1.コロナ対応と県政運営について
(2)医療提供体制について
新型コロナウイルスの我が国における感染状況は、第3波の山は越えたものの完全収束はまだ見通せず、国民の関心はワクチン接種がどう行われるかに向いておりその効果への期待が高まっています。本県においても、ワクチン接種に向けての準備は進んでいると思います。報道されるところによると、ワクチンが届く量や時期が不透明な中での準備となり、その業務を担当される方々のご苦労は大変かと察しますが、当面のコロナ対策の切り札ともいうべきワクチン接種がスムースに行われますよう関係される方々の頑張りを期待したいと思います。
ただ、この新型コロナウイルスのワクチンは、感染を防ぐものではなく、発症や重症化を防ぐものであり、しかもその効果がどれほどの期間持続するものであるのかが明らかでないことから、コロナ対策は、ワクチン接種で即完全解決とはいかないようですし、変種コロナウイルス等も含め、今後新たな感染症の流行が発生することも考えられます。そこで、たとえそういう事態になったとしても十分対応できる医療提供体制を、今回のコロナ対応の経験も踏まえて整えておくことが大事と思われます。ついては、今回はその一環としてコロナ回復期患者への医療提供体制についてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症患者については、重症患者は重点医療機関、軽症、中等症患者は協力医療機関で入院診療が実施されています。いずれも感染症が軽快し感染リスクがないと判断された場合には居宅に帰ることとなりますが、高齢者など感染症以外の疾病等により引き続き入院が必要なケースが生じた場合、本来であれば病病連携により重点医療機関または協力医療機関から他病院に転院することとなります。
しかしながら、感染症の再燃対策や人員等の問題で当該患者を受け入れるよう協力要請があったとしても、躊躇する病院も多いのではないかと想定されます。また、自施設内での一般病棟への転棟についても、引き続き再燃に対する防御対策と相応の人員配置が必要となり、感染対策上多床室で受けることが出来ず、個室の運用状況では移動が困難となります。こうした場合、患者が重点医療機関または協力医療機関に滞留し続けることとなり、限られた病床を占有して病床ひっ迫の原因となり、通常の入院診療にも支障を来すこととなりかねません。
そこでお尋ねです。本県では、コロナ対応の関係者の皆さまの奮闘で、病床ひっ迫という事態にまでは至ることなく推移してきていますが、今後の感染症に対する十分な備えとして、新型コロナウイルス等の感染症回復後の患者の入院診療において、重点医療機関及び協力医療機関とそれを補完する後方医療機関との連携が円滑に進められるよう医療提供体制を整えておくことが望まれます。
ついては、後方支援の役割を担う医療機関が、コロナ等感染症回復期患者を不安なく受入れることができるためのルール作りや施設整備への補助など、県において体制整備に取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
1.コロナ対応と県政運営について
(3)観光宿泊・飲食業等への支援について
昨年の夏から秋にかけて観光宿泊・飲食業の需要は、回復基調にありました。それが、季節が冬となり収まったかに見えていた新型コロナウイルスの感染拡大が、東京都をはじめとする大都市から全国に波及する様相を呈してきたことから、これを防止するため、先ず昨年末の12月28日にGotoトラベルが全国一斉に停止となりました。次いで、年明けて1月7日に1都3県に、さらに1月13日には加えて2府5県に緊急事態宣言が発出されました。こうしたGotoトラベルの停止と緊急事態宣言により、再び観光宿泊・飲食業の需要は一気に激減し、関係事業者は、今日極めて厳しい経営環境の中にあります。私は、そうした観光宿泊・飲食業の実情を知るべく関係者を訪ねて、率直な声を聴くことを心がけてまいりました。以下、その中のいくつかをご参考までに紹介いたします。
先ず、宿泊状況についてあるホテルの述懐です。昨年の9月から12月の間はよかった。年末から正月にかけては予約で満室だったが、Gotoトラベルの停止でキャンセルが相次ぎ3割ほどまでに減った。それでも、県のプレミアム宿泊券が利用できた1月15日までは、ある程度のお客があったが、それ以降は客が日に10人から20人程という状況になり、土曜日以外は休業することにした。
次に、公的支援についての声です。あるホテルの経営者は、次のように強く訴えられました。何よりも、需要喚起策を、お願いしたい。昨年のプレミアム宿泊券は、大きな効果があった。令和3年度もできれば、昨年と同規模でお願いしたい。またGWやお盆などは、自然体で予約が入ってくるので、それ以外の期間に利用できるようにして、旅行需要の分散化を図ってほしい。
