1. 跡地利用の目的意思について
平成31年1月に始まった山口県農業試験場跡地利用(以下、跡地利用)についての県と山口市の検討協議会は、基本構想の策定やサウンディング型市場調査等を経て、現在、基本計画の策定に向けて、その素案のとりまとめを図る段階、いわば最終段階にきているようであります。
ただ私は、この跡地利用についての検討協議の経緯及び関係資料をつぶさに見て、現時点で示されている内容は、跡地利用の目的意思が明確でない、跡地利用の焦点が絞り切れていないとの感を持ちました。
この跡地は、18.7haと広大な敷地であることに加え、山口市と防府市を結ぶルート上に在ることから、その跡地の利活用は山口市のみならず防府市も含めた県央部の広域的なまちづくり、ひいては山口県全体の将来像の中において位置づけられる必要があると考えます。 従って、この跡地利用の構想及び計画は、その目的意思をもっと明確にする必要があるのではないかと思う次第です。
山口市は、平成の時代に二つの大規模な土地利用プロジェクトに取り組みました。一つは、現在、山口情報芸術センタ―、NHK山口放送局、山口ケーブルビジョンが立地している中園町一帯の整備プロジェクトです。もう一つは、新山口駅及びその駅北一帯を整備開発するプロジェクトであります。
前者の中園町一帯には,元々県立体育館や市民球場そして県立山口中央高校がありましたが、情報化の進展という大きな時代の趨勢の中で情報文化都市づくりの拠点整備を図ろうとの山口市の強い意思があり、県の施策との整合性も図られ、県立体育館はその機能を維新公園のアリーナに移して解体、市民球場は宮島町にあった県設野球場とともに宮野に移転、山口中央高校は、一旦現地建て替えの計画が決定されていたのが変更されて宮島町への移転となりました。このため、宮島町にあった県設野球場は宮野移転となり、運転免許試験場は、当時の小郡駅南に移転し山口県総合交通センターとなり、その跡地が山口中央高校の敷地となりました。
山口情報芸術センターは、その建設を巡って市民間で大きな賛否の議論がありましたが、そのプロセスを経て建設され、今日では情報文化都市やまぐちを象徴する施設として意欲的な企画に取り組み発信して、内外の注目を集め続けています。山口中央高校の現地建て替えの計画変更がなければ、今日の中園町一帯の整備は実現していなかったと思われることから、一旦県の教育委員会が決定したことであっても、山口市が情報文化都市づくりという明確な土地利用の目的意思をもってその計画変更を働きかけて実現し、目的に沿った拠点整備を成し遂げていったことは評価されていいと思っています。
後者の、新山口駅及びその駅北一帯の整備開発は、新山口駅ターミナルパーク整備ということで事業化が図られました。その目的意思は明確で、交通の要衝であるといった立地特性を生かし、新山口駅を含めた交通結節点の機能を高める基盤整備を行うとの考え方のもと事業は推進されました。
新山口駅は、表口・新幹線口の駅前広場が県の玄関にふさわしい景観デザインに配慮した整備が行われ、交通結節点としての機能向上が図られました。また、通行機能だけではなく賑わい、交流、たまりなどの機能を魅力的に装置した南北自由通路が整備され、駅南北の移動の円滑化と一体感の創出に加えて、快適な都市空間が形成されています。さらに、駅北地区には、展示・コンベンション・イベントの3つの機能を併せ持つ多目的ホールとしてのKDDI維新ホールが建設され、地域高規格道路山口宇部道路の長谷IC と新山口駅を結ぶアクセス道路も完成しました。こうした、「交通結節点機能の強化」という明確な目的意思の下に構想・計画され推進されている「新山口駅ターミナルパーク整備」は、山口市及び山口県の振興において交通の要衝地が担う役割を的確に実現しています。
では、農業試験場跡地は、どういう目的意思のもと整備されようとしているのでしょうか。令和5年3月に策定された山口県農業試験場跡地利用基本構想(以下、基本構想)は、サブタイトルが~新しい「未来のまち」モデルの構築に向けて~となっていまして、18.7haの敷地に新しい「未来のまち」のカタチを具体的に実現し、それを核として県下の他市町に波及させ、本県における未来のまちづくりを推進していこうとの目的意思が読み取れます。基本構想は、「やまぐち未来のまち創造プロジェクト」の実施ということで、「みんなで紡ぐ 幸せのまちづくり」をコンセプトにして、1.生涯活躍のまちづくり、2.スマートシティの実現、3.脱炭素化の推進の3つの政策テーマに取り組み、多世代共生、地域交流、子ども、安らぎ・憩い、学・遊・楽、チャレンジ・しごとを構成要素としてゾーニングし、「未来のまち」モデルを実現しようとしています。
