3.文化芸術活動の継続支援について
本県の舞台イベント等の文化芸術活動を支えている照明、音響、道具、映像、舞台装飾などの技術を提供する事業者や、フリーランスなどの文化芸術関係者は、コロナの影響で仕事が激減し、その多くが事業継続に苦闘しています。
「人はパンのみに由りて生くるにあらず。」との言葉がありますが、音楽、演劇、美術等々の文化芸術は、私たちが生きていく上においての精神的糧として物質的なパンと共に不可欠のものであります。然るに、私の見るところ、この度のコロナ対策においては、文化芸術活動を支えている人たちに対する支援が、充分に考慮されていない感があります。そこで先ず、文化芸術活動への支援を考える上において、踏まえておくべき視点を紹介しておきたいと思います。
それは、本県由宇町出身で数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞された日本を代表する数学者であり、山口大学の学長もされた広中平祐先生が述べられたことです。先生は、「存在するものすべてを100とした場合、数値化してコンピューター処理できるものの割合は、50である。心の世界はコンピューター化できない。」との見方を、ある講演終了後の質問に答えて明言されました。この先生の答えは、世の中の在り方を考える上で大事な視点を提供しているのではないでしょうか。
世の中の全てが、コンピューター処理が出来るよう数値化できるわけではない。それができるのは、世の中の半分に過ぎない。こうした視点が、コロナの影響を受けて困難な状況に陥っている人たちへの支援においても必要だと思われます。言いたいのは、コロナの影響を数値的に示すことはできないが苦しい状況に陥っている人たちにも支援の手が行き届くようにすることを考えるべきではないかということです。
私が承知している範囲でそういう人たちが多いのは、文化芸術活動にフリーランス的な立場で係わり収入を得ている人たちです。そのひとりAさんは、イベント会場やお店などで電子ピアノの演奏をして収入を得ていましたが、コロナの関係で今年の2月から全く仕事がなくなり収入ゼロの日々が続きました。4月17日、安倍総理が記者会見で「フリーランスを含む個人事業者の皆さんには100万円を上限に、国として現金給付を行う」旨、表明されたのを聞いてAさんは、そのことに大きな期待を持ちました。そして、それが持続化給付金として給付されることを知り、申請しようとしましたが出来ませんでした。対前年収入減を証明する書類がないということで取り合ってもらえなかったからです。Aさんが言うには、このような事態は全く予想していなかったので、普段、収支に関する記帳や書類の保管などキチンとしていなかったとのことでしたし、また自分と同様の仕事をしている人たちは殆どそうだとのことでした。
私は、Aさんのようなケースは、音楽演奏で収入を得ていたという事実が確認できれば、そういう業種がコロナで収入が激減していることは明らかでありますので、減収を証明する書類がなくとも支援の給付金が交付されていいと考えるものです。
私は先に、コロナ対策において文化芸術活動を支えている人たちに対する支援が考慮されていない旨申し上げましたが、このことは、国や県の予算措置において明らかであります。観光業がコロナで大きな影響を受けていることはご案内の通りですが、県は6月の補正予算で、観光需要喚起の事業ということで宿泊料等の割引率50%のプレミアム券発行など17億3千万円措置しています。同様に影響を受けている飲食業に関しては、4月補正予算で飲食業の許可を受けている県下の事業者に、定額10万円を補助するなど総額14億5千万円の予算措置をしています。一方、文化芸術関係の事業活動も大きな影響を受けていますが、このことへの支援は、6月補正予算で、文化イベント開催に対して10万円を上限とする経費補助が、総額で400万円措置されているのみであります。同様にコロナの影響を受けておりながら観光関係、飲食業関係と比べて文化芸術関係に関する支援がなんと少ないことか。また、国においては、文化庁の文化芸術活動の継続支援事業というのがありますが、経済産業省が示す企業支援と比べてなんと慎ましやかなことか、との感を持ちます。
こうした現状のまま推移すれば、本県の文化芸術活動を支えている事業者や人材を失うことになるのではないかと危惧します。それは、本県が魅力のない県になることを意味し、回避しなければなりません。そのためには、コロナが収束し、普通の日常が回復するまでの間、持ちこたえることが出来るよう支援が必要です。
