1.コロナ対応と県政運営について
(1)財政運営について
イ.県債の発行について
県債の発行に関して先ず申し上げておきたいことは、一旦、行財政構造改革で財政の収支均衡を実現した上は、将来に向けた施策の推進、即ち将来への投資に重点的に取り組むべきで、そのためには財政の収支均衡を自己目的化せず、県債発行の増加があってもいいということであります。
県のコロナ対策に関する予算収支を見て痛感したことは、財源面における国の権能が如何に強大であるかということです。それは二つありまして、一つは、財源の確保においてであり、もう一つは、地方財政の管理においてであります。
その一の財源確保の面を、コロナ対策を通して見ていきますと、国は令和2年度に三度補正予算措置しまして、その総額は約80兆円に上りますが、財源は国債の発行によるものです。一方、本県は、コロナ対策のための県債の発行は一切ありません。9月補正で県債が20億円予算計上されていますが、これは7月豪雨災害対策関連事業の財源確保のためであります。
国と地方自治体とでは、起債による財源確保に大きな違いがあります。それは、国は歳入不足が生じると見込まれる場合、赤字国債を発行して財源を確保し充当することができますが、地方自治体の場合は、地方債の発行は原則として建設事業債に限られていて、歳入不足を補う一般財源確保のために赤字地方債を発行することは認められていません。コロナ対策のために国は国債を発行して財源を確保しているのに、県債によるコロナ対策の財源確保がなされないのは、そうした制度上の理由によるものと思われます。
国が、赤字国債の発行で財源を確保することは将来の世代に借金を残し、国の財政破綻を招く恐れがあるとの理由で不安視する見方がありますが、通貨の独占的発行権を有する国が、経済の血液としての通貨の供給を国債の発行を通して適宜図っていくことは、社会経済活動ひいては国民生活を守っていく上においての国の責務であり、そのことにより国の経済力、国力がしっかり保たれていけば国の借金の累積は、そう恐れる必要はないと見ております。そのことに関する論議はさておき、いずれにせよ国は、国債の発行と通貨発行の独占的権限により財源確保に絶大な権能を有していることは、間違いありません。
次に、もう一つ国の地方財政の管理についてであります。平成11年に地方分権一括法が成立して地方分権は大いに進んだように見えます。確かに、国と地方公共団体は上下関係ではなく対等の関係との原則に立っての法改正が行われ、機関委任事務は廃止され、地方債の発行は許可制から協議制に改められました。さらに財政状況が一定の水準を満たし健全性が保たれていれば、協議は不要で事前の届け出があれば地方債を発行できるようになりました。しかし、協議なしに事前の届け出で地方債の発行ができる財政水準の自治体も(山口県もそうですが)、ほとんどは国と協議を行い同意のうえで起債しています。従って、自治体が一般財源を確保する上での有力な手立てである地方債の発行は、制度上その自由度は増したかに見えますが、実際上は今日も地方債に係る国との関係は実質変わっていないといっても過言でないでしょう。また先程、赤字地方債は認められていないと申し上げましたが、実は近年、ご案内のように地方交付税による財源保障が十分でないため生じた地方財政収支の不足額を補填するために臨時財政対策債の発行が、国が示す限度額まで認められるようになりました。これは実質、赤字地方債に相当するものですが、その元利償還分は後年度、基準財政需要額に算入されて地方交付税措置されることとされていまして、そういうことも含め地方債の発行は,国が策定する地方財政計画の大枠の中で行われていると見てよく、我が国においては地方財政にも国の管理がしっかり行き届いていると言えます。
そこでお尋ねです。以上申し上げましたように、国が財源も含めて地方財政をしっかりコントロールしている現状は、財政力の地域間格差がある中において全国のどの地域においても一定水準の行政が等しく担保されるという意味で評価されていい在り方と見做しますが、私は、地方債の発行に関しては、もう少し自由度を高め対象を広げて道路や公共施設などの建設事業に対してだけではなく、産業振興策としての設備投資などへの補助財源やコロナ対策のような緊急事態対応ための自主財源の確保にも県債の発行ができるようにするのが望ましいと考えています。また、そうした将来への投資に相当する事業や緊急事態対応のためには、県債の増加も容認する柔軟な財政運営の姿勢が、県にはあってもいいと考えるものです。ついては、現在の地方債制度についての見解と、本県における今後の県債発行の方針につきご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
