用の仕方の違いにより、同じ学校の事務職員でありながら、県立高校等の事務職員と市町立小中学校の事務職員とでは、受ける研修に大きな格差が生じています。
小中学校の事務職員は、新規採用時の研修と、主事や主査等への昇任があった時の基礎研修が、退職時までに6回予定されているのみであります。その研修は、セミナーパークにあります「やまぐち総合教育支援センター」が行うもので、小中高の教員の研修もここで行われます。教員研修は、基礎研修に加えて専門研修がありますが、小中学校の事務職員に対する研修は、基礎研修のみです。
その基礎研修について、私は、数年前に行われた主査昇任者への研修プログラムを見たのですが、講師は県教委担当課の主査で、講師の役になった方は、「皆様のほうが詳しいかもしれませんが。」と断りながら講義をされたとのことでした。
一方、県立高校等の事務職員は、県の一般行政職としての採用でありますので、同じくセミナーパーク内にある山口県ひとづくり財団が行う職員研修に参加することになります。この財団が、令和3年度の主任主事級に昇任した職員を対象に行う研修のプログラムを見ますと、「政策形成能力向上」というテーマの講義の講師は(一社)日本経営協会の佐々木茂氏となっています。佐々木氏のプロフィールを見ますと東洋大学の教授で地域政策に深くかかわってきておられて、地方自治体の研修にはふさわしい方であると思われます。
こうしたことからも明らかなように、高校の事務職員が受ける研修と小中学校の事務職員の研修には、その内容にあまりにも大きな格差があります。事務体制の強化には、事務職員の資質能力の向上が不可欠ですが、そのことが求められているのは、高校の事務職員だけではなく、小中学校の事務職員も同様です。
そこでお尋ねです。その1は、小中学校の事務職員が受ける基礎研修の見直しを行い、その中身の充実を図るべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
その2は、小中学校の事務職員の研修は、現在は基礎研修のみです。事務職員としての専門性を生かすための専門研修も行われるのが望ましいと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
その3は、現在、山口県ひとづくり財団が行う研修は、空きがあった場合は、その空き人数分だけ小中学校の事務職員も参加が可能となっています。私は、県職員対象の研修に小中学校の事務職員の研修枠を設けて参加できるようにするか、市町職員対象の研修を行うように市町立小中学校の事務職員対象の研修を新たに設けるべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
その4は、学校事務職員を対象とした研修プログラムの開発についてです。県教委は、事務職員の関係団体等と協力して学校事務職員の資質能力向上を図る研修プログラムの開発に取り組み、全国のモデルとなる学校事務職員研修プログラムの開発と実施を目指すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
→(副教育長答弁)