「高齢者が輝く地域づくりの推進について」
(4)高齢者のソーシャル・ビジネスへの取組支援について
私が、最近その考え方に共感している一人に、2006年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュの経済学者ムハマド・ユヌス氏がいます。彼は、バングラデシュの貧困層の経済的自立を支援する目的で1983年に「グラミン銀行」を設立し、マイクロクレジットという無担保・少額融資の仕組みを確立して700万人以上の人々の経済的自立を果たし、この制度は世界60か国以上に広がっています。また、ユヌス氏はソーシャル・ビジネスの提唱者で、大きくは世界の貧困、飢餓、病気、気候変動等の人類的課題から、ローカルの様々な地域的課題までを、利己心ではなく無私の心に基づくビジネス的手法で解決する活動の世界的広がりを推進しています。
私が、ユヌス氏を知ったのは、今年3月28日NHKの夜9時からのニュース番組「ニュースウォッチ」で、「シニア世代のみなさんの背中を押してくれるかもしれません。」ということで、ユヌス氏が紹介されたのを、たまたま見たからです。
ここでムハマド・ユヌス氏は、「人間は決して引退しない。高齢者ではなく、人生の第二段階にいるというべきだ。人生の第二段階では家族を養うために心配をする必要がない。だから人生の第二段階こそ、最も自由で創造的な人生なのだ。自分ではなく、世界のために何かをすべきで、他の人のために生きることができる時期なのだ。」と語り、「若者とシニア世代がお互いに刺激しあい、パートナーとして共に働けば、高齢者が社会から無視され、孤立するというストレスからも解放される。」と訴えていました。
私は、「本当に、そうだ。」と思い、その後ユヌス氏の最新刊の著書「3つのゼロの世界」を買い求め、一層彼の考えへの共感を深めています。3つのゼロは、貧困・失業・CO2排出の3つをゼロにするという意味で、それを実現するための新しい経済秩序を、彼はこの書で説いていますが、失業ゼロについて述べているところで、「仕事は探すものではない。仕事は創るものだ。人は皆、起業家になれる。」と強調しています。
こうしたユヌス氏の考えは、高齢者が輝く地域づくりを推進する上において、ベースになるものではないでしょうか。ことに、高齢者が人生の第二段階をソーシャル・ビジネスの担い手として、自由に創造的にそれまでの人生で培った能力を生かして地域課題の解決に貢献していくことは、若い世代も歓迎し、地域社会全体の活性化にもつながると思われます。
ユヌス氏によれば、ソーシャル・ビジネスは、人類や地域社会への恩恵の最大化を目指し利益の配当を行わないという点で、利益の最大化を目指し利益の配当を行う通常のビジネスとは違います。また、事業活動は、通常のビジネスと同様に行いますが、公的団体の補助や税制上の特段の減免措置等を求めないという点で有償ボランティアとも異なります。ソーシャル・ビジネスが、課題解決に収益を生み出すように設計されたビジネス的手法で取り組むのは、事業の持続性を確保するためであり、そのためには経済的自立が不可欠だからです。ソーシャル・ビジネスの事業で生み出された収益は、人件費を含む必要な費用の支払いに充てられ、残った利益は、さらに事業目的に再投資されます。
以上申し上げましたことを踏まえ、お尋ねいたします。高齢者が、ソーシャル・ビジネスの担い手になって、地域社会の課題解決に貢献するという取組を、様々な形で支援し、そのための環境を整えていく施策を推進すべきと考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
「高齢者が輝く地域づくりの推進について」
(5)介護現場の声、創意工夫を生かす施策の推進について
(1)特別養護老人ホームの整備方針
県は、介護保険施設については国の方針に沿って、ユニット型個室の整備を促進することとしており、特別養護老人ホーム(以下、特養と略称)においても新規整備や増築に当たっては、ユニット型個室とすることを原則とし、4人部屋等の多床室の整備は、補助対象にしないこととしております。
こうした国・県の方針により、従来の4人部屋等の多床室は、順次ユニット型個室への転換が進んでおり、平成29年度末で本県の特養は、全定員数の40.4%がユニット型個室となっております。
ユニット型個室は、4人部屋等の多床室と較べて、入所者個々人の尊厳が保持され、一人ひとりの生活や暮らし方が尊重されるということで、進化した特養の在り方であると言えます。ただ、特養等の介護保険施設の運営に携わっている方々の声を聴きますと、全てをユニット型個室にするのがいいのかは疑問であります。
多床室も必要だとの声には、主に4つの理由があります。その1は、特養利用者の費用負担が、ユニット型個室は多床室に比べて高額になるからです。厚労省が示している特養利用者の標準的な負担月額は、ユニット型個室は約12万8千円、多床室は約9万2千円で3万6千円の差があります。
山口市内に地域住民から長年信頼感謝されている特養がありますが、多床室型施設ですので施設長に、「施設も相当年数を経ているようですが、ユニット型個室へ建て替えられるのですか。」と聞きましたら、「それは、しない。そうしたら、この地域の高齢者は、国民年金で暮らしている人が多く、そういう人たちがこの施設を利用できなくなる。」と答えられました。
