平成30年6月定例県議会【1.今日の時代における維新について】

「高齢者が輝く地域づくりの推進について」
(1) 今日の時代における維新について

今年は明治維新150年であります。本県は、この維新を主導した県であることから花博等これを記念した企画の実現に力を入れていますが、明治維新とは何だったのかを振り返り、今日の時代における維新について、先ず考えてみたいと思います。
明治維新は、大化の改新や鎌倉幕府の成立などに匹敵する国家変革の歴史的出来事でしたが、その変革の内容は、封建的幕藩体制から近代的主権国家への転換でありました。幕末は、世界的に帝国主義の時代で、この時代の国際社会を構成する単位は主権国家でした。そのため、この時代の国々は、主権国家として国の要件が整っていることが求められ、そうでない国は、どこかの主権国家の支配下に置かれるという厳しい現実がありました。その結果、アジア・アフリカのほとんどの国々が、欧米列強の植民地となりその支配下に置かれました。
幕末維新は動乱の時代でしたが、我が国の先人たちは、欧米列強による植民地支配の脅威から日本の国を守るという一点では共通していて、様々な考えがあり激しくぶつかり合うも、攘夷から開国へ、そして主権国家の確立へと云う国の独立保持のための変革を見事成し遂げ、歴史的責任を果たしました。
では現在、明治維新150年を記念し称揚している我々が、維新の先人たちにならって取り組むべき課題は、何なのでしょうか。幕末維新時の日本人が共有していた不安は、欧米列強の植民地にされることへの不安でした。それでは、今日の日本人に共有されている不安は何でしょうか。答えはハッキリしていて、それは少子高齢化への不安であります。今日、我が国は将来に明るい展望を描くことが困難になっていますが、その最大の理由が少子高齢化の進行であります。従って、この少子高齢化の進行に伴う課題を解決して、明るい将来の展望を切り開くことが、今日の時代における維新に相当する取組ではないでしょうか。そうだとすれば次に問われることは、明治維新による主権国家確立の変革に相当する今日の時代における維新変革の内容、即ち少子高齢化の問題を解決する具体的施策の基本的方向はどういうものかということであります。私は、そのことは明らかだと思っています。それは、高齢者を国の負担ではなく、国の宝として生かす施策を強力に遂行することであります。
国・県通じてですが、高齢者対策は、高齢者への医療・介護という負担面での施策が主で、高齢者を生かす施策は手薄であります。因みに、県が、今年の3月に策定した第六次やまぐち高齢者プランは、医療・介護の面での地域包括ケアシステムの深化・推進と、高齢者が活躍する地域社会の実現が二大柱になっていますが、施策の説明122頁のうち「高齢者が活躍する地域社会の実現」に割かれているのは、わずか7頁であります。勿論、高齢者への医療・介護の施策は重要ですが、もっと高齢者を社会の大事な構成員として尊び、生かすという観点からの施策の構築、充実が図られていいと考えます。
そこでお尋ねです。 私は、高齢者を国・地域の宝として生かすという観点から包括的な施策の確立に取り組み、高齢者が輝く地域社会のモデルを本県において実現していくことは、我が国の将来に明るい展望を切り開くことになり、今日の時代における維新の実現になると思いますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。