令和3年6月定例県議会【1.全国学力・学習状況調査の実施について】

1.全国学力・学習状況調査の実施について

先般5月27日、2年ぶりに全国学力・学習状況調査、所謂全国学力テストが実施されました。昨年度は新型コロナ感染に対する緊急措置として臨時休業が行われ中止となりましたが、例年は4月末頃に実施されてきました。国による誤答分析等の採点結果は7月末頃各学校に届くようですが、山口県では、この全国テストを実施した際に、全児童生徒の答案をコピーし、各学校で採点し、その結果を県教委に報告するようになっています。

この作業は、各学校で採点した結果を県教委が集約して各学校に6月末頃に返し、その後の授業改善に生かすことを目的にしていると聞いています。しかし、学校現場からは各学校で採点しても、国から誤答分析等の採点結果が7月末頃に戻ってくることやその結果と各学校での採点結果とに違いがあること、そもそも答案のコピーに膨大な時間と費用を要することや採点する際の正誤の判断が難しく通常のテストの倍以上の時間を要すること等から各学校でのコピー、採点、県教委への報告などの業務は、本当に必要なのか疑問視する声が多いと伺っています。

ある学校では、この全国学力テストの回答を全てコピーすることで多くの費用がかかり、実際に授業で使いたいプリント等を、学校費の予算枠では印刷出来なくなった。また、ある学校では、生徒数が多くコピーに時間がかかるため、コピーをする先生はその間他の仕事が一切出来なくなってしまったとなどいう事案が発生しているとのことです。

全国学力テストの答案のコピー、採点、報告は、先生方の授業力向上をねらってのことと思われますが、県教委から届いた結果より、1ヶ月遅れだが国から戻ってきた結果の方が、誤答分析がされており研修に役立つと話す現場の先生方も多いようです。また、先生方がこの全国テストの結果をもとにした授業改善に関する研修を行うのは夏休みになることが多く、7月末頃届く国の分析結果が活用できるので、あえて県独自の学力テスト分析を急ぐ必要はないとの指摘もあります。そうしたことから、先生方からは、現在行っている、各学校での答案のコピー、採点、県教委への報告に関する業務は必要ないという声が聞かれる次第です。
学校における働き方改革の推進は、今日の教育行政における大きな課題ですが、このことに関して中央教育審議会は平成31年1月25日に答申を行っています。これを見ますと、「学校及び教師が担う業務の明確化・適正化」に触れ、これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務を、1.基本的には学校以外が担うべき業務、2.学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務、3.教師の業務だが、負担軽減が可能な業務の三つに分類し、その3.教師の業務だが、負担軽減が可能な業務の一つに学習評価や成績処理を挙げています。

文部科学省はこの答申を受けて、平成31年3月18日付で各都道府県知事、各都道府県教育委員会教育長等宛に事務次官名で「学校における働き方改革に関する取り組みの徹底について」ということで通知を発出していまして、「学校及び教師が担う業務の明確化・適正化」に関しては、「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」について「必要性が低下し、慣習的に行われている業務は、業務の優先順位をつける中で思い切って廃止していくこと。」を促しています。

そこでお尋ねです。先ず、全国学力テストの自校採点とその採点結果の報告を県教委に行うよう学校に求めている都道府県は、本県以外にどの程度あるのかお伺いいたします。

次に、学力テストの自校採点とその結果の県教委への報告の必要性についてであります。これらの作業は、教師の業務だが、負担軽減が可能な業務の一つとされている学習評価や成績処理に相当すると考えられ、思い切って廃止することが望ましいのか、本県も検討すべき時期に来ていると思われます。今後も、これら作業を続けるとすれば、その必要性についての明確な説明が求められます。そこでお尋ねです。全国学力テストの、自校採点及びその結果の県教委報告の作業は、学校の働き方改革における教師の負担軽減の一環として廃止することも検討するのか、続けるとすればその必要性についてどう考えているのかお伺いいたします。

次に、学力テストの答案のコピーについてであります。私は、学力テストの自校採点については、教師が服務すべき業務としては、廃止が検討されていいと考えますが、教師が、自発的な任意で行うことを排除すべきとは考えていません。児童生徒の答案を採点することで、児童生徒たちの誤答傾向が分かり、そのことが学習指導に役立つ利点もあると思われるからです。その自校採点のためには、答案のコピーが必要です。

そこで、学力テストにおける答案のコピーについては、その費用は、予算措置を行うこと、また、コピーの作業効率を上げるため高性能コピー機の導入を進めていく等の対応が求められますが、こうしたことにつきご所見をお伺いいたします。

