【日米同盟に21世紀の希望を見る】
~平和の世紀への基礎シナリオ~
日本とアメリカは、国の基本的な在り様が対照的な国です。日本は国の成り立ちが神話にまでさかのぼる自然国家ですが、アメリカは、1776年7月4日、独立宣言の日が建国の日とされる人造国家であります。文化、文明の面では、アメリカは西洋・欧米圏に属し、江戸期までの日本は東洋・アジア圏に属していました。国旗が、日本は日の丸で朝昇る太陽を表し、アメリカは星条旗で夜の星になっているのも対照的です。
この対照的な二つの国が真正面から衝突したのが先の大戦でした。昭和天皇は、訪米された時の御挨拶で「私の深く悲しみとするあの不幸な戦争」と申されましたが、まさしく日本民族にとって悲劇の戦いでした。しかし戦後、日本とアメリカは一転、お互いに戦った悲劇の歴史を乗り越えて、良好な同盟関係を築き上げてきました。そこに、私は21世紀の地球社会の希望を見るものであります。いろいろな意味で対照的な国であり、且つ世界の大国である日本とアメリカが、相提携し補完し合って同盟国としての関係を深めていくことが、世界の平和の基礎になると思うからです。
違いが多いアメリカではなく、同じアジア同士である中国との関係を強めてアメリカに対抗していこうという方向は、新たにアジアと欧米の対立の構図を生みだすのみで、世界の平和に資することにはならないと考えます。日米同盟を強固なものにして、それが世界の平和的国際秩序の基礎となり、その中に、近年台頭が著しい大国である中国を受け入れ、互恵の関係を築いていく。それが、21世紀を平和の世紀にする大きなシナリオであると思っています。
安倍総理は、昨年4月アメリカ議会で演説して上下両院の議員に対し日米同盟を希望の同盟にしようと呼びかけました。誠に意義深い歴史的演説であったと思います。日米同盟の重要性について、日本は国民的コンセンサスが大方出来ているように思われますが、アメリカはどうでしょうか。今年行なわれる大統領選挙が注目されるところですが、「日本、安保タダ乗り」論を称えるトランプのように、日米同盟について基本的な理解を欠いている人物が選ばれないことを願っています。