『戦後70年談話について』~新しい国づくりのメッセージを~

『戦後70年談話について』~新しい国づくりのメッセージを~

アボット首相の発言
昨年7月、安倍総理はオーストラリアを訪問して、オーストラリア議会で演説をしました。
この演説で安倍総理は、第二次世界大戦中に命を失ったオーストラリアの若者たちに心からの哀悼の意を表し、痛切な反省とともに日本が平和で民主的な国家を築き上げたことを述べ、基本的価値観を共有する日豪両国が、歴史の試練に耐えた信頼関係を経済、安全保障といったあらゆる分野で「特別な関係」に進化させるべき旨、訴えました。
この演説を受けてオーストラリアのアボット首相は次のように表明しました。
「日本はフェアに扱われるべきだ。
70年前の行動ではなく今日の行動で評価されるべきだ。
日本は戦後ずっと世界において第一級の市民として貢献し、法の支配のもとで行動してきた。
私たちは過去ではなくこの今の日本を評価すべきだ。」と。
安倍総理の70年談話安倍総理は、このアボット首相の言葉を聞いて胸が熱くなったと語っておりますが、安倍総理が、この夏に戦後70年ということで出す予定の談話も、70年前の過去ではなく、今の日本、これからの日本についての表明であるべきだと考えます。
この戦後70年談話では、植民地支配と侵略戦争についての歴史認識を示し、謝罪の意を表明すべきとの主張がありますが、私は、その必要はないと考えるものです。
そうしたことは、戦後50年の村山談話及び戦後60年の小泉談話で、繰り返し述べられていることであるからです。
この談話は、何よりも日本国民に対して発せられるものであって、語られるべきは70年以前の日本のことについてではなく、これからの日本についでであります。
従って、総括すべきは戦後70年の歩みについてであり、その総括に基づき新しい国づくりの方向を示すメッセージこそ、戦後70年談話にふさわしい内容であると考えます。

(合志 栄一)

2015年7月15日