(3)街なかキャンパスについて
今回の質問は、大学の地域貢献が主要テーマでありますが、実は大学は存在することそれ自体が地域貢献であります。大学の地域経済への貢献は大きなものがあるからです。従って、大学の地域貢献の第一は、魅力ある大学として存続し、発展していくことであります。
そういう観点から、現在進行している山口県立大学の移転計画は、見直しの必要があるのではないか。そして、その見直しの際は、「街なかキャンパス」の可能性を検討すべきではないか、というのが「街なかキャンパスについて」の質問趣旨です。
我が国は、2018年以降、18歳人口の減少期を迎えます。リクルート進学総研の試算では、その後、2025年までの8年間で、大学進学者は5万人減るであろうと予測しています。こうした将来予測の中、大学の生き残りをかけてのことと思われますが、1970年代頃に郊外へ移転した大学が、2000年代になると、次々と都心部へ回帰する動きを活発化させています。
最近では、青山学院大学が、神奈川県の相模原にあった文系学部全てを、2013年に渋谷の青山キャンパスに移転しました。
中央大学は、多摩キャンパスにある法学部など社会科学系3学部の都心回帰を図る考えを明らかにし、法学部は、2022年までに文京区の後楽園キャンパスに移すことを決定しました。他にも明治、同志社、立命館、東洋大など私立大学の都心回帰が相次いでいます。
このような大学の都心回帰は、今日の学生が、学ぶ環境の良さだけではなく、学生生活を楽しめる都会的要素のある立地環境の大学を志望するというトレンドに対応したものであると考えられます。そこには、少子化の進行により学生数が減少する中で、大学の存続を図っていくための経営判断があると思われますが、そうした大学経営についての考慮は、私立の大学だけではなく、法人化された国立や公立の大学においても同様に求められるものであります。
私は、そのような今日の学生のトレンドに対応した大学経営ということからすると、現在進行している山口県立大学の移転計画は、現計画のまま進めていいのか再検討する必要があると思う次第です。
山口県立大学は、これまでJR山口線の宮野駅近くで、山口市の中心市街地からはやや離れていますが、宮野地区の市街地とも云うべきところに立地していました。それが、移転計画が実現しますと、現在地から国道9号線を挟んで北側の山手に大学が立地することになります。宮野駅から現在よりも遠くなり、交通アクセスも悪くなりますし、周辺環境も寂しくなることが予想され、私は、この大学移転計画が、学生の目線からどれほど検討されたのか疑問に思います。
移転予定地には、既に平成8年に、新たに設置された看護学部の学科棟や講堂が建設され使用されていますし、栄養学科棟や学部共通棟は、平成28年度に建設が完了する予定ですので、これらを見直すことは出来ないとしても、移転工事未着手の国際文化学部や社会福祉学部の学部棟などについては、山口市の中心市街地や新山口駅周辺等に立地する街なかキャンパスの可能性が検討されていいのではないでしょうか。特に、大学の立地環境に学生が影響される度合いは、理系よりも文系の方が大きいようでありますので、私は、大学の将来を展望した場合、国際文化学部と社会福祉学部の街なかキャンパスは、真剣に検討されていいのではないかと思っています。
そこでお尋ねです。山口県立大学の移転計画は、街なかキャンパスの可能性も含めて再検討すべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。