その2は、多床室のほうが利用者相互の触れ合いや刺激があって、その方が寂しくなくて落ち着く人もいるし、個室の場合よりも認知症等の進行が抑制されるケースもあること。
その3は安全面からで、多床室だと、誰かがベッドから落ちる等、何かあったとき同室の者が気づいて速やかな連絡対応となるが、個室だとナースコール等があってもそれを使えず、見過ごされてしまう場合があること。
その4は人手の面で、ユニット型個室は、多床室に比べて人員の配置を厚くする必要があり、現状でも介護人材が不足している中で、その確保に苦労すると思われること。
私は、こうした介護現場からの声には説得力があり、本県の特養の中長期的な整備を展望する上においては、真摯に受け止め考慮すべきと考えます。
そこでお尋ねです。私は、ユニット型個室は、より進化した特養の在り方として認めるものですが、多床室も利用者や家族が望めば選択できるよう、将来にわたって一定の定員数は確保されるべきものと考えます。ついては、特養の新設や建て替え等の新規整備への補助は、ユニット型個室だけに限らず、多床室も対象にする方向で現行の方針を見直すべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
(2) 仕事や役割がある介護の実現
高齢者が、認知症で要介護状態になったとしても生産的活動が出来て、必要な存在として認められ、楽しく共生していくことができる介護福祉を目指す取組みが、本県から全国に発信されています。
山口市仁保に、はるひ苑という定員18名の認知症対応型のグループホームがあります。今年の2月、NHKがテレビのニュース番組で県内ローカル及び全国放送、さらにはBSの海外放送で放映しましたので、見られた方もおられるかもしれませんが、この苑に入居された重度の認知症の方が、仕事をするようになって認知症の症状が改善され、表情も明るく笑顔が見られるようになり、生活が生き生きしたものに変わっていく様子が紹介されています。
この放送は録画再生を、インターネットで見ることが出来ますので、関心ある方は是非見ていただきたいと思いますが、その中でこのグループホームの代表である岡屋淳さんは、「環境が整えば、認知症の人でも充分に働くことが出来る。」、「少しの配慮をすれば、認知症であろうがいろんなことが出来る。」と語っておられます。そして、そうした視点から彼は、要介護者を、ただ単に介護を受ける存在としてではなく、介護ケアがあればいろんな仕事ができ、役割を果たせる存在として見て、その可能性を実現していく介護福祉に取り組んでいます。NHKが、「仕事で認知症の改善を」というタイトルでローカルのみならず全国放送までしたのは、はるひ苑で実現されていることに、我が国の介護福祉の将来に向けた新たな進化の方向を見出したからではないでしょうか。
私が、岡屋さんの考え方で素晴らしいと思うのは、認知症の方に仕事をしてもらうことを、症状の改善のためというより、認知症の方も、そうでない人たちと同じく人として社会の中で必要とされ、その能力を生かし、豊かな人生を送ることが出来るようにしていくためだとしておられることです。はるひ苑は、フェイスブックで、はるひ苑紹介のNHK放送についての補足説明で、そうした考えを明らかにしております。
ただ、はるひ苑の新たな介護福祉の取り組みは、全国的に注目されていますが、いまだ孤軍奮闘の感があって大きく広がりを見るまでには至っておりません。私は、はるひ苑の取り組みは、介護福祉の新たな進化の方向であると共に、介護費用抑制の効果も期待され、介護保険制度の持続可能性という観点からも望ましい方向であり、推進されるべき取組みであると見ております。厚労省は、現在9兆円の介護費用が、団塊の世代が後期高齢者になる2025年には20兆円にまで増大するとの見通しを示しており、介護費用の伸びを、今後どう抑制していくかは大きな課題であります。
そこでお尋ねです。認知症の要介護者も、仕事や役割があり必要な存在であると認められることが、生きる力となり介護状態の改善につながります。これからの介護福祉は、こうした視点を中心に据えてその在り方を抜本的に見直し、新たな介護福祉の仕組みを構築していかなければなりません。障害福祉施策においては、障害者の就労支援制度がありますが、私は、介護福祉の施策においても同様に、要介護者それぞれが適した仕事をし、役割を果たすことを支援する仕組みが制度化されていいと考えます。
つきましては、県は、はるひ苑の取組等を支援しつつ、相携えて課題の解決を図ってその広がりを推進し、高齢者が要介護状態になっても仕事をし、役割を果たして輝くことが出来る地域社会の形成を目指すべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
(3)有償ボランティアの活用
今日、介護施設はサービス提供に必要な人員の確保に苦労しており、人手不足の解消が大きな課題になっております。そして、こうした事態への対応として、有償ボランティアの活用が容易にできる環境の整備を図ってほしいという声があります。
