平成29年2月定例県議会【5.中山間地域と有機農業】

お尋ねの第五は、中山間地域と有機農業についてであります。

中山間地域には、有機農業が向いているという声をよく聞きます。確かに、大区画の圃場整備を行い、機械化して生産性を上げることによりコスト競争力のある農業を実現していくという規模、効率追求の農業に中山間地域が向いていないことは明らかであります。

では、農地の7割が中山間地域にある本県は、どういう農業を目指すべきなのか。勿論、規模拡大・効率追求が可能なところにおいては、その取組みを進め生産性を上げていく農業を目指すべきでしょう。しかし、それが困難なところにおいては、消費者の安全・安心や健康志向のニーズに応える栄養価の高い良質、高品質の農産物を生産していく農業を目指すのが望ましいと考えられます。有機農業は、正しくそうしたニーズに応える農業でして、本県の中山間地域において、もっと取組まれ、中山間地域の振興策として推進されていいと思います。

また、我が国の有機農業には、「生産者と消費者の提携」という理念があり、「顔の見合える関係」を大事にしてきました。そうした有機農業は、中山間地域と都市住民・一般市民との交流や、若い新規就農者の参入そして定住の契機になり、中山間地域の活性化に寄与することが期待されます。

あぶらんど萩JAの方からお聞きしたことですが、阿武町の福賀にある農事組合法人「うもれ木の郷」は、特別栽培のエコやまぐち農産物の中で化学農薬、化学肥料を使用しない「エコ100」の米、ミネラル米を生産していますが、毎年6月頃には、山大剣道部部員30数名が1泊2日の予定できて、除草の手伝いをすると共に、夜は農家の方々と懇談し交流を深めるとのことでした。有機農業が契機となって実現している、誠に喜ばしい農業支援と交流の事例でして、このようなことが、もっと拡がるよう何か策が講じられるといいですねと言っておられました。

そこでお尋ねいたします。中山間地域の振興、活性化の施策の一環として、中山間地域における有機農業への取組みを支援し、その推進を図るべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】

中山間地域と有機農業についてです。

人口減少や過疎化が深刻化する中、中山間地域の活性化は、県政の重要課題であり、基幹産業である農林水産業の振興はもとより、若者の移住・定住など様々な施策を展開する必要があります。

有機農業においては、「生産者と消費者の提携」や「顔の見える関係」を重視して進めてきたところであり、都市と農山村が近接する本県中山間地域の特性を生かし、多様な気象条件等に適した農産物づくりを推進するとともに、地産・地消や都市農村交流などを一層進めることが重要です。

このため、お示しのありました、水田の除草作業を通じた大学生との交流のように、有機農業を契機として、消費者をはじめ、若い新規就農者、地域おこし協力隊などとの多様な交流により、理解促進を進めてまいります。

さらに、近年、田園回帰とも言われ、都市から農山村への移住を志向する若者が増える傾向にあることから、この機をとらえ、新たな取組として中山間地域への移住就農も促進してまいります。