令和元年11月定例県議会【3.山口発政策モデルの形成】

「山口発政策モデルの形成」

次に、令和の国づくりへの貢献ということで、本県が、国もしくは全国の都道府県に働きかけて全国規模で実現してほしいと思う政策、即ち山口発の地域と暮らしにかかわる政策モデルの形成について、一般論ではなく具体的なテーマを取り上げてお伺いいたします。

先般、私は山口市である母親の訴えを聴きました。「娘は、広島市に住んでいて主人と二人の核家族なので、里帰り出産ということで山口の実家に帰り、防府の県総合医療センターで出産した。生まれた子供の首が座るころまでということで、出産後3か月ほどは、家におらせたいと思っていたが、生後2か月から始まる予防接種を受けるためには、その前に広島に帰した方がいいのだろうか悩んでいる。山口市で予防接種を受けることもできるが、住所が県外ということで手続きが面倒だし、一旦は接種料金を現金払いしなければならない。県外での里帰り出産は、よくあること。少子化対策で、子どもが多く生まれるようにというのであれば、県外でも、乳幼児の予防接種を簡単に受けることができるよう、こういうことから改善してほしい。」。おおよそ、そういった内容の訴えでした。

私は、「もっともだ。」と思い、先ずは現在、予防接種がどう行われているのか知ろうと県や市の担当を訪ね、説明を受けました。そして、次のようなことがわかりました。

その1、予防接種は、市町の事務であり、住所がある市町のルールに従って行われる。

その2、予防接種は、予防であり、病気の治療ではないので医療保険の適用はない。

その3、予防接種の料金は、市町と医療機関との委託契約によって決まり、全国統一の料金は、設定されていない。従って、予防接種の料金は、基本的に各市町別々で異なる。

その4、山口県は平成15年に県下の市町が県医師会と委託契約を締結し、予防接種の広域化を実現した。以降、県内住所の乳幼児であれば、県内どこの市町であっても委託されている医療機関で、母子健康手帳と予診票を持っていけば、県内統一の標準料金で予防接種を受けることができる。

その5、予防接種には、定期予防接種と任意予防接種の二通りがあり、乳幼児の定期予防接種は県内の市町では無料化されている。従って、県内住所の乳幼児が、県内の医療機関で定期予防接種を受ける場合は、窓口負担はない。但し、住所が県外の乳幼児について、いったん窓口で接種料金を払う場合は、それが後日償還されることになっている。

その6、他の都道府県でも予防接種の広域化は図られているようであるが、標準料金の設定は、それぞれ別で統一されていない。

その7、県外に住所がある者が、山口県内の医療機関で予防接種を受けるためには、住所地の市町が発行した医療機関への依頼書が必要な場合もある。その依頼書の発行は、交付申請を受けて行われるので、その手続きをしなければならない。

その8、乳幼児の場合は、感染症にかかると重篤になる可能性が高いので、予防接種が可能な時期になったら、早めの接種が望ましい。定期予防接種が始まる標準時期は、生後2か月からである。

以上、私なりの把握を列記しましたが、要は、県内住所の乳幼児の定期予防接種は、委託された医療機関であれば、県内どこの市町であっても簡単に窓口負担なしで受けることができるのに、里帰り出産などで乳幼児が県外住所の場合、定期予防接種を本県の医療機関で受けようとすれば、依頼書の申請・発行の手続きが必要な場合もあり、接種の際は、後で償還されるものの、一旦は、接種料金を窓口で支払わなければならないこともあり、それには医療保険の適用はないということであります。

ご案内のように。安倍政権は、平成28年6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」の中で、少子高齢化という日本の構造的問題に、内閣一丸となって真正面から立ち向かうと宣言し、あらゆる政策手段を尽くすとの決意を表明しています。そして、希望出生率1.8の目標実現に向けて10か年計画を策定し、12項目について課題と対応の方向や施策を示しています。その中で、「子育て中の親の孤立感・負担感が大きいことが妊娠・出産・子育ての制約になっている。」ことへの対応として、「家族において世代間で助け合いながら子や孫を育てることができ、子育てしやすい環境づくりとして、三世代の同居・近居を推進する。」としていますが、私は、加えて、里帰り出産や出産後安定するまでの一定期間、親のもとで子育てしやすい環境を整えることも必要と考えます。そして、そのための具体的な施策として、乳幼児の定期予防接種は、その広域化を日本全国に広げ、県外であろうと住所地の市町と同様に乳幼児の定期予防接種が出来るよう、全国統一の仕組みにするのが望ましいと思います。

そこで、令和の国づくりに貢献する山口発政策モデル形成への取り組みということでお尋ねいたします。乳幼児の定期予防接種は、県外であろうと日本全国どこの医療機関であっても、住所地の市町と同様に母子健康手帳と予診票があれば、窓口負担なしに受けることが出来るよう全国統一の仕組みづくりに向けて、国への働きかけや都道府県の合意形成に、本県が主導して取り組むことを期待するものですが、このことにつきご所見をお伺いいたします。