平成30年11月定例県議会【4.高齢者の移動手段の確保】

「公共交通政策について」

4.高齢者の移動手段の確保
私が住んでいる山口市は、いい街です。転勤族で数年山口市に住まれた方で、山口の街が気に入って、定年後山口に住むことにしたという方は、結構おられます。そのように山口市は、いい街なのですが、問題は、車が運転できなくなると、一気に不便な街になることです。従って、山口市に住む不安の一つは、年取って車の運転が出来なくなった時に、移動手段をどうするかということであります。
昨日、中島議員が明らかにされたことですが、昨年の3月から、75歳以上の高齢者は、自動車の免許更新をする時、認知機能検査を受けることになりまして、この制度開始から1年間で、本県において28,717人が、この検査を受け、そのうち704人の方が認知症のおそれありと分類されています。その中で、最終的に認知症と診断され免許取り消しとなった方は3人ですが、207人の方が免許証の自主返納をしておられます。そして、それ以外の方は、多分免許更新の手続きをされなかったのではないかと推測されます。こうしたことからも車の運転が出来なくなる高齢者が年々増えていくわけで、そうした高齢者の移動手段を、どう確保していくかは、全国に比べ約10年早く高齢化が進んでいる本県にとって、看過できない政策課題であります。
マイカーを利用できなくなって最も助かるのは、家族等身内に気軽に車の乗せてくれる人があって、必要な移動が確保できることです。それがない場合は、バスやタクシー等の公共交通を利用するしかありません。ただ、バスは近くにバス停がないと利用が困難です。タクシーは、度々の利用は料金負担が過重になります。そこで、バスの場合は、路線バスを幹とすればその枝となるフィーダー交通としてのコミュニティバス等の運行によりバス利用区域を拡大する取り組みが為されています。それでもバス交通でカバーできない地域や身体的理由等でバス利用が困難な高齢者に対しては、山口市は、コミュニティタクシーやグループタクシーという仕組みを、創設しています。コミュニティタクシーは、高齢者だけではなく住民一般が利用できるもので、コミュニティバスのタクシー化であります。グループタクシーは、65歳以上の高齢者が対象で、タクシー料金割引の利用券を配布し、相乗りすれば人数分さらに割引料が増す仕組みになっています。山口市は、このようにしてタクシーの利用料金の軽減を図り、タクシーによる移動を支援しています。そうした自治体の公共交通による移動支援の施策に加えて、国が近年普及させようとしているのが、自家用有償旅客運送です。
自家用有償旅客運送は、自家用車すなわち白ナンバーの車による有償運送です。通常、有償運送が出来るのは緑ナンバーのバス、タクシー、トラックなど運送を業務としている車のみで、白ナンバーの車による有償運送は、認められていません。それを、既存のバス・タクシー事業者による輸送サービスの提供が困難な場合、地域の関係者の協議を経て、道路運送法の登録を受けたNPO法人等が自家用車で有償の運送を行うことを認めることにしたのが、自家用有償旅客運送です。その運送の対価は、タクシー運賃の概ね2分の1を目安とするとされていて、バス・タクシー等の公共交通でカバーできない公共交通空白地において移動手段確保の役割を担う、重要な制度として位置づけられています。
以上、申し上げましたことを踏まえお尋ねいたします。まず第一に、本県における高齢者の移動手段確保についての現状と課題及び県の役割について基本認識をお伺いいたします。