水力発電は、倍増できる。我が国では、電源構成において水力発電が占める割合は現在9%だが、これを20%以上にすることができる。国土交通省の元河川局長であった竹村公太郎氏は、その著「水力発電が日本を救う」で、そう述べて、日本の将来のために水力発電の推進に取り組むべきことを訴えています。
CO2を排出しないクリーンな純国産エネルギーである水力発電を、倍増して電源構成割合20%以上を実現できれば、私たちは、日本の将来に明るい展望を持つことができます。私は、竹村氏の著書を読み、このことは取り組むに値することだと思い、先ずは、竹村氏が主張しておられることを山口県において実現していこうと考え、ここ数か月そのことに関心を向けて、県の職員のご協力をいただきながら本県のダムを数カ所視察し、また国土交通省や資源エネルギー庁、本県において独自の水力発電システムを開発した田布施町の大晃機械工業などを訪ね、担当の方と意見交換を行い、さらには、著者の竹村氏本人にも直接お会いし疑問点をぶつけるなど、私なりに水力発電について理解を深めてまいりました。
そして、わかってきたのは水力発電の適地は、ほぼ開発され、事業化されているということであります。そうした現状を踏まえて如何にして水力発電を新たに開発していくのか。このことについて竹村氏は、①多目的ダムの運用変更、②既存ダムの嵩上げ、③発電に利用されていないダムでの水力発電の実施、④砂防ダム・農業用水路などにおける1000kW以下の小水力発電、以上四つの開発の方向を示しています。注目すべきは、その中に新たなダムの整備がないことです。竹村氏は、新たにダムをつくる必要はない、河川法が改正されて河川行政のスタンスが変われば、以上四つの方向の取り組みを推進することで、眠っている巨大電力を活かすことができるようになると力説しています。
水力発電は、水の流れが有するエネルギーを電力に変える仕組みです。従って、河川の水の流れが有するエネルギーを、可能な限り電力に変えて国民の生活と産業に資していく、このことが、河川行政を担当する者の重要な責務として認識され、その認識が共有されるようになることが、これからの水力発電の新たな開発のためには不可欠と思われます。勿論、このことは河川行政における治水の重要性を軽んずるものではありません。我が国の将来のことを考える時、これからの河川行政は、治水への取組みと同等に、河川の水力エネルギーの活用、ことに水力発電への活用が図られるべきだと考える次第です。
竹村氏は、河川管理者が水力発電のメインプレイヤーなることが大切で、そのため河川法第一条の目的に「水力エネルギーの最大活用」を入れるべきだと強調しています。
そういう趣旨の河川法の改正がなされるかどうかは、国政における今後の課題ですが、本県においては、再生可能エネルギーである水力発電の推進を県政の重要課題として位置づけることで、県の河川行政の担当者が、水力発電推進の役割を果たすようになることを期待するものです。
そこでお尋ねです。再生可能エネルギーの観点からも、特に水力発電の推進を、県政の重要課題として位置づけるべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
以下、竹村氏が示しておられる新たな水力発電開発の4つの方向について、順次お伺いいたします。