私は、そうした「未来のまち」のカタチの実現を目指そうとすること自体を否定する者ではありません。ただ、「未来のまち」のカタチの全体像を、モデルとしてこの跡地において実現しようとすることには、根本的な疑問を持つ者です。18.7haの敷地は、「未来のまち」の特定の役割や機能を担うところとしては充分な広さを有していると思われますが、様々な機能をトータルして「未来のまち」としてのカタチを実現して示すには充分でないというより全く狭く、そのためには幾数倍もの広さが必要と考えるからです。この跡地において、「未来のまち」のカタチをモデルとして示すという土地利用の方向、即ち目的意思は、この跡地の広さと適合していません。その結果、現時点で示されている跡地利用の内容は、「未来のまち」のアイデアが網羅的に語られていますが、まとまりを欠いています。私は、先ずそのことを指摘してお尋ねいたします。
山口県農業試験場の跡地利用は、ここに「未来のまち」モデルを構築するというのではなく、山口市の未来のまちづくり、更には山口県の未来の県づくりに向けてどういう役割を担うところとしてこの跡地を利活用するかという観点から具体的に問い、利活用の目的意思を明確にすべきであると考えます。よって、農業試験場跡地利用の計画策定に向けた取組は、改めて目的意思を明確にすることから再スタートすべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
→(知事答弁)
2. 山口ウェルビーイングパーク構想について
山口県農業試験場跡地の利活用について、山口大学から「山口ウェルビーイングパーク構想」という提案があり、谷澤学長から村岡知事や柳居議長さらに伊藤山口市長には直接説明も為されたように伺っております。私は、この提案書に目を通しまして、その構想は跡地利用を検討する上において有力な選択肢になり得るものと受けとめました。
この構想が、どういうものか知っていただくために提案書の冒頭に記されています構想概要を、先ず紹介いたします。
山口県庁、山口大学、商業施設に隣接した広大な敷地には、県民が集い、学び、交流できる施設を設置することが最適と思います。県民が心身共に健康で幸せを実感できる場所(ウェルビーイングパーク)を作ります。ここは、動物と人が触れあい、子どもから老人までが幸せを実感し、命を知ると共に感染症の脅威(動物との付き合い方)も学べる場所とします。
このパークは、大きく「学びゾーン(管理研修棟)」、「癒しゾーン(ふれあい動物園)」、「交流ゾーン(ドッグラン)」からなり、それぞれ異なる機能を有しますが、全体を通して多世代共生、多文化共生ゾーンとなります。また、一部の施設(学びゾーン)は、災害時のペットシェルターとして活用することで、犬や猫の避難場所とします。これにより、飼い主が安心して自分の災害救助を受ける(人の避難所へ行く)事ができます。
ウェルビーイングパークの運営は県または市が行いますが、山口大学ワンウェルフェアセンターが全面的にバックアップします。また、全体的な活用施策については、山口大学・山口県立大学・山口芸術大学の有識者から構成する「山口シンクタンク」と意見交換を行う事で、パークの利用促進を図ります。また、各大学の学生力を活用することで、学生の山口愛を育み、卒後の山口市定住化の一助になります。特に、山口大学のおもしろプロジェクトやサークル活動により、飼育動物の世話、イベントの実施、セミナーの実施が容易になります。
近年、学校での飼育動物が減少するなどの理由から、子どもが動物と触れあうことが難しくなってきています。山口市には動物ふれあいの場が身近になく、試験場跡地は保育園、幼稚園、小学校が隣接することから、飼育動物を活用した情操教育モデルケースともなります。
概要は、以上の通りです。人、動物、環境の健康は一つにつながっているというワンヘルスの考えをベースに、「身体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態の幸福」を意味するウェルビーイングを実現するところとして農業試験場跡地を整備するという方向は、目的意思も明確であり、働き方改革を進めている今日の我が国の時代の要請にも沿うものです。地元大学の知的資源の総力を結集して取り組むことになれば、全国の大学でも数少ない獣医学部があるという優位性もあり、県民のウェルビーイングを実現する拠点として世界水準の全国のモデルとなる「ウェルビーイングパーク」にしていくことも可能と思われます。