そこでお尋ねです。本県の文化芸術活動を支えている事業者やフリーランスの多くが、コロナの影響で仕事が激減し、事業や活動の継続が極めて苦しい状況に陥っています。ついては、観光や飲食業等と同様に、文化芸術活動を支えている事業者やフリーランスに対しても充分な支援を行い、その事業や活動の継続を図るべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
4.デジタル化を推進する人材の育成について
県は、9月10日に開催した活力創出本部会議において、「コロナの時代に対応するための施策推進方針」を決定し、その方針の基本的な考え方において「新型コロナウィルスの感染状況の推移を見極めながら、国の政策に呼応して、県政のざまざまな分野でデジタル化を強力に進める。」としています。そして、感染拡大の局面で生まれた社会変革の動きを、危機から生まれた変化と見做し、その変化を成長につなげる施策の加速化を図ることとし、その取組みの柱に「デジタル化の推進」を位置付けています。
村岡知事は、今議会の議案説明においても、「様々な地域課題の解決が期待できるデジタル・トランスフォーメーションを推進する」旨表明され、取り組もうとしていることを述べておられます。
新しく誕生した菅政権も、デジタル化の推進を最優先の政策課題に位置付け、デジタル庁を新設して、我が国のデジタル化を一気に進めようとしています。
ただ、ここで承知しておかねばならないことは、デジタル化は手段であって目的ではないということです。大事なことは、どのような課題を解決するために、どのようなデジタル化を進めるのかが、具体的に明確であることです。そして、それを担う人材をどのように確保し、育成していくかが重要であります。
従って、山口県という視点でデジタル化を考えるとき、大切なことは県民にとってそのデジタル化が県民生活にどのような成果をもたらすかです。現在県民が抱えている課題をデジタル化がどのように解決し、県民の幸福満足度を高めていくデジタル化が、どういうものであるかが具体的に問われなければなりません。そういう意味において、本県のデジタル化は、山口県ならではの実情を把握し、課題に対応できるデジタル化を目指して、体制や基盤づくりを行うことが必要でして、デジタル化によって県民の課題を解決するためのアプリケーションは、山口県人材による県内産であることが望まれます。
よって、本県のデジタル化を進める上においては、東京などの県外の会社に頼るのではなく、山口県人材による山口県のデジタル化を進めることの重要性に留意し、そのことを担う人材を育成する取り組みを推進していく必要があると考えます。人材も、そしてそこで生まれるシステムやソフト・アプリケーションも「地産地消」を目指し、全国のモデルとなるデジタル化を、全国知事会の情報化推進プロジェクトリーダーである村岡知事には本県において推進していってほしいと期待するものです。
そこでお尋ねです。本県のデジタル化を推進する上において最も重要なのはそれを担う人材を確保し育成していくことです。ついては、このことにどう取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
3.教育ICT推進事業について
教育ICT推進事業について【要望】
私学におけるICT、教育ICT推進事業に関してですが、私学はそれぞれ建学の精神に基づいて取り組んでいる、または取り組み費用、運営費の助成額を嵩上げしているような趣旨の答弁でございましたけれども、非常に私学は経営が厳しい私学もありまして、そういうタブレット端末を生徒一人一人まで配ることもできていない、また色々な機器の整備もできていない私学もあるわけでありまして、やっぱそういったところの生徒たちも等しく同じようにオンライン教育をすることができる環境を整えていくということは、県政の基本的な方針としてあるべきだと思うわけでありまして、そういう私学に対しての支援、措置もこれから講じていかれるよう要望いたしまして私の質問を終わります。
1.新型コロナウイルス感染症対策について
(3)医療従事者の宿泊場所の確保について【要望】
まずは、コロナ対応された医療従事者の宿泊の方は、患者を受け入れる医療機関だけという答弁だったように思うんですが、院内感染が発生したらそうでない医療機関においても、あるいは介護施設においても対応の必要が生じて、同様の帰宅したりするのが難しい境遇に置かれるようになる医療従事者が出てくる可能性があるわけでありますので、そういうことにも対応できる施策にしていくべきではないかと思いまして、検討を要望いたします。
1.新型コロナウイルス感染症対策について
(1)医療用物資の提供と備蓄について【部長答弁】
新型コロナウイルス感染症対策のうち、医療用物資の提供と備蓄についての数点のお尋ねです。