介護の仕事は、介護の専門職でなければできない介護そのものの業務と、そうした介護の周辺の業務とに大別することが出来ます。食事や入浴の介助等は前者で、洗濯やベッドのシーツ交換などは後者であります。こうした介護にかかわる業務のうち、介護の周辺の業務は、特に介護の専門職ではなくても一般の人が出来ることが多々あり、而も介護の仕事において大きな割合を占めています。従って、そこのところを、有償ボランティアという形で一般の人たちにやっていただくことが容易にできるようになれば、介護施設の人手不足の解消につながることは確かだと思われます。
では、なぜ有償ボランティアの活用なのでしょうか。このことに関し、数点触れておきたいと思います。
まず、第一点は、なぜ有償ボランティアで、無償ボランティアではないのかということです。その理由はハッキリしていまして、責任をもってやっていただくためには有償であることが望ましいのは明らかです。
第二点は、有償であればシルバー人材センターや障害者就労施設等の活用その他様々なやり方が考えられるのではないかということです。このことに関しては、それぞれの施設の運営方針が尊重されることは当然ですが、介護に関する業務に特化した有償ボランティアの仕組みが確立され、適宜必要に応じて有償ボランティアが活用できるようになれば助かる施設は多いのではないでしょうか。
第三点は、介護施設も高齢者も、双方共にいいという関係が築けるということです。有償ボランティアであれば、わずかでも収入があって助かり、また介護福祉の仕事に携わることに生きがいを感じて、協力参画しようと思っている元気な高齢者は、沢山おられます。
それでは、介護福祉業務に特化した有償ボランティアの仕組みとは、具体的にどういうものなのでしょうか。考えられるのは、市町単位で社会福祉協議会が窓口になり、そこに登録された有償ボランティアのメンバーが、施設からの要請に応じて協力するというイメージです。そういう仕組みが、県下の全ての市町に設けられるよう、県が支援推進することが期待されます。
そこでお尋ねです。介護施設の人手不足の解消に向けて、有償ボランティアの活用が容易にできる環境の整備が望まれます。つきましては、県は市町と連携してそのことに取り組むべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
山口県の学校教育は、社会環境の変化、時代の変遷に伴って生ずる新たな課題に的確に対応しつつ進化の歩みを続けています。そのことを率直に評価した上で、更なる本県の学校教育の進展に向けてということで、以下三項目について質問いたします。
【1. 基礎学力の向上】
ア.本県の義務教育課程における基礎学力の向上に向けた取り組みの基本的な方針について
イ.義務教育課程における本県の学校教育の目標について
ウ.義務教育課程における子どもたちの学力・能力・特性に応じたクラス編成と授業プログラム構成について
【2.創造性を育む教育の推進について】
ア.本県の学校教育における創造性を育む教育推進の基本的取り組みについて
イ.課題研究授業の研究活動費について
【3. 教育力が発揮される環境の整備】
ア.取り組みの現状と今後の方針について
イ.教職員定数について
ウ.業務の改善について
エ.教師の働き方改革と部活動について
質問の第一は、基礎学力の向上についてであります。私は、冒頭に本県の学校教育を評価している旨申し上げましたが、先ずそのことに触れておきたいと思います。
ご案内のように我が国の学校教育は、教育課程の基準を大綱的に定めた学習指導要領に則って行われますが、その学習指導要領は、戦後9回目の改訂が行われまして、現在は、改訂された新学習指導要領に基づく学校教育への移行が進行中であります。小中学校につきましては平成29年3月に新学習指導要領が公表され、小学校は平成32年度から、中学校は平成33年度から全面実施の予定です。高校の新学習指導要領は、今年の3月に公表され、平成34年度から年次実施の予定であります。
そこで、既に公表されています小中学校の新学習指導要領を見ますと、前文において「社会に開かれた教育課程の実現」が重要となる旨述べられており、総則において、「家庭や地域社会との連携及び協働を深めること」が、学校運営上の留意事項として明記されています。学校運営上の留意事項は、新学習指導要領において新設された事項であります。
一方、本県は、平成25年度に策定した「山口県教育振興基本計画」において、「地域と学校が連携した子どもの育成」を、推進する施策の柱の一つに位置づけ、以来コミュニティ・スクール及び地域協育ネットの全県普及に取り組んできました。そして、今日、県下の小中学校においては100%の普及が実現されており、さらに高校においても平成32年度までに100%実現すべくその取り組みが進められています。
こうした本県の地域連携教育の取り組みは、新学習指導要領が目指す方向を、先取りして実現している点において、私は、評価に値するものであると思う次第であります。
では、学校教育の主要な目的である子どもたちの学力向上に向けた本県の取り組みは、どう推進されているのでしょうか。平成27年に改定された「山口県教育振興基本計画」は、「確かな学力育成プロジェクト」で、小中学校においては全国トップクラスの学力を目指すとし、全国学力・学習状況調査、所謂全国学力テストにおいて平均正答率が全国平均を3ポイント上回ることを推進指標としております。そして、学力向上推進リーダー・学力向上推進教員の配置による学力向上に向けた教育の支援体制の強化や学力定着状況を検証し改善する年2回のサイクルの確立など学力向上に向けた複合的・総合的な取り組みが推進されていまして、平成29年度の全国学力テストにおいては、「小学校は、区分によって差はあるものの、概ね全国平均と同程度である。中学校は、すべての区分で全国平均を、上回っている。」との結果になっています。小中併せた正答率は65.6%で全国都道府県におけるランキングは13位でありますので、学力向上に向けた本県の取り組みは、それなりに功を奏していると見ることも可能かと思われます。
