岩国市は、米軍再編の目的は、厳しい安全保障環境の中で、抑止力を維持し、戦争を回避することで、我が国の安全を保障すると共に、国際的な平和と安定を維持する措置であるとの認識に立ち、これを受け入れる決断をしました。我が国の平和と安全のために、どこかが引き受けなければならない役割を、敢然と受けることにした岩国市の決断を、私は評価したいと思います。
ただ、指摘しておかねばならないことは、厚木基地から岩国基地への空母艦載機の移駐は、周辺住民が騒音被害を裁判に訴えた厚木基地騒音問題で対応を迫られていた日本政府が、米軍再編の日米協議において日本政府の意向として示し、それに米側が応えたものであるということであります。
この空母艦載機の移駐が完了すると、岩国基地の米軍機は、極東最大級の米空軍基地とされる沖縄県の嘉手納飛行場の約100機を越え、約120機が駐留することになります。このことにより岩国基地は、これまで以上に抑止力の維持に重要な役割を担うことになりますが、朝鮮半島有事が懸念されている今日、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威にさらされるリスクが高まることも想定しておかなければなりません。
そこで、私が強く訴えたいことは、国は、岩国市を北朝鮮の弾道ミサイルの脅威から守るため万全の措置を行う責務があるということであります。そして、県は、その国の措置が万全のものであるか確認し、不十分と思われたら万全の措置を国に求める責務があるということであります。
さらに、国がミサイル防御に万全の措置を取ったとしても、完全に防ぎきれない場合もあり得ることを想定して、国民保護の観点からそうした際の被害を最小限にするために警報発令や避難等の備えについては、岩国市の取組みがしっかりしたものとなるよう、県は必要な助言を行い支援する責務があると考えます。
県が、空母艦載機受け入れ容認を表明した後、関係市町と共に国に対して4項目の特別要望をしていますが、国に求めるべき第一のことは、朝鮮半島有事という事態になったとしても岩国市の安全が確保されるようにすることではないでしょうか。
以上申し上げたことを踏まえ、お伺いいたします。空母艦載機の移駐を受け入れた岩国市の安全確保に係わる国と県の責務について、どうお考えなのかご所見をお伺いいたします。