→(副教育長答弁

 

 

 

令和3年6月定例県議会【2.統合型校務支援システムについて】

2.統合型校務支援システムについて

学校の働き方改革と教育におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進という2つの面からその実施が求められているのが統合型校務支援システムの整備であります。

統合型校務支援システムとは、「教務系(成績処理・出欠管理・時数管理等)、保健系(健康診断票・保健室来室管理等)、学籍系(指導要録等)、学校事務系などの業務を統合した機能を有しているシステム」を指し、成績処理だけでなく、広く校務と呼ばれる業務全般を実施するために必要となる機能を実装したシステムです。

文部科学省は、2018年から2022年までの5か年を計画期間とする「教育のICT化に向けた環境整備計画」を策定し推進していますが、この計画で目標とされている整備水準の一つが、統合型校務支援システムの100%整備であります。ついては、本県における統合型校務支援システムの整備に関し数点お伺いいたします。

第一点は、現時点の整備状況についてであります。「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」は、今年と明年の2年を残すのみとなりましたが、本県における現時点の統合型校務支援システムの整備状況はどうなのか。また、計画期間の最終年度である2022年までに計画の整備目標水準である100%整備は達成できる見通しなのかお伺いいたします。

第二点は、整備の具体的な内容についてであります。先程述べたことですが、統合型校務支援システムは、教務系・保健系・学籍系・学校事務系など広く「校務」と呼ばれる業務全般を統合した機能を有しているシステムであります。ついては、本県における統合型校務支援システムは、そういうシステムとして整備されているのかお伺いいたします。

第三点は、どういう学校種を包含したシステムにするのかについてであります。文部科学省が作成した「統合型校務支援システムの導入のための手引き」を見ますと、統合型校務支援システムの整備の促進を図るための有効な方法の一つとして、「都道府県と域内の市区町村との連携により、都道府県単位での統合型校務支援システムの共同調達・運用に向けた取組を進めることが重要である。」との方針が示されています。
令和3年度県教育委員会の当初予算概要を見ますと、「ICTを活用した先進的教育推進事業」ということで、「統合型校務支援システムの早期整備」が明記され、「高等学校は、統合型校務支援システムを全校に前倒し導入。小中・特別支援学校は、統合型校務支援システムの導入に向けた検討・支援」との説明がありますが、果たしてそのような方針で統合型校務支援システムの整備を進めていっていいのでしょうか。

ご案内のように、今日進められているデジタル化は、個々別々に個別最適を実現するデジタル化ではなく、個別最適と全体最適を同時に実現していく構造的なデジタル化であり、デジタルトランフォーメーションとは、まさしくそのことを意味していると考えます。

そこで、お尋ねです。統合型校務支援システムは、県教育委員会がリーダーシップを発揮して、県立の高等学校等のみならず市町立の小学校・中学校も包含する全県統一の校務支援システムとして整備を図っていくのが望ましいと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

→(教育長答弁

 

 

 

令和3年6月定例県議会【3.学校給食費の公会計化について】

3.学校給食費の公会計化について

文部科学省が、平成28年度に都道府県を対象に完全給食を実施している公立小学校・中学校572校を抽出して行った「学校給食費の徴収状況に関する調査」では、学校給食費の徴収・管理業務を主に学校が行い、未納の保護者への督促を行っている者は、学級担任46.0%、副校長・教頭41%であるなど、教員の業務負担になっている様子が窺えます。

実際、学校給食費等の学校徴収金滞納者への徴収業務は、教職員に大きな精神的負荷となっているようです。滞納者に対して支払いをお願いし、当該滞納者から「金を払ってやるから、明日の12時に取りに来い。」と一方的な連絡があり、指示された時刻に校長、学校事務職員が家庭訪問をすると留守になっているということが続き、結局支払いはなかったといった事例も聞いています。

また、給食費の未納があった場合は、先生のポケットマネーやPTA会費で穴埋めするか、未納額分減額した食材費での給食にするしかないということで苦慮する学校もあるとのことです。

こうしたことへの対応に、先生方が多くの時間を費やし、精神的に消耗していくような事態は、早く解消していかなければなりません。そのために、現在推進されているのが、学校給食費の公会計化であります。学校給食費を、市や町の会計に組み入れる公会計化がなされていれば、保護者からの学校給食費の徴収・管理業務は、学校ではなく市や町が自らの業務として行うことになり、教員の業務負担の軽減になります。また、給食費の未納があったとしても、給食に必要な食材費等の費用は、公的に確保されます。