1.コロナ対応と県政運営について
(2)医療提供体制について
新型コロナウイルスの我が国における感染状況は、第3波の山は越えたものの完全収束はまだ見通せず、国民の関心はワクチン接種がどう行われるかに向いておりその効果への期待が高まっています。本県においても、ワクチン接種に向けての準備は進んでいると思います。報道されるところによると、ワクチンが届く量や時期が不透明な中での準備となり、その業務を担当される方々のご苦労は大変かと察しますが、当面のコロナ対策の切り札ともいうべきワクチン接種がスムースに行われますよう関係される方々の頑張りを期待したいと思います。
ただ、この新型コロナウイルスのワクチンは、感染を防ぐものではなく、発症や重症化を防ぐものであり、しかもその効果がどれほどの期間持続するものであるのかが明らかでないことから、コロナ対策は、ワクチン接種で即完全解決とはいかないようですし、変種コロナウイルス等も含め、今後新たな感染症の流行が発生することも考えられます。そこで、たとえそういう事態になったとしても十分対応できる医療提供体制を、今回のコロナ対応の経験も踏まえて整えておくことが大事と思われます。ついては、今回はその一環としてコロナ回復期患者への医療提供体制についてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症患者については、重症患者は重点医療機関、軽症、中等症患者は協力医療機関で入院診療が実施されています。いずれも感染症が軽快し感染リスクがないと判断された場合には居宅に帰ることとなりますが、高齢者など感染症以外の疾病等により引き続き入院が必要なケースが生じた場合、本来であれば病病連携により重点医療機関または協力医療機関から他病院に転院することとなります。
しかしながら、感染症の再燃対策や人員等の問題で当該患者を受け入れるよう協力要請があったとしても、躊躇する病院も多いのではないかと想定されます。また、自施設内での一般病棟への転棟についても、引き続き再燃に対する防御対策と相応の人員配置が必要となり、感染対策上多床室で受けることが出来ず、個室の運用状況では移動が困難となります。こうした場合、患者が重点医療機関または協力医療機関に滞留し続けることとなり、限られた病床を占有して病床ひっ迫の原因となり、通常の入院診療にも支障を来すこととなりかねません。
そこでお尋ねです。本県では、コロナ対応の関係者の皆さまの奮闘で、病床ひっ迫という事態にまでは至ることなく推移してきていますが、今後の感染症に対する十分な備えとして、新型コロナウイルス等の感染症回復後の患者の入院診療において、重点医療機関及び協力医療機関とそれを補完する後方医療機関との連携が円滑に進められるよう医療提供体制を整えておくことが望まれます。
ついては、後方支援の役割を担う医療機関が、コロナ等感染症回復期患者を不安なく受入れることができるためのルール作りや施設整備への補助など、県において体制整備に取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
1.コロナ対応と県政運営について
(3)観光宿泊・飲食業等への支援について
昨年の夏から秋にかけて観光宿泊・飲食業の需要は、回復基調にありました。それが、季節が冬となり収まったかに見えていた新型コロナウイルスの感染拡大が、東京都をはじめとする大都市から全国に波及する様相を呈してきたことから、これを防止するため、先ず昨年末の12月28日にGotoトラベルが全国一斉に停止となりました。次いで、年明けて1月7日に1都3県に、さらに1月13日には加えて2府5県に緊急事態宣言が発出されました。こうしたGotoトラベルの停止と緊急事態宣言により、再び観光宿泊・飲食業の需要は一気に激減し、関係事業者は、今日極めて厳しい経営環境の中にあります。私は、そうした観光宿泊・飲食業の実情を知るべく関係者を訪ねて、率直な声を聴くことを心がけてまいりました。以下、その中のいくつかをご参考までに紹介いたします。
先ず、宿泊状況についてあるホテルの述懐です。昨年の9月から12月の間はよかった。年末から正月にかけては予約で満室だったが、Gotoトラベルの停止でキャンセルが相次ぎ3割ほどまでに減った。それでも、県のプレミアム宿泊券が利用できた1月15日までは、ある程度のお客があったが、それ以降は客が日に10人から20人程という状況になり、土曜日以外は休業することにした。
