平成26年6月定例県議会【産業戦略】(3)食品産業の育成支援について

(3)食品産業の育成支援について

本県の農業や漁業の振興を将来に向けて展望する時、産業戦略上、重要な政策課題の一つは、県産の農産物や水産物を主原料として使用する食品産業を伸ばし、輸出産業にしていくことであると考えます。そこで、食品産業の育成支援ということで、そうした方向での政策課題の解決に向けて取り組むべき施策についてお伺いいたします。
その1は、「やまぐちブランド」についてであります。「やまぐちブランド」は、味や品質に優れる県産の農林水産物及び主な原料が県産100%の加工品を、独自の基準で厳選したもので、現在56の商品が「やまぐちブランド」として登録されています。
この「やまぐちブランド」の登録商品は、いわば県内産品の代表選手ともいうべきもので、それが県内はもとより全国の消費者に認知され、評価されるようになり、ブランド登録商品だけではなく、山口県の産品すべてのイメージアップにつながることを期待するものであります。
そこで、この「やまぐちブランド」というブランド戦略は、数的拡大と併せ質的向上の両面で展開されることが望まれます。「やまぐちブランド」の数的拡大ということでは、平成28年度までに登録商品数を100にするという目標が示されています。私は、このことと併せ、「やまぐちブランド」の質的向上ということで、「やまぐちブランド」登録商品を、「日本ブランド」の商品にしていくという方向での取り組みを期待するものです。
現在、「やまぐちブランド」として登録されている商品56のうち、20は加工食品でして、農産加工品が13商品、水産加工品が7商品であります。これら登録の加工食品が、「日本ブランド」の商品として認知、評価されるようになっていくことが、本県の食品産業の育成支援に大きなプラス効果をもたらします。
そこでお尋ねです。昨年スタートした「やまぐちブランド」は、県産農水産物を主原料とする食品産業を育成支援する上からも有効な施策であると見ておりますが、登録商品については、数的拡大と併せ、質的向上を図っていく必要があると考えます。ついては、このブランド戦略を、今後どう展開していくお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。
次にその2,六次産業化の支援についてであります。農業や水産業の六次産業化を進め、これを発展させていく取り組みは、地元県産の農水産物を主原料とする食品産業の発展を包含しております。
このような農水産業の六次産業化を進めていく上で重要なのは、食品加工部門の質的向上であって、そのためには技術的支援が適切に行われることが必要であります。本県では、食品企業に対する研究開発や生産技術の支援ということでの仕組みや体制は、充実したものになって来ているように思われますが、同様に本県の農水産業の六次産業化を本格的に進展させていくために、特にその食品加工部門への技術支援が、適切に充分行われるよう体制強化を図る必要があると考えます。つきましてはこのことにつき、ご所見をお伺いいたします。
次にその3は、輸出への取り組みについてであります。先ず、国の取り組みですが、農林水産省は、農林水産物・食品の輸出額を、現在の約4500億円から、2020年までに1兆円規模に拡大する方針を打ち出し、その目標達成に向けての国別・品目別輸出戦略を、昨年8月に策定して推進しております。その輸出戦略によりますと、最も大きなウェイトを占めるのは加工食品で、現在の輸出額1300億円を、5000億円まで拡大する内容となっております。
この国の農林水産物・食品輸出促進戦略の一翼を、当然に本県も担うべきであると考え、以下3点お伺いいたします。
第1点は、本県の農水産物・食品の輸出の現状と課題、そして今後の取り組み方針についてであります。輸出の現状については、農産物、水産物、そして加工食品の内訳もお示しください。
第2点は、「やまぐちブランド」の輸出についてであります。先に、「やまぐちブランド」を「日本ブランド」へ、ということを申上げましたが、それは当然に輸出を想定してのことです。この場合、主力となるのは農水産物の加工食品であると思われます。「やまぐちブランド」の加工食品が、輸出商品として成長していくことは、その主原料となる農水産物を供給する県内の農家、農業法人、漁業者等に安定的収入をもたらすことになり、当然に目指すべき方向です。
また、県内の食品産業が、これから大きく成長していくためには海外にマーケットを求めていかなければなりません。「やまぐちブランド」の加工食品には、そのために輸出を通して海外に市場を獲得していくリーディング・プレイヤーとしての役割を果たしていくことが期待されます。
そこでお尋ねです。「やまぐちブランド」加工食品を、輸出商品に育てていくことが重要と考えますが、このことに今後どう取り組まれていくのか、ご所見をお伺いいたします。
第3点は、ミラノ博についてであります。来年5月から10月まで、イタリアのミラノ市で開催される「ミラノ国際博覧会」の日本館に、本県は5月の24日から27日までの4日間、出展することになりました。この博覧会は、「食」が中心テーマとしてあるようですので、この博覧会への出展は、本県の農水産物や食品を、全世界へ発信し輸出に繋げていく絶好の機会であります。
ついては、このミラノ博覧会の出展にどう取り組まれる方針なのか、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎知事(村岡嗣政君)
合志議員の御質問のうち、私からは食品産業の育成に関する数点のお尋ねのうち、やまぐちブランドについてお答えします。
本県の農林水産業を成長させていくためには、県産農林水産物の需要拡大が不可欠であり、その牽引役として、味や品質にすぐれ、全国に誇れるやまぐちブランドの取り組みを推進しているところです。
お示しのとおり、現在、二十の加工食品を含め五十六商品が登録され、流通加工関係者からも高い評価を得ていることから、「やまぐち産業戦略推進計画」におけるやまぐちブランド等の販路拡大プロジェクトを拡充し、今後、その取り組みをさらに強化することとしています。
具体的には、まず、農協や漁協などの関係団体等と協働して、登録商品をさらにふやしていくとともに、大都市圏での山口フェアや食材提案会の開催、取扱店の開拓など、全国的な認知度の向上と販路拡大に努めてまいります。
また、今後はさらなる需要拡大に向けて、海外展開にも積極的に取り組むこととし、台湾を初めとしたアジアに向けた県産農林水産物の加工品の輸出拡大を進め、さらにはミラノ博覧会において、本県の「食」の魅力を発信してまいります。
さらに、近年、六次産業化・農商工連携が注目され、農林漁業者や中小企業者からの相談がふえていることを踏まえ、このたびやまぐちブランドの育成にもつながる六次産業化と農商工連携を一体的に取り組むこととしました。
具体的には、総合的に支援する窓口を一元化し、魅力ある新商品開発への単県補助制度を創設するなど、全国に先駆け、相談から商品開発、販路拡大までを切れ目なく支援する体制を構築してまいります。
私は、こうした取り組みを通じ、やまぐちブランドを初め、本県のすぐれた農林水産物を活用した食品産業の育成を支援し、農林水産業の活力向上に取り組んでまいります。
その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

【回答】◎農林水産部長(野村雅史君)
食品産業の育成支援についてのお尋ねのうち、六次産業化の支援と輸出への取り組みについてお答えをいたします。
まず、六次産業化に関して、食品加工部門への技術支援についてのお尋ねです。
魅力ある新商品の開発を行う六次産業化を進めるためには、お示しの技術支援が必要と考えております。
このため、加工食品の開発等の研究を行う県農林総合技術センターや、食品の製造・保存等の技術を支援する県産業技術センター、さらには産学公で構成する新商品開発などのアドバイスを行う山口県食品開発協議会などがしっかり連携しながら、魅力ある新商品の開発に向けた技術支援に努めてまいります。
次に、輸出への取り組みについてであります。
まず、お尋ねの本県の農水産物・食品の輸出額については、生産地別の統計はありませんが、財務省の貿易統計によれば、県内の港からの平成二十五年の輸出額は約七十一億円で、そのうち農産物は約二億円、水産物は約三十五億円、加工品は約三十四億円となっております。
また、課題と今後の取り組み方針については、国ごとの規制や食文化の違いなどさまざまな課題があることから、国に対する検疫などの規制緩和の要望を実施するとともに、関係機関と緊密に連携しながら、アジア等に向けた輸出拡大にも取り組んでまいります。
次に、やまぐちブランドの加工食品を輸出商品にどう育てていくかとのお尋ねです。
やまぐちブランドの加工食品を輸出商品とするためには、商品の魅力向上を図るとともに、販路開拓が重要であると考えております。
このため、国の輸出戦略の動向等を注視しながら、ジェトロ山口などと連携し、台湾での日本酒と県産食材を組み合わせたフェアや、アジア各国からのバイヤーを招聘しての商談会を実施するなど、新たな海外の販路開拓にも取り組んでまいります。
最後に、ミラノ国際博覧会への出展については、本県の農水産物や食品のすばらしい魅力を世界に向けて発信することとしています。
このため、先般、農林水産や商工、観光など、庁内関係部局で構成するプロジェクトチームを設置したところであり、今後、関係団体等の協力も得ながら、具体的な出展内容の検討を進めてまいります。
次に、酒米の産地拡大についての数点のお尋ねにお答えをいたします。
まず、やまぐち農林水産業再生・強化行動計画の中に、酒米の生産拡大を新たに加えるべきとのお尋ねであります。
米の消費量が減少する中で、本県の水田農業を振興するためには、需要と結びついた品目の生産拡大を図ることが重要であります。
このため、需要が急増している酒米の行動計画への位置づけについては、新たな県政運営の指針となる未来開拓チャレンジプランの策定状況を踏まえ、検討してまいります。
次に、酒米の作付面積の拡大目標については、当面、酒造組合からの要望量を目標とし、種子の緊急確保を図るとともに、栽培適地を確認しながら、集落営農法人を中心とする新たな産地育成に取り組むなど、可能な限り作付面積の拡大に努めてまいります。
次に、栽培技術の指導についてです。
酒米栽培には高度な技術を要することから、新たに県内十一カ所に栽培実証圃を設置し、収量や品質向上のための技術確認を行うとともに、栽培経験の豊富な農家や指導者による現地研修会の開催など、指導体制の強化に緊急的に取り組んでまいります。
次に、農業機械や施設の整備についてですが、まずは国の事業の導入が可能となるよう、農地の集積による一定規模以上の産地育成に取り組んでまいります。
次に、技術を習得するまでの一定期間収入を保証する等のリスク軽減対策についてです。
一般的には、良質の酒米は食用米よりも高値で取引されており、当面、初年度から一定の収量や品質が確保できるよう技術指導を徹底することで、経営の安定化を図っていく考えです。
最後に、西都の雫の産地拡大についてです。
西都の雫は、農林総合技術センターと産業技術センターが協力して育成した県オリジナル品種であり、その品質は高い評価を受け、需要が急増していることから、奨励品種化も検討しながら、主産地である下関市において増産を図るとともに、気象災害等のリスク分散のため、岩国市を初め蔵元に近い地域で新たな産地を育成してまいります。
県としましては、生産者団体や酒造組合と緊密な連携を図り、急増する県産酒米の需要に的確に応えられますよう、産地拡大に全力で取り組んでまいります。

2014年6月30日

平成26年3月定例県議会(1)知事の政治姿勢について

(1)知事の政治姿勢について

村岡新知事に、先ずお祝いを申し上げます。県知事選挙での御当選、そして山口県知事御就任、誠におめでとうございます。
地方自治の仕事を、国の立場と地方の現場と双方で経験したキャリアを持ち、その優れた能力と資質で将来を嘱望されていた国の官僚としての地位をなげ打って本県のために身を投ぜられた村岡知事の決断に、改めて敬意と感謝の意を表し、山口県政史に名知事としての名を残す今後のご活躍を期待するものです。
さて、若き知事を得て山口県政は今、新たなスタート地点に立ちました。村岡新知事就任とともに始動し始めた県政が、県民の期待に応えて、順調かつ円滑に発展軌道に乗っていくためには、執行部と議会が、県政の目的と課題を共有し、それぞれの役割をしっかり果たしていくことが重要でありまして、県議会も県民の代表として、新知事のお考えをしっかり受け止めて政策論議をしていくことが求められます。
ついては、村岡知事は、これからどういう政治姿勢で県政運営に当たられるお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎知事(村岡嗣政君)
合志議員の御質問のうち、私からは、政治姿勢についてのお尋ねにお答えいたします。
山口県は今、全国よりも早いテンポで人口減少や少子・高齢化が進むなど、大変厳しい状況にあります。私は、そうした目の前の困難に対して臆することなく、県民の皆様の力を結集し、未来を拓く「突破力」で、これらの障壁を克服していきたいと考えています。
そのために、私は、こうした課題を解決していくための基本的事項として、「地域経済の活力を高めて、山口を元気にする」「未来を担う「人」を育てる」など、五つの政策の柱を掲げるとともに、これらを着実に推進するため、今後の山口県の目指すべき姿を示す中期的なビジョンを策定することとしています。
このビジョンの策定は山口県の方向性を決める重要なことでありますから、策定に当たりましては、私は、県民各界各層の御意見をしっかりとお聞きするとともに、県議会における議論も踏まえながら、県政の課題に的確に対応できるものにしていきたいと考えています。
私は、執行部と議会は、県民の負託を受け、県政を推進する車の両輪であると認識しており、お示しもありましたように、県民の御期待に応えるため、県政の目的と課題を共有しながら、県政運営に努めていきたいと考えておりますので、何とぞ御理解、御協力をよろしくお願いいたします。
その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