中央教育審議会が、平成31年1月25日に「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」答申し、学校給食費や教材費、修学旅行費等の学校徴収金に係る未納金の督促等も含めたその徴収・管理については、基本的には学校・教師の本来的な業務ではなく「学校以外が担うべき業務」であり、地方公共団体が担っていくべきであるとし、特に学校給食費については公会計化及び地方公共団体による徴収を基本とすべきであるとしました。これは、学校現場の実情を踏まえた妥当かつ当然の提言と思われます。

文部科学省は、この答申を受けて令和元年7月に都道府県の知事及び教育長等に「学校給食費等の徴収に関する公会計化等の推進について」の通知を発出し、本県はその通知を踏まえて同年8月に県下の各市町の長及び教育長に対し、「学校給食費の公会計化の取組の推進、さらには学校給食費以外の学校徴収金についても、徴収・管理を地方公共団体の業務とすること等、学校の負担軽減を図る取組の推進」について、適切な対応をお願いしています。

そこでお尋ねです。先ず、本県の小中学校における学校給食費の公会計化の進捗状況をお伺いいたします。

次に、学校給食費の公会計化における県のリーダーシップについてであります。全国の都道府県のなかで群馬県は、平成29年度に県内35市町村全てにおいて学校給食費の公会計化を達成しています。文部科学省が作成した「学校給食費の公会計化等に関する先行事例」に群馬県の取組みが紹介されていますが、それを見ますと、県が中心となりリーダーシップをとり、予算面での支援は特段行わなかったものの、県内の市町村を直接何度も訪問し、学校給食費の公会計化を訴え推進したことが記されています。

そこでお尋ねです。学校給食費の公会計化を行うのは市町ですが、本県も群馬県のように、県がリーダーシップをとり県内全ての市町における学校給食費の公会計化を、速やかに実現すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

更に、関連してお尋ねです。令和元年8月に県内の各市町の長及び教育長宛ての「学校給食費等の公会計化」に関する通知は、山口県教育委員会教育長名でなされていますが、私は、改めて知事と教育長連名の通知を発出し、知事部局と県教委が相携えて学校給食費の公会計化を推進していく必要があるのではないかと思っています。ついては、このことにつき併せご所見をお伺いいたします。

次に、本県の学校における働き方改革の推進において、学校給食費の公会計化の位置づけはどうなっているのか、お伺いいたします。現在は案の段階で来月7月に策定予定の「山口県 学校における働き方改革加速化プラン」をみますと、学校給食費の公会計化の明記がありません。私は、このプランの柱の一つである「業務の見直し・効率化」のところに、統合型校務支援システムの導入と運用等と併せ、学校給食費の公会計化も明記すべきと考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。

→(教育長答弁

 

 

 

令和3年6月定例県議会【4.学校の事務体制の強化について】

4.学校の事務体制の強化について

現在、進行している「学校における働き方改革」の取り組みは、中央教育審議会が平成31年1月25日に行った答申に沿ったものであります。この答申は、我が国の教育が新しい時代においても持続可能であるための改革の方向を示したものであると言えますが、そのためには、二つの課題を乗り切らなければならないと指摘しています。第一の課題は、平成30年9月に公表された教員勤務実態調査の分析結果及び確定値が示している教師の働き方の実態を改革すること。第二の課題は、子供を取り巻く変化への対応のために「チームとしての学校」の機能強化を図ることであります。

この第二の課題「チームとしての学校」の機能強化に関しては、中央教育審議会は平成27年12月に答申を行っていて、「学校のマネジメント機能の強化」の必要性を訴え、そのことに向けて講ずべき施策の一つに事務体制の強化を挙げています。

このことに関しては、平成31年1月の答申も、「学校における働き方改革の推進に当たっては、事務職員の校務運営への参画を一層拡大することが必要である。事務職員は、その学校運営事務に関する専門性を生かしつつ、より広い視点に立って、学校運営について副校長・教頭とともに校長を補佐する役割が期待されている。」として、「事務職員の質の向上や学校事務の適正化と効率的な処理、事務機能の強化を更に進めるべきである。」と、述べています。

即ち、学校の働き方改革を進めていく上においても、チームとしての学校の機能強化を図っていく上においても、事務体制の強化が求められている、このことを先ず確認し、そのことを踏まえて以下数点お伺いいたします。