次に、公的支援についての声です。あるホテルの経営者は、次のように強く訴えられました。何よりも、需要喚起策を、お願いしたい。昨年のプレミアム宿泊券は、大きな効果があった。令和3年度もできれば、昨年と同規模でお願いしたい。またGWやお盆などは、自然体で予約が入ってくるので、それ以外の期間に利用できるようにして、旅行需要の分散化を図ってほしい。
プレミアム宿泊券については、広く多くの人が利用できるように、また利用が特定のクラスの宿泊施設に偏らないようにということで、一人の取得枚数や1回の宿泊での利用枚数などに制限を設けるべきではないかとの声を、複数のホテル関係者から聞いています。
融資や補助については、次のような声が多く聞かれました。コロナ感染症対応資金ということで無利子・無担保・保証料低減・据え置き期間5年等の極めて有利な条件での融資を受けられることは誠に有り難いが、借りたものは返さなければならない。そのことを思うと融資を受けるべきかどうか悩む。
観光方面の土産品のウェイトが大きい特産品関連の事業者からは、withコロナ,after-コロナの時代に対応するためWeb面の強化を図る設備投資をしたいが、そうしたデジタル化への取り組みは初期投資にお金がかかる。コロナ収束の見通しがハッキリせず将来への不安がある中、どうしても手持ち資金を確保しておきたいということで、そうした設備投資に踏み切れない。できれば、こうしたコロナ対応の設備投資には、補助をお願いしたい。また、その補助採択に関しては、基準を明確にし、手続きは透明性があって公平な扱いが担保される仕組みにしてほしい。そういった声が、ありました。
飲食業の関係者からは、国の緊急事態宣言の解除、本県では感染状況がステージⅢではなくなったことの表明を待ち望む声、また給付金などの支援補助は、売り上げや店の規模に応じて行う工夫をしてほしい旨の声などが聞かれました。
私たちは、こうした声を真摯に受け止め対応していかなければならないと考えます。それと、私が訪ねた事業者に経営状況を聞いて感じたことは、雇用調整助成金が果たしている役割の大きさです。休業しても従業員を解雇しなければ、日数換算の平均賃金を1日当たり15000円を上限に10分の10休業手当として助成することにした雇用調整助成金の特例措置は、従前に比べて申請手続きも格段に簡易となり、この特例措置のおかげで観光宿泊・飲食業関係でも事業継続と雇用確保が何とか図られているところは多いと思われます。また、それらの事業者は、この特例措置が今年の6月まで延長されることに胸をなでおろし、後は、どうやり繰り算段してコロナ危機を乗り切るかを必死に考えています。
そこで、お尋ねです。私は、こうした観光宿泊・飲食業関係への支援策は大きく三つあると考えています。その一は、大胆な需要喚起による支援です。その二は、行き届いた融資による支援です。その三は、withコロナ、afterコロナの時代に向けた設備投資への積極的且つ幅広い補助による支援です。ついては、こうした支援に県は、今後どう取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いいたします。
ア.大胆な需要喚起による支援について→(部長答弁)
イ.金融支援について→(部長答弁)
ウ.設備投資への支援について→(部長答弁)
1.コロナ対応と県政運営について
(4)県づくりの方向について (要望)
県づくりの方向については、思うところを述べ要望とさせていただきます。
現在、山口県政は「活力みなぎる山口県の実現」を県づくりの基本目標として諸政策を推進しています。私は、これまではその基本目標でよかったと思っていますが、これからはもう一歩踏み込んだ具体的な内容の目標設定が必要なのではないかと考えています。
山本繁太郎前知事が、病いで辞められるという謂わば非常事態の中で知事になられた村岡知事にとって、当面の課題は先ず県政運営を安定軌道に乗せることでした。村岡知事は、その役割を立派に果してこられました。そして、徐々に村岡カラーが出た県政運営になるかなという矢先に、県政はコロナ対応に集中することになりました。村岡知事は、このことにもしっかり対応してこられたように思います。
前知事が病で辞めるという非常事態からコロナ対応という緊急事態までの間は、「県政の混乱を回避し、県の活力の維持向上を図る。」ということで、「活力みなぎる山口県の実現」は、妥当な県づくりの方向であったと思います。
