平成22年11月定例県議会 (3)水田汎用化の促進について

(3)水田汎用化の促進について

水田汎用化の促進についてであります。
米を基幹作物とする我が国農業の将来への展望は、いまだ開けていません。民主党政権が導入した農家への戸別所得補償制度も、むしろ米価下落の要因になったのではないかとの指摘もあり、補償を上回る米価の下落が懸念されています。
我が国では、米づくりのために整備された水田が、さまざまな国土保全の役割も果たしており、米づくりを中心にして集落が形成されてきた歴史もあり、米を中心とした農業を守ることが、今日も農政の最大の課題であります。
しかし、日本の米を高関税で守ってきた国境措置も、ことしになって急浮上してきたTPPに我が国も参加するとなった場合、一定の時間的猶予はあっても、原則廃止という方向になるものと思われることから、日本農業は重大な危機に瀕することになります。
こうした経済活動のグローバル化への対応は、当然国の政策としてなされるべきことですが、私たち県政に携わる者は、常に地方の現場にあって地域の実情を知る者として、国の政策が適正なものとなるよう発言し行動して、地域経済を守っていく役割を果たしていかなければなりません。
そこでお尋ねであります。米価の下落傾向、経済のグローバル化という中にあって、強い地域農業を育てていくためには、水田を汎用化して、米だけに頼らず、状況に応じて野菜等も含めて必要な農作物の生産に取り組むことができる農業生産基盤の整備が重要と思われますが、次年度の予算において水田の汎用化には、どう取り組まれる方針なのかお伺いいたします。

【回答】◎農林水産部長(藤部秀則君)
水田汎用化の促進についてのお尋ねにお答えします。
お示しのように、米価の下落傾向や経済のグローバル化など、農業をめぐる環境が大きく変わる中、本県農業の担い手となる集落営農法人等の経営安定化のためには、土地利用率を高める畑作物の生産拡大が重要であり、これを支える基盤となる水田汎用化の一層の促進が不可欠と考えております。
こうしたことから、本県では、これまでも国の補助事業等を活用し、降雨後の地表水を早期に排水する浅層暗渠や、排水機能とかんがい機能をあわせ持つ地下かんがいシステムの導入により、「やまぐち食と緑・水産チャレンジ実行計画」に掲げる、平成二十四年度末までの水田汎用化の整備目標一千ヘクタールに対し、昨年度末までに六百六十七ヘクタールの整備が進んだところですが、貿易の自由化や農業の産地間競争の激化などが避けられない中で、麦・大豆・タマネギ等県内での安定的な需要が見込まれる作物の生産を拡大するためには、水田汎用化のさらなる推進が必要と考えています。
このため、九月補正予算において、光市束荷地区ほか六地区で地下かんがいシステム等の整備に必要な予算措置を行うとともに、今次補正予算において、山口市川西地区ほか四地区で水田汎用化のための区画整理工事等を前倒しで実施することとしています。
県といたしましては、来年度予算に向けて、公共事業費の削減など国の予算が厳しい中にありますが、整備が急がれる水田汎用化については、経営体育成基盤整備事業等による計画的実施はもとより、基盤整備済み農地についても、畑作物等の生産拡大のための新たな国の事業の導入に努めてまいりたいと考えています。

2010年11月30日