2014年3月30日

平成26年3月定例県議会(2)上関原発建設計画の転換について

(2)上関原発建設計画の転換について

上関原発の建設計画は、最先端の石炭火力発電所の建設計画に転換すべきであると考えます。
3.11の福島原発事故以後、上関原発の建設は事実上不可能になりました。
原発による町興しの旗印を掲げて原発誘致に多年にわたり変わることなく取り組んできた上関町、そして上関原発の建設を最重要の電源確保のための事業と位置づけ多くの労力と資金を投入してきた中国電力は、今なお国のエネルギー政策において上関原発の建設計画が位置づけられることを期待し、その実現を目指す姿勢に変わりはありません。
しかし、本年度内に閣議決定される予定の新たな国のエネルギー基本計画では、「原発依存度を可能な限り低減させる。」という政策の方向性が明記される見通しであります。このことが単なる言葉の上だけのジェスチャーではなく、福島原発の過酷事故を真摯に踏まえての政策意思の表明であるならば、上関原発の建設計画は、実際上困難になったと見るのが妥当だと思います。
勿論、上関原発の建設を、原発依存を減らす方向の中に位置付け、その意義を主張することも可能であります。上関は、我が国において原発の新設が可能な最後の場所と思われることから、それが建設されても長期的には原発依存を減らすという方向に変わりはなく、将来にわたってのエネルギーの安定的確保のために、そうすべきだとの見方も成り立つからです。
しかし、そうした考えは、今日の国民意識と大きく乖離しており、電力事業者の論理としては成り立ち得ても、国民意識と不可分の政治の論理とは成り得ず、政治判断に基づき国策民営で推進されてきた原子力発電の事業において、実現の見通しは殆どないといっても過言ではありません。
現在、11基の新規原発の計画がありますが、原発依存を減らすという方向の中で受け入れられる可能性があるのは、常識的に見て大方の建設が完了している島根3号機および建設の進捗率が4割近くの大間原発までだと思われます。上関原発の建設計画も、当然この新規原発の計画に含まれていますが、以下三点の理由により、繰り返し申し上げますように建設計画が受け入れられる可能性はないと見ております。
理由の第一は、上関原発は、新設の建設計画であるということです。原発の新規立地は、新設、増設、建て替えの三通りが考えられます。増設は、1号機、2号機の原発があるところに3号機を建設するというケースであり、建て替えは、1号機の原発が廃炉になった後に新規に原発を建設するといったケースであります。新設は、既存の原発がないところに全く新たに原発を建設するケースであり、上関原発の建設計画がこれに相当します。原発依存を減らすという方向の中で、許容される新規の原発があるとすれば増設ないし建て替えが限度で、新設はあり得ないと考えます。
理由のその2は、上関原発は未着工であるということです。上関原発は、準備工事の段階であり、未だ設置許可はおりておらず未着工であります。原発依存を減らすという方向に、未着工の新規原発の建設はあり得ないと考えます。尚、未着工の新規原発建設計画は8基ありますが、その中で新設は上関原発の計画だけで、他はすべで増設であることを付言しておきます。
理由のその3は、上関原発は、中国電力の原発依存度を大きく高めるということであります。平成23年度の中国電力における原子力発電の電源構成比は、8%ですが、島根3号機が稼働するようになると、これが16%ほどとなり、加えて上関原発の1号機、2号機が計画通り稼働するようになると、原発の電源構成比は30%になる見通しであります。これは、福島原発事故の前年、平成22年6月に策定されたエネルギー基本計画、それは2030年までに総発電量の5割を原子力発電とするという原発拡大路線の内容となっていまして、福島原発事故以後白紙に戻して見直すこととされたものですが、その計画にある原子力発電の目標を中国電力管内において実現することになります。かかることが、原発依存を減らすという方向の中で許容されるものでないことは明らかであります。
縷々申し上げましたが、これを一言に要約すれば何度も申し上げますように、「上関原発は、建設出来ない。」ということであります。安倍総理が、昨年の暮12月27日の山口放送の番組で、上関原発など原子力発電の新規立地の見通しについて、「過酷事故を経験した。今は考えていない。」と述べたのも、同様の認識があってのことだと推察されます。
では、上関原発の建設計画はどうしたらいいのか。私は、石炭火力への転換を検討すべきだと思います。石炭火力発電は、CO2の排出量が多いという問題があると一般的には見られています。ところが現在、石炭火力の発電効率を上げてCO2の排出量を減らし、究極的にはCO2の排出をゼロにするという地球温暖化対策にも適合した石炭火力発電の実用化に向けた実証実験の事業が行われています。
この事業に取り組んでいるのは、広島県大崎上島町にある大崎クールジェン株式会社で、中国電力と電源開発株式会社が折半出資で設立した会社であります。私は、先般この会社を訪ね、大崎クールジェンプロジェクトと称して取り組まれている事業概要の説明を受け、建設中の実証試験施設を視察してまいりました。
このプロジェクトは、第1段階が平成30年度までで、石炭ガス化複合発電(IGCC)の実証実験を行います。現在、石炭火力のほとんどは、石炭を破砕して微粉炭にし、これを燃焼させる微粉炭火力発電方式ですが、IGCCは、石炭をガス化してガスタービンによる発電を行うとともに、その排熱を利用して蒸気タービンによる発電を複合して行うことにより高効率の発電を実現するものであります。IGCCには、石炭ガス化炉に酸素を吹き込む方式と空気を吹き込む方式の2種類ありますが、ここでは酸素吹IGCCの実証試験を行います。
第2段階は、第1段階の酸素吹IGCCに、CO2分離・回収設備を追設して、CO2ゼロエミッション発電の基盤となる実証試験を行うものです。期間は平成28年度から30年度までの予定です。
第3段階は、酸素吹IGCCに、石炭ガス化で生じた水素を燃料とする燃料電池を組み合わせた発電、これを石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)と申しますが、このIGFCによる発電をCO2分離・回収型で行おうとするもので、究極の高効率発電とCO2ゼロエミッションを目指す実証試験であります。期間は平成30年度から34年度までの予定です。
中国電力は、この実証試験を経て実用化の見通しが立ったならば、旧来の石炭火力発電所を、このIGCCもしくはIGFCの石炭ガス化複合発電所に更新していくことを計画していると思われますが、実際上計画実現が困難となった上関原発の建設予定地に、CO2分離・回収型IGCCもしくはIGFCを建設することを検討すべきではないでしょうか。
このことを、私に示唆されたのは、一橋大学の橘川武郎教授です。橘川教授は、電力事業を含め我が国の産業史に詳しく、国のエネルギー基本計画策定のために設けられた有識者会議、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の委員であります。私は、昨年秋この橘川先生を訪ねたのですが、その際新たに策定予定のエネルギー基本計画においては、「個々の原発計画について、どうすべきか判断できる基準となるものを示す内容とはならないであろう。」との見通しを述べられました。また、上関原発の建設計画については、その実現が困難との認識から、「中国電力は、元々石炭火力が強い。これまで原発建設に向けて協力してきた上関町のためには、世界最先端の石炭火力発電所をつくるのがいいのではないか。」との趣旨を語られ、酸素吹IGCCのことを紹介されました。
この話を聞いた後、私はその可能性をこの目で確かめたく、上関の原発建設予定地を視察し、IGCC、IGFCの実証試験施設の建設現場を訪ねた次第です。そして、素人目ではありますが、「中国電力がやる気になれば、上関の原発建設予定地に、石炭ガス化複合発電所、即ちIGCCもしくはIGFCを建設することは可能である。」との結論に至りました。
現在、我が国で実用化されている最高効率の石炭火力発電は、USCと言われる微粉炭式石炭火力発電で、従来の石炭火力では、発電効率が36%程度だったのが、USCでは41%まで向上し、燃料費とCO2の排出量が、1割以上低減されています。
2008年の主要国の電源別発電電力量構成比を見ますと、石炭火力の割合は日本は26.8%ですが、人口第一位の中国は78.9%、第二位のインドは68.6%、第三位のアメリカが49.1%でありまして、世界の中で人口上位3カ国において石炭火力発電の割合が高いことがわかります。しかも、この三カ国の石炭火力の発電効率は、我が国の石炭火力と比べると低いので、この三カ国に、USCのような日本で運転されている最新式の石炭火力発電が普及すれば、CO2排出量が年間13億4700万トン削減されると試算されています。
これは、鳩山元首相が、国連で2020年までに、我が国のCO2排出量を、1990年比で25%削減すると公約した量(3億2千万トン)の4倍強、1990年の日本の温室効果ガス総排出量の107%に相当します。先ほど紹介しました橘川教授は、このことを指摘して、我々が直面しているのは、「日本環境問題」ではなく「地球環境問題」であるから、我が国の世界トップレベルの石炭火力発電技術の海外移転を推進して、鳩山公約以上の地球温暖化防止に向けたCO2排出量の削減に、我が国は貢献すべきであると主張しておられます。
そのことはともかく、私が注目するのは、かように世界の中で抜きんでている我が国の石炭火力発電技術を、更に進化させて一層の高効率発電と低炭素化を実現しようとするのが、大崎クールジェンプロジェクトであるということです。先に触れました最新の微粉炭火力発電USCの発電効率は41%でありますが、このプロジェクトではIGCCでこれを48%までに、IGFCでは更に55%まで高める実証試験に取り組んでいます。発電効率が高まればCO2の排出量も低減されて、IGFCは、USCに比してCO2の排出量が25%削減される見通しです。しかも、その上で排出されるCO2は、全て分離・回収してゼロエミッションを実現することを、このプロジェクトは目指しています。
現在も、世界の電源の主力は石炭火力であり総発電量の4割を占めています。しかも、石炭は、人類社会の需要に向こう100年以上応え得る埋蔵量があると見做されていることから、このプロジェクトで取り組まれている石炭火力発電技術の実用化は、地球温暖化対策とエネルギー安定供給の両立を実現するものであり、21世紀の人類社会に希望と光明をもたらすものであります。
以上申し上げましたことを踏まえ、三点ほどご所見をお伺いいたします。

第一点は、中国電力への要請についてであります。
新たに策定予定の国のエネルギー基本計画では、「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。」と記されており、上関原発の建設計画を、高効率の石炭火力発電の建設計画に転換することは、国の新たなエネルギー政策に沿うものです。また、先の県知事選挙で読売新聞が行なった世論調査では、上関原発に関しては、「建設を中止すべき」が45%、「建設を凍結すべき」が29%、「建設を続けるべき」が17%で、74%が上関原発の建設には否定的との結果が出ており、原発から高効率・低炭素石炭火力への計画転換は、こうした県民の意識に応えることになると思われます
そこでお尋ねです。県は、中国電力に対して、上関原発の建設計画を、大崎クールジェンプロジェクトで実用化予定の石炭火力発電所の建設計画に転換するよう要請し促すべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

第二点は、国への要望についてであります。
上関町の原発建設計画が、石炭ガス化火力発電の計画に転換された場合は、懸念されることは原発立地予定の自治体ということで交付されていた電源三法による交付金が途切れることであります。電源三法交付金が交付されるのは、原子力・水力・地熱の発電所の立地が予定されている自治体であり、今後新たに計画される火力発電所については、立地地点が沖縄県にある場合しか交付されません。
従って、現行の電源三法交付金制度のもとでは、原発計画が火力発電に転換された場合、上関町は、財源の面から住民福祉サービスや行政水準を維持していくことが困難になります。
そこで、私が訴えたいことは、上関町のように国のエネルギー政策に協力してきた自治体の原発建設計画が、別の電源による計画に変更された場合、それが国のエネルギー政策の方向に沿うものであれば、電源三法交付金制度の適用は、継続されるべきだということであります。
電源三法交付金制度は、原子力・水力・地熱による発電というCO2を排出しない発電用施設を、原則として交付対象にしていますが、これに大崎クールジェンプロジェクトで実用化予定の高効率・低炭素の石炭火力発電所も含めるようにすることは、広い意味で電源三法が目指す方向に沿うものであり、且つ新たに策定予定の国のエネルギー基本計画が、原発依存度を可能な限り低減させるとして、再生エネルギーの導入とともに火力発電所の効率化を挙げていることから、新たな国のエネルギー政策に対応した措置として当然に検討されてよい改正の方向であります。
ついては、県は、電源三法交付金制度の交付対象となる発電用施設に、高効率・低炭素の火力発電所も含めるよう、制度の改正を国に要望すべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

第三点は、公有水面埋め立て免許の延長申請についてであります。
来月、4月11日には、一年間県の判断が先送りされた上関原発建設用地整備のための公有水面埋め立て免許延長申請に関する補足説明の回答期限が来ます。結論から申し上げて、県はこの延長申請を不許可とした上で、中国電力の原状回復義務を免除することが、法の趣旨に則り、且つ現状に適合した対応として望ましいと考えます。
中国電力は、平成24年10月5日に免許延長申請をした際の報道資料において、「この申請の目的は、当面の現状維持であって、準備工事を直ちに進めようとするものではない。」旨、明らかにしております。
察するに、中国電力は、上関原発の建設計画を進めていくという方針に変わりはないということを内外に示す意味と、国のエネルギー政策の動向等も含めて、実際建設計画を進めることができるかどうか判断できる状況が整うまでの間、現状維持を確保したいということで、埋立免許の延長申請をしたのだと思われます。前者は、延長申請をしたこと自体で目的を達していますし、原状回復義務が免除されれば、現状維持という後者の目的も達されます。また、埋立免許の失効は、将来の新たな免許を受ける可能性を排除するものではありません。
ついては、上関原発の建設計画に係る公有水面埋め立て免許の延長申請は不許可とし、原状回復義務は免除することが望ましいと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎商工労働部長(木村進君)
上関原発建設計画の転換について、二点のお尋ねにお答えします。
まず、中国電力への要請についてです。
お示しのありました石炭ガス化複合発電(IGCC)や、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)は、次世代の高効率な石炭火力発電技術であり、平成二十五年六月に閣議決定された日本再興戦略において、IGCCは二○二○年代、IGFCは二○三○年代の実用化を目指すとされています。
しかしながら、これら次世代の石炭火力発電技術が実用化される段階において、商業用発電施設として活用してくのか、また、どの地点に計画するのかについては、電気事業者である中国電力みずからが判断されるものと考えています。
したがって、県としては、中国電力に対し上関原発計画を石炭火力発電に転換するよう要請し促す考えはありません。
次に、国への要望についてです。
電源三法交付金は、発電用施設の設置及び運転の円滑化に資することを目的として、発電用施設の周辺地域における公共用の施設の整備、その他の住民の生活の利便性の向上及び産業の振興に寄与する事業を促進するために交付されるものです。
お示しのとおり、火力発電所の立地については、制度の対象外となっていることは承知しておりますが、上関町は、原発立地によるまちづくりを進めたいという政策選択をされており、県としては、上関町の政策選択を尊重するという立場で対応していますので、国に制度の改正を要望する考えはありません。