しかし、これからはそのことの上に、みなぎる活力で何を実現していくのかが県政には問われることになります。維新プランや総合戦略には、確かに施策が色々記されていますが、それらの施策は、こういう山口県を実現するためにという大きな方向性の下で位置づけられて意義あるものとなります。その大きな方向性を具体的な県の形として示す旗印を掲げ、その実現をリーディングプロジェクトを設定して図り推進していく、そうした取組が今日、山口県政には求められているのではないでしょうか。
以上、山口県政が村岡知事のもと、将来に向けて着実に発展の歩みを続けて希望の山口県を実現していくことを願い、思うところを申し上げました。意とするところを受け止めていただきますよう要望して私の一般質問を終わります。
1.農業振興への取組みについて
(1)トビイロウンカ対策について【部長答弁】
トビイロウンカ対策についての5点のお尋ねにお答えします。
まず、被害の原因とその対応についてです。
今年は、平年と比べ2週間早く、120倍もの量のトビイロウンカが飛来し、8月の高温により異常なペースで増殖したことに加え、梅雨明けが遅く、初期の防除が困難であったことなど、複数の要因により被害が拡大したものと考えています。
この対応として、全国で最も早く警報を発令し、1週間ごとに技術情報を発出するなど、農業者はもとより、農薬取扱業者や防除受託団体等に対し、防除対策の周知・徹底を図ったところです。
次に、被害を防ぐことができなかった理由についてです。
警報等に基づく徹底した防除が行われたものの、大量飛来と高温により、お示しの第2世代幼虫が爆発的に増殖し、薬剤が効きにくい卵や成虫も多数混在したため、多くの個体が生き残ったものと考えています。
次に、来年以降の対策については、効果の高い新薬剤の導入や散布時期の見直しなど、本年度の実態を解析しながら、防除体系を改善し、次期作に向け、SNS等も活用して速やかに周知・徹底を図ります。
次に、指導体制の強化についてです。
県の普及指導員とJAの営農指導員が、連携した指導体制の下で、防除対策をはじめとした技術指導を行っているところであり、県においては、引き続き、普及指導員の計画的な定員管理に努めながら、個々の専門分野等も踏まえた効率的な人員配置により、充実した指導体制を確保します。
また、JAでは、今後、営農指導員を増員していく方針であることから、経験の少ない指導員を対象とした研修を合同で実施するなど、県とJAが一体となって指導体制の強化を図っていきます。
次に、被害に強い品種の開発と栽培方法の確立についてです。
現在、国の研究機関で、抵抗性品種の開発が進められており、早期の品種育成に向け、本県においても、生育特性の調査を実施しているところです。
また、栽培方法については、現地の情報を収集・整理し、今後の実証試験に反映するなど、多様な農業者の経営に活かせる技術の普及に繋げてまいります。
2.営農継続への支援について
(ア) トビイロウンカ被害農業者への支援について【知事答弁】
合志議員の御質問のうち、私からは、トビイロウンカ被害農業者への支援についてのお尋ねにお答えします。
本県では、耕地面積の8割を水田が占め、稲作を中心とした農業が展開されていることから、水稲による収益確保は、農業経営の安定を図るうえで重要です。
このため、私は、集落営農法人等を核とした生産構造への転換を図りながら、法人等への農地集積やスマート農業機械の導入等による生産の効率化を進めてきたところです。
こうした中、本年は、大量のトビイロウンカの飛来・発生に加えて、相次ぐ台風の接近・襲来により、過去に例のない不作となりました。
これにより、収量や品質が大幅に低下したことに加え、度重なる防除に要したコストの負担も生じるなど、多くの農業者の経営に甚大な影響を及ぼしており、極めて深刻な事態であると受け止めているところです。
私は、この難局を乗り越えるためには、農業者の方々に意欲を持って営農を継続していただくことが重要と考え、被害軽減に向けた技術対策の強化に加え、次年度の水稲作付を後押しし、経営面での不安を払拭する支援を行うことといたしました。
まず、作付を後押しする支援については、県内産種子も不作となった実態を踏まえ、JA等と連携し、地域の主要な品種が確実に作付できるよう、県外から優良種子を確保します。
その上で、市町の御協力もいただきながら、主食用米を生産するすべての農業者を対象に、次年度の作付計画に間に合うよう、種子代助成を行うこととしたところです。