プレミアム宿泊券については、広く多くの人が利用できるように、また利用が特定のクラスの宿泊施設に偏らないようにということで、一人の取得枚数や1回の宿泊での利用枚数などに制限を設けるべきではないかとの声を、複数のホテル関係者から聞いています。
融資や補助については、次のような声が多く聞かれました。コロナ感染症対応資金ということで無利子・無担保・保証料低減・据え置き期間5年等の極めて有利な条件での融資を受けられることは誠に有り難いが、借りたものは返さなければならない。そのことを思うと融資を受けるべきかどうか悩む。
観光方面の土産品のウェイトが大きい特産品関連の事業者からは、withコロナ,after-コロナの時代に対応するためWeb面の強化を図る設備投資をしたいが、そうしたデジタル化への取り組みは初期投資にお金がかかる。コロナ収束の見通しがハッキリせず将来への不安がある中、どうしても手持ち資金を確保しておきたいということで、そうした設備投資に踏み切れない。できれば、こうしたコロナ対応の設備投資には、補助をお願いしたい。また、その補助採択に関しては、基準を明確にし、手続きは透明性があって公平な扱いが担保される仕組みにしてほしい。そういった声が、ありました。
飲食業の関係者からは、国の緊急事態宣言の解除、本県では感染状況がステージⅢではなくなったことの表明を待ち望む声、また給付金などの支援補助は、売り上げや店の規模に応じて行う工夫をしてほしい旨の声などが聞かれました。
私たちは、こうした声を真摯に受け止め対応していかなければならないと考えます。それと、私が訪ねた事業者に経営状況を聞いて感じたことは、雇用調整助成金が果たしている役割の大きさです。休業しても従業員を解雇しなければ、日数換算の平均賃金を1日当たり15000円を上限に10分の10休業手当として助成することにした雇用調整助成金の特例措置は、従前に比べて申請手続きも格段に簡易となり、この特例措置のおかげで観光宿泊・飲食業関係でも事業継続と雇用確保が何とか図られているところは多いと思われます。また、それらの事業者は、この特例措置が今年の6月まで延長されることに胸をなでおろし、後は、どうやり繰り算段してコロナ危機を乗り切るかを必死に考えています。
そこで、お尋ねです。私は、こうした観光宿泊・飲食業関係への支援策は大きく三つあると考えています。その一は、大胆な需要喚起による支援です。その二は、行き届いた融資による支援です。その三は、withコロナ、afterコロナの時代に向けた設備投資への積極的且つ幅広い補助による支援です。ついては、こうした支援に県は、今後どう取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いいたします。
ア.大胆な需要喚起による支援について→(部長答弁)
イ.金融支援について→(部長答弁)
ウ.設備投資への支援について→(部長答弁)
1.コロナ対応と県政運営について
(4)県づくりの方向について (要望)
県づくりの方向については、思うところを述べ要望とさせていただきます。
現在、山口県政は「活力みなぎる山口県の実現」を県づくりの基本目標として諸政策を推進しています。私は、これまではその基本目標でよかったと思っていますが、これからはもう一歩踏み込んだ具体的な内容の目標設定が必要なのではないかと考えています。
山本繁太郎前知事が、病いで辞められるという謂わば非常事態の中で知事になられた村岡知事にとって、当面の課題は先ず県政運営を安定軌道に乗せることでした。村岡知事は、その役割を立派に果してこられました。そして、徐々に村岡カラーが出た県政運営になるかなという矢先に、県政はコロナ対応に集中することになりました。村岡知事は、このことにもしっかり対応してこられたように思います。
前知事が病で辞めるという非常事態からコロナ対応という緊急事態までの間は、「県政の混乱を回避し、県の活力の維持向上を図る。」ということで、「活力みなぎる山口県の実現」は、妥当な県づくりの方向であったと思います。
しかし、これからはそのことの上に、みなぎる活力で何を実現していくのかが県政には問われることになります。維新プランや総合戦略には、確かに施策が色々記されていますが、それらの施策は、こういう山口県を実現するためにという大きな方向性の下で位置づけられて意義あるものとなります。その大きな方向性を具体的な県の形として示す旗印を掲げ、その実現をリーディングプロジェクトを設定して図り推進していく、そうした取組が今日、山口県政には求められているのではないでしょうか。
以上、山口県政が村岡知事のもと、将来に向けて着実に発展の歩みを続けて希望の山口県を実現していくことを願い、思うところを申し上げました。意とするところを受け止めていただきますよう要望して私の一般質問を終わります。