【回答】副知事(藤部秀則君)
私からは、上関原発建設計画の転換についてのお尋ねのうち、公有水面埋立免許の延長申請についてお答えいたします。
このたびの申請が適法なものであり、埋立免許権者である県には、事業者の主張について審査を尽くす責務がありますことから、現在、審査を継続し、事業者である中国電力に対し、補足説明の照会を行っているところであります。回答が提出された段階で、その内容をよく精査し、これまでの審査状況等も踏まえ、法に基づき適正に審査していく考えであります。
こうした審査を行った結果、法上の要件である正当な事由の有無を判断できるようになれば、埋立免許権者として、許可・不許可の行政処分ができるものと考えており、その回答の提出がない現時点において、すぐに許可・不許可の行政処分の判断を行うことは考えておりません。
なお、仮に埋立免許が失効した場合における原状回復義務につきましては、行政処分の段階で、法の規定に基づき適切に対応していくことになります。

2014年3月30日

平成25年11月定例県議会(1)観光力の増強について

(1)観光力の増強について

「秋吉台の地質構造を知ることは、日本列島の生い立ちを知ることになる。」、秋吉台科学博物館発行の「秋吉台3億年」には、こう記されています。
美しい広大なカルスト台地である秋吉台は、その地下に秋芳洞をはじめとする450もの鍾乳洞を蔵しており、学術的価値の高い自然の景勝地として、山口県を代表する観光地になっております。
山口県観光客動態調査によれば、昨年平成24年の県外からの観光客数第一位の観光地は秋吉台・秋芳洞で、694,884人県外から訪れています。以下県外からの観光客数ベストファイブをご参考までに紹介いたしますと、 第二位が岩国市の錦帯橋で649,062人、第三位がしものせき水族館「海響館」で470,884人、第四位が山口市の瑠璃光寺五重塔があります香山公園で466,791人、第五位が萩の松陰神社で450,704人となっております。 次に、インバウンド即ち海外からの観光客の動態を市町別に見れば、県内ビッグスリーは岩国市、山口市、美祢市でして、平成24年は美祢市が第一位で24,988人の外国人観光客が美祢市に訪れています。 その殆どは、秋吉台・秋芳洞を観光したであろうことは想像に難くありません。
このように秋吉台・秋芳洞が、今日も本県を代表する観光地であることに変わりはありませんが、かって年間200万人もの観光客が訪れて賑わっていた当時と較べると、現状はいささかさびしい感がいたします。
この景勝に優れ、学術的価値の高い秋吉台・秋芳洞に、かっての賑わいを回復することができれば、美祢市のみならず近隣の山口市、長門市、萩市、下関市、宇部市、ひいては岩国市を含む全県の観光力アップ、 経済活性化に繋がると見ております。県内で最も離れている岩国市との関連では、昨年12月に開港した岩国錦帯橋空港の復路の利用者の1割強は目的地が美祢市であり、秋吉台、秋芳洞等への観光客であることがうかがわれます。
県が今年の10月に策定した「やまぐち観光推進計画」を見ますと、本県観光の課題として「観光ポイントが分散」していることを指摘していますが、観光地としての評価、実績においても、 地理的位置が県内各地の観光地と観光ルートを組み合わせやすい点においても、秋吉台・秋芳洞を県内観光の核となるポイントとして育てていくことが、山口県全体の観光力増強に繋がるのではないでしょうか。
そこで、本県の観光力増強に向けてのお尋ねの第一点は、山口県観光の核となるポイントに、秋吉台・秋芳洞を位置づけることについてであります。
秋吉台・秋芳洞は、全国的に知名度があり誘客力ある本県を代表する観光地であります。私は、その秋吉台・秋芳洞への特に県外からの観光客が増えることは、県内各地の観光地が潤うことに繋がると見ております。 県外から秋吉台・秋芳洞の観光に来た人たちは、必ず他の県内観光地をセットで観光すると思われますし、宿泊は美祢市は受け入れ能力が小さいので、 大方は周辺の長門市の湯本温泉や山口市の湯田温泉あるいは萩市等になるであろうと思われまして、秋吉台・秋芳洞と県内観光地はウィン・ウィンの関係にあるからです。
ついては、秋吉台・秋芳洞を県観光の核となるポイントとして位置づけ、時代のニーズに応じた観光地としてのリニューアルとブラッシュアップに取り組むことを、県の観光力増強に向けた戦略の柱の一つにすべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

次に第二点は、ジオパークへの取り組みについてであります。
ご案内のように、美祢市が世界ジオパーク認定に向けて取り組んでいます。
ジオパークとは、「地球科学的に見て重要な自然の遺産を含む、自然に親しむための公園。地球科学的に見て重要な特徴を複数有するだけではなく、その他の自然遺産や文化遺産を有する地域が、 それらの様々な遺産を有機的に結びつけて保全や教育、ツーリズムに利用しながら地域の持続的な経済発展を目指す仕組み」とされています。ジオパークのジオはギリシャ語で、土地、地理、地球などを表す言葉です。
ジオパークには日本ジオパークと世界ジオパークと二通りあり、先ず日本ジオパークの認定を経て世界ジオパークの認定を目指すことになります。日本国内におけるジオパークの評価や認定は日本ジオパーク委員会が行い、 この委員会が、日本ジオパークの認定を受けた地域の中から世界ジオパークの候補を推薦することとなっております。現在、日本国内において世界ジオパークの認定を受けた地域は、京都府・兵庫県・鳥取県の山陰海岸や島根県の隠岐など6地域、 日本ジオパークの認定を受けた地域は、伊豆半島、佐渡、阿蘇など32地域となっております。
美祢市においては、「世界遺産への登録を。」という声もあったようですが、世界遺産とジオパーク双方について議論検討をした結果、世界ジオパーク認定を目指すこととし、平成22年度に策定した「美祢市総合観光振興計画」に、そのことを重点プロジェクトとして掲げました。
その後、平成23年4月に市役所内にジオパーク推進室を設置、翌平成24年3月には、21団体で構成される「美祢市ジオパーク推進協議会」を設立、 この協議会には山口県も宇部県民局長を構成メンバーとする形で参加しております。そして、今年平成25年4月に、日本ジオパークネットワークに加盟申請書を提出、 審査結果は9月に開催された日本ジオパーク委員会において発表されましたが、「拠点施設、パンフレット、解説板等のジオパークを認識できる整備は進んでいない」等との理由で認定は見送りとなりました。
私は、美祢市が世界遺産登録ではなく世界ジオパーク認定を目指すことにされたことを、妥当な判断として評価するものです。美しいカルスト地形を造り、 その地下に秋芳洞をはじめとする巨大な鍾乳洞を育んだ秋吉台は、地球の歴史の中で自然が造りあげた大傑作であり、冒頭紹介しましたように日本列島の生い立ちを知るうえでの貴重な地質構造を、 今日に残している学術的価値が高い自然の景勝地であります。そうした秋吉台・秋芳洞をはじめとする地域の様々な大地の恵みと特質の広がりを、地道ではあっても時の経過とともに着実にブラッシュアップしていく方向として、 世界遺産よりジオパークの方がふさわしい、私は、そう理解しております。
今回は、美祢ジオパークの日本認定は見送りとなりましたが、この地域のジオパークとしての潜在的価値は卓越したものがあり、必ず近い将来、日本ジオパークの認定、そして世界ジオパークの認定に至るものと確信しております。
そして、そのことは結果的に秋吉台・秋芳洞をはじめとするこの地域の観光的価値もさらに高めることになり、ひいては本県観光の底上げにも資することになると思われます。
このような美祢市のジオパーク認定に向けての取り組みに対して、県はこれまで推進協議会の構成メンバーになり、支援の姿勢は取っていたものの、基本的には見守るスタンスではなかったでしょうか。 私は、美祢市のジオパーク認定に向けての取り組みは、県全体の観光力増強にもつながることを認識し、県も支援の姿勢から更に一歩踏み込み、美祢市と共に取り組むということにすべきだと考えます。
そこでお尋ねです。ジオパークの認定は、ジオパークとしての活動や事業がどういうものかということが問われ、そのためのハード、ソフト両面での整備が充分かどうかが審査されることになると思われます。 そうしたジオパークとしてのハード、ソフト両面での整備に、県も美祢市と共に取り組み、必要な役割を担うべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

観光力増強に向けてのお尋ねの第三点は、修学旅行についてであります。
明治維新に始まる近代日本の成り立ちを知る上において、また日本列島の生い立ちを知る上において山口県は恰好な県であります。明治維新に関する史跡は、萩市をはじめ県下各地に豊富にありますし、 自然が3億年にわたって造り上げた秋吉台からは、地球の歴史そして日本列島の生い立ちを学ぶことができます。従って、中学校・高校において特別活動として学校教育の一環に位置付けられている修学旅行の行き先として、 山口県は最も相応しい県の一つだと思われますが、実際はそうなっていません。
財団法人日本修学旅行協会が、平成23年度に実施された中学校の修学旅行に関して実態調査を行っておりますが、それによりますと、都道府県別旅行先順位は、 山口県は第18位で、構成比は0.6%であります。因みに、第1位は京都府で構成比は20.7%、第2位は奈良県で構成比は16.3%です。高校については、平成22年度の修学旅行に関して調査し、 見学先上位20位迄を公表しておりますが、そこには山口県の観光地は一つもなく、また、県の観光客動態調査でもそうした実態は十分に明らかにされていません。高校の修学旅行で特徴的なのは、 見学先上位10位迄に、首里城やひめゆりの塔など沖縄の見学地が6カ所含まれていることです。平和教育と今日主流になりつつある体験学習を含んだ修学旅行の適地として沖縄が選ばれるケースが多いようです。
中学生、高校生の多くが修学旅行で沖縄に行き、沖縄の自然や風土に触れると同時に、戦争の悲惨さ平和の尊さを学ぶことは意義あることで、それはそれでいいことだと思います。 ただ同様に、全国の中高生に山口県に来て明治維新の史跡に触れ、秋吉台・秋芳洞を訪ねてほしい、そして近代日本を築いた先人たちや日本列島形成に至る壮大な地球のドラマに思いを馳せ、立派な日本人に育つ糧にしてほしいと願う次第です。
明治維新の史跡と言えば、萩の松陰神社に在る松下村塾が代表的ですが、下関の桜山神社招魂場も感銘深いものがあります。維新の戦いに命を捧げた396柱の志士たちの御霊が、 偉大な指導者吉田松陰先生から奇兵隊小者弥吉といった名もない者にいたるまで、同じ墓標で等しく整然と祀られている様は、士農工商の身分制を超えた四民平等の近代日本への理念が、 維新の戦いには息づいていたことを今日に伝えています。また、平和教育ということでは徳山大津島の回天基地があり、日本の代表的な木の名橋である岩国の錦帯橋、大内文化を今日に伝える山口の瑠璃光寺五重塔など、 修学旅行で訪ねれば子供たちが喜び感動するであろうと思われるところが本県には多々あり、最近の修学旅行の概ね6割を占める体験学習型も、新たな人気の産業観光も、優れた魅力的なプランを提供することが可能とみております。
そこでお尋ねです。以上申し上げましたことから、当然に本県の観光力増強に向けた大事な課題として、加えて全国の青少年のための教育的貢献という観点から、 山口県は県観光客動態調査による正確な実態把握に努めた上で、修学旅行の誘致にもっと力を入れて取り組むべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎知事職務代理者副知事(藤部秀則君)
合志議員の観光力の増強に関する御質問のうち、私からは、秋吉台・秋芳洞の位置づけについてのお尋ねにお答えいたします。
本県は、観光地が各地域に分散し、名所旧跡の見学観光が多い中で、日帰り・通過型観光へのシフトが進んできております。
このため、県といたしましては、自然や歴史文化を初め食や温泉など、県内各地域の魅力ある多様な観光資源を組み合わせ、それらを十分に生かした広域観光エリアの形成や、テーマツーリズムの推進等により、宿泊滞在型観光への転換を図っていくことが重要と考えております。
お示しの、全国有数の観光地であります秋吉台・秋芳洞につきましても、こうした全県的な観光戦略の展開を図る中で、その再生や魅力向上等を図っていく必要があります。
このため、県におきましては、これまでも、JR西日本との連携による広域観光キャンペーンの展開や、地域資源を生かした地旅づくり等を通じ、また本年度からは、広域観光力強化事業により、秋吉台・秋芳洞の観光地としての魅力向上に向けた取り組みを積極的に支援してきたところであります。
一方、地元美祢市におきましても、総合観光振興計画を策定され、現在、観光振興条例の制定によるおもてなしの強化や、体験型エコツアーの充実など、計画的、重点的な取り組みが進められております。
こうしたことから、県といたしましては、今後とも、各地域で積極的に進められている地元の主体的な取り組みを支援しながら、全県的な立場に立って、全国に向けた観光情報の発信や広域観光ルートの形成、旅行業者等へのセールス活動等を展開するなど、戦略的、効果的な誘客対策の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
県といたしましては、地元市町等と連携を図りつつ、秋吉台・秋芳洞を初めとした本県の多彩な観光資源の魅力を生かし、それらを相乗的に活用しながら、宿泊観光客五百万人の実現に向けた取り組みを積極的に展開してまいります。
その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答えを申し上げます。

【回答】◎総合企画部長(藤井哲男君)
観光力の増強についての御質問のうち、ジオパークに関するお尋ねにお答えします。
秋吉台は、カルスト地形や鍾乳洞など、日本列島の生い立ちを知る上で貴重な地質構造を今日に残す、学術的価値が高い自然の景勝地であり、美祢地域のジオパークの認定は、お示しのように、本県観光力の増強につながるものと考えておりますことから、県としても、これまで、美祢市ジオパーク推進協議会への参画や、認定に係る政府要望を行うなど、美祢市の取り組みを支援してきたところであります。
美祢市では、このたびの認定見送りを受け、再申請を目指すため、組織体制の強化を図るとともに、日本ジオパーク委員会から示された課題の解決に向け、中核的人材の確保育成や、山口大学との連携強化などの取り組みを進めることとされたところです。
県といたしましても、再申請に向けた美祢市の取り組みを総合的に支援していくため、関係部局で構成する山口県美祢ジオパーク支援会議を設置するとともに、県と美祢市、合同でプロジェクトチームを立ち上げ、ハード・ソフト両面にわたる取り組みを協働して進め、県として必要な役割を担ってまいります。