提案された構想の内容は、今後検討を重ねるプロセスにおいて必要に応じて修正すべきは修正し、ブラッシュアップして完成度を高めていけばいいと思いますが、この構想が目指す基本的な方向に、私は賛同し、その実現を期待しています。将来に向けた県づくりにつながる夢のある挑戦と思うからです。
そこでお尋ねです。県は、山口大学提案の「山口ウェルビーイングパーク構想」をどのように評価し、受けとめておられるのか、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
3. 「未来のまち」づくりは山口市中心市街地と共について
私は、農業試験場の跡地利用基本構想にある「未来のまち」は、山口市中心市街地(以下、中心市街地)と共に実現していくことを提案したいと思います。
跡地利用の基本構想は、繰り返しになりますが「未来のまち」のコンセプトを、「みんなで紡ぐ 幸せのまちづくり~誰もがつながり合い、共に活躍し、心豊かな生活が続いてゆくまち~」としていまして、「スマートシティの実現」を取り組む政策テーマの一つに位置付けています。
一方、中心市街地活性化基本計画は、第3期目が令和3年から9年を計画期間として現在進行中ですが、全体テーマを、「『まちを、楽しむ。』~日常を豊かにするまちづくり~」としていまして、そのことに向けて、デジタル技術を活用した先端的サービスの導入等により、中心市街地におけるスマートシティの取組を推進する旨表明しています。そして、「人々のつながりや関係性を基盤に、質の高いライフスタイルが実現できるまち』と「現在から未来に向けて、地域への愛着、誇り、まちとしての価値を紡いでいけるまち」の二つを中心市街地の将来像として示しています。
これら跡地利用基本構想と中心市街地活性化基本計画の二つを見比べて思いますのは、将来に向けて推進しようとするまちづくりの方向や、実現しようとするまちの姿は、その基本的なところにおいては共通しているということであります。
このことを更に、昨年11月に発表されました跡地利用の基本計画策定に向けての中間整理(以下、中間整理)で見ていきますと、「未来のまち」の姿 ① が、「多様な人々の共創で豊かな暮らしを支える」となっているのは、中心市街地活性化目標 ② が、「交流と創造による来街機会の創出」を掲げ、「多様な主体が集まり、新たな価値創造を生む場の提供に取り組む」としているのと通じています。
同「未来のまち」の姿 ② は、「周囲と呼応した魅力的な活動が連鎖する」ですが、パークロード、美術館、市民会館、市役所等がある亀山ゾーンや、春は桜、初夏はホタル、秋はアートフルな催しで賑わう一の坂川一帯、また大内文化を今日に伝えている大殿地区等が周囲にある中心市街地においてこそ、その姿は内容豊かに実現できます。
同「未来のまち」の姿 ③ は、「山口版サード・プレイスを具現化する」です。サード・プレイスとは、自宅や学校、職場でもない、居心地の良いカフェ等の第三の場所のことですが、それは、「居心地が良く歩きたくなるまち」を基本方針としてウォーカブルな街並みの形成による活性化に取り組んでいる中心市街地においてこそ実現すべきまちの姿です。
同「未来のまち」の姿 ④ は、「子どもとともに成長する」です。「子どもをはじめ、多世代が学ぶことができ、交流の契機ともなる場を創ることで、地域が子どもの成長を支える、子育て世代を惹きつける『まち』を目指します。」との説明があります。中心市街地には地域子育て支援拠点施設「てとてと」やほっとさろん中市「まちのえき」と言って高齢者や障がい者も集いやすい交流サロン等があり、既にそういった「未来のまち」の姿を実現しつつあります。
同「未来のまち」の姿 ⑤ は、「新たな技術を取り込み暮らしの価値を高める」で、「企業や行政、地域など、多様な主体が連携し、新たな技術やサービス等を柔軟に取り込んでいくことで、将来にわたり新たな価値を生み出していく『まち』を目指します」との説明があります。中心市街地は、JR山口駅と市役所・県庁を結ぶ軸線上にあり、中心商店街アーケードと百貨店等の商業施設を含め、銀行・放送局等の事務所、裁判所等の行政機関、病院等の医療施設、高等学校、保育園、子育て支援施設及び高齢者ディサービス施設等の教育・福祉施設など都市機能が集中しており、「未来のまち」の姿 ⑤ が目指す方向は、当然に中心市街地が目指すべきまちづくりの方向であります。
私は、先に農業試験場跡地は、「未来のまち」を実現するには狭く適合していないと指摘しましたが、76haの広さを区域とする中心市街地を含めての取組となれば、広さは十分であり、「未来のまち」を実現するにふさわしい要素を兼ね備えた理想的な適合地になると見ています。
