平成25年6月定例県議会(1)産業政策について

(1)産業政策について

政治は、理想と現実をつなぐ総合的な営みであります。理想なき現実論も現実を無視した理想論も共に政治たり得ません。理想と現実をつなぐ格闘こそ政治の本質であります。
私は、山本知事が官僚から政治家に身を転じられ、山口県知事として理想とするモデル地域の実現に向けて懸命に格闘しておられるお姿に、政治家としての苦悩と輝きの両方を見るものですが、目指しておられる方向は正しいと思っております。 どうか山本知事におかれては、御身を大事にしつつ所信を成し遂げられますよう心からエールを送ります。
私は前回の県議会の時、山本知事の政治家としての思いを簡潔にまとめた「皆さん、どうか力を貸して下さい」というタイトルの冊子のことに触れましたが、 今回は、その内容を少し紹介しようと思います。山本知事が理想として掲げ、その実現を目指しておられる方向を、議員同士お互いに知っておくことも意義あることかと思うからです。では、以下冊子からの引用です。

世界中どこの国でも、経済成長のけん引力となった2次産業、3次産業と農林漁業とのバランスをとって進まなければ、国民の暮らしが成り立たなくなる時代がやってきます。

江戸時代が、世界に類例のない高度農業社会だったという事実を学んだのは旧建設省で国土政策を担当するようになってからです。

当時としては、世界最大級の人口規模を誇る江戸の清潔さも彼ら(幕末に日本に来た西欧列強の軍人や外交官たち)にとって驚きでした。 玉川上水などの水供給施設と井戸などの取水施設を組み合わせた高度な上水システム。近隣の田園地帯からの生鮮食料品の供給と排泄物や生ごみなどの都市廃棄物の処理(肥料としての活用)を、 舟運を中心に一体的かつ合理的に取り扱う供給処理システム、これらの高度な都市システムは、暮らしの中で花や植物を愛する江戸市民の生活態度と相まって、 この時代の西ヨーロッパの都市の水準からは飛びぬけて美しく清潔な百万都市江戸の姿を西洋人に印象付けたのです。

私たちはもはや工業化以前の暮らしに戻ることはできません。経済の発展を目指して歩み続けなければなりません。問題となるのはその発展の中身です。環境問題の解決のために目指すべき方向は、自然と人との営みの調和です。 農林漁業と工業、商業のバランスです。田園と都市の共存です。この方向を目指すとき、江戸時代に我が国が実現した高度農業社会の在り方が大きな手がかりになると思うのです。

現在の世代だけでなく、子や孫の世代さらには末代までの幸せな暮らしを考えて今の生活を営む、持続可能性を正面に掲げた社会。
四季を通じて、自然の力を最大限活かして生産し、生産したものを大切に使うだけではなく、再利用、循環利用することで活かしきる社会。
商工業を営む都市と、農林漁業を営む田園がお互い補い合い支えあって共生する社会。

持続、循環、共生。この三つを大切にする社会を目指して進んでいくほかには、道はないと思うのです。

以上、紹介いたしましたことから、私たちは山本知事の念頭に常にある思いを推察することが出来ます。それは、将来の世代のために、よりよい地球環境を持続していくということと、 経済成長を続けて生活の向上を図っていくということが両立する地域社会モデルを、江戸時代の日本が実現した高度農業社会の在り方を手がかりに、 山口県において実現していこうということであります。そして、その地域社会モデルが目指す方向は、次の三つに要約されます。

1.自然と人の営みが調和している低炭素社会
2.自然、天然の力と生産物を最大限活用し生かす循環社会
3.農林漁業と工業、商業がバランスよく発展し共生する社会

こうした地域社会を本県において実現していこうという方向と、山本知事が最も力を入れておられる本県産業力強化の政策を、 どう繋げていくのかということが第一の質問の趣旨で、二点お伺いいたします。
今議会初日に、「やまぐち産業戦略推進計画」の中間案をお示しいただきました。これを見まして、私は、県内経済の成長を図っていく通常の産業政策としてはよく出来ていると評価いたしますが、 山本県政が推進する産業政策は、その域に留まるものであってはなりません。
そこで第一点のお尋ねです。山本知事が目指すモデル地域としての山口県を実現するという観点からの産業政策についてどうお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