第一点は、学校事務体制の強化に向けた取組方針についてであります。唯今、述べましたように、「学校における働き方改革」を推進し、「チームとしての学校」の機能強化を図っていく上において学校の事務体制の強化が求められています。本県は、この課題に、どう取り組んでいく方針なのか、ご所見をお伺いいたします。尚、ここでいう学校は、県立の高校等だけではなく市町立の小学校・中学校も含めてのものです。

第二点は、小中学校事務職員の研修についてです。私も今回、学校の事務体制のことに関心を向けて初めて知ったのですが、県立高校等の事務職員は、任命権者は県知事で、一般行政職員として採用され配属が県立高校等の事務職になっているということであります。従って、知事部局への人事異動もあり得ます。一方、市町立小中学校の事務職員の任命権者は県教育長で、学校事務職員としての採用であります。従って、人事異動は公立の小中学校間内においてであります。

こうした任命権者及び採用の仕方の違いにより、同じ学校の事務職員でありながら、県立高校等の事務職員と市町立小中学校の事務職員とでは、受ける研修に大きな格差が生じています。

小中学校の事務職員は、新規採用時の研修と、主事や主査等への昇任があった時の基礎研修が、退職時までに6回予定されているのみであります。その研修は、セミナーパークにあります「やまぐち総合教育支援センター」が行うもので、小中高の教員の研修もここで行われます。教員研修は、基礎研修に加えて専門研修がありますが、小中学校の事務職員に対する研修は、基礎研修のみです。

その基礎研修について、私は、数年前に行われた主査昇任者への研修プログラムを見たのですが、講師は県教委担当課の主査で、講師の役になった方は、「皆様のほうが詳しいかもしれませんが。」と断りながら講義をされたとのことでした。

一方、県立高校等の事務職員は、県の一般行政職としての採用でありますので、同じくセミナーパーク内にある山口県ひとづくり財団が行う職員研修に参加することになります。この財団が、令和3年度の主任主事級に昇任した職員を対象に行う研修のプログラムを見ますと、「政策形成能力向上」というテーマの講義の講師は(一社)日本経営協会の佐々木茂氏となっています。佐々木氏のプロフィールを見ますと東洋大学の教授で地域政策に深くかかわってきておられて、地方自治体の研修にはふさわしい方であると思われます。

こうしたことからも明らかなように、高校の事務職員が受ける研修と小中学校の事務職員の研修には、その内容にあまりにも大きな格差があります。事務体制の強化には、事務職員の資質能力の向上が不可欠ですが、そのことが求められているのは、高校の事務職員だけではなく、小中学校の事務職員も同様です。

そこでお尋ねです。その1は、小中学校の事務職員が受ける基礎研修の見直しを行い、その中身の充実を図るべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
その2は、小中学校の事務職員の研修は、現在は基礎研修のみです。事務職員としての専門性を生かすための専門研修も行われるのが望ましいと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

その3は、現在、山口県ひとづくり財団が行う研修は、空きがあった場合は、その空き人数分だけ小中学校の事務職員も参加が可能となっています。私は、県職員対象の研修に小中学校の事務職員の研修枠を設けて参加できるようにするか、市町職員対象の研修を行うように市町立小中学校の事務職員対象の研修を新たに設けるべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

その4は、学校事務職員を対象とした研修プログラムの開発についてです。県教委は、事務職員の関係団体等と協力して学校事務職員の資質能力向上を図る研修プログラムの開発に取り組み、全国のモデルとなる学校事務職員研修プログラムの開発と実施を目指すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

→(副教育長答弁

 

 

令和3年6月定例県議会【5.デジタルを活用した教育の充実について】

5.デジタルを活用した教育の充実について

先日行われたマイクロソフト本社副社長との意見交換においては、教育ICTの活用方法などについて意見を交わされたと伺っていますが、知事としてはCIO補佐官やこうした外部有識者からの助言を、デジタルを活用した教育の充実に、今後どのように活かしていこうと考えておられるのか、ご所見をお伺いいたします。

→(知事答弁

 

 

答弁【1.全国学力・学習状況調査の実施について】

よりよい教育環境の実現について

1.全国学力・学習状況調査の実施について【副教育長答弁】

全国学力・学習状況調査の実施と学校事務体制の強化についてのお尋ねにお答えします。

まず、全国学力・学習状況調査の実施についてです。

この調査は、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握し分析することにより、教育指導や学習状況の改善等に役立てることを目的として、国において実施されているものです。

お尋ねの、各学校で実施後速やかに採点を行う、いわゆる自校採点と県教委への報告については、中国・四国地方では、本県以外に2県が同様の取組をしていると把握しています。