まず、医療機関における医療用物資の確保状況についてですが、県では、国が行う保有状況調査等により、医療機関の物資の在庫状況の確認に努めており、平時と比べ依然不足感はありますが、診療に著しい影響が生じている状況にはありません。
1.新型コロナウイルス感染症対策について
(2)地域外来・検査センターについて【知事答弁】
合志議員の御質問のうち、私からは、新型コロナウイルス感染症対策における地域外来・検査センターについての数点のお尋ねにまとめてお答えします。
県内における新型コロナウイルスの感染状況は、落ち着いているものの、今後想定される第2波、第3波に備えて、感染拡大の防止を図るためには、早期に感染者を発見し、適切な治療に繋げていくことが極めて重要です。
このため、私は、身近な地域で、迅速かつスムーズにPCR検査を受けることができるよう、市町や郡市医師会と連携し、従来の帰国者・接触者外来に加えて、新たに「地域外来・検査センター」の設置を促進してまいります。
具体的には、かかりつけ医の紹介等により、主に発熱外来を兼ねて設置される「地域外来・検査センター」において、検体採取を行うこととしており、9月中を目途に、各医療圏に1カ所以上の設置を目指して準備を進めていきます。
なお、設置にあたっては、運営主体となる市町や郡市医師会等に対して、検体採取から検査までの流れや、患者情報の保健所への報告など、基本的な運営方針を定めた上で、開所日等については、運営主体により、地域の実情や感染状況に応じ、柔軟に対応していただくこととしています。
また、今後想定される検査需要の拡大に対応するため、環境保健センターの検査能力を強化したところであり、今後新たに、感染症指定医療機関等の4カ所にPCR検査機器を増設するとともに、民間検査機関への委託も含め、検査体制を充実します。
県としましては、関係機関と連携し、「地域外来・検査センター」の早期設置に向けた準備を進め、さらなる検査体制の充実・強化を図ってまいります。
その他のご質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。
1.新型コロナウイルス感染症対策について
(3)医療従事者の宿泊場所の確保について【部長答弁】
次に、医療従事者の宿泊場所の確保について2点のお尋ねです。
まず、宿泊施設確保支援の内容についてですが、医療従事者の方が、感染症患者の対応により業務が深夜に及ぶ場合や、基礎的疾患がある家族への感染リスクを懸念し、帰宅が困難な場合等を理由に発生した宿泊料を支援するものです。
次に、一般病院や介護施設の職員に対する宿泊施設確保支援についてですが、この事業は、感染患者を受け入れていただく医療機関において、直接、患者の治療等にあたる医療従事者に対する支援として実施するものであり、一般病院や介護施設の職員は対象としておりません。
1.新型コロナウイルス感染症対策について
(4)リモート面会について【部長答弁】
次に、リモート面会についてです。
県としては、このたびの補正予算において、院内感染拡大の防止に取り組む医療機関等に対し、お示しのリモート設備を含めた環境整備などにも活用できる経費を措置したところです。
1.新型コロナウイルス感染症対策について
(5)病院経営への支援について【部長答弁】
次に、病院経営への支援についてです。
新型コロナウイルス感染防止のための受診控え等による影響は、感染症の受入病院だけでなく、他の医療機関にも及んでいるものと考えており、県では、知事会等を通じて、医療機関に対する財政支援の実施について国に要望しているところです。
また、感染症の影響により、経営に支障を生じている事業者を対象とした県の制度融資である「新型コロナウイルス感染症対応資金」の活用が図られるよう、ホームページで周知するとともに、医療機関等で必要となる感染防止対策や、医療資機材の購入等に対して支援をしてまいります。
2.地域医療構想の見直しについて
地域医療構想の見直しについて【部長答弁】
次に、地域医療構想の見直しについてのお尋ねです。
高齢化の進行に伴う医療需要の増大に対応し、医療機能の分化・連携を推進していくため、県では、地域の医療提供体制の将来のあるべき姿を示す「地域医療構想」を策定し、その実現に向けて取組を進めているところです。
このため、医療機関相互の協議と自主的な取組を基本に、医療圏ごとの地域医療構想調整会議での議論を踏まえ、地域の安心につながる質の高い医療提供体制の確保に取り組んでいます。
こうした中、お示しの構想の見直しについては、国において、このたびの新型コロナウイルス感染症への対応等を踏まえ、今後、感染症対策も含めた、必要とされる医療提供体制の議論を深めていくとの考えが示されていることから、県としては、その動向の把握に努めてまいります。