第二点は、食品産業の基幹産業化についてであります。
先日、今月の11日ですが、フランス料理の世界的巨匠で「厨房のピカソ」と呼ばれるピエール・ガニェール氏が山口県庁を訪れ、 山本知事より「美食王国やまぐち親善大使」の委嘱状を受け取りました。ガニェールさんは、フレンチシェフとして三つ星を獲得、 日頃から山口県産アマダイを使うなど、山口の食材に関心を示していたため、県が美食親善大使就任を打診していました。
ガニェールさんは委嘱式で、「山口県の食材にはたくさんすばらしいものがある」と県産の魚や牛肉、ウニ、野菜などを高く評価。 山本知事は「世界的水準にある山口県の食材を、彼の目で評価し紹介して頂ける点を心強く思っている」と話した、と新聞は報じております。
ガニェールさんは、来年3月に県産食材と萩焼を融合させた創作料理を発表する予定だそうです。こうした企画により、食の面で山口県のイメージが高まり観光力のアップに繋がることが期待されますが、 それ以上に私が注目するのは、ガニェール氏の美食親善大使就任と、本県食材への評価は、山口県の食品産業が世界市場をマーケットとする基幹産業になり得る可能性を示唆するものではないかということであります。
私は、ガニェール氏の「美食王国やまぐち親善大使」就任を着想し実現した関係職員の努力を高く評価するものでありますが、この企画実現を一過性に終わらせることなく、 将来を見据えて本県の食品産業を基幹産業に育てる可能性を切り拓くことにつなげていってほしいと思う次第です。
三方海に開かれ、海幸、山幸の食材豊かな山口県は、食と健康と知が集積したフードバレーを形成するにふさわしい県であるということを、 私は、これまで議会で度々提唱して来ましたが、そのことは食品産業を基幹産業に育てていくという取り組みの中で、自ずと形成されるものであり、 その方向は、山本知事が目指す地域モデルである農林漁業と工業、商業がバランスよく発展し共生する社会の実現に繋がるものであります。
「やまぐち産業戦略推進計画(中間案)」は、重点戦略の柱の一つに、「地域が輝く『農林水産業活力向上戦略』」を掲げ、県産農林水産物のブランド化による魅力の向上や、 アジアへの輸出拡大に取り組むこととしておりますが、こうした戦略目標は、県の食品産業を基幹産業に育てていくという政策目標を明確にして推進することによって達成されるものと考えます。
県の基幹産業は、県域を越えた市場をマーケットとする産業ということですが、グローバル経済の今日、それは当然に世界市場をマーケットとする産業であり、従って輸出産業であります。
私は、本県の食品産業はそういう意味での基幹産業として世界市場をマーケットとする輸出産業を目指すべきであり、そう成り得る可能性を有していると見ている次第でありまして、 この度の産業戦略中間案が、プロジェクト事業としてアジアに向けた県産農林水産物の輸出拡大に取り組もうとしていることを支持するものであります。
ただ農産物の輸出ということでは、私は、数年前この議会で県産米の台湾輸出が実現したことを高く評価し、さらに中国へのコメ輸出に取り組むことを提案したことがあります。 しかし、現在はその考えが変わりました。それは、食料の輸出で主力とすべきは、農産物そのもの、海産物そのものではなく、それを加工した食品であるということに思いが至ったからであります。
農産物、海産物そのものの輸出は、どうしても高価、高品質のものに限られ、供給対象も主に富裕層で、需要、供給いずれの側にも裾野の広がりが期待できません。
一方、加工食品は、どういう付加価値をつけるかであらゆる階層が供給対象となり、需要、供給いずれにおいても裾野の広がりには限りがありません。
そこでお尋ねです。私は、以上申し上げましたことから、本県の食品産業を世界市場をマーケットとする基幹産業に育てていくべきだと考えますが、 このことにつきご所見をお伺いいたします。また、そのことを推進するため、食品加工研究体制の充実が必要と考えますが、このことにつき併せお伺いいたします。

【回答】◎知事(山本繁太郎君)
合志議員の御質問のうち、私からは、モデル地域の実現と産業政策についてのお尋ねにお答えいたします。
議員から御紹介もありましたが、私が目指す地域社会モデルとは、「子や孫、末代まで持続可能な社会」、「自然の力を活かして、生産物を再利用、循環利用できる社会」、そして「都市と田園が相互に補完し合え、支え合い、共生する社会」、この持続、循環、共生の三つを大切にする社会であります。
私は、その実現には、一つには、我が国の歴史において、豊かな社会の土台となってきた農林漁業の活性化と、それによる地域コミュニティの振興が大きな鍵になると考えております。
特に、本県では、瀬戸内沿岸の産業集積が、背後の中山間地域における農林業やコミュニティの維持に寄与してきたところでありまして、今後の産業政策においては、一次産業と第二次、第三次産業をバランスよく発展させることにより、こうした共生する社会を、将来にわたって支えていくという観点が重要だと考えております。
さらに、本県は、大量かつ高純度の水素の生成を初め、リチウムイオン電池の主要部材や太陽光パネルを製造する企業が集積するなど、循環型社会を構築するための産業力を有しております。これらの地域資源を見直し、生かしていくことによって、成長しながら、持続、循環、共生する地域社会をつくることができるものと考えております。
このたび発表いたしましたやまぐち産業戦略推進計画(中間案)では、こうした考え方のもと、産業政策の面から取り組むべき施策として、「瀬戸内産業再生戦略」や「水素等環境関連産業育成・集積戦略」「農林水産業活力向上戦略」を打ち出しているものであります。
私は、ふるさと山口が、我が国における地方再生のモデルとなりますよう、私が理想とする地域社会、輝く、夢あふれる山口県の実現に向け、最優先課題に掲げる産業力の再生・強化に取り組んでまいる考えです。
その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