こうした本県のこれまでの学校教育への取り組みを評価した上で、これから将来に向けた本県の学校教育の新たな課題として取り組んでほしいと思うことがあります。それは、「落ちこぼれゼロ」の学校教育の実現であります。
最近、学校教育に携わっている先生方から、「高校に入学しても、算数の三桁計算ができない子たちがいる。」といった話を、何度か耳にいたしました。そういった子どもたちは、小学校の段階から初歩的な算数についての理解、習熟が出来ていないまま学年進行が進み、中学を経て高校に進学しているケースが多いようです。昔から、人が世の中で生きていく上において身に付けておくべき基礎的な知識・技能として言われてきたのは、読み・書き・算盤でありますが、
そのことは、今日の世においても変わっていないと思われます。そのような基礎的な学力は、当然のこととして義務教育段階において全ての子どもたちが習熟し身に付けておくべきことでありますが、そうなっていない現状があります。
そうした現状に向き合い、義務教育課程の、ことに小学校段階において「落ちこぼれの子どもを出さない」教育の実現を目指すべきではないでしょうか。
勿論、教育課程から落ちこぼれる子どもが生ずる主な要因が子どもサイドにあり、学校教育での対応には限界があると思われるケースも多々あることでしょう。しかし今日の時代、そこをブレーク・スルーすることが、教育にも求められていると私は、見ております。
先日、BSテレビで「プライムニュース」を見ておりましたら、その日のテーマは、第4次産業革命に関することで、モノのインターネットといわれるIoTと人工知能AIをキーテクノロジーとする第4次産業革命が進行している現在、我が国の制度や仕組み、また企業は、どう変わっていくべきなのかということが論じられていました。そのことに関係する各方面の代表格の方が4人ほど出演して発言しておられましたが、その中で、私が「アッ、そういうことなのか。」と思ったのは、グーグルの元米国本社副社長兼日本法人社長であった村上憲郎(のりお)氏の発言でした。彼は、「第4次産業革命の重要なポイントは、産業の供給側が、消費者即ち需要側の志向性や思いを柔軟に受け止めることができる構造に変われるかどうかである。」との趣旨を語っていました。その背景には、これまでの大量生産方式では対応できなかった消費者の個々の需要(デマンド)への対応が、IoTやAIにより可能になってきているとの認識があるものと思われます。
こうしたことから思いますのは、産業社会の供給サイドが、第4次産業革命の進行に伴い、多様で細かな個々の需要に応えることができる一層柔軟な構造へと変わっていこうとしているように、教育の提供も、学ぶ側の多様な個々の特性と能力に応じて行われ、「落ちこぼれを出さない」方向に進んでいくことを、時代は求めているのではないかということであります。
以上申し上げましたことを踏まえ、基礎学力の向上についてということで3点お尋ねいたします。
第1点は、本県の義務教育課程における基礎学力の向上に向けた取り組みの基本的な方針について、ご所見をお伺いいたします。
第2点は、義務教育課程において「落ちこぼれゼロ」を実現していくことを、地域連携教育の推進、学力向上への取り組みに並ぶ本県の学校教育の目標に位置付け取り組んでいくべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
第3点は、義務教育課程における学力向上と落ちこぼれゼロを、双方ともに実現していこうとすれば、子どもたちの学力・能力・特性に応じたクラス編成と授業プログラム構成を図っていくことが有効であると考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
次に質問の第2、創造性を育む教育の推進についてお伺いいたします。私は、創造性を育む教育の推進は、我が国が将来にわたって繫栄し続けていくために極めて大事で必要なことであると思っています。
今日、我が国は、政府の借金が千兆円を超える巨額なものであることを憂慮する声がありますが、我が国が、世界の人々が必要とするものをつくり、提供する能力においてナンバーワンである、若しくは優れている限りにおいて、その心配はいらないと思っています。企業の借金も、それを上回る利益の確保が将来見通せる場合は、何ら問題になりません。同様に、借金を上回る稼ぐ力を、我が国が将来にわたって持ち続けることができるのであれば、巨額の借金も何等心配する必要はないのであります。従って、モノづくりにおいて優れた国であり続けること、そのために、それを担う豊かな創造性を持った人材を育成していくことが重要と思う次第であります。
そういう思いから、本県の学校教育も、創造性豊かな子どもたちを育てるものであることを願い、創造性を育む教育の推進についてお伺いいたします。
