『国民保護法と平和主義』

【国民保護法と平和主義】

空襲被害の日独比較
危機管理のプロとして民間の立場から国民保護法の制定に協力された現参議院議員青山繁晴氏は、その必要性を、第二次世界大戦時における空襲による被害調査の分析を踏まえて明らかにしています。第二次大戦時、連合国から激しい空襲を受けたドイツと日本を比較した場合、投下された爆弾量は、ドイツは日本のおよそ10倍以上にもかかわらず、殺された民間人の国民の数は、大差が無かったという事実があります。

国民保護法成立の意義
投下された爆弾量に比しての犠牲者数は、圧倒的に日本の方が多かったのはなぜか。この差は何によるのか。青山氏は、ドイツでは、あの国民を苦しめたナチスの支配下にあってすら、国民保護のための避難計画があり、それが実行されたのに、日本にはそれが無く、国民は自らの判断で逃げ惑うしかなかったことが、その主たる原因であることを指摘しています。そして、平成16年に戦後60年にして漸く不十分とはいえ我が国に国民保護法が成立し、国民保護計画が作られることになったことの意義を力説しています。

平和団体の反対
ところが、こうした国民保護計画の作成は、戦争への備えをするものであり、「戦争の放棄」を定めた憲法のもとで、戦争に備える態勢をつくらせる訳にはいかないとの理由で、平和団体、平和主義者と見られている人達による強い反対の動きがありました。長崎市ではそうした動きが、市の取組みに直接及び、その結果、市が作成する国民保護計画から「核兵器による攻撃への対処」が、削除されました。

真の平和主義
このような現実にコミットしないパフォーマンスとしての不毛な平和主義が、今なお我が国では、一定の影響力を持っていることは残念であります。我々が、戦争を避け平和を求めるのは、私たちの生命、財産、生活を守るためです。そういう意味において、真の平和主義者は、国民保護法計画が、実効あるものになることを求めこそすれ、それに反対することはあり得ないと考えます。また、同様の意味において、北朝鮮の脅威に備えること、中国の軍拡膨張主義への対応策を講じていくことは、何ら平和主義に反するものではないと考えます。

2018年3月16日