「5.先進地視察について」
私は、先に全県的な交通ビジョンとしての山口県総合交通計画の策定を提案しましたが、それは、県と市町が共同して創り上げ、共有し、共にその実現を目指すものでなければならない旨申し上げました。そうした趣旨から、県、市町の交通政策担当者を中心メンバーとし、交通政策、まちづくり、都市計画等の有識者を加えた山口県総合交通計画の策定委員会の設置を、併せ提案したいと思います。この策定委員会の有識者は、広く県内外に優れた人材を求め、交通政策に係る世界的知見が反映され、生かされる委員会にしなければなりません。そして、この策定委員会は、しっかり時間とお金をかけて、交通政策の先進地、特に欧州の先進地を実地に視察することを勧めたいと思います。
私が、交通政策に関心を向ける契機になったのは、ある大学教授の交通政策レポートを読んだことでした。ご参考までに、そのレポートの一部を紹介いたします。
欧州を旅行すると、なぜ都市や商店街が繁華し、なぜ限界集落問題が小さいのか、その理由が良く理解できます。
地方都市の活性化は、実は、都市に暮らす人々の移動の動線を設計し、もって都市全体の活性化を支える商店街を成り立たせることができることを、国内外の多くの成功例が証明しております。市民が集まる活気ある街づくりを行うか否かは都市交通政策の巧拙によって決まる、ということを成功例は、証明しています。
旧東ドイツ各都市のインフラ整備では、路面電車の活用、バスのネットワーク、長距離にはドイツ鉄道とアウトバーンなど、バランスのあるものになりました。旧西ドイツに学び、ライプツッヒ、ドレスデン、エアフルトなど、日本人に馴染みの都市を訪れても、素晴らしい都市が再生して、活気を見せています。駅構内には、スーパーマーケットや商店が入り、駅の近隣に商店街が生まれ、人々が集まる商店街が都市の中心地になっています。すべて設計されたものです。
このレポートの筆者は、そう指摘して、街の再生に成功した特にドイツやフランスの先進都市の交通政策を、実地に視察して学ぶべきではないかと訴えています。私は、全く同感です。都市の再生と交通政策の関係は、具体的かつ多面的・多角的に見ていく必要があると思いますが、中でもLRTが、都市の再生にどうつながったのかはよく調査し、LRTを、本県の各都市において整備することの妥当性、可能性、有効性などについても、しっかり見極めてほしいと思っています。また、必要とあれば、交通政策担当の職員を、先進地に一定期間派遣することも考えられていいのではないでしょうか。
そこでお尋ねです。県の交通ビジョンとなる山口県総合交通計画を策定するための委員会を、県や市町の交通政策担当者を中心メンバーとして設置し、欧州などの交通政策の先進地と目される都市の視察を実施すべきと考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。