【回答】◎商工労働部長(木村進君)
観光力の増強に関する御質問のうち、修学旅行についてのお尋ねにお答えします。
修学旅行の誘致は、大型の誘客だけではなく、将来的なリピーターの確保や本県観光の認知度、イメージの向上にもつながることから、自然や歴史文化、産業資産など、豊富な学習資源を有する本県におきましては、重要かつ効果的な観光戦略の一つと考えております。
しかしながら、修学旅行先は、近年多様化しつつあるものの、依然として、人気の高い関東、関西地方に集中し、さらに航空機を利用した沖縄や北海道方面のニーズが高まっていることから、本県の魅力を生かした誘客対策の強化が強く求められているところです。
このため、県においては、特に近年、農業や漁業、生活体験など、本格的な参加・体験型の学習ニーズが高まっていること等を踏まえ、平成二十二年に、体験型旅行誘致推進会議を設立し、こうした体験型旅行を大きなセールスポイントとして、旅行業者や学校関係者への誘致活動を積極的に展開してきているところです。
この結果、体験型修学旅行については、昨年度、周防大島町を中心に、二十六校、約四千五百名の受け入れを行ったところであり、県としては、引き続き、地元市町等と連携を図りながら、誘致活動の強化や受け入れ先の拡大、体験プログラムの一層の充実等に取り組んでまいりたいと考えております。
また、今後はさらに、お示しの県観光客動態調査による修学旅行の実態把握等に努めるとともに、学校側のニーズを踏まえながら、県ならではの歴史文化や産業、自然資源等を活用したテーマ型の学習素材の開発やモデルコースの充実等を図るなど、戦略的な誘致活動を展開してまいりたいと考えております。

2013年11月30日

平成25年11月定例県議会(2)小学校の英語教育について

(2)小学校の英語教育について

「英語は道具であって、人間の価値や人格とは関係ない。」
「小さい時からネイティブ(英語の場合は、英語圏で育ち、正しい英語を話す人を意味する)から英会話を学んだ子たちが、大学では一番下の基礎英語クラスにいる。彼らに共通しているのは、中学一年の時は、英語は楽勝で勉強しなくてもトップだったのが、 二年生後半から英語教育についていけなくなり、極端に苦手になることである。」
「学校教育が目指さなければならないのは、日本人が何よりも日本語を思考の道具として使いこなし、日本人としての資質を身に付けることである。」
「『一流の日本人づくり』が、『国際人づくり』の土台である。日本語での思考の土台が確立され、日本語をしっかり使いこなすことができなければ、どんなに他の言語が技術的にはできても、本当の意味での国際人になることはできない。」

以上は、山口大学で英語を教えておられる先生の論考からの引用です。私は、誠に正鵠を得た大事な指摘であり、今日小学校で進行している英語教育の導入を考える上で参考にすべき卓見であると思っています。
ご案内のように、平成23年度から小学校の5年生、6年生は、「外国語活動」ということで週1時間、年間で35時間、英語学習が行なわれるようになりました。小学校への英語教育の導入は、 平成14年度からで、「総合的な学習の時間」を中心に国際理解教育の一環として英語活動が行なわれるようになったのが始まりです。ただ、このやり方では学校によって内容や時間数にばらつきがあり、 教育の機会均等や中学校に入学した時に共通の基盤が持てるようにということで、小学校5.6年生を対象に英語学習が「外国語活動」として必修化されました。
そして、現在は安倍政権のもと内閣府が所管する教育再生実行会議の第三次提言において、小学校の英語学習の抜本的拡充ということで、実施学年を小学3,4年からにする早期化や指導時間の増加、 更には英語学習を「外国語活動」から正式な「教科」にする等について検討するよう提言されていまして、小学校への英語教育の導入は、一層進む見通しです。
こうした英語教育導入の背景には、アジアの国々が英語教育に積極的だということも影響していると思われます。韓国では1997年に小学3年から、中国では地域の状況に応じて差はあるものの、 基本的には2001年に小学3年から必修化されています。
私は、世界の一体化、そういう意味でのグローバル化が進行している今日、国際的共通語としての英語を学び、身に付け使えるようになることの意義は認めるものであります。ただ、現在導入され、 さらに一層拡充されようとしている小学校の英語教育については、検証が必要と思うことがあり、以下三点ほど、県教育長のご所見をお伺いしたいと思います。
先ずお尋ねの第一点は、現在小学校で行われている英語教育の効果についてであります。平成23年度から必修化された小学校の「外国語活動」は、英語による歌やゲームなどで英語に慣れ親しみ、 英語によるコミュニケーション能力の素地を養うことが目標とされています。意図するところは、そのことが中学校における英語教育の基礎となり、英語の実践的なコミュニケーション能力を培うことに 繋がるということであります。ただ、冒頭に紹介しました山大の英語教育の先生の指摘のように、小さい時からの英会話、コミュニケーション重視の英語学習の効果を疑問視する見方もあり、検証が必要です。 そこでお尋ねです。「総合的な学習の時間」としての英語活動を含めれば小学校への英語教育の導入は10年余経過していることになりますが、そのことは中学校の英語教育に、どういう効果をもたらしていると見ておられるのかお伺いいたします。
お尋ねの第二点は、教育体制についてであります。現在、小学校における英語学習は、学級担任がALT(外国語指導助手)を活用しつつ受け持っているということのようですが、それで中身のある英語学習ができているのか、 英語学習にかかる負担増で学級担任が受け持っている国語や算数などの教科の授業に影響はないのか、英語担当の専科の教諭配置もなされているのか、小学校の教員採用試験においては英語の扱いはどうなっているのかお伺いいたします。
お尋ねの第三点は、国語教育についてであります。2001年にノーベル化学賞を受賞した野依良治先生は、「グローバル化と国際化は連続していますが、区別して考えなければなりません。 国際化は自分たちの国の特質を堅持したうえで、諸外国と関係をつくること。グローバル化は世界の一体化です。」と、述べておられます。正しく至言で、これから日本の特に若い世代に求められる生き方は、 日本人としての特質をしっかり保持した上で、グローバル化に対応していくことではないでしょうか。
従って、グローバル化への対応として英語を道具として使いこなせるようになることは望ましいことでありますが、その土台は立派な日本人であることであり、日本語での思考の土台が確立されていることであります。
そこでお尋ねです。小学校への英語教育の導入により、国語教育がおろそかになるようなことがあってはならない、むしろ国語教育は一層充実されるべきであると考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。

【回答】◎教育長(田邉恒美君)
小学校の英語教育に関する三点のお尋ねにお答えいたします。
まず、中学校の英語教育への効果についてです。
小学校におきまして、英語教育は、平成十四年度から総合的な学習の時間の中で、国際理解に関する学習の一環として始まり、現在は学習指導要領の改訂により、外国語活動として実施されているところです。
各学校の外国語活動におきましては、歌やゲーム、簡単な日常会話など、子供たちは、楽しみながら英語になれ親しんでおり、今年度の六年生の調査におきまして、「英語が好き」と答えた児童の割合が八○%を超えるなど、外国語活動への興味関心が高まっているところです。
また、外国語指導助手との触れ合いにも物おじすることなく、英語を発することへの抵抗感が少なくなるなど、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が見られ、中学校の英語教育への円滑な導入につながっていると考えております。
次に、小学校の外国語活動を進める上での教育体制についてです。
外国語活動の実施に向けましては、何よりも教員の指導力向上が重要でありますことから、具体的な指導方法について理解を深める研修を、全ての小学校教員を対象に行いますとともに、研究指定校や学力向上推進教員のすぐれた指導事例を取り上げた校内研修を行うなど、効果的な外国語活動が進むよう取り組んでいるところです。
また、全ての小学校で、文部科学省が作成した教材やDVDなどを活用し、外国語活動に係る負担軽減を図っており、国語や算数など他教科の授業への影響が生じないよう取り組んでいるところであります。
英語担当の専科の教諭につきましては、配置していないところでありますが、学校によっては、教員の専門性等も踏まえ、必要に応じて専任化している事例もあります。
また、小学校の教員採用試験における英語の扱いにつきましては、平成二十年度実施の採用試験から、英検二級程度の資格を選考に当たっての評価項目とするとともに、二十三年度実施の採用試験からは、筆記試験に外国語活動に関する内容を出題しているところであります。
次に、国語教育の充実についてです。
急速に進展するグローバル社会で将来にわたり活躍できる人材を育成していくためには、英語学習を通じて豊かな語学力や国際感覚、コミュニケーション能力を身につけるとともに、自分の考えや意見を論理的に組み立て主張していく力が求められており、その基盤となる思考力や教養、情緒を育む国語教育を一層充実していくことが重要と考えております。
このため、小学校低学年の国語科におきましては、音読や漢字の読み書き、読書等の学習機会の拡充により、国語の基本的な力の確実な定着と言葉に対する感性等を育みますとともに、中・高学年におきましては、考えを深める話し合いなど、発展的な学習の取り組み等を進めております。
また、授業改善におきまして、校内研修を活性化させ、全ての学級において活用する力を高めるための言語活動を重視した授業を推進いたしますとともに、保護者や地域ボランティアとの連携などによる読書活動の充実にも取り組んでいるところであります。
県教委といたしましては、市町教委や学校、家庭、地域社会と連携を密にし、効果的な英語教育にもつながる、国語教育の一層の充実を図ってまいります。

2013年11月30日

平成25年9月定例県議会(1)7月28日大雨災害について

(1)7月28日大雨災害について

「災害は忘れたころにやってくる。」と云いますが、本県はここ5年の間に、平成21年、22年そして今年と、忘れる間もなく三度大雨災害に見舞われました。
平成21年7月21日の豪雨災害では、主に防府・山口地域で土砂災害、浸水被害が発生し、17名の方が犠牲となられ、損壊・浸水被害を受けた家屋の総数は4698棟に上りました。
その一年後、平成22年7月15日の大雨災害では、県西部を中心に、局地的な集中豪雨に見舞われ、厚狭川や木屋川の氾濫等により、多数の家屋の浸水や道路交通網寸断等の被害が生じました。
そして、今年の7月28日大雨災害。気象庁が「これまでに経験のない大雨」と警戒を呼び掛けた猛烈な大雨に見舞われ、山口市の阿東地域、萩市の田万川・須佐地域、阿武町等において河川の氾濫、土砂災害等が発生し、2人の方が亡くなられ1人の方が行方不明となりました。また、山口市の市街地及びその周辺地域においては内水による浸水被害が生じました。
そこで、今回は「7月28日大雨災害について」ということで、過去の大雨災害も踏まえ、今回の災害からの復旧と、内水浸水被害対策についてお伺いいたします。

(1)河川の復旧について
先ず、お尋ねの第一は、「河川の復旧について」であります。ご案内の通り、7月28日早朝からの猛烈な雨は、1時間の降水量が、山口市では143.0ミリ、萩市須佐では138.5ミリと、いずれも「これまで経験のない」観測史上最大の大雨となりました。
このため、阿武川、田万川、須佐川等の水系において河川が氾濫し、流域に甚大な浸水被害が発生しました。
県は、先の8月臨時県議会において、「このたびの集中豪雨も踏まえた河川整備のあり方について速やかに検討したい。」「局地的な集中豪雨はいつでもどこでも発生するといった観点から、このたびの集中豪雨を主要水系に再現し、各水系における洪水の発生状況等を検証する。」「この度の集中豪雨も前提とすべき気象条件の一つとして整理した上で、総合的な治水対策を効率的、効果的に進める。」旨、表明しておられます。
そこで、特に阿武川、田万川、須佐川の三水系の河川復旧について、2点お伺いいたします。

第一点は、阿武川、田万川、須佐川の三水系の復旧方針についてです。この三水系の復旧は、当然に先の8月臨時議会で示された河川整備、治水対策の方針に基づいて行なわれ、将来今回同様の大雨が降ったとしても流水の氾濫を生じない河川となるよう改良整備されるものと考えておりますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。

第二点は、特に阿武川の鍋倉地域の改良整備についてであります。阿武川は、鍋倉のリンゴ園の手前のところで右に大きく蛇行しております。その蛇行し始めのとこらから左岸側数十メートルは、護岸強化の工事が10年程前に行なわれています。これは、水害対策としての河川改良工事の一環であったと思われますが、この度の大雨で増水した流水は、 その護岸を越水してリンゴ園が冠水する事態となりました。また、蛇行前の左岸側は護岸の強化がなされていないために、増水した激流が大量に越流して鍋倉のリンゴ園一帯に流れ込み甚大な被害を生じました。ここで長年リンゴ園を営んでおられる園主の方は、過去これまで昭和38年と47年の二度被災しており、今度で3度目です。もう二度とこういうことが起こらないようしてほしいと、繰り返し訴えておられました。
当然の思いで、河川の復旧改良は、それに応えるものでなければならないと考えますが、過去に浸水被害があった時には、抜本的対策として河川の線形を変えて蛇行そのものを無くす河川改良も検討されたように聞いております。
そこでお尋ねです。阿武川の鍋倉地域において再び浸水被害を生じないようにするためには、抜本的な河川改良が必要と考えますが、どのように整備される方針なのか、ご所見をお伺いいたします。

