平成27年2月定例県議会【地域医療について】(3)がん診療連携拠点病院について

【質問】(3) がん診療連携拠点病院について
山口赤十字病院が、がん診療連携拠点病院ではなくなるのではないかと云うことが懸念されています。山口・防府医療圏では、最初県立総合医療センターが、がん診療連携拠点病院に指定されていましたが、山口地域に加え萩地域をも含めてがん対策を担うということで、次いで山口赤十字病院も、原則一医療圏ひとつと云う国の方針の中で特例的に指定が認められたものであります。
それに応えて山口赤十字病院は、がん診療において二つの柱でありますがんの治療と緩和ケアにおいて立派にその役割を果たし、特に緩和ケアにおいては全国のモデルとなる高いレベルの医療を提供してきているところであります。
それが、かん診療連携拠点病院を指定する要件の見直しに伴い、人材配置要件の強化の一環と云うことで、病理診断の医師の常勤が必須化されたため、山口赤十字病院は、苦慮しているところであります。
現在、当病院は四人の非常勤医師による病理診断を行っていますが、病理診断に携わる医師の絶対数が不足している中で、その常勤医師を確保することは極めて困難な見通しのようです。
私は、国が新たな指定要件にした病理診断の医師の常勤化により、非常勤の場合より病理診断能力が高まるというのであれば、そうした要件の変更は、合理的なことと評価するにやぶさかでありませんが、関係者の話を聞くと必ずしもそうではないようであります。
一人の常勤者よりも、非常勤であっても複数いた方が病理診断能力は高まるとの見方もありますし、ICT技術を活用した画像診断医療システムも実用化され、遠隔地にいてもその場にいるのと同様に病理診断が出来る時代になって来ているのに、何故病理診断の医師の常勤化を必須の要件にしなければならないのか疑問であります。病理診断については常勤化した場合と同等の診断能力が確保されればいいのであって、原則常勤化を求めるも、それを必須の要件にする必要はないと考えます。
先程触れたことですが、病理診断に携わる医師の絶対数が少ないという現況の中で、がん診療連携拠点病院の要件として病理診断の医師の常勤化を厳格適用することは、むしろ地域医療におけるがん対策の後退になるのではないかと憂慮します。
そこでお尋ねです。がん診療連携拠点病院の新たな指定要件とされている病理診断に携わる医師の常勤必須化は、見直すよう国に求めるべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎健康福祉部長(小松一彦君)
次に、がん診療連携拠点病院についてです。
県民が、身近な地域で、状態に応じた適切ながん治療を受けることは重要であることから、県では、これまで、国の指定する、がん診療連携拠点病院等を整備するなど、地域において質の高いがん医療が受けられるよう、その体制づくりに努めてきたところです。
こうした中、がん拠点病院間の診療実績等に格差があったことから、国において、診療実績や人員配置などの指定要件を強化し、質の向上と一定の集約化を図ることとされたところです。
病理診断医の配置要件についても、手術中の迅速な診断を行うのみならず、患者の治療方針の決定などに当たり、担当医との日常的な協議が不可欠であることから、常勤が必要とされたところです。
このため、病理診断医の常勤配置の要件を見直すよう国に求めることは考えておりませんが、このたび、新たに医師研修資金等を拡充し、病理診断医の育成・確保を図ったところです。

2015年3月5日