次に、経営面の支援については、地域ごとに相談窓口を設置し、JAが創設した無利子融資の活用等、当面の資金の確保や経営内容に応じた保険制度の選択・加入促進などについて、指導・助言を行います。
私は、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、経営に大きな打撃を受けた農業者が、希望を持って営農を継続できるよう、しっかりと取り組んでまいります。
その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。
2.営農継続への支援について
(イ) 農業機械更新への支援について【部長答弁】
次に、農業機械更新への支援についてのお尋ねにお答えします。
県では、効率的な農業の展開に向け、集落営農法人など地域の核となる担い手経営体の育成を進めるとともに、新規就業者の受け入れに伴う規模拡大や、収益性の高い作物の導入等に必要な機械・施設の整備を支援してきたところです。
こうした中、本年は、新型コロナウイルス感染症の拡大や、トビイロウンカの被害により、担い手の経営にも大きな影響を及ぼしており、農業機械の更新はもとより、今後の経営の継続・発展が大きな課題となっています。
このため、担い手個々の実情を踏まえた改善策が講じられるよう、農業経営支援センターの専門家の派遣等により、経営課題の分析と今後の展開方向を検討する中で、必要となる機械の導入等について、活用可能な支援策を提案します。
とりわけ、コロナ対策に取り組む経営体に対しては、経営強化プランに基づくスマート農業機械の導入を推進しているところであり、引き続き、本県農業振興の中核である担い手経営体に寄り添いながら、支援してまいります。
1.農業振興への取組みについて
(3) 農業のデジタル化について【部長答弁】
次に、農業のデジタル化についてのお尋ねにお答えします。
県では、これまで、ICTによる酒米の生育診断技術の開発・実証など、デジタル技術の積極的な活用に取り組むとともに、本年4月には、JAや農機メーカー等と「山口県スマート農業導入加速協議会」を設立し、農業分野におけるデジタル技術の推進体制を整備したところです。
今後、農業分野でデジタルトランスフォーメーションを推進するためには、お示しのように、ツールであるデジタル技術とその活用方法をしっかりと結び付けることが重要であることから、新技術の開発とそれを使いこなせる人材の育成に重点的に取り組むこととしています。
まず、新技術の開発については、AIを活用したトビイロウンカの発生予測やベテラン農家の生産技術をデータ化した管理システムなど、国や大学等と連携しながら、本県農業の課題解決につながる研究開発に取り組みます。
また、人材育成については、現在、整備を進めている「農林業の知と技の拠点」において、日々進化する農業のデジタル化に対応できるよう、カリキュラムや指導体制を充実することとしています。
加えて、コロナ禍を契機に、タブレット端末を活用した普及指導の効率化・高度化にも取り組んでいるところであり、引き続き、農業の成長産業化に向け、関係者一体となって、デジタル化の推進に取り組んでまいります。
1.トビイロウンカ対策について
今年、山口県の水稲はドビイロウンカによる被害が甚大でした。農林水産省が公表した10月15日現在の本県の水稲作況指数は73で、全国最下位でした。昨年も作況指数は94で作柄は不良でしたが、本年は去年と比べても作況指数が大幅に低下しており、トビイロウンカの被害による水稲の生育不良が広範囲に生じました。水稲の生育不良は、トビイロウンカに加えて9月初旬の台風接近による潮風がもたらした塩害の影響もあるものと思われますが、今回は、トビイロウンカに関して甚大な被害が生じた理由や今後取るべき対応策について、農業者の方々や関係機関を訪ねて私なりに把握したことを踏まえ、県の見解をお伺いいたします。
県の病害虫防除所の調査結果によれば、本年度は水稲作付面積20100haのうちその94%に当たる18578haにおいてトビイロウンカの発生がみられたと推計されています。そのトビイロウンカは、毎年、通常6月下旬から7月中旬の梅雨時期にジェット気流に乗って大陸から成虫が飛来し、その飛来した成虫はイネに産卵し、ほぼ1か月で1世代を送り山口県では3世代過ごすようです。このウンカは、飛来した世代の段階では被害はほとんど見られないが、適切な防除措置が取られないと第2世代、第3世代において急激な増殖が生じ、イネの株元に生息してイネの水分や栄養を吸い取るため、イネが枯死倒伏して稲田における「坪枯れ」等の被害が発生します。