先ずは、本県高校生の優れた創造性豊かな活躍を紹介したいと思います。質問の参考資料としてお配りしているのは、山口高校が、第61回日本学生科学賞の中央審査で全日本科学教育振興委員会賞に輝き、その研究班の生徒3人が、さらに今年の5月に米国・ペンシルベニア州で開催される国際学生科学技術フェア(ISEF)に参加することになったことを報じた新聞記事です。日本学生科学賞は、昭和32年以来、毎年行われてきている中学生と高校生を対象にした科学コンクールで、日本で最も伝統と権威のある科学賞として知られております。
こうした賞を、本県高校の生徒たちの研究作品が受賞したということは、科学の分野において子どもたちの創造性を伸ばす教育の土壌が、本県においては培われてきていることの成果であると考えます。ついては、その土壌をさらに豊かなものにしていくことが、創造性を育む教育の推進につながると考え、日本学生科学賞を受賞した山口高校の取り組み事例も踏まえて、2点お伺いいたします。
その1は、本県の学校教育における創造性を育む教育推進の基本的取り組みについて、ご所見をお伺いいたします。
その2は、課題研究授業の研究活動費についてであります。
山口高校が、日本学生科学賞を受賞した研究テーマは、イルカが水中でつくるバブルリングについてでありますが、この研究活動は、同校理数科2学年の課題研究の授業として取り組まれたものです。課題研究の授業は、理数科のクラスが5人前後のグループに分かれて、グループごとにテーマを設定して1年間の研究活動に取り組むものであります。1グループの年間の研究活動費は、同校の場合は15000円とのことですが、イルカのバブルリングの研究活動では、水槽の費用だけでも27000円かかったそうで、そうしたことを含め必要な研究活動のための費用の捻出に苦慮したとのことでした。
そこでお尋ねです。こうした課題研究の授業の研究活動費が、必要に応じて適宜確保できるようにしていくことが、創造性を育む教育を一層推進していくために望まれますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
次に質問の第3、教育力が発揮される環境の整備についてであります。
先ず、今回の質問を行うにあたって教育現場の先生方から寄せられた声を、いくつか紹介したいと思います。
「どちらとも教員の増員が必須である。近年、特別な配慮が必要な児童が増えている。授業中にそのような児童に対しても個別指導をしていると、他の児童の学習は中断してしまう。ただ、補助員でもいいので、誰かがついてもらえるとその児童にとっても、他の児童にとっても学習が保証されることになり、基礎学力の向上につながるのではないか。それが環境の整備であるともいえる。」
「働き方改革が叫ばれる中で、時間の管理のみに目が向けられているように感じる。抜本的に教科指導に関係しない業務の削減が必要である。」
「全国学力・学習状況調査の結果が、基礎学力の向上に生かされているようには感じない。しかも、山口県では5月の忙しい時期に学校で採点、入力したデータを県に送っている。県は、学校で早めに分析して手立てを講じれば学力の向上に役立つと言っているが、手間がかかるだけでそうとは思えない。このことは、業務改善という観点から考えてもおかしいと思う。それよりも、日頃の授業で行う単元テストや定期テストの結果をしっかり分析して、その後の授業に生かすことを続けていくことで、十分に学力の向上につながると思う。」
「英語の導入の仕方について各学校で検討している。本校では、朝の朝学習の時間をモジュール的な形で英語に当てる方向である。以前その時間には国語や算数の練習をしてきた。その時間があることで学力が低位の児童の底上げをしていた面が大きい。道徳の評価、アクティブ・ラーニング、プログラミング学習等様々なものが現場におりてくる。県教委は何に重きを置いているのか分からない。きちんと方向性を示してもらいたい。今のままでは、多くを求めすぎて結果として何一つものにできなくなるように思う。」
以上、教員の増員、業務の改善、学力テストや英語教育の導入等に関しての声を紹介しました。教育への熱い「理想と情熱」をもって教育現場で様々な課題と格闘しながら頑張っている先生方の率直な思いがそこに語られているように思います。
こうした先生方の思いを念頭において、以下教育力が発揮される環境の整備についてということでご所見をお伺いいたします。
(1) 取り組みの現状と今後の方針について
その1は、取り組みの現状と今後の方針についてであります。私は、教育は、教育力がすべてであり、よりよい教育を実現するためには、二つの大きな柱があると思っています。一つの柱は言うまでもありませんが、よりよい教師を確保することであります。そして、もう一つの柱は、その先生方の教育力が発揮される環境の整備であります。
県教委は、よりよい教師の確保については、よく考慮された選考基準に基づく教員の採用ということでその役割を果たしています。従って、次に問われるのは採用された先生方が教育力をしっかり発揮できる環境の整備であります。
そこでお尋ねです。県教委は、本県の学校教育に携わっている先生方が、その教育力を最大限発揮できるよう教育環境の整備にどう取り組んでいるのか、その取り組みの現状と今後の方針についてお伺いいたします。
