「公共交通政策について」答弁
◎知事(村岡嗣政君) 合志議員の御質問のうち、私からは公共交通政策に関する県の役割についてのお尋ねにお答えします。
地域公共交通に関する施策の推進については、地域の実情を最も把握しており、まちづくりの主体でもある市町が主体的に取り組むことが基本となります。
県としては、市町に対する指導・助言を行うとともに、広域的な公共交通の確保、維持や、全県的な共通課題である利便性の向上等の市町の取り組みを支援する役割を果たしていくこととしています。
こうした考えのもと、まず、広域的な公共交通の確保、維持を図るため、複数市町にまたがる幹線バス路線について、運行等に関する市町間の意見調整を行うとともに、国や市町と協調して運行経費に対する支援を行っているところです。
また、誰もが利用しやすい公共交通を実現するため、公共交通機関のバリアフリー化等、利便性の向上を支援するとともに、中山間地域等における交通手段の確保のため、デマンド型乗合タクシー等、地域の実情に応じた公共交通の導入、運行を支援しているところです。
さらに、公共交通は地域外との交流を活発化させる基盤でもあることから、その機能を強化するため、県内二空港の交流拠点化や新幹線の利便性向上、二次交通アクセスの充実等にも取り組んでいきます。
私は今後も、国や市町、交通事業者等との連携を密にし、地域住民の生活交通の確保・充実や地域外との交流の活発化が図られるよう、公共交通に関する県の役割を果たしてまいります。
その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。
◎観光スポーツ文化部長(正司尚義君) 公共交通政策についての数点のお尋ねのうち、まず地域公共交通網形成計画の策定についてお答えします。
地域公共交通網形成計画は、地域内の公共交通ネットワークの再構築を促進するものであり、まちづくりとの一体性が求められていることから、まちづくりの取り組みの主体である市町が、地域の特性に応じた計画を策定することが基本となります。
県では、これまで、各市における全ての計画策定協議会に委員として参画し、広域的な視点から指導・助言を行っており、各市における計画は隣接市町との広域移動も考慮して策定されているところです。
こうしたことから、県としては、県の計画の策定までは考えておりませんが、今後も各市の協議会において、計画の推進や検証等について、引き続き広域的な立場から適切な指導・助言を継続していくこととしています。
あわせて、国、県、市町、バス事業者で構成する山口県生活交通確保維持改善協議会において、複数市町にまたがるバス路線についての調整を行うこと等を通じて、広域的な視点からの公共交通の確保に取り組んでいきます。
次に、バス交通の確保維持改善についての三点のお尋ねにお答えします。
まず、本県におけるバス交通についての認識と今後のバス交通の確保、維持、改善に向けた取り組みの基本的方針についてです。
バス交通は、地域住民、特に自家用車を利用できない高齢者や学生、生徒、障害者等の日常生活に不可欠な交通手段として、また、地域外との交流を支える基盤として重要な役割を担っていると認識しています。
県としては、この認識のもと、誰もが利用しやすい交通手段としてのバス路線の確保、維持と、そのための利用促進、また、利用者の快適な移動のための利用環境の改善を図ることを基本方針として取り組んでいるところです。
次に、過疎地域におけるバス運行の確保、維持についてです。
過疎地域におけるバス交通は、日常生活における重要な移動手段であることから、県では、お示しの曜日指定のバス運行など、地域の実情に応じた運行が可能な限り維持されるよう、今後も市町に対する必要な指導・助言と運行経費の支援に取り組んでいきます。
なお、やむを得ず路線の維持が困難となる場合においては、代替の交通手段となるデマンド型乗合タクシーの運行等に対する支援も行うこととしています。
次に、交通ICカードの導入促進についてです。
キャッシュレスで手軽にバスを利用できる交通ICカードは、地域住民や観光客等利用者の利便性を向上させるとともに、バスの利用促進にも有効と考えています。
このため、交通ICカードの導入に向けて、県とバス事業者等で構成する検討会において協議を行っているところであり、今後、この協議をさらに進めるとともに、必要な予算額の確保等について、引き続き国に要望していきます。
次に、高齢者の移動手段の確保についての三点のお尋ねにお答えします。
まず、現状と課題及び県の役割についての基本認識についてです。
高齢者は、ほかの年齢層と比べて運転免許の保有率が低く、自力での移動手段を持たない方の割合や、移動の際に公共交通を利用する方の割合が高い現状にあると認識しています。このため、高齢者が円滑に移動できるよう、バリアフリーにも配慮しながら、バスやタクシーなどの公共交通を確保し、充実させていくことが課題と考えています。
こうした高齢者の移動手段の確保については、一義的には地域の実情を最も把握している市町が主体的に取り組むことが基本であり、県としては、市町の取り組みが円滑に進むよう支援する役割を担うものと認識しています。
次に、市町の施策に対する支援についてです。
県としては、高齢者の移動手段がしっかりと確保されるよう、市町の開催する協議会に参画し、指導・助言を行うとともに、高齢者に配慮した公共交通であるデマンド型乗合タクシーやコミュニティーバスを市町が新たに導入する場合に、運行経費の補助を行うこととしています。
次に、自家用有償旅客運送の普及推進についてです。
自家用有償運送は、バス、タクシーなどの確保が困難な地域の移動手段として有効なことから、県では、これまでも市町に対して先進事例の情報提供等を行ってきており、現在、山口市を初めとする九市町において導入されています。
お示しの権限移譲については、地域で判断できる裁量の拡大という趣旨から、市町に対して行うことが基本とされていることから、県として移譲を受けることは考えておりませんが、引き続き市町と連携して自家用有償運送の普及を促進していきます。
次に、公共交通の担い手対策についてお答えします。
公共交通不便地域における移動手段の確保や公共交通の担い手不足等を解消する手法として、シェアリングや自動運転の実証実験が全国各地で行われているところです。
こうした中、シェアリングについては、バスやタクシーによる運行が困難な地域において、特区制度を活用して、自家用有償運送の規制緩和による実証実験が行われているところであり、引き続きこうした動向を注視していきます。
また、自動運転については、安全技術の確立と事故発生時の責任の所在に関する法整備等の課題があるものの、実用化に向けた取り組みが進んでいます。
お示しの宇部市において国が進めている実証実験については、地元企業、大学、国、県、市の産学官が連携して、地域実験協議会を設置しているところであり、今後、協議会において、実証とその結果の検証を進めていくこととしています。