そこでお尋ねです。 農業試験場跡地利用の基本計画策定に向けては、「Well-Beingにあふれる質の高い『まち』を目指す」との考えも示されていますが、私は、ワンヘルスの考えに基づいて県民のウェルビーイング実現の役割を担うところとして農業試験場の跡地利用は行い、その他の「未来のまち」の姿、機能、役割等は、山口市中心市街地においてその実現を図るというのが、現実に即した実効ある施策であると考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
2.上関原発建設計画に関する事情の変化について【要望】
(ア)事情の変化はないとの認識について
3.水素先進県づくりの方向での上関原発建設計画の変更について【要望】
上関原発のことに関しまして、担当理事のほうから、上関原発に巡ることでの事情の変化はないという答弁があったところであります。
事情の変化があるかどうかの議論は水掛け論になりますので、それは避けますが、一つの行政のあり方、あるいは行政で取り組む職員の意識のあり方に関わることとして、参考までに申し上げたいと思います。
それはいわゆる思考の欠如、思考の停止ということが、真摯に現実に向き合って考えていくという姿勢が欠如しているんじゃないかという、そういうことの問題点であります。
20世紀を代表する政治学者の一人に、ハンナ・アーレントという女史がおられます。彼女はいわゆるユダヤ人の虐殺、いわゆる収容所のほうにユダヤ人を送る役割を果たしたアイヒマンが、戦後亡命しておったのが逮捕されて裁判にかけられたのを取材して、そして『エルサレムのアイヒマン』という書を出しました。そこにおいて彼女が示したのは、いわゆる何百万人ものユダヤ人を虐殺したその張本人のアイヒマンは悪逆無動の悪人であったということではなくて、平凡な一凡人で役人であったと。ただ、彼の場合には思考が欠如していた。そのために、それほどの大きな罪を犯すことになったと。いわゆるアイヒマンが、いやいや、ハンナ・アーレントが訴えたかったのは、いわゆる悪の凡庸さ、平凡な人間が真剣に考えることを欠如することによって犯す罪の大きさであります。
私は、上関の原発のことも含めまして、本県の職員の皆さん方は現実にしっかり向き合い、そして、県民の立場に立って真剣に考え、そして、なすべき役割を果たしていく。そういう県政の執行に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
2.上関原発建設計画に関する事情の変化について【理事答弁】
(ア)事情の変化はないとの認識について
3.水素先進県づくりの方向での上関原発建設計画の変更について【理事答弁】
水素先進県づくりと上関原発建設計画の変更についてのご質問のうち、事情の変化はないとの認識と、水素先進県づくりの方向での計画の変更についてのお尋ねに、まとめてお答えします。
お示しの石炭ガス化複合発電などの次世代の高効率石炭火力発電は、国のエネルギー政策において、その役割や重要性が位置付けられているところです。
原子力については、国は、本年2月に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」において、地域の理解を大前提に、廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを具体化していくとしています。
そして、その他の開発・建設については、各地域における再稼働状況や理解確保等の進展等、今後の状況を踏まえて検討していくとしています。
こうした中、上関原発については、国から、重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除する考えはないとの見解が示されており、国のエネルギー政策上の位置付けは、現在も変わっていないと認識しています。
また、地元上関町は町議会の議決を経て原発誘致を決定し、町長が中国電力に対し、原発誘致の申入れをされ、今日に至っており、原発立地によるまちづくりを進めたいという地元上関町の政策選択は、変わりありません。
このように、上関原発建設計画については、国のエネルギー政策上の位置付けや地元上関町の政策選択に変わりがないことから、県としては事情の変化がないと認識しているところであり、その変更を中国電力に対して勧告することは考えていません。
上関町の地域振興策の実現に向けた県の役割について【部長答弁】
上関原発建設計画に関する事情の変化についての御質問のうち、上関町の地域振興策の実現に向けた県の役割についてのお尋ねにお答えします。