県教委としては、教師が自ら採点を行うことは、新学習指導要領に示された資質・能力の児童生徒への定着状況を教師自身が評価できることから、非常に有効であると考えています。

また、各学校は採点結果を報告した後、県教委から分析結果の提供を受け、早い段階で、児童生徒の学習状況や一人ひとりの課題を把握し、その改善に向けた指導に生かすことができます。

こうしたことから、自校採点と報告は必要と考えており、今後も続けていくこととしておりますが、実施に当たっては、学校における働き方改革の推進が併せて重要であることから、一部の教員の負担とせず、全校体制で採点や結果の分析を行うよう、各市町教委と連携して徹底を図ってまいります。

なお、自校採点を行うためのコピー費用等については、小・中学校の設置者である各市町教委にこの取組の趣旨を丁寧に説明し、対応していただいているところです。

県教委といたしましては、今後も調査結果を総合的に分析し、教育施策の成果と課題を検証して、学習状況の改善に役立てることにより、児童生徒の学力向上を図ってまいります。

 

 

答弁【2.統合型校務支援システムについて】

よりよい教育環境の実現について

2.統合型校務支援システムについて【教育長答弁】

よりよい教育環境の実現に関する御質問のうち、私からは統合型校務支援システムと学校給食費の公会計化についてお答えします。

まず、統合型校務支援システムについてです。

統合型校務支援システムは、校務における業務負担を軽減できることに加え、情報の一元管理及び共有により、きめ細かな学習指導や生活指導にも活用できることから、教育の質の向上にもつながる重要な情報基盤であると考えています。

このため、県教委では、令和元年度から県立高校等への整備を計画的に進めており、現時点での整備状況については、49校中33校の整備が完了したところです。

今後は、県立高校等については、当初の計画を1年前倒しして、今年度中に全ての高校の整備が完了する予定です。

また、特別支援学校については、文部科学省が示した整備目標が達成できるよう来年度中の整備に向けて検討を進めてまいります。

お尋ねの本県が導入したシステムについては、教務系・保健系・学籍系・学校事務系などを統合した機能を有しており、校務全般において効果的に活用しています。

次に、市町立の小中学校も包含する全県統一システムの整備については、多様な選択科目を有する専門高校や総合学科などがある高校と小中学校とでは、必要とされる機能が異なることから、全校種を統一したシステムの導入は難しい状況です。

一方、市町が同一システムを共同調達・共同利用することで、スケールメリットが働き、導入や運用・保守に係るトータルコストを抑制できるとともに、導入に係る選定・事務手続きの負担軽減などが期待されます。
このため、県教委では、先般、市町教委と統合型校務支援システムに係る連携会議を開催し、県が導入しているシステムの紹介や市町の整備状況等の情報共有を図るとともに、今後の整備の進め方について意見交換を行ったところです。

県教委といたしましては、市町教委の意向を踏まえて、効率的・効果的な導入手法を提案するなど、市町立学校の整備が進むよう、市町教委と連携しながら取り組んでまいります。

 

 

答弁【3.学校給食費の公会計化について】

よりよい教育環境の実現について

3.学校給食費の公会計化について【教育長答弁】

次に、学校給食費の公会計化についてのお尋ねです。

①まず、本県の小中学校における学校給食費の公会計化の進捗状況についてです。

現時点で、学校給食費が無償化されている2市町を除いて、公会計化を導入している市町は5市町、導入の準備・検討をしている市町は10市町であり、令和元年に行われた国の調査と比較すると、導入している市町については3市町が、導入の準備・検討をしている市町については2市町がそれぞれ増加しています。

②次に、県がリーダーシップをとり、県内全ての市町における学校給食費の公会計化を速やかに実現することについてです。

お示しの令和元年8月の通知は、知事部局と協議を行った上で、各市町長及び教育長宛てに県教育長名で発出したものであり、改めて知事と連名で通知を発出する予定はありませんが、今後も引き続き、知事部局と緊密に連携しながら、各市町における学校給食費の公会計化の取組が促進されるよう、あらゆる機会を捉えて働きかけてまいります。

③次に、「山口県 学校における働き方改革加速化プラン」における学校給食費の公会計化の位置付け等についてです。

本プランの柱の一つである「業務の見直し・効率化」のうち、「学校・教師が担う業務の役割分担等の検討」の中で、給食費を含む学校徴収金の徴収・管理に関することは、基本的に学校以外が担うべき業務として位置付けているところですが、ご指摘の趣旨を踏まえ、改訂するプランではより具体的な記載について検討してまいります。