(2)内水浸水被害対策について
水害といえば、従来河川の氾濫による浸水被害のことでありましたが、近年は、河川の氾濫というより河川に雨水が排水されないための浸水被害、所謂内水浸水被害が頻発するようになり、これの解消が暮らしの安全・安心を確保する治水上の新たな政策課題となって来ております。
この度の大雨災害においても、山口市北部の市街地及びその周辺地域では、629戸の内水浸水被害が生じており、そのうち105戸は床上浸水でした。この地域は、椹野川水系の流域でして平成21年7月の豪雨災害時にも、1400戸ほどの浸水被害が生じておりまして、 そのほとんどは内水浸水被害でした。この5年の間に二度床上浸水に見舞われた家屋も数多くあり、浸水被害が生じないように抜本的対策を求める声は、切実なものがあります。
山口市において、平成21年そして今年と二度も内水浸水被害が大量に生じた背景を調べますと、頻発する記録的な大雨に、雨水排水の下水路及びこれを最終的に受け入れる河川が、対応しきれていない実情が見えてきます。
先ず、雨水排水の下水路について申しますと、山口市は国の指針に基づき県が示した確率年10年の時間降雨55mmに対応する水準で、雨水排水の下水路整備を行ってきております。ところが、10年に1回の確率で発生すると見做されている時間雨量55mmを大幅に超える降雨が、 この10年の間に6回も発生しており、雨水排水のための下水路整備の水準は現行のままでいいのか、その妥当性が問われています。
さらに問題なのは、雨水排水の整備水準を見直して、雨水下水路の排水容量を拡大したとしても、河川がその下水路を通して排水された雨水を受け入れることができなければ、雨水は下水路から溢れて内水浸水被害が生じるということであります。
現に、今年の夏の大雨で山口市の湯田地区、吉敷地区は併せて340戸の浸水被害が生じ、その内85戸は床上浸水でしたが、それは被害地域の雨水排水路が接続されている椹野川の支流である県河川前田川が、増水して水位が高くなり雨水の受け入れができなくなったためでした。
このことから明らかになって来るのは、内水浸水被害を無くするためには、下水路だけではなく河川の整備も併せて一体的に取り組まなければ抜本的な解決にならないということであります。そのためには、雨水の排水路を整備する下水道事業は市町の事業であり、 市町が整備した下水路の雨水は、ほとんどが県河川へ排水されることから、県と市町が連携し一体的に内水浸水被害対策には取り組む必要があることを強く訴えたいと思います。
そこで、これからは県も内水浸水被害を解消するという治水上の政策課題を市町と共有して、県河川の整備を行っていくべきであり、県の河川整備の方針及び計画は、そういった問題意識、課題意識に立ったものにすべきだと考えます。
県は、現在主要河川については、河川整備の長期的将来像を示す河川整備基本方針と当面する20年ないし30年間に行う整備事業と達成すべき整備水準を具体的に示した河川整備計画を策定して河川整備を進めていますが、 こうした現行の河川整備基本方針および河川整備計画は、内水浸水被害の解消という視点からも、その妥当性を点検する必要があるのではないでしょうか。
県は、平成21年、22年の豪雨災害を受けて、平成22年8月に「局地的な集中豪雨に対応した治水対策検討委員会」を設置しました。この検討委員会は、翌年の平成23年8月に、 検討結果を提言書としてまとめ報告しております。それによりますと検討委は、県下主要10河川について、現行の河川整備基本方針や河川整備計画を検証して、河川整備基本方針については10河川全て妥当とし、 河川整備計画については椹野川を含む6河川の現行計画は、妥当である旨の判断を示しています。
はっきり言ってこの検討委の提言書は、河川の氾濫、洪水という外水による浸水被害の発生を予防し、軽減するという視点からのものであって、内水による浸水被害への対応という視点が欠けています。
そういう検討結果になった理由が、もし内水浸水被害は市町が行なう下水道事業において対応すべきものであって、県の責任範囲ではないとの考えによるものであるとしたら、そういう考えは改めなければなりません。
確かに、内水処理は下水道事業として対策が講じられるべき市町の事業であります。そして、それは単に雨水排水の下水路の整備のみならず、排水ポンプの設置あるいは雨水の流出抑制を図る調整池や浸透マス等の雨水貯留・ 浸透施設の整備なども含めて計画整備されるべき事業であります。
しかし、そうした内水処理の事業も、水系一貫して下水道計画と河川の改修計画との整合が十分図られた上で取り組まれてこそ、浸水被害が生じないように真に治水の実をあげることができるのです。そういう意味において、 内水浸水被害の解消は、市町のみならず県にとっても治水上の政策課題であることを、改めて指摘しておきたいと思います。
国土交通省も近年、河川と下水道とが体系化された総合的な雨水排水計画を策定することが、双方が一体となって地域の治水安全度の向上を図ることになり、都市部における雨水対策事業の効率的な推進が図れるということで、 総合的な都市雨水対策の策定およびそのための協議会の設置を促し、推進しております。平成23年7月末時点での、全国における協議会の設置及び計画の策定状況は、配布の参考資料の通りであります。
気象庁は、頻発する局地的な集中豪雨は、今後増えることはあっても減ることはなく、強くなる旨の見解を明らかにしており、今日このことに対応した内水も含めての総合的な治水対策が求められています。
以上申し上げましたことを踏まえ、以下4点お伺いいたします。

先ず第一点、内水浸水被害の解消を、県の治水への取り組みにおいて市町と連携し解決すべき重要な政策課題として位置づけるべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

次に第二点、河川の復旧についての質問の時に触れましたが、県は8月臨時議会において、「この度の集中豪雨も踏まえた河川整備のあり方について速やかに検討したい。」 「この度の集中豪雨も前提とすべき気象条件の一つとして整理した上で、総合的な治水対策を効率的、効果的に進める。」旨、表明しておられます。そこでお尋ねですが、ここで言われている 「河川整備のあり方の検討」には内水浸水被害解消の視点を、そして「総合的な治水対策」には、内水浸水被害対策を含めるべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

第三点、椹野川水系のように、大雨のたびに内水浸水被害が数多く発生しているところにおいては、県と市が一体となって河川と下水道が体系化された総合的な雨水排水計画を策定することが必要であり、 そのための県市合同の協議会を設置すべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

第四点、内水浸水被害が生じている流域における当面の緊急対策としては、関係する県河川の浚渫をしっかり行ない、大雨時の増水による水位上昇の抑制を図る必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

(3)被災地の復興について
被災地の復興については、要望とさせていただきます。
この度の大雨災害で被災地になったところは、もともと過疎化、高齢化が進んでいた地域であります。よって、たとえ災害からの復旧がなされたとしても、その傾向が一層進むのではないかと懸念されています。
そこで、そういうことにならないよう、むしろこの度の災害を、「禍を転じて福と為す」契機にすることができるよう、被災地の復旧後の新たな地域づくり、そういう意味での復興への取り組みを、県もしっかり支援されますよう強く要望いたします。

【回答】◎知事(山本繁太郎君)
合志議員の御質問にお答えいたします。
まず、河川復旧についてのお尋ねのうち、復旧方針についてであります。
このたびの豪雨により、阿武川、田万川、須佐川の三水系におきましては、宅地や農地への浸水、河川施設や橋梁の流出など、広範囲にわたる極めて甚大な被害が発生いたしました。
このような状況に鑑み、私は、これら三水系において、お示しのように、将来、今回と同様の大雨が降ったとしても、再びこのような災害を発生させないとの方針のもと、被災時に実際に流れた水量を安全に流すことのできる河川とするための抜本的な改良整備を、早期に進めることといたしました。
このため、各水系に係る具体的な改修計画について、国との協議を進めてきたところでありまして、このたびその協議をおおむね調えることができたことから、当該計画に基づく災害関連事業や広域河川改修事業等に着手することとしたところであります。
次に、阿武川の鍋倉地域の改良整備についてであります。
鍋倉地域につきましても、お示しのように、極めて甚大な被害が発生したことを踏まえ、私は、再度災害防止を図る観点から、当該地域の抜本的な河川改良を行うことといたしました。
改良に当たっては、今回の被害は、流下能力を超える水量や河川の蛇行に起因していることから、現在、流下能力を確保しつつ、蛇行そのものを解消するバイパス案などを検討しているところでありまして、国や学識経験者の意見も参考にしながら、最適な手法で整備を進めてまいります。
私は、被災された方々が一刻も早く、安心して暮らせるように、三水系の早期復旧に全力で取り組んでまいります。

【回答】◎土木建築部長(小口浩君)
内水浸水被害対策についての数点のお尋ねです。
まず、内水浸水被害の解消の位置づけ及び県市合同の協議会の設置についてのお尋ねにまとめてお答えいたします。
内水浸水被害は、下水道自体の流下能力不足や、河川の水位が高いことによる排水不良、あるいはこれらの複合により発生しております。
このため、県としては、その解消は、下水道管理者である市町との適切な役割分担のもと連携して解決すべき、治水上の課題の一つと位置づけており、これまでも、河川と下水道それぞれの管理者が直接情報を持ち寄り、浸水被害の実態や原因の把握と共有、双方の目標流量や事業実施時期に係る協議など、整合の図られた一体的な取り組みに必要な各般の調整を行っているところです。
このことから、改めて協議会を設置することは考えておりませんが、引き続き、内水浸水被害対策が円滑に進むよう、市町との緊密な連携に努めてまいります。
次に、河川整備のあり方の検討には、内水浸水被害解消の視点を、総合的な治水対策には、内水浸水被害対策を含めるべきではないかとのお尋ねです。
まず、河川整備のあり方の検討としては、現行の河川整備計画の妥当性等を検証することとしておりますが、県では、計画の策定に当たっては、従前から内水浸水被害解消の視点も含め、背後の土地利用、取水堰などの横断工作物の設置高さ等を考慮した上で、洪水時の河川の水位を可能な限り低く設定してきたところであり、今後とも、その考え方で検討してまいります。
また、総合的な治水対策としては、集中豪雨による浸水被害の軽減を図るため、内水浸水被害対策も含めた河川整備計画に基づくハード事業や、住民の避難に資する情報提供などのソフト事業の両面にわたる対策を組み合わせて進めてまいります。
最後に、河川のしゅんせつをしっかり行う必要があるのではないかとのお尋ねです。
しゅんせつについては、河川の流下能力を向上させるとともに、お示しのように、水位上昇を抑制し、内水浸水被害を軽減させる効果も期待できることから、被害の発生状況や事業効果を勘案しながら、計画的に進めてまいります。

2013年9月30日

平成25年9月定例県議会(2)山口県立大学の定款変更について

(2)山口県立大学の定款変更について

今議会に提案されています山口県立大学の定款を変更する議案について、四点お尋ねいたします。
先ず第一点は、定款変更の理由についてであります。
地方独立行政法人法は、「公立大学法人の理事長は、当該公立大学法人が設置する大学の学長となるものとする。」と定め、「ただし、定款で定めるところにより、学長を理事長と別に任命することができる。」としております。この制定趣旨は、公立大学法人においては、本来理事長が学長になるのが原則であり、設立団体の意向により、別置も可能とする、というものだと思われます。
そこで、山口県立大学を独立行政法人化する時は、準備委員会で学長と理事長を一体型にするのか、別置型で行くのかの議論が行なわれまして、大学の規模や歴史からして一体型が望ましいとの考えが大方の意見となり、その旨が定款に定められました。
県立大学より規模が数倍も大きい国立大学は、基本的に理事長・学長一体型であります。また、都道府県立の公立大学が法人化した公立大学法人においては、全国41の公立大学法人のうち29大学が一体型であり、12大学が分離型であり、3分の2強が一体型でありまして、私は準備委員会で集約された意見は妥当なものであったと見ております。
法人化された県立大は、江里新理事長が学長も兼ね、様々な大学改革を実現してきました。そこに何の支障もなかったように思われます。それを、この度敢えて理事長と学長一体型を、理事長と学長別置型に変更しようとする理由は何なのか、ご所見をお伺いいたします。
第二点は、定款変更について県の考えが、大学側に伝えられた時期についてであります。
県から大学法人に、「運営体制変更」についての協力要請文書が発出されたのは、今年の8月2日です。県の定款変更の意向が文書で正式に大学側に伝えられたのは、大学が夏休み期間に入ろうとしていて、大学の先生方はお盆を挟んで、色々と行事予定を組んでいたであろう8月になってからのことでした。
定款変更について、大学側の議論や意見集約を重視する姿勢があれば、5月初旬には、県の考えを伝えるべきであったと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
第三点は、第二点の質問と関連しますが、大学内の議論と意見集約が不十分ということです。
県立大学定款変更は、大学法人の審議機関である教育研究評議会と経営審議会の議を経て、「新たな運営体制への円滑な移行に向けて協力する。」との大学法人からの回答を受けて、今議会に議案が提案されています。
定款変更のことが、大学の各学部長や研究科長等で構成される教育研究評議会に諮られたのが8月6日で、第2回目の8月26日の評議会において「新たな運営体制への円滑な移行に協力する。」との審議結果になったとされています。
大学の経営審議会に諮られたのは、8月29日で、同様の審議結果になったとのことであります。
ここで指摘しておかねばならないことは、山口県立大学が定款に定めている仕組みが、まさしく課題への対応を迅速・的確に行うことができるよう、また機能性・機動性ある大学運営ができるよう、 理事長である学長に権限を集中しているということであります。従って、大学法人の審議機関である教育研究評議会と経営審議会の構成員は、基本的に理事長の指名もしくは任命による選任になっております。
よって、理事長が強い意思で臨めば、両機関とも色々意見があっても最終的には審議結果が、理事長の意向に沿ったものになることは想像に難くありません。この度の定款変更に向けた経緯は、 手続き的には何ら瑕疵がないように思われますが、事実の経過を仔細に点検していきますと、大学内における議論、意見集約が十分であったか疑問です。
そこでお尋ねです。特に大学の在り方の根幹にかかわる今回のような定款変更の事案は、県と大学双方における合意形成に向けた丁寧な議論と意見集約のプロセスが確保されるべきところ、 それが決定的に欠けていたように思われますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
第四点は、理事長の任期についてであります。
地方独立行政法人法では、第74条において、「公立大学法人が設置する大学の学長の任期は、二年以上六年を超えない範囲内において、当該大学に係る選考機関の議を経て、当該公立大学法人の規定で定めるものとする。」 と、しております。これを受けて山口県立大学は、学長となる理事長の任期は、一期目4年とし、再選は可能で二期目の任期は2年で、最長6年間となっております。こうした定めは、学長になる理事長に権限を集中して、 様々な大学の課題に理事長が対応しやすくする一方、大きな権限を持つ地位に同一人物が長くいることによる弊害を避けようとの考えに基づくものだと見ております。
それが、今回提案されている定款変更が成立して学長と理事長は別置型となった場合、理事長は知事の任命となり、理事長の任期は4年とするも再任されることができるとなっていて、任期最長6年の制限はなくなります。
よって、現在の理事長は、県大が法人化されたとき最初の2年間特例で理事長を務めたことがあり理事長在職8年目ですが、その現理事長を任命することも可能になります。
そこでお尋ねいたします。県立大の定款変更の議案が成立した場合、新たな理事長は知事任命となりますが、知事は、理事長の任期についてどうお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎知事(山本繁太郎君)
合志議員の御質問にお答えいたします。
次に、山口県立大学の定款変更のお尋ねのうち、私からは、理事長・学長別置型に変更する理由についてお答えいたします。
県立大学は、平成十八年度に法人化いたしました。これまで理事長・学長一体型のもとで大学運営を進め、教育研究、学生支援、地域貢献活動等におきまして、順調な実績を上げてきております。私は、県内の大学をリードする高等教育機関として大きな役割を果たしていると考えております。
しかしながら、地域貢献型大学として県立大学が一層の大学改革を進めていくためには、教育研究機能の向上とともに、グローバル化に対応できる優秀な人材の確保や新たな外部資金の獲得など、経営面からの取り組みもますます重要になってまいります。
さらに、今年度から、キャンパスを統合移転する第二期施設整備に着手したところでありまして、この大規模プロジェクトを組織的・計画的に推進するとともに、これを機に、人的ネットワークを含めた大学のあらゆる経営資源を、今後、いかに戦略的に活用するかなど、長期的視点と強いリーダーシップにより、大学を運営していく必要があると考えております。
このため、私は、これらの諸課題に迅速かつ的確に対応し、厳しい大学間競争で勝ち抜く県立大学を構築するためには、理事長と学長を分離し、理事長が経営面を、学長が教学面を、それぞれ責任を持って担当する新しい運営体制を導入することが必要であると判断したところであります。
その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