市町におけるまちづくりについては、各市町において、地域の実情や住民のニーズ等を踏まえて、主体的に実施されるものであり、県では、市町の意向を尊重し、適切な役割分担の下、連携を図りながら、広域的な事業等の実施や、市町の取組への支援を行っているところです。
上関町についても、この基本的な考え方に立って、町からの要望を踏まえ、県道の改良工事や、離島航路に対する財政支援などを行っているほか、移住・定住の促進等に連携して取り組んでいます。
さらに、町のニーズをきめ細かく把握するため、毎年、知事が市町から地域の実情や要望をお聴きする機会を設けるとともに、県民局が窓口となって市町との連携強化を図っているところです。
県としては、引き続き、こうした取組を通じて上関町の意向をしっかりと把握しながら、町の地域振興につながるよう適切な支援を行うなど、求められる役割を果たしていきたいと考えています。
これからの水素先進県づくりについて【知事答弁】
合志議員の御質問のうち、私からは、これからの水素先進県づくりについてのお尋ねにお答えします。
まず、これからの水素先進県づくりの施策体系についてです。
本県では、周南コンビナートの苛性ソーダ工場から純度の高い副生水素が生成されるという地域特性を活かして、全国をリードする「水素先進県」の実現に向けた取組を展開してまいりました。
具体的には、新たな技術開発の促進による産業振興や水素社会の実現に向けた地域づくりなどの施策を中心に、環境・エネルギー関連産業の振興に取り組んできたところです。
また、脱炭素化の潮流が速度を増す中、本県のコンビナート企業群では、脱炭素化と将来にわたって国際競争力の維持・強化を図るため、アンモニア・水素等への燃料転換などの取組の検討が進められています。
これらの取組は、「やまぐち産業脱炭素化戦略」のプロジェクトの中で、それぞれ、水素先進県の実現を目指す環境・エネルギー関連産業の振興と、次世代燃料への転換によるカーボンニュートラルコンビナートの実現として位置付け、目標の達成に向けた取組を進めているところです。
次に、これからの水素先進県づくりの具体的な進め方についてです。
まず、副生水素という地域特性を活かした環境・エネルギー関連産業の振興については、産業技術センターを核とした先進的な研究開発・事業化支援による産業振興や、燃料電池自動車の導入促進に取り組む市町への支援を通じた地域づくりなどに取り組んでまいります。
一方、周南地域のコンビナート企業では、海外からの大量の輸入を想定したアンモニアサプライチェーン構築による燃料転換に向けた検討が進められており、県としてもこうした取組をしっかりと後押ししているところです。
この取組は、現時点では石炭に代わる燃料の一部としてアンモニアを活用するものですが、2050年カーボンニュートラルに向けて、将来的には水素の利活用も想定されます。
このため、私は、アンモニアをはじめ、水素を含む次世代燃料への転換に向けた県内企業の動向も見極めながら、産業脱炭素化戦略に基づく関係施策を着実に進めてまいります。
その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。
3. 水素先進県づくりの方向での上関原発建設計画の変更について
その3は、水素先進県づくりの方向での上関原発建設計画の変更についてであります。ここで言う水素先進県づくりの方向ということで具体的にイメージしていることは、発電の面でも水素の利活用が、実際上は水素のキャリアであるアンモニアの利活用が図られ、火力発電においてアンモニアの混焼が進み、さらに専焼に向かいカーボンフリーが実現していくというものです。
そうした方向での上関原発建設計画の変更が、どういうものになるかは明らかで、既に申し上げていることでありますが、将来的にアンモニアの混焼・専焼を視野に入れたCO2回収型の即ちカーボンフリーの石炭ガス化複合発電(IGCC)若しくは石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)への計画変更であります。この方向での計画変更は、先に述べましたが、今日、中電の経営戦略においても妥当性を持つものと見ております。
ついては、只今申し上げました方向での上関原発建設計画の変更を、山口県は中国電力に勧告すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