県教委といたしましては、今後も、教職員の負担軽減に向け、学校給食費の公会計化の取組等を通して、学校現場における業務の精選と業務量の適正化を図ってまいります。

 

答弁【4.学校の事務体制の強化について】

よりよい教育環境の実現について

4.学校の事務体制の強化について【副教育長答弁】

次に、学校の事務体制の強化についてのお尋ねにお答えします。

まず、学校事務体制の強化に向けた取組方針についてです。

学校における働き方改革を推進し、「チームとしての学校」の機能強化を図るためには、事務職員がその専門性を発揮し、学校運営に参画していくことが重要です。

このため、県教委では、研修による事務職員の一層の資質能力向上や、ICTを活用した事務処理のシステム化による業務の効率化などにより、学校事務体制の強化に努めていくこととしています。

次に、小中学校事務職員の研修についてです。

小中学校の事務職員の研修の充実を図ることは重要であると考えております。

このため、やまぐち総合教育支援センターで実施している基本研修については、今年度から、新規採用者の研修日数や研修項目を増やすなど、その見直しを図ったところです。

また、専門性を高めるための研修としては、国が実施する中央研修に、事務職員を毎年派遣しているところであり、財務マネジメント等の講座を受講した職員は、各地域で指導者としての中核的な役割を果たしています。

なお、お示しの山口県ひとづくり財団が行う研修については、市町立小中学校の事務職員の研修枠の設置や、新たな研修の開設は難しいため、今後、財団で行われている研修内容も参考にして、県教委が実施する研修の充実を図ってまいります。

次に、学校事務職員の資質能力の向上を図る研修プログラムについては、現在、お示しのような新たなプログラムを開発することまでは考えていませんが、学校現場や市町教委と一体となって、若手人材育成プランなど、キャリアステージに応じた県独自の研修を進めることにより、学校事務職員の資質能力の向上に努めているところです。

県教委といたしましては、学校や市町教委等と連携して、「チームとしての学校」の機能強化に向け、事務職員が専門性を発揮しながら主体的に学校運営に参画できるよう、事務体制の強化・充実に取り組んでまいります。

答弁【5.デジタルを活用した教育の充実について】

よりよい教育環境の実現について

5.デジタルを活用した教育の充実について【知事答弁】

合志議員の御質問のうち、私からは、デジタルを活用した教育の充実についてのお尋ねにお答えします。

本県のデジタル改革をより実効性あるものとしていく上で、私は、現在の社会の最前線で、AI等の新たなデジタル技術がどのように活用され、あるいは、されようとしているのかを的確に把握し、本県の取組にも積極的に反映していくことが重要と考えています。

このため、改革に当たっては、デジタルの分野で専門的かつ最新の知見を有する3名の方に、CIO補佐官への就任を依頼し、本県のDX推進に向けた様々な取組について、助言や提案をいただいているところです。

このうち、お尋ねの教育面では、「主体的に学ぶことができる生徒の育成」と「誰一人取り残すことのない教育の実現」を目指し、本県が全国に先駆けて整備した学校のICT環境の効果的な活用方策について、教育のICT化に高い見識をお持ちの中井陽子補佐官との間で、議論を重ねています。

特に、データを活用した教育課題の解決について、検討を進めているところであり、個別最適な学び・協働的な学びの充実に向けて、中井補佐官からは、学びを可視化する手法や海外でのデータ活用事例等を御紹介いただいています。

また、その一環として、お示しのように、デジタル技術による教育支援に世界規模で取り組むマイクロソフト米国本社の副社長とも、先般、ICTを活用した教育の推進をテーマに意見交換を行いました。

この対談を通じ、生徒の様々なデータを分析することで、それぞれの学習状況やいじめ等の生徒が抱える問題を早期に把握できること、また、ICTを活かして教育の質を高めるためには教員の役割が重要であり、その能力を引き出すための支援が必要であることなどを助言いただいたところです。

こうした助言を踏まえ、今後、データに基づく個々の生徒に応じたきめ細かな指導方法の確立や、生徒の異常を早期に察知するための体制づくり、ICTの活用に係る教職員の意欲と能力の向上に向けた取組などをさらに進めてまいりたいと考えています。

私は、今後も、CIO補佐官や外部有識者からの助言・提案を参考としながら、デジタルを活用し、子どもたちの可能性を広げるとともに、誰一人取り残すことのない教育の実現を一層加速してまいります。