(2)教職員定数について
その2は、教職員定数についてであります。今回、教育現場の先生方の声を聞くことで明らかになった共通の声は、「先生の数を増やしてくれ。」ということでした。現在、学校教育の現場に立つ先生方の多くは、朝早くから夜遅くまで勤務しても対応しきれない多くの課題を抱えながら、教職の使命を果たすべく奮闘しています。しかし、学校教育がマスの教育から、生徒一人一人に対応する個の教育へと大きく転換しようとしている今日、教師に求められる教育内容は密度を増しており、現行の学級編制や授業構成の中で、子どもたちに対して今求められている水準の教育を行うことは、困難になりつつあります。こうした趨勢の中、文部科学省は教職員定数の増加を図るべく取り組んでいますが、国の財政事情もあり中々進展していません。
公立の小学校、中学校、高校の教職員数は、教職員定数の標準に関する法律、通称標準法によって定められていまして、学級数等に応じて算定される基礎定数に政策目的や各学校が個々に抱える課題等を踏まえて配分される加配定数を加えた人数であります。その範囲内の教職員の給与は、そのうち小・中学校については3分の1は国庫補助があり、残りの3分の2は交付税措置されます。教職員定数を超える人数の先生を雇用することが禁止されているわけではありませんが、それを超えた先生方の給与は、公立学校の設置者である県または市町の負担となります。従って、小中高の公立学校の教職員は、ほとんどが教職員定数内での配置になっております。こうしたことから、公立学校の教職員数を増やそうと思えば、先ずは国において教職員定数算定の基準を緩和して増員を図り、それに相当する給与分を予算措置することが求められます。しかし、教職員定数増員に向けた標準法改定の見通しは不透明のようであります。
そこで、ことに新学習指導要領が全面実施になった場合に懸念されることは、現状ですら教員が足りないという学校現場の状況が改善されないまま、新学習指導要領に基づく新たな教育の実施を求められるようになると、先生が対応しきれない事態が一層増加するのではないかということであります。
私は、新学習指導要領が、各教科の目標及び内容を、①知識・技能の習得、②思考力・判断力・表現力等の育成、③学びに向かう力、人間性等の涵養の三つの柱で再整理し、「主体的・対話的で深い学び」を実現していこうとしている方向性は、妥当なものであると思っております。ただ、そうしたアクティブ・ラーニングの視点からの学びの推進や、小学校教育における英語教育強化の方向は、それに見合う教員の確保が図られなければ、学校教育の現場の苦悩は一層増すのではないかと懸念する次第であります。
そこで、教職員定数に関して3点お尋ねいたします。
本県の平成29年度の教職員定数は、基礎定数に加配分を加え、非常勤への振替なしということで算定いたしますと、義務教育課程の小中学校は、8366人、高校は、2676人でありますが、この教職員定数に沿った教職員数で、本県の学校教育の振興を図るべく、どういう考え方、方針に基づき教職員の配置を行っているのか、先ずお伺いいたします。
次に、新学習指導要領に基づく教育が、小学校は、平成32年度から、中学校は平成33年度から全面実施、高校では、平成34年度から年次進行で実施の予定ですが、このことに伴う必要な教職員の確保にどう取り組もうとしておられるのか、ご所見をお伺いいたします。
3点目は、本県の教職員定数では、本県が望む学校教育の実現が難しいと思われる場合は、県または市町の費用負担による必要な教職員の確保が検討されていいと考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
(3)業務の改善について
次に、業務の改善についてであります。何かに取り組もうとするとき、そのことに伴う事務が、しっかりしていることは不可欠であります。従って、学校教育においても、教育それ自体が適切に行われるために必要な事務的業務を、省いたりすることはできません。よって、学校教育における業務の改善は、子どもたちへの教育と関係性が薄い事務的業務をいかに減らすかということと、どうしても必要な業務に関しては、ICT等の活用により効率化を図っていくこと及び教師がやらなくても済む事務的業務を担う人員を確保する等のことが考えられます。そうしたことも含め、先生方の教育力がより発揮されるよう、学校教育における業務の改善にどう取り組まれていくのか、ご所見をお伺いいたします。
(4) 教師の働き方改革と部活動について
最後に、教師の働き方改革と部活動についてお伺いいたします。私は、このことに関しては、文部科学省の提示を待つというのではなく、ある意味全国のモデルとなるような山口県方式の確立に取り組んでほしいと思っています。
私が、未だに不可解なのは、学習指導要領において部活動は、生徒の自主的、自発的な参加により行われるもので、教育課程外の学校教育活動と位置付けられ、一般論的な意義についての言及はあるものの、それ以上何も具体的な記述がないことであります。
因みに、生徒たちの部活動加入状況を調べますと、本県では中学生は、72.5%が運動部に、18.8%が文化部に加入しております。高校生は、51.9%が運動部に、37.2%が文化部に加入しております。運動部と文化部を併せれば、中高ともに約90%の生徒が部活動しています。また、ほとんどの先生方は、どこかの部の顧問等になっておられるようです。