質問は、以上ですが、以下補足的に申し上げておきます。既に実用化されている石炭ガス化複合発電(IGCC)のひとつに、福島復興電源として福島県の勿来・広野地点に設置され2021年から営業運転を開始した勿来IGCC発電所があります。この発電所の概要を紹介した資料によりますと、福島復興への寄与ということで、雇用の面では建設時は、2地点合計2000人。その後恒久的雇用(発電所運転・運営、燃料輸送等)と定期検査時での作業者雇用を見込むとあります。また、経済的波及効果は、環境影響評価着手から運用を含めた数十年間で、福島県内に1基当たり総額800億円の経済波及効果があると試算されています。こうしたことから、IGCC若しくはIGFC発電所の設置は、上関町にとって原発に代わる地域振興策になり得るのではないかと思う次第です。
尚、岸田首相が今月1日、COP28の首脳級会合で演説し、石炭火力新設の終了を表明しましたが、それは温室効果ガスの排出削減対策が採られていない石炭火力発電所のことでありまして、IGCCやIGFCの発電所は、その対象にはならないことを申し添えます。
→(理事答弁)
2. 上関原発建設計画にかんする事情変化について
ア.事情の変化はないとの認識について
その2は、上関原発建設計画に関する事情の変化についてです。
私は、今年の2月県議会の一般質問において、今回同様上関原発の建設はあり得ないことを指摘して、計画変更に向けて県がリーダーシップを発揮するよう求めました。これに対し「上関原発建設計画については、事情の変化がない中で、計画変更について県が役割を果たすことは考えていない。」旨の答弁がありました。事情の変化がないというのは、「重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、解除する考えがないとの見解が国から示されている。また、原発立地によるまちづくりを進めたいという地元上関町の政策選択は、現在も変わっていない。」とのことで、その旨答弁で述べられています。
そこでお尋ねです。
上関原発建設計画は、平成13年に電源開発基本計画への組み入れが了承され、平成16年に重要電源開発地点の指定制度が創設されてからは、その制度に基づく指定を受けた計画として今日に至っております。平成23年の福島原発事故の以前と以後とでは、重要電源開発地点の指定を受けている点は変わらなくとも、上関原発に係るエネルギー政策は大きく変化しております。このことに関しては西哲夫上関町長自身が、中国新聞の中間貯蔵施設についてのインタビューに応じて、次のように述べています。
「原発の見通しについて中電は『明確に答弁できない』、政府は『廃炉の跡地に次世代原発を造る』とする。それでは上関町は候補地にもならない。原発と中間貯蔵施設では財政や経済への効果は天と地の差がある。だが、座して待つなら衰退する、と考えた。」と。
こうした状況であっても、県は、重要電源開発地点の指定の解除がなければ、上関原発建設計画に関する事情の変化はないとの認識なのか、先ずご所見をお伺いいたします。
→(理事答弁)
イ.上関町の地域振興策の実現に向けた県の役割について
次に、西町長の発言から、上関町が、現在原発に代わる地域振興策を真剣に模索していることは明らかです。こうしたことから、上関原発建設計画については、事情の変化がない中で、計画変更について県が役割を果たす考えはないとの方針は改めて、原発に代わる上関町の地域振興策の実現に向けて、県も役割を果たすべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
1. これからの水素先進県づくりについて
その1は、これからの水素先進県づくりについてであります。
県のホームページには、「『水素先進県』の実現を目指した山口県の取組」が掲載されていますが、これには、周南コンビナートの脱炭素化への取り組みは載っていません。この取り組みは、燃焼してもCO2を出さない水素、その水素のキャリアであるアンモニアのサプライチェーン構築を、本県の代表的な石油化学コンビナートにおいて実現し、コンビナートの脱炭素化を図ろうとするものであることから、当然に取り上げられていると思っていました。ところが、そうではありませんでした。理由は、脱炭素化に向けた水素関連の取組は、脱炭素の範疇で施策対応しているので、水素先進県実現への取り組みには含めていないとのことでした。
そうしたこれまでのことはさておき、今後は、本県の水素先進県づくりの全体像には、脱炭素のための水素・アンモニア利活用に向けた取り組みも含めて施策の推進を図るべきと考えます。そこでお尋ねです、これからの水素先進県づくりの施策の体系はどう考えているのか、また、具体的にどう進めていくお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。
→(知事答弁)