―地元長年の熱意実るー
阿東徳佐の人たちにとっては、長年の念願でありました徳佐八幡宮のしだれ桜が国名勝として復活しました。徳佐八幡宮参道両側の桜は、文政8年(1825年)に初めて植栽され、県内きっての名桜として知られるようになりました。昭和9年には「名勝徳佐桜」として文部省から指定をうけましたが、戦時中は手入れも行われず傷みが大きく荒廃した様子となり、戦後の昭和31年に、従来の価値が失われたとして指定が解除されました。それが今年の3月、再び国の名勝「徳佐(サクラ)」として指定されたことは、誠に喜ばしいことであります。
そこに至るまでには、往年の「名勝徳佐桜」復活を目指しての「しだれ桜保存会」等の地元有志による長年にわたる補植、接ぎ木、草刈等の地道な取り組みがありました。そして、春には多くの人々が訪ねる桜名所として景観が整ってきたことと併せて、文化庁の審査官の意見で「全国的にみたとき、しだれ桜の並木は大変珍しく貴重である。」と評価されたことが名勝復活につながりました。
県や市の文化財保護関係者の間では、一時は一気に国の名勝指定が難しければ、先ずは「国登録文化財」へということも検討されましたが、調査や整備をきちんと行うことで国の名勝指定も可能との判断に至り、地元念願の国の名勝指定を目指す方向で取組が進められ、実現した次第です。
これで、山口市における国の名勝指定は、長門峡、常栄寺庭園、常徳寺庭園に次いで4件目で、そのうち3件が阿東地区に在ることになりました。このことを、阿東地区の魅力を高め、地域の活性化に向けてどう生かしていくのか期待が高まります。
伊藤山口市長は、山口市議会定例会において「徳佐(サクラ)」名勝指定を報告し、「国・県と連携しながら、郷土のかけがえのない文化財を未来に引き継ぎ、市民が誇りに思うまちづくりを進めていく。」旨、表明しました。「徳佐(サクラ)」国名勝復活を祝し、みんなで応援していきましょう。
(合志記)
3月26日の「徳佐さくら」国指定名勝記念式典では「はやしだ」と「あとう夢語太鼓」が披露されました。
「はやしだ」阿東地域に伝わる豊作祈願を目的とした無形民俗文化財。 |
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「あとう夢語太鼓」地域活性化を目的に近年結成されたグループです。 |