医療連携について
よりよい地域医療を目指して
【総合病院から急性期病院へ】
山口市には、総合病院と称する病院が三つあります。
綜合病院山口赤十字病院、済生会山口総合病院、小郡第一総合病院の三つであります。
総合病院とは、許可病床数が100床以上で主要な診療科が最低でも内科、外科、産婦人科、眼科、耳鼻 咽喉科の5科ある病院のことを言いますが医療法上の規定は平成8年の改正で廃止されています。
従って、何か病気の症状があった時、「病院にかかるんだったら、総合病院がいい。」という会話が、私 たちの日常生活の中でよくありますが、現在は医療法に基づく総合病院というものはなく、ただ一般的に多 数の診療科を有していて、二次救急以上に対応する救急病院としての機能がある地域医療を担う中心的な病 院のことを通称的に総合病院と言っています。そして、こうした意味で一般市民から総合病院と呼ばれてい る病院のほとんどは、最近、急性期病院と言われています。
【急性期病院とは】
急性期病院という言葉は、地域医療を論ずる際、頻繁に使われているにもかかわらず、医療法上の規定は なく、定義も明確でありませんが、要は慢性期病院との対比で使われている病院の呼称で、緊急の対応を要する生命にかかわる若しくは悪化の恐れがある病気やけがに対して手術等の高度な医療を行う病院を指して
いるようで、一般的に患者7人に対して看護師1人という看護体制がとられています。
今日は、この急性期病院が実際上、地域医療の中核的担い手になっておりますが、この急性期病院に従前の総合病院のような手術等の治療を受けた後、日常生活に復帰可能になるまでの入院を期待することは出来ません。
急性期病院の役割は、生命にかかわる若しくは病状悪化の恐れがある病気やケガに対して緊急的な手術等の医療措置を行なうことであって、その処置により病状が安定するまでが医療上の守備範囲であります。
従って回復期、療養期(慢性期)の医療は、別の医療施設あるいは在宅でということになり、急性期病院での平均在院日数は2週間ほどで、原則術後、病状が安定したとみなされれば、日常生活に復帰できるまでの回復には達していなくても、急性期病院での治療は終わったということで、退院もしくは転院ということになります。
【一つの病院で 手術から退院まで可能か】
私は、最近様々な医療関係者に、二つの病院で、手術から回復、療養、退院まで出来ませんか。」ということを聞きましたが、帰ってくる答えは同様で、「今の医療制度のもとでは、出来ない。」と云うことでした。
今日の我が国の医療制度は、様々な観点からの批判はあるものの、基本的には高齢化が急激に進展して医療需要の増大が予想される中、医療費の増大を抑制しつつ、良質の医療提供を持続的に実現していくための仕組みと考えられることから、地域医療もこの医療制度に則ってやっていくしか道はありません。
【一つの病院のごとく 地域医療連携を】
その医療制度を制度設計する上でのコンセプトは、医療機能の分化と連携であり、あらゆる医療機能をフルセットした総合病院は、現在の医療制度の中では経営存立が困難であることがわかってまいりました。とすれば、そのような医療制度のもと、住民の視点からのよりよい地域医療とは、機能別に分化された病院・ 診療所間の医療連携が、患者にとって恰も一つの病院のごとくスムースに的確、適切に行われようになることであり、そのことが医療の統合という大きな時代の流れに沿う現実的な対応であると思われます。
【切れ目のない 入院医療の提供】
私は今年の3月、県議会本会議において、そういう観点から地域医療について一般質問をいたしましたところ、村岡知事から、発症初期からリハビリ、退院まで患者の状態に応じた切れ目のない入院医療が提供できるよう、「高度急性期」から「慢性期」に至るまでのネットワークを構築するとともに、退院後の生活を支える在宅医療を推進するため、かかりつけ医と後方支援病院の「顔の見える関係づくり」を進める旨の答弁がありました。
【包括ケアとしての医療】
医療は、これから治病だけではなく、生活を支える包括ケアとしての医療ということで、その領域が介護や福祉を含むものに拡大していく方向にあります。
私は、そういう時代の流れも踏まえつつ、山口におけるよりよい地域医療の実現に、しっかり取り組んでまいります。
(合志 栄一)