こうしたことから明らかなのは、部活動が、中学・高校の学校教育において大きなウェートを占めているという事実であります。
この部活動で特に運動部について、本年2月に「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」の案が示され、週当たり2日以上の休養日を設ける、1日の活動時間は、長くても平日では2時間程度とする等の内容となっております。こうした動きは、安倍政権が最重要課題として取り組んでいる働き方改革と関連するものと思われます。確かに先生方の働き方改革への取り組みは、大事ですが、部活動の学校教育における位置づけを、単に生徒たちの自主的、自発的参加に応えるものとしただけで、その在り方についての考えを明確にしないまま、先生方の働き方改革の観点から部活動に時間的制限を設けようとすることに対しては、疑問を持つものであります。
そこでお尋ねです。私は、本県が、部活動の在り方についての考えを明確にした上で、教師の働き方改革と部活動を両立させる山口県方式の確立に取り組むことを期待するものですが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
この度、県の財政運営について質問することにしたのは、素朴な疑問と一つの思いからです。素朴な疑問とは、平成29年度から33年度までの5年間で、1350億円もの財源不足が見込まれているという事態に対してです。一つの思いとは、年が明けたら2期目に挑戦する村岡県政が、決して縮み志向に陥ってはならないという思いです。
1350億円もの財源不足に対する疑問は、その根拠が明らかでないからです。本県の財政に関する数値を見ますと、示されている巨額の財源不足を生ずるような要因は、見当たりません。
本県の一般会計の決算は、昭和40年度以降で赤字になったのは昭和51年度だけで、ほかの年度は全て黒字決算です。 また、平成19年に成立した「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」、所謂「健全化法」が定めた財政指標である「健全化判断比率」は、平成21年度以降の決算で山口県の状況を見ますと、早期健全化基準を毎年下回っており、県財政の健全性は保たれています。
県債償還に充てる公債費から新規県債の発行額を引いたプライマリーバランスは、決算ベースで見ると県が公共事業等の財源として発行した一般分においては、平成15年度から黒字となっていますし、地方交付税の振替措置として発行された臨時財政対策債等の特別分を含めた県債全体においては、平成24年度以降は黒字となっており、平成28年度は、228億の黒字であります。
県税収入を決算の収入済額で見ますと、平成22年度が1462億円であったのが、その後、年々増加して、平成27年度、28年度は1700億円台となっています。世界経済は、来年以降も堅調で拡大基調が続く見通しですので、大きな政治的、経済的な波乱がない限り、県税収入の大幅な落ち込みはないものと思われます。
主要な一般財源の一つである地方交付税の交付額を見ますと、平成21年度以降、本県の基準財政需要額を満たすために必要な額が、ほぼ交付されています。総務省は、8月末に平成30年度の地方財政についての考え方を明らかにし、「平成29年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保」する旨、表明しています。従って、来年度以降も、国の地方交付税に関する大きな政策変更がない限り、地方交付税による収入は、現行水準が確保されるものと思われます。
本県は、平成20年から24年にかけて「新・県政集中改革」ということで、財源不足対策と行財政運営の基盤づくりに取り組んでいますが、この時は、平成16年度からの「三位一体の改革」により、地方交付税の大幅な減額が行われたこと、また平成20年秋のリーマンショックに端を発した世界的な金融危機による景気の後退の影響で、県税収入が減少したことなど、財源不足の要因が明らかでした。しかし、今回対応しようとしている財源不足については、その背景となる要因が、明らかでありません。
そこでお尋ねです。県は、本年度当初に、副知事を本部長とする行財政改革統括本部を設け、5年後の平成33年度を目標年度として、1350億円もの巨額の財源不足を解消し、収支均衡した自立・安定的な行財政基盤の確立を図ることを目指して、行財政改革を推進しています。この取り組みが所期の目的を達するためには、県職員の協力と県民の理解が不可欠であります。ついては、そのために資することを願い、先ず3点お伺いいたします。
第一点は、本年度当初、向こう5年間での財源不足額を1350億円と見込んだ根拠についてであります。
第二点は、現時点においても同様の財源不足の見通しを持っているのか、お伺いいたします。
第三点は、この度の行財政改革の目的である収支均衡した自立・安定的な行財政基盤の確立を実現するための課題についての認識と、その課題解決のための基本的方針についてであります。
次に、行財政構造改革の推進についてお伺いいたします。この改革の取り組みは、本県の財政が、恒常的に歳出が歳入水準を上回る硬直化した構造になっているとの認識に立ち、その構造を改めて財源不足を生じない安定した財政基盤の確立を図ろうとするものであると考えられます。