従って、トビイロウンカ被害を発生させないための有効な対策として考えられることの一つは、飛来したトビイロウンカを第2世代幼虫の段階において駆除する防除措置を徹底することであると思われます。そうしたことも含め、トビイロウンカ対策について、以下5点お尋ねいたします。
第1点は、今年、トビイロウンカの被害が甚大であった原因を、どう分析しているのか、またその被害防止にどういう対応をしたのかお伺いいたします。
第2点は、県病害虫防除所は、トビイロウンカに関し7月16日には注意報を、8月3日には警報を発令して防除への取り組みを促しているにもかかわらず、被害の発生を防ぐことが出来なかったのはどうしてなのか、唯今指摘いたしました第2世代幼虫の段階における防除効果が十分でなかった理由等も含め、ご見解をお伺いいたします。
第3点は、今年の事例を教訓にして、来年以降のトビイロウンカ対策に生かしていくべきであると思いますが、具体的にどういう対策を考えておられるのかお伺いいたします。
第4点は、トビイロウンカの被害防止は、どんなに有効な対策が立てられても、農家や農業法人などの農業者にそのことが適時周知され、防除措置が適切に実施される必要があります。
ついては、そうしたことに向けての県及びJAの営農指導体制は充分なのか、改善すべき点はないのか、県の普及指導員は、平成2年には241人であったのが、年々減員されて現在は138人であるが、こうした減員傾向は今後も続くのか、むしろ増員への転換を検討し県の営農指導体制の強化を図るべきではないのか、今年の本県のトビイロウンカ被害に鑑み、以上のこと併せお伺いいたします。
第5点は、ウンカ被害に強いイネ品種の開発と栽培方法の確立についてです。今年のウンカ被害に関して農薬を使わない有機農法や自然農法でコメ作りをやっている方々に聞きますと、私が聞いた範囲では被害はほとんどないとの答えが返ってきました。一方、減農薬のエコ栽培でコメ作りをやっている或る農園は、壊滅的な被害を受けたとのことでした。こうしたことも含め、ウンカ被害に関する様々な実情調査を実施し、農薬による駆除以外の方法によるウンカ被害回避の可能性も追及されていいのではないでしょうか。ついては、そうした観点から、ウンカ被害に強いイネ品種の開発と栽培方法の確立に取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
2.営農継続への支援について
(1)トビイロウンカ被害農業者への支援
トビイロウンカ被害で懸念されることは、このことで農業収入が減少し、営農継続の意欲を失いコメ作りをやめようという農家等が出てくることです。
今日、農業収入を補償する農業保険制度は、農業共済と収入保険の二通りがあります。本県では、水稲作付農業者18972戸のうち92.8%の17608戸が農業共済に、2.4%の447戸が収入保険に加入しています。
山口県農業共済組合の資料によりますと、本年11月1日現在における農業共済加入の農業者からの水稲損害の申告状況は、6468戸で例年の7倍に上り、損害の評価が求められている水稲作付面積の83%はウンカ被害であります。本県では、農業共済加入の農家や農業法人のほとんどは平均収量の7割までが補償される一筆方式です。従って、収量減の被害があっても平均収量の7割以上の収量があれば補償の対象にはならないし、あくまでも収量補償でありますので、ウンカ被害等でコメの品質低下が生じ米価が下落したため収入減が生じても、そのことは補償の対象として考慮されません。
一方、収入保険は、青色申告をしている農業者が加入可能で、平均収量ではなく平均収入の9割が補償されます。本県では農業法人の半数強は、収入保険に加入しているようです。
従って、トビイロウンカ被害による農業収入の減少は、収入保険加入者、農業共済加入者、農業保険未加入者と深刻さの度合いは相違するものの、本県では今年、多くの農家や農業法人が、農業収入の減少に直面して苦慮するであろうことが予想されます。
そこで、お尋ねです。本年は、トビイロウンカの被害等により、本県では多くの農家や農業法人が、コメの収量減に加えてコメの価格低下等による大幅な農業収入の減収に直面する事態となることが予想されます。ついては、こうした農家や農業法人が、営農継続の意欲を失うことなく、来年以降も希望をもってコメ作りに取組み、頑張り続けていくことが出来るよう、大胆かつ行き届いた支援策を講じるべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)