デジタル改革の推進について
4.デジタル人材の育成と確保について
「やまぐちデジタル改革基本方針」の「施策の3つの柱」その③に「デジタル・エリアやまぐち」の形成として「光ファイバー網や5G等による高度なブロードバンド環境を確保するとともに、デジタル人材の育成を加速し、県内での活躍を促進する」と記載されています。
今日のデジタル化が本格的に進んだのは、アメリカのアップル社が、2007年に発売した「iphone」が契機となり進展したと言われています。つまり、本格的なデジタル化の歴史は、まだ13年ほどしか経過していないと言えます。しかし、この短い間ではありますが、その進展は目を見張るものがあります。今日では、私たちの暮らしやビジネスの中で不可欠な存在となっています。まさにデジタル化がとんでもなく進んだのです。それも高度に。そして正に、デジタル改革というよりデジタル革命というのが相応しいトータル且つ構造的なデジタル化による変革、即ちDX(デジタルトランフォーメーション)が、世の中のあらゆる面で進められようとしています。
そこで問題となってくるのは、そのDX(デジタルトランスフォーメーション)を担う人材の育成と確保であります。
経済産業省が2016年6月に公表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査」によれば、IT需要が今後拡大する一方で、我が国の労働人口(特に若手人口)は減少が見込まれ、IT人材の需要と供給の差(需給ギャップ)は、需要が供給を上回り、2030年には、最大で約79万人に拡大する可能性があると試算されています。
経済産業省は、その後また新たに「IT人材需給に関する調査」を、みずほ情報総研株式会社に委託し、その調査報告書が、それから3年後の2019年3月に公表されています。この調査は、ITの需要の伸びだけではなく、IT人材の生産性の向上も考慮に含めていること、IT人材を従来のIT需要に対応する「従来型IT人材」と、AIやビッグデータ、IoTなどの先端IT技術を担う「先端IT人材」に分けて分析を行っていること等から、より精度の高い調査となっていると考えられます。
その調査報告書が、明らかにしている重要な指摘があります。それは、2030年に、予想されるIT人材の不足は、実質的には先端IT人材の不足になると考えられるとの指摘です。この報告書は、IT需要の伸びが3~9%の高位でIT人材の生産性向上が0.7%、従来型IT人材から先端IT人材へのスキル転換が1%固定の場合、2030年のIT人材不足は全体で78万7千人で、そのうち73万7千人は先端IT人材との試算結果を示しています。
ITには、アナログ技術もありますのでIT=デジタルではありませんが、AIやビッグデータ、IoTなどの先端IT技術は、DXデジタルトランスフォーメーションを担う技術そのものでありますので、先端IT人材の不足は、そのままデジタル人材の不足と見做していいと考えられます。
そうした我が国の将来のデジタル人材不足を、どう解消していくのかは大きな問題でありますが、このことは基本的には国の教育政策に係る問題であると思われます。では、県としてはデジタル人材の育成と確保には、どう取り組むべきなのか。以下、そのことに関し3点お伺いいたします。
ア.産学官の連携について
第一点は、産学官の連携についてであります。本県におけるデジタル人材の育成と確保に係る課題を共有し、産学官が連携してその課題解決に取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
イ.県庁におけるデジタル人材の育成と確保について
第二点は、県庁におけるデジタル人材の育成と確保についてです。デジタルに関する外部人材の活用は当然あっていいと思いますが、県庁職員に自前の優れたデジタル人材がいることも大事です。そのため、県庁職員を大学や研究機関、企業等に一定期間派遣してデジタルに関して本格的に学び研修することを可能にするとか、県職員の採用に当たり、デジタル化に関し一定の専門的知識とスキルを持った人材の採用枠を設ける等のことが考えられますが、そういうことも含めて、県庁におけるデジタル人材の育成と確保にどう取り組まれるのか、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
ウ.デジタル化を担う企業の育成支援について
第三は、デジタル化を担う企業の育成支援についてです。このことに関しては、二つの面からの県の取組が求められます。一つは、融資や補助による育成支援です。もう一つは、デジタル化の事業、即ち仕事の発注による育成支援です。デジタル化の事業について全国大手や県外有力企業への発注を全く排除するわけではありませんが、県としては、県内企業の育成を図る観点からの発注を基本とすべきと考えます。ことに、新たなデジタル技術を事業化したようなベンチャー企業に関して、そういう姿勢が求められます。
いずれにせよ、本県においてデジタル関連の企業が育ち集積していくことが、デジタル人材が豊かになり確保されることにつながります。ついては、以上申し上げましたことも含め、デジタル化を担う企業の育成支援にどう取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)