その歳出構造の改革は、総人件費の縮減、公共投資等の適正化、公債費の平準化、全事業の徹底した見直し、公の施設の見直しの5つの柱から成り立っていますが、そのうち総人件費の縮減、公共投資等の適正化、全事業の徹底した見直しに関して思うところを述べ、所見を伺いたいと思います。
先ず、総人件費の縮減についてであります。この取り組みは、一般行政、教育、警察含めて600人以上の定員削減が、その内容であります。平成28年4月1日現在の、県職員数は、18995人です。総務省が地方公共団体の職員数の‟あるべき水準”を検討するための参考指標として作成した定員回帰指標を用いて本県の職員数を算定いたしますと18615人となりまして、本県の職員数は、それを380人上回っています。
従って、総務省が示した算定方式による職員数が、適正水準であるとすれば、定員削減の方向は妥当としても、600人以上の定員削減は、適正水準の職員数から更に220人以上削減することになり、県政の円滑な執行に支障が生じないか気になるところであります。
そこで、お尋ねいたします。総人件費の縮減に向けて職員定員を600人以上削減するとの方針は、県政の円滑な執行という観点からの考慮は充分なされたものであるのか、そうであるとすれば検討段階において、どのような議論、算定を経て導き出されたものであるのか、お伺いいたします。
ことに気になるのは、定員削減が一律に行われて、人手を必要とするところの業務の遂行に、支障や遅れを生じたりしないかということであります。例えば、農業関係では、ほ場整備の事業を加速化していくことが、本県農業を守っていく上において重要と思われますが、こうした事業は、地元関係者の様々な権利関係を調整しながら計画を策定し整備を進めていくものであることから、その事業量に応じた人員の確保が不可欠であります。ついては、定員削減の実施に当たっては、そのような人員の確保を必要とする各種県事業の執行に、支障や遅れが生ずることがないようにしていくことが求められると考えますが、このことにつき、併せご所見をお伺いいたします。
次に、公共投資等の適正化についてであります。これは普通建設事業に分類される公共事業等の県負担額を10%削減しようとするもので、そのことによる一般財源への効果は、計画期間の5年間で30億円と見積もられています。このことにより、その公共事業費が実際どれほど縮減されることになるのか明らかでありませんが、ここ20年間続いている公共事業費の削減が、向こう5年間更に進むことになります。
本県における道路・河川整備や土地改良事業などの公共事業費(県営建築事業費を除く)のピークは、平成9年度の1967億円であります。それが、今年平成29年度は、701億円でありますので、ピーク時約2000億円のほぼ3分の1近くまでそうした公共事業費は減っています。
産業・生活インフラである道路・河川、橋梁、港湾、学校、公共施設等の建設整備及び維持補修は、産業を振興し生活環境の向上を図っていく上において必要不可欠な公共事業であり、将来への投資であります。無駄な公共事業をなくしていくことは当然のことでありますが、今日の公共事業費の減りようは、必要な公共事業の実施を困難にしている感があります。
そこでお尋ねです。この度の行財政構造改革に伴う公共事業費の縮減は、村岡県政が目指す「活力みなぎる山口県」を実現するための産業・生活基盤の整備促進を制約することになりやしないか懸念されますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
次に、全事業の徹底した見直しについてであります。この事業見直しの取り組みは、本年9月の行財政改革統括本部の会議において、その時点での見直し状況が明らかにされていまして、1260に上る県事業のうち、その81.5%にあたる1027事業が見直しの対象になっており、うち休廃止対象事業が171事業あります。
見直しについては、改革の期間中に事業を休廃止するもの、事業を縮小するもの、事業の効率化を図るものの三つの方向性が示されていまして、その対象となった個別事業は、見直しの方向性に沿って、行財政改革統括本部の推進室が各部局と調整を行い、予算に確実に反映していくこととされています。
私は、こうした事業見直しの取り組みを評価するものであります。ただ思いますに、こうした取り組みは、改革期間中だけに集中するのではなく、これを制度化して、常時不断にやっていくようにすべきであると考えます。即ち、一定の年限を経た県事業は、全て見直しの対象にして、常に事業の新陳代謝がある県政にしていくことが、「活力みなぎる山口県」のあるべき姿の一つの実現になるのではないでしょうか。この度、統括本部が、「全事業の見直しについて」ということで示している趣旨、検証の視点、見直しの方向性は、そうした取り組みを実施する上において、踏まえるべき基本的事項を的確に打ち出しており、継承されるべき内容であると見ております。
そこでお尋ねです。この度の行財政構造改革に伴う県事業の見直しは、改革期間中だけではなく、常時不断に行われるようにしていくべきであると考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。