【回答】◎総務部長(池内英之君)
山口県立大学の定款変更についての三点のお尋ねにお答えします。
まず、定款変更の申し入れの時期についてのお尋ねでございます。
大学法人とは、文書による正式な申し入れを行う前に、さまざまな機会を捉えて意見交換を行っており、県としては、大学法人での検討・審議に必要な時間は確保されたものと考えております。
次に、県と大学双方における合意形成に向けた丁寧な議論と意見集約のプロセスが欠けていたのではないかとのお尋ねです。
県と大学法人との意見交換に加えまして、大学法人においては、法律で設置が義務づけられております学部長等で構成する教育研究評議会と、外部委員を含めた経営審議会において、それぞれ十分議論され、新たな運営体制の円滑な移行に向けて協力するとの結論が出されていることから、県と大学法人との間の合意形成は図られているものと考えております。
最後に、新理事長の任期についてのお尋ねですが、お示しのありましたとおり、任期は四年となっており、法律上、再任も可能な仕組みとなっております。

2013年9月30日

平成25年6月定例県議会(1)産業政策について

(1)産業政策について

政治は、理想と現実をつなぐ総合的な営みであります。理想なき現実論も現実を無視した理想論も共に政治たり得ません。理想と現実をつなぐ格闘こそ政治の本質であります。
私は、山本知事が官僚から政治家に身を転じられ、山口県知事として理想とするモデル地域の実現に向けて懸命に格闘しておられるお姿に、政治家としての苦悩と輝きの両方を見るものですが、目指しておられる方向は正しいと思っております。 どうか山本知事におかれては、御身を大事にしつつ所信を成し遂げられますよう心からエールを送ります。
私は前回の県議会の時、山本知事の政治家としての思いを簡潔にまとめた「皆さん、どうか力を貸して下さい」というタイトルの冊子のことに触れましたが、 今回は、その内容を少し紹介しようと思います。山本知事が理想として掲げ、その実現を目指しておられる方向を、議員同士お互いに知っておくことも意義あることかと思うからです。では、以下冊子からの引用です。

世界中どこの国でも、経済成長のけん引力となった2次産業、3次産業と農林漁業とのバランスをとって進まなければ、国民の暮らしが成り立たなくなる時代がやってきます。

江戸時代が、世界に類例のない高度農業社会だったという事実を学んだのは旧建設省で国土政策を担当するようになってからです。

当時としては、世界最大級の人口規模を誇る江戸の清潔さも彼ら(幕末に日本に来た西欧列強の軍人や外交官たち)にとって驚きでした。 玉川上水などの水供給施設と井戸などの取水施設を組み合わせた高度な上水システム。近隣の田園地帯からの生鮮食料品の供給と排泄物や生ごみなどの都市廃棄物の処理(肥料としての活用)を、 舟運を中心に一体的かつ合理的に取り扱う供給処理システム、これらの高度な都市システムは、暮らしの中で花や植物を愛する江戸市民の生活態度と相まって、 この時代の西ヨーロッパの都市の水準からは飛びぬけて美しく清潔な百万都市江戸の姿を西洋人に印象付けたのです。

私たちはもはや工業化以前の暮らしに戻ることはできません。経済の発展を目指して歩み続けなければなりません。問題となるのはその発展の中身です。環境問題の解決のために目指すべき方向は、自然と人との営みの調和です。 農林漁業と工業、商業のバランスです。田園と都市の共存です。この方向を目指すとき、江戸時代に我が国が実現した高度農業社会の在り方が大きな手がかりになると思うのです。

現在の世代だけでなく、子や孫の世代さらには末代までの幸せな暮らしを考えて今の生活を営む、持続可能性を正面に掲げた社会。
四季を通じて、自然の力を最大限活かして生産し、生産したものを大切に使うだけではなく、再利用、循環利用することで活かしきる社会。
商工業を営む都市と、農林漁業を営む田園がお互い補い合い支えあって共生する社会。

持続、循環、共生。この三つを大切にする社会を目指して進んでいくほかには、道はないと思うのです。

以上、紹介いたしましたことから、私たちは山本知事の念頭に常にある思いを推察することが出来ます。それは、将来の世代のために、よりよい地球環境を持続していくということと、 経済成長を続けて生活の向上を図っていくということが両立する地域社会モデルを、江戸時代の日本が実現した高度農業社会の在り方を手がかりに、 山口県において実現していこうということであります。そして、その地域社会モデルが目指す方向は、次の三つに要約されます。

1.自然と人の営みが調和している低炭素社会
2.自然、天然の力と生産物を最大限活用し生かす循環社会
3.農林漁業と工業、商業がバランスよく発展し共生する社会

こうした地域社会を本県において実現していこうという方向と、山本知事が最も力を入れておられる本県産業力強化の政策を、 どう繋げていくのかということが第一の質問の趣旨で、二点お伺いいたします。
今議会初日に、「やまぐち産業戦略推進計画」の中間案をお示しいただきました。これを見まして、私は、県内経済の成長を図っていく通常の産業政策としてはよく出来ていると評価いたしますが、 山本県政が推進する産業政策は、その域に留まるものであってはなりません。
そこで第一点のお尋ねです。山本知事が目指すモデル地域としての山口県を実現するという観点からの産業政策についてどうお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

第二点は、食品産業の基幹産業化についてであります。
先日、今月の11日ですが、フランス料理の世界的巨匠で「厨房のピカソ」と呼ばれるピエール・ガニェール氏が山口県庁を訪れ、 山本知事より「美食王国やまぐち親善大使」の委嘱状を受け取りました。ガニェールさんは、フレンチシェフとして三つ星を獲得、 日頃から山口県産アマダイを使うなど、山口の食材に関心を示していたため、県が美食親善大使就任を打診していました。
ガニェールさんは委嘱式で、「山口県の食材にはたくさんすばらしいものがある」と県産の魚や牛肉、ウニ、野菜などを高く評価。 山本知事は「世界的水準にある山口県の食材を、彼の目で評価し紹介して頂ける点を心強く思っている」と話した、と新聞は報じております。
ガニェールさんは、来年3月に県産食材と萩焼を融合させた創作料理を発表する予定だそうです。こうした企画により、食の面で山口県のイメージが高まり観光力のアップに繋がることが期待されますが、 それ以上に私が注目するのは、ガニェール氏の美食親善大使就任と、本県食材への評価は、山口県の食品産業が世界市場をマーケットとする基幹産業になり得る可能性を示唆するものではないかということであります。
私は、ガニェール氏の「美食王国やまぐち親善大使」就任を着想し実現した関係職員の努力を高く評価するものでありますが、この企画実現を一過性に終わらせることなく、 将来を見据えて本県の食品産業を基幹産業に育てる可能性を切り拓くことにつなげていってほしいと思う次第です。
三方海に開かれ、海幸、山幸の食材豊かな山口県は、食と健康と知が集積したフードバレーを形成するにふさわしい県であるということを、 私は、これまで議会で度々提唱して来ましたが、そのことは食品産業を基幹産業に育てていくという取り組みの中で、自ずと形成されるものであり、 その方向は、山本知事が目指す地域モデルである農林漁業と工業、商業がバランスよく発展し共生する社会の実現に繋がるものであります。
「やまぐち産業戦略推進計画(中間案)」は、重点戦略の柱の一つに、「地域が輝く『農林水産業活力向上戦略』」を掲げ、県産農林水産物のブランド化による魅力の向上や、 アジアへの輸出拡大に取り組むこととしておりますが、こうした戦略目標は、県の食品産業を基幹産業に育てていくという政策目標を明確にして推進することによって達成されるものと考えます。
県の基幹産業は、県域を越えた市場をマーケットとする産業ということですが、グローバル経済の今日、それは当然に世界市場をマーケットとする産業であり、従って輸出産業であります。
私は、本県の食品産業はそういう意味での基幹産業として世界市場をマーケットとする輸出産業を目指すべきであり、そう成り得る可能性を有していると見ている次第でありまして、 この度の産業戦略中間案が、プロジェクト事業としてアジアに向けた県産農林水産物の輸出拡大に取り組もうとしていることを支持するものであります。
ただ農産物の輸出ということでは、私は、数年前この議会で県産米の台湾輸出が実現したことを高く評価し、さらに中国へのコメ輸出に取り組むことを提案したことがあります。 しかし、現在はその考えが変わりました。それは、食料の輸出で主力とすべきは、農産物そのもの、海産物そのものではなく、それを加工した食品であるということに思いが至ったからであります。
農産物、海産物そのものの輸出は、どうしても高価、高品質のものに限られ、供給対象も主に富裕層で、需要、供給いずれの側にも裾野の広がりが期待できません。
一方、加工食品は、どういう付加価値をつけるかであらゆる階層が供給対象となり、需要、供給いずれにおいても裾野の広がりには限りがありません。
そこでお尋ねです。私は、以上申し上げましたことから、本県の食品産業を世界市場をマーケットとする基幹産業に育てていくべきだと考えますが、 このことにつきご所見をお伺いいたします。また、そのことを推進するため、食品加工研究体制の充実が必要と考えますが、このことにつき併せお伺いいたします。

【回答】◎知事(山本繁太郎君)
合志議員の御質問のうち、私からは、モデル地域の実現と産業政策についてのお尋ねにお答えいたします。
議員から御紹介もありましたが、私が目指す地域社会モデルとは、「子や孫、末代まで持続可能な社会」、「自然の力を活かして、生産物を再利用、循環利用できる社会」、そして「都市と田園が相互に補完し合え、支え合い、共生する社会」、この持続、循環、共生の三つを大切にする社会であります。
私は、その実現には、一つには、我が国の歴史において、豊かな社会の土台となってきた農林漁業の活性化と、それによる地域コミュニティの振興が大きな鍵になると考えております。
特に、本県では、瀬戸内沿岸の産業集積が、背後の中山間地域における農林業やコミュニティの維持に寄与してきたところでありまして、今後の産業政策においては、一次産業と第二次、第三次産業をバランスよく発展させることにより、こうした共生する社会を、将来にわたって支えていくという観点が重要だと考えております。
さらに、本県は、大量かつ高純度の水素の生成を初め、リチウムイオン電池の主要部材や太陽光パネルを製造する企業が集積するなど、循環型社会を構築するための産業力を有しております。これらの地域資源を見直し、生かしていくことによって、成長しながら、持続、循環、共生する地域社会をつくることができるものと考えております。
このたび発表いたしましたやまぐち産業戦略推進計画(中間案)では、こうした考え方のもと、産業政策の面から取り組むべき施策として、「瀬戸内産業再生戦略」や「水素等環境関連産業育成・集積戦略」「農林水産業活力向上戦略」を打ち出しているものであります。
私は、ふるさと山口が、我が国における地方再生のモデルとなりますよう、私が理想とする地域社会、輝く、夢あふれる山口県の実現に向け、最優先課題に掲げる産業力の再生・強化に取り組んでまいる考えです。
その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

【回答】◎農林水産部長(北野常盤君)
産業政策についてのお尋ねのうち、食品産業の基幹産業化について、二点のお尋ねにお答えします。
まず、お示しのように、食品産業を基幹産業に育てていくことは、県産農林水産物の需要を拡大する上で重要であると考えています。
このため、県では、平成五年に食品製造業約五百社で構成する山口県食品産業協議会、さらには、平成十九年に大学、研究機関、食品産業団体等で構成する山口県食品開発推進協議会を設立し、新商品開発、販路の拡大などを通じて、食品産業の活性化や県産農林水産物の需要拡大などに積極的に取り組んでいるところです。
その結果、県産原料一○○%のパンや豆腐などの加工品が商品化され、さらに、県産農林水産物を素材にした外郎、ジェル状の食酢加工品など、特色ある商品が開発されているところであり、これらのうち、かまぼこや清酒などは台湾に輸出されるなど、多くの成果が上がっています。
今後は、こうした取り組みに加えて、県産原料一○○%の加工品をやまぐちブランドとして積極的に育成し、物産展や商談会などを通じ、アジアを中心とした輸出拡大にも取り組むなど、食品産業が基幹産業として発展するよう努めてまいります。
次に、食品加工研究体制については、平成十九年に、県農林総合技術センターに食品加工研究室を設置し、県産原料一○○%の学校給食用パンや、周年供給が可能な、はなっこりー、エソの冷凍技術など、食品産業と一体となった研究開発に取り組んでいるところです。
県としましては、引き続き、食品産業関係者の要望に応えることができるよう、関係機関と連携しながら、食品加工研究体制を充実強化してまいります。
次に、上関町の産業力・観光力強化支援についてのお尋ねのうち、漁業の六次産業化への支援についてお答えします。
六次産業化の取り組みは、農山漁村を活性化し、農林漁業者の所得の向上や雇用を確保する上で重要であると考えています。
このため、県では、平成二十三年度に六次産業化サポートセンターを設置し、専門知識を持つプランナーの派遣や、新商品開発セミナーの開催、販路開拓に向けた異業種交流会の開催など、農林漁業者の要望に沿ったさまざまな支援をしているところです。
さらに、今年度からは、よりきめ細やかな支援ができるよう、県内八地域に生産者と地元の加工・流通・観光業者などが連携する地域組織を新たに設置するなど、六次産業化を支援する体制を強化することとしています。
県としましては、こうした体制のもと、上関町の意向や実情を踏まえ、意欲ある漁業者の六次産業化に向けた取り組みが事業化され、地域の活性化につながるよう積極的に支援してまいります。

2013年6月30日

平成25年6月定例県議会(2)上関町の産業力・観光力強化支援について

(2)上関町の産業力・観光力強化支援について

「座して待つ訳にはいかない。」、上関町の今日の思いを一言で表現すれば、そういうことだと思われます。
上関町は、上関原発の建設計画が中止になった場合、町の振興と住民への行政サービスの確保を如何にして図っていくかの課題に現在真剣に取り組んでいます。
勿論、原発誘致による町興しの基本方針は変わっていません。しかし、福島原発事故以後、国民世論の大勢が「原発依存を減らす。」という方向になっている中において、 我が町の繁栄のためにということで原発建設を声高に求めることはしてはならないと自制しています。そして、原子力発電所が立地されない場合を想定して、 原発関連の財源収入がないという状況のもとで、町の財政運営をどうしていくのか課題に取り組んでいる訳です。
国がエネルギー計画において上関原発建設の方針を明確にすればそれに協力する姿勢を堅持する。しかし、上関原発が立地されなくなった場合は、それはそれとして受け入れ対応していく、 上関町はそう腹を固めております。よって、一番困るのは、上関原発が建設なのか中止なのか定まらないまま中途半端な状態が続き、将来に向けて町の展望を描けないことであります。
ところが、現在の国のエネルギー計画策定に向けての動きを見ていますと、上関原発を含む11基の新設・増設の原発の建設計画がどうなるのかの判断は、随分先になるように思われます。
年内に策定予定の国のエネルギー基本計画においても、大局的、中長期的な観点から方向性を示す内容に留まり、電源構成をどうしていくかを具体的に示すものとはならない見通しであります。
現在、国の原子力政策における最大の関心事は、既存の原発の再稼働であります。この再稼働を認めるかどうかの審査は、原子力規制委員会が行ないますが、この規制委員会は、 三つの審査チームを設け、今年7月に策定予定の新しい安全基準に基づき一つの原発を約半年かけて審査する方針です。従って、既存の原発は50基あることから、順調にいっても全ての既存の 原発について審査が完了するまでには、8年以上かかる計算になります。
また現在、政権党である自民党は、「10年以内に、電源構成のベストミックスを確立する。」と公約しています。電源構成のベストミックスをどうするかについての最大の焦点は、 総発電量における原子力発電の割合をどうするかということであります。
こうしたことから、上関原発を含め新規の原発建設計画をどうするかについて国の考えが定まるまでには、この電源構成のベストミックスと既存原発の再稼働についてその全体像が 具体的に見えてくることが必要との観点に立てば、今後10年近く要することになります。
しかも、国のエネルギー政策が、原発ゼロではなくても「原発依存を減らす」という方向に進むのであれば、原発の新規計画の中でも増設ではなく純然たる新設であり、 未だ準備工事段階であって正式な建設許可が下りていない上関原発は、計画中止になる公算が高いと常識的には思われます。
その間、「座して待っている訳にはいかない。」、上関町がそう考えるのは、当然のことであります。
私は福島原発事故以後、上関原発の建設計画は中止すべきとの立場を明確にしてきましたが、原発による町興しを上関町が政策として選択して来た所以は理解する必要があると考え、 上関町の現状や歩みを知る努力をしてきました。
そして、記紀万葉の古代から、瀬戸内海の海上交通の要衝として栄えてきた歴史があること。それが、船が帆船の時代から動力機関を備えた船舶の時代に移行すると共に、 主に潮待ちの港としての上関の役割が薄れていったこと、それでも明治時代から終戦後頃までは人口が一万人ほどであったのが、戦後の復興、高度経済成長、 都市化の進展の中で上関町では人口流出、過疎化が続き現在は人口が、3千数百人にまで減少していること、町のほとんどが山地であり平地が少なく、以前は水道もなく産業振興、 企業誘致の有効な策がなかなか見いだせなかったことから、原発誘致で活路を切り拓こうと町を挙げて取り組むことになったこと等のことがわかってまいりました。
それが、3.11福島原発事故以後、原発立地が不透明となり、それがない場合を想定した町振興の課題に取り組まざるを得なくなりました。このことは、私は上関町にとっては幸いであったと見ております。
確かに、原発誘致は数十年の賑わいをもたらしてくれるかもしれません。しかし、原子炉の寿命は原則40年とされており、その後は高レベル放射性廃棄物としての廃炉が残ります。
さらに、使用済み核燃料も核燃料サイクル確立の見通しが立っていないことから、原子炉に併設される核燃料プールに保管されたままになる可能性が高いと思われます。
福島原発事故で、最も憂慮されたことの一つは、4号機の燃料プールが余震や水素爆発で崩壊したり、若しくはプールの水が蒸発してなくなってしまい、 そこに保管されている核燃料が露出してしまうことでした。そうなった場合は、首都圏を含めた3000万人避難という最悪事態も想定されていました。
使用済み核燃料が安全な状態になるまでには少なくとも10万年は要すると見られており、その間の安全管理をどうしていくかの解決策は、未だ確立されていません。 原発立地は、そうしたものを併せ抱え込んでしまいます。
上関は、記紀万葉の時代のみならず、遺跡からすると縄文時代にさかのぼって住民の生活があった地域であることがうかがえ、これからもまた、 数千年以上にわたって人々の暮らしが営まれる地域であることを思えば、出来れば困難な道であっても原発立地に頼らず町の振興を図っていくことが、 上関町にとって望ましいことのように、私には思われます。
ただ上関町は、国のエネルギー計画に上関原発の新規立地が位置づけられない可能性もあることから、その場合に備えての検討を真剣に行った次第で、 検討会においては、原子力発電所の是非については一切議論されていません。
私は、上関町のこのような今日の事態への対応姿勢は、誠に的確であると思うものでして、その結果、原発立地如何にかかわらず、上関町の地域資源を生かす施策を、 ハード・ソフト両面から推進することが、町政運営の中軸となりつつあることを評価するものであります。そして、そうした上関町の取り組みを県も支援すべきであると考え、 「上関町の産業力・観光力強化について」ということで、端的に以下三点お伺いいたします。

第一点は、財政支援についてであります。
今後、上関町への原発関連の交付金が、どれだけ確保されるか不透明な中、少なくとも向こう10年にわたって上関町が、今日の行政水準を維持し、 将来に向かって町の振興のために政策投資が出来るよう県も必要に応じて財政支援をすべきであると考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
第二点は、観光力強化への支援についてであります。

上関町のキャッチフレーズは、「花咲く海の町」ですが、上関町は加えて歴史の町であり、様々なストーリイの観光ルートの設定が可能であります。
また、かって昭和40年代、NHKの朝の連続ドラマ「鳩子の海」や、山田洋次監督の映画「愛の讃歌」の舞台になったこともあり、観光面での潜在的ポテンシャルは大きいと思われ、これを最大限生かしていくことが町振興の重要な柱の一つであります。
そこでお尋ねです。山本県政が全力を挙げて取り組む最優先課題の一つが観光力の強化でありますが、上関町を含む広域観光ルートの開発を図るなど、上関町の観光力の強化について、どう支援していかれるのか、ご所見をお伺いいたします。

第三点は、漁業の6次産業化への支援についてであります。
上関大橋の室津側のたもとに整備される「ふるさと市場(仮称)」は、来年秋オープン予定であります。ここでは、上関の海産物をはじめとする特産品が展示販売されますが、その中には勿論祝島の海産物、特産品もあります。
この「ふるさと市場」を、しっかりしたものにしていこうという点では、原発への賛成、反対は関係ありません。私は、素晴らしいことだと思います。
上関町で基幹産業に育つ可能性がある産業分野と言えば、やはり漁業ということになると思いますが、そのためには加工・流通のみならず観光も含めた漁業の6次産業化への取り組みが不可欠であり、 「ふるさと市場」の開設は、そのことに大きく寄与するものと期待されています。
また上関は、海産物の加工という点では、「平天が、うまい。」ということはよく知られており、私も上関に入ったら必ず平天を買って帰りますが、 こうした製品が、「ふるさと市場」の開設で、より広く知られることになり、さらには新たな製品が次々と開発される契機になることが期待されます。
そこでお尋ねです。上関町において漁業を基幹産業に育てていくためには、観光を含む漁業の6次産業化を進めていくことが不可欠であり、 「ふるさと市場」の開設は、このことに大きく寄与するものと期待されています。ついては、こうした取り組みに対し、県もしっかりした支援をしていくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答◎総合企画部長(藤井哲男君)
上関町への財政支援についてのお尋ねにお答えします。
上関町では、平成二十三年十一月に、地域ビジョン検討会を立ち上げ、八回にわたり、今後の町財政運営や地域振興策について検討し、先般、その議論の取りまとめを公表されました。この中で、定住促進策は最優先、産業・雇用創出のための事業の新しい展開が必要、交通システムの再編・確立は優先的課題などの方向性は示されているものの、今後の具体策については、さらに検討を深め、町民のコンセンサスを形成していくことが課題であるとされております。
市町が取り組むまちづくりにつきましては、県では、これまでも地域のニーズ等を踏まえた市町の意向を尊重し、市町との適切な役割分担のもと、支援を行ってきたところであります。
上関町のまちづくりにつきましても、こうした基本的な考え方に立って、同町における今後の検討の状況を注視しながら、適切に対応していきたいと考えております。
【回答◎商工労働部長(木村進君)
上関町の観光力強化の支援についてお答えします。
上関町における昨年の観光客数は、鳩子の湯の開設効果等もあって、前年の二倍を超える約十五万八千人となりましたが、宿泊者数は千七百人余りと伸び悩んでおり、ほとんど日帰り・通過型エリアとなっているのが現状です。
こうした中、県としては、全県的な課題である宿泊滞在型観光の充実を図るため、年間延べ宿泊者数五百万人の実現を新たな目標に掲げ、宿泊客の誘致拡大に向けた重点的な取り組みを進めることとしております。
その一環として、本年度は、お示しの広域観光ルートの開発等を狙いとした広域観光力強化事業に新たに取り組んでいるところであり、先般、県下全市町に対し、広域市町エリアでの実施地域の募集を行い、上関町からの応募はありませんでしたが、岩国・柳井・周防大島エリアなど、県下三地域から要望をいただき、取り組みをスタートさせたところです。
県としては、こうした取り組みに加え、さらに、「食」や「温泉」「歴史」等をテーマとした全県的な観光資源の掘り起こしや戦略的な情報発信に積極的に取り組んでいくこととしており、今後とも、上関町から広域観光等についての要望があった場合には、これらの取り組みを通じ、適宜適切な支援に努めてまいります。

2013年6月30日

平成25年2月定例県議会(1)子育て支援について

(1)子育て支援について

「子育ては、楽しい。」、そう子育て中のお母さん方が思える環境を整えていくことが、子育て支援の施策の大事な柱であると考えます。
子育て支援は、少子化対策でもなければ、雇用対策でもありません。子育て支援は、子育てのより良い環境を整えていくことそのこと自体が目的であり、その目的に沿った施策が自ずと少子化対策ともなり、雇用環境の改善にもなるものと考えます。
昨年2月17日に閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」において、社会保障改革の第一の柱に、未来への投資ということで(子ども・子育て支援)の強化が位置づけられたことは、画期的でした。社会保障と言えば、これまで医療・介護・年金のことでありましたが、新たに「子ども・子育て支援」が、財源的裏付けを持って推進すべき最優先の国の社会保障政策の柱として加えられたからです。
そうした関連の中で子育て三法が成立し、子ども・子育て支援が国の社会保障政策の一環として、より拡充される方向で取り組まれることになったことは歓迎すべきことであり、評価するものであります。

子育て三法の主なポイントは三つあります。

その第一は、認定こども園制度の改善です。
幼稚園の機能と保育園の機能とを併せ持つ認定こども園は、認可や指導監督等の所管が、幼稚園機能は文科省、保育園機能は厚労省と二元管理になっていたのを、内閣府が統一的に所管し、文科省や厚労省は必要な連携、総合調整を通して関与するという仕組みに改善されました。また、学校及び児童福祉施設としての法的位置付けが明確にされました。

第二は、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付(「施設型給付」)及び小規模保育等への給付(「地域型保育給付」)の創設です。
このことにより、認定こども園・幼稚園・保育所の各事業者への運営費補助は、原則内閣府から給付されることになりました。また、現在認可を受けていない小規模な保育施設に対しても、市町村が地域型保育の必要性を判断したうえで、新たに市町村が定める認可基準を満たしている場合は、運営費補助が行なわれることになりました。

第三は、地域の子ども・子育て支援の充実です。
子育て中のお母さん方が、親子ともども自由に集い交流でき、また子育ての相談などもできる場所を、地域地域に開設していく地域子育て支援拠点事業等が、市町村が行なう地域子ども・子育て支援事業として明記されました。
こうした子育て支援の施策には、二つの方向があると思われます。いずれも、子どもを産み育てやすい地域社会の形成を目指すという点では共通ですが、一つは、地域社会自体が提供する保育の量と、幼児期の学校教育や保育の質の向上といった保育機能を拡充する方向です。もう一つは、お母さんの子育てを支える地域環境を整えていく方向です。
先程の、子育て三法のポイント第一と第二は、前者であり、第三は、後者であると言えますが、私が、ここで強調したいことは、地域社会自体の保育提供体制の拡充も、お母さんの子育てを支える地域環境を整えていくことも、同等に大事であるということであります。
そういう観点から、今回はお母さんの子育てを支える地域環境を整えていくことにつき質問を行うものであります。
尚、お母さんの子育てと申しますと、子どもを育てるのはお母さんだけではない、父子家庭もあるぞとの指摘を受けるかもしれませんが、ここではお母さんという言葉は、お母さんの役割を果たす人という意味で使っているというようにご理解いただきたいと思います。
さて、ご案内のように我が国では、子供たちは3歳になるとほとんどが保育園か幼稚園に入園いたしますが、0歳から3歳未満の子供たちの場合、保育園等にお世話になるのは2~3割で、7~8割の子供たちは家庭で主に母親が育てています。
私は先程、お母さんの子育てを支える地域環境を整えることの大事さを強調しましたが、それは、ことに7~8割と見られている3歳未満の未就園児のお母さん方の子育てを支える環境を整えることの大事さであると言えます。
昔は、そういうお母さんの子育てを、家族や隣近所のつながりのなかで支える環境が普通に存在していたように思われます。それが、今日の時代、核家族化が進行し地域における人と人とのつながりも希薄化の傾向にあることから、子育て中のお母さん方を支える地域環境を意識的に創り出し整えていく取り組みが求められています。
こうした要請に応える事業として今日推進されているのが、「地域子育て支援拠点事業」であります。
未就園児を持つ家庭への支援として、先ず始められたのは平成7年からスタートした保育所の機能を活用し子育てに関する専門的な相談や交流を図る「地域子育て支援センター事業」でした。次いで、平成14年から空き施設や空き店舗等を活用し身近な場所で気軽に集える環境整備を目的とした「つどいの広場事業」が始まり併せ展開されることになりました。この両事業が、平成19年に再編統合されて「地域子育て支援拠点事業」として推進されることになり、今日に至っております。平成21年には児童福祉法が改正されて、この事業の法律上の位置づけが明確にされました。そして、平成22年に策定された「子ども・子育てビジョン」では、平成26年までに全国1万カ所の子育て支援拠点を整備する目標が示されているところであります。
では、山口県における「地域子育て支援拠点事業」の取組み状況は如何でしょうか。平成25年1月現在、本県では139カ所の地域子育て支援拠点があります。平成26年度目標数が150カ所でありますので、ほぼ目標達成が視野に入っており、高い水準で本県の子育て支援拠点の設置が進んでいることが分かります。ただ、この設置状況を仔細に見ていきますと、より優れた子育て支援の環境整備に向けて、課題も明らかになってまいります。山本知事は、昨年10月に発刊された山口県の「平成24年度子育て文化創造白書」において、「子育て環境日本一の県づくりの実現を目指す」旨、表明されています。
つきましては、知事表明の「子育て環境日本一の県づくり」に向けて、子育て支援の地域環境が、より一層豊かに整い充実していくことを願い、以下数点お伺いいたします。
お尋ねの第一は、子育て支援の施策推進の基本方針についてであります。
子育て支援が社会保障政策の中に位置づけられ、子育て三法が成立して、国・都道府県・市町村の役割も明確にされ、云わば国を挙げて子育て支援の政策がこれから推進されようとしています。そうした中、本県は今後どういう基本方針のもと、この子育て支援の施策を推進し役割を果たしていくお考えなのか、先ずお伺いいたします。

お尋ねの第二は、子育て支援拠点の設置推進についてであります。
先ず第一点目として、先程子育て支援の施策として、地域社会自体の保育提供体制を拡充していく取り組みも、お母さんの子育てを支える地域環境を整えていく取り組みも、同等に大事である旨申し上げましたが、こうした子育て支援の施策についての基本認識につきましてご所見をお伺いいたします。
次に第二点目として、「つどいの広場型」子育て支援拠点の設置推進についてであります。
「同世代のお母さん方と、話ができることでストレスも解消する。」
「主人は、仕事でほとんど家にいない。子どもと二人きりの生活でストレスがたまっていた。ストレスがピークの頃、ここを知った。ここでは、スタッフが子どもを見てくれて、少し離れて見ることができ、ゆっくりできる。」
「何で、こんな思いをしなくてはならない、と一人でかかえこまなくてすむ。自分だけではない、とお母さん同士共有し合えて、気持ちが楽になる。」
「いろいろと先輩ママの話が聞けて育児の参考になる。」
「二人子どもがいるが、三人でいけるところが少ない。ここに来たら安心。家で三人で居るより、ここに来た方が楽しめる。」
「我が家はアパート住まいで狭い。ここは、自分の家のような感じで過ごせる。子どもは子ども同士で遊べる。お互い息抜きができ、くつろげる。」
「ここがなかったら、どうやって過ごしているだろうか、と思う。」
以上は、山口市内にある「つどいの広場型」子育て支援拠点数カ所を訪ねて、そこに集うお母さん方から聞いた声の一端です。
「つどいの広場型」子育て支援拠点は、空き施設や空き店舗、空き家等を利用して子育て中のお母さんが親子ともども、自由に集い交流できる場所でして、子育て支援を目的とする地域組織やNPO法人等が運営主体となり、スタッフには、母子保健推進員や子育て経験豊かなお母さんのお母さん世代、また先輩ママ等がいることから、子育て相談にも応ずることができる、そういうところであります。
私は、そこに集うお母さん方の声を直接聞いて、こうした「つどいの広場型」子育て支援拠点の開設が、全県的にもっと推進されるべきではないかとの思いに至った次第であります。
地域子育て支援拠点は、支援センター型、つどいの広場型、児童館型の3タイプありまして、最も多いのが「支援センター型」で主に保育園に併設されています。先に本県の子育て支援拠点の総数は139と申しましたが、そのうちの121カ所は、この「支援センター型」で、「つどいの広場型」は、グッと減りまして現在17カ所であります。而も、その17カ所のうち9カ所は山口市であります。尚、児童館型は、全県で1カ所です。
私は先程、本県の子育て支援の拠点整備の水準は高いものの、子細に見た場合課題があると申し上げましたが、その一つが、この「つどいの広場型」子育て支援拠点の増設です。
「支援センター型」拠点は、ほとんどが保育園併設で保育士が配置されます。よって、専門的な見地から子育て支援ができる点に特徴があります。一方、「つどいの広場型」拠点は、集いやすく地域や人との親しいつながりができる点に良さがあると思われます。
この二つのタイプの子育て支援拠点施設が、全県の地域地域に両方あってこそ、
山本知事が目指す「子育て環境日本一の山口県」が実現するのではないでしょうか。
そこでお尋ねです。本県は、地域子育て支援拠点事業における設置目標は、ほぼ達成の水準にありますが、その9割近くは「支援センター型」であることから、「つどいの広場型」子育て支援拠点の増設に、目標を定めて取り組むべきだと考えます。そして、「支援センター型」と「つどいの広場型」の両方の子育て支援拠点がある地域子育て環境を全県的に実現すべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
次に第三点目は、地域子育て支援拠点事業への県負担についてであります。
子育て三法のひとつ「子ども・子育て支援法」は、その第65条から68条までの条文で、子育て支援事業の実施主体である市町村が、費用を支弁すべき事業と、その費用の国及び都道府県の負担について規定しています。
それによりますと、保育施設に係る施設型給付及び地域型保育給付については、国が2分の1、都道府県が4分の1の負担となっています。これは、従来の認可保育園への運営費補助の在り方を、小規模な保育を 提供する施設にまで拡大して明文化した規定と言えます。
一方、地域子ども・子育て支援事業に係る費用の、国及び都道府県の負担については、「予算の範囲内で交付金を交付することができる。」と記されていて、どういう割合で国及び都道府県が負担するかが制度として担保されていません。
これでは、国の子育て支援の政策は、保育の提供体制の整備も子育て支援の環境整備も同等に大事であるとの基本認識を欠いているのではないかと言わざるを得ません。そうとは云え都道府県の裁量に委ねられたからには、本県においては同法第59条に列挙されている地域子ども・子育て支援事業のうち、特に第9号の地域子育て支援拠点事業については、子育て支援の地域環境整備を、保育提供体制の整備と同様に重要視する政策判断に基づき、費用の2分の1は国が負担すると見做し、4分の1を県負担とすることが望ましいと考えます。
「支援センター型」ないし「つどいの広場型」等の子育て支援拠点を運営する事業が、この地域子育て支援拠点事業でありまして、これまで事業費用の概ね半分相当が国からの交付金でまかなわれてきています。よって、この事業の費用を、国が2分の1負担することは事実上行なわれていて、後の半分は、実施主体の市町村が負担し、県負担はありませんでした。そこに、国の2分の1負担に加え、県の4分の1負担が行なわれるようになれば、県下の市町は、地域子育て支援拠点事業へ一層取り組みやすくなり、課題である「つどいの広場型」の子育て支援拠点の設置も全県的に進むのではないかと期待するものです。
そこでお尋ねです。子ども・子育て支援法で、都道府県は「予算の範囲内で交付金を交付することができる。」と規定されている地域子ども・子育て支援事業のうち、地域子育て支援拠点事業については、本県では費用の4分の1を負担するようにするのが望ましいと考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。

次に第四点目は、元気子育て支援センター推進事業についてであります。
元気子育て支援センター推進事業は、平成17年に創設された単県事業であります。
国が推進する地域子育て支援拠点事業は、市町村が保育園等の事業者に支給する事業費の半分相当が、子育て支援交付金で補助されることになっています。ただ、そのためには保育園等の事業者は、週に3日ないし5日以上開設すること、一日の開設時間が5時間以上であること、保育士等を1名ないし2名配置すること等の運営水準を満たすことが求められます。
こうした国が求める水準に応ずることが難しい過疎地域等の子育てニーズに対応するため、補助要件を緩和して子育て支援の拠点事業をやりやすくしたのが元気子育て支援センター推進事業でありまして、国の制度が行き届かない過疎地域等を、県事業でカバーしようとするものです。尚、県の事業費補助は2分の1であります。
実は、本県の支援センター型の地域子育て拠点数は、121カ所と申してきましたが、より正確に申しますと、その内40カ所は、この元気子育て支援センターでして、国の子育て支援交付金交付の対象になっている支援センターは81カ所であります。
この現在40カ所の元気子育て支援センターへの事業費補助は、平成17年度から21年度までは単県で、平成22年度と23年度は、国から交付されて県において造成した「山口県安心子ども基金」を活用して行なわれて来ました。
それが、今年度すなわち平成24年度から、この事業への補助がなされていません。当該事業にかかる国の「安心子ども基金」の予算措置がないようになったからです。
元々、この元気子育て支援センター推進事業は、県からの運営費補助を3年間と定めており、その補助期間で事業が軌道に乗り市町で継続されることを期待したものでありました。しかし、この事業への補助がなくなったことにより、事業実施が困難となり過疎地域等での子育て支援環境が後退することがあってはなりません。むしろ、過疎地域等だからこそ、子育て支援の環境をより充実していく取り組みが必要であることは言うまでもありません。
そこでお尋ねです。元気子育て支援センター推進事業への補助が今年度からなくなったことの影響をどう見ておられるのか、先ずお伺いいたします。
次に、子ども・子育て支援法では、保育提供の拡充ということで、地域の実情に応じてこれまで認可を受けていなかった小規模の保育園等も、保育ニーズ調査により必要性が認められれば、地域型保育ということで運営費補助をするようになりました。同様に、地域子育て支援拠点事業はバリエーションを増やして適用対象の事業を拡大し、本県が実施してきたような過疎地域等をカバーする元気子育て支援センター推進事業も包含できるものに改めるよう国に要望すべきであると考えます。ついては、このことにつきご所見をお伺いいたします。
また、そうした要望に国が応える措置をするまでの間、元気子育て支援センター推進事業への単県補助の再開を検討すべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎知事(山本繁太郎君)
合志議員の御質問にお答えします。
まず、子育て支援の施策推進の基本方針等についてであります。
私は、子育て環境日本一の県づくりを進めるためには、子供を安心して生み、育てることができる環境づくりを推進することが重要であると考えております。
こうした環境づくりを進めていく上では、国、県、市町の役割分担をより明確化した上で、基礎的自治体である市町が前面に立って、保育所の機能強化や子育て中の親子が気軽に集える地域子育て支援拠点の設置などに主体的に取り組めるよう、広域的行政体である県は、市町をしっかりと支えていく必要があると考えております。
お示しの子ども・子育て関連三法においても、同様に、子供の健やかな成長のため、保育等の実施主体である市町、国や県が重層的に支えていくこととされております。
お尋ねの子育て支援については、県づくりの基本的方向としてお示ししている「五つの全力」のうち、「人財力の育成」を進める上で、極めて重要な施策の柱であります。
このため、私は、こうした県が市町を支えていくという考え方をもとに、県民の皆様に、「山口県で子供を生み、育てて本当によかった」と心から実感していただけるような県づくりを進めることを基本方針として、市町が主体的に進める子育て環境づくりを支援するなど、県としての役割をしっかりと果たしていく考えであります。

【回答】◎健康福祉部長(渡邉修二君)
地域子育て支援拠点の設置等についての数点のお尋ねでございます。
まず、子育て支援の施策についての基本的認識についてお答えいたします。
県としては、保育等の実施主体である市町村を国・都道府県が重層的に支えるという子ども・子育て関連三法における役割分担を踏まえ、地域のニーズに応じて、お示しの保育提供体制の拡充と、子育てを支える地域環境の整備を適切に組み合わせながら、子育て支援の施策を総合的に推進していくことが重要と考えております。
次に、「つどいの広場型」子育て支援拠点の設置についてです。
地域子育て支援拠点については、住民に身近な市町が地域におけるニーズ等を把握した上で、開設場所や開設日数等の事業計画を定め、当該地域に適した子育て支援拠点を設置すべきものと考えております。
次に、地域子育て支援拠点事業への県の負担についてです。
地域子育て支援拠点事業における費用負担については、現在、その内容が明らかになっておりませんが、今後、国の「子ども・子育て会議」において、国・県・市町村の役割分担を踏まえた検討がなされ、交付金の枠組み等が定められることとされており、県としては国の動向を注視してまいります。
次に、元気子育て支援センター推進事業の廃止の影響についてですが、本事業は、このセンターの立ち上がり支援を目的として実施したものであり、廃止後もおおむね運営が継続されていることから、大きな影響はなかったものと考えております。
次に、地域子育て支援拠点事業に関する国への要望についてです。
地域子育て支援拠点事業の適用対象事業の拡大については、地方の実情に応じた柔軟な対応が可能となるよう、昨年十一月に国に対し要望を行ったところであり、今後とも必要に応じて要望してまいりたいと考えております。
次に、元気子育て支援センター推進事業への単県補助の再開についてです。
県としては、単県補助制度や基金事業により、元気子育て支援センターの立ち上がり支援を行ってきたところでありますが、設置促進が図られていること、それと、基金事業の終了にあわせ、当初の予定どおり補助事業を廃止したところでありまして、単県補助の再開については考えていないところであります。

2013年2月28日