【回答】◎農林水産部長(北野常盤君)
産業政策についてのお尋ねのうち、食品産業の基幹産業化について、二点のお尋ねにお答えします。
まず、お示しのように、食品産業を基幹産業に育てていくことは、県産農林水産物の需要を拡大する上で重要であると考えています。
このため、県では、平成五年に食品製造業約五百社で構成する山口県食品産業協議会、さらには、平成十九年に大学、研究機関、食品産業団体等で構成する山口県食品開発推進協議会を設立し、新商品開発、販路の拡大などを通じて、食品産業の活性化や県産農林水産物の需要拡大などに積極的に取り組んでいるところです。
その結果、県産原料一○○%のパンや豆腐などの加工品が商品化され、さらに、県産農林水産物を素材にした外郎、ジェル状の食酢加工品など、特色ある商品が開発されているところであり、これらのうち、かまぼこや清酒などは台湾に輸出されるなど、多くの成果が上がっています。
今後は、こうした取り組みに加えて、県産原料一○○%の加工品をやまぐちブランドとして積極的に育成し、物産展や商談会などを通じ、アジアを中心とした輸出拡大にも取り組むなど、食品産業が基幹産業として発展するよう努めてまいります。
次に、食品加工研究体制については、平成十九年に、県農林総合技術センターに食品加工研究室を設置し、県産原料一○○%の学校給食用パンや、周年供給が可能な、はなっこりー、エソの冷凍技術など、食品産業と一体となった研究開発に取り組んでいるところです。
県としましては、引き続き、食品産業関係者の要望に応えることができるよう、関係機関と連携しながら、食品加工研究体制を充実強化してまいります。
次に、上関町の産業力・観光力強化支援についてのお尋ねのうち、漁業の六次産業化への支援についてお答えします。
六次産業化の取り組みは、農山漁村を活性化し、農林漁業者の所得の向上や雇用を確保する上で重要であると考えています。
このため、県では、平成二十三年度に六次産業化サポートセンターを設置し、専門知識を持つプランナーの派遣や、新商品開発セミナーの開催、販路開拓に向けた異業種交流会の開催など、農林漁業者の要望に沿ったさまざまな支援をしているところです。
さらに、今年度からは、よりきめ細やかな支援ができるよう、県内八地域に生産者と地元の加工・流通・観光業者などが連携する地域組織を新たに設置するなど、六次産業化を支援する体制を強化することとしています。
県としましては、こうした体制のもと、上関町の意向や実情を踏まえ、意欲ある漁業者の六次産業化に向けた取り組みが事業化され、地域の活性化につながるよう積極的に支援してまいります。

2013年6月30日

平成25年6月定例県議会(2)上関町の産業力・観光力強化支援について

(2)上関町の産業力・観光力強化支援について

「座して待つ訳にはいかない。」、上関町の今日の思いを一言で表現すれば、そういうことだと思われます。
上関町は、上関原発の建設計画が中止になった場合、町の振興と住民への行政サービスの確保を如何にして図っていくかの課題に現在真剣に取り組んでいます。
勿論、原発誘致による町興しの基本方針は変わっていません。しかし、福島原発事故以後、国民世論の大勢が「原発依存を減らす。」という方向になっている中において、 我が町の繁栄のためにということで原発建設を声高に求めることはしてはならないと自制しています。そして、原子力発電所が立地されない場合を想定して、 原発関連の財源収入がないという状況のもとで、町の財政運営をどうしていくのか課題に取り組んでいる訳です。
国がエネルギー計画において上関原発建設の方針を明確にすればそれに協力する姿勢を堅持する。しかし、上関原発が立地されなくなった場合は、それはそれとして受け入れ対応していく、 上関町はそう腹を固めております。よって、一番困るのは、上関原発が建設なのか中止なのか定まらないまま中途半端な状態が続き、将来に向けて町の展望を描けないことであります。
ところが、現在の国のエネルギー計画策定に向けての動きを見ていますと、上関原発を含む11基の新設・増設の原発の建設計画がどうなるのかの判断は、随分先になるように思われます。
年内に策定予定の国のエネルギー基本計画においても、大局的、中長期的な観点から方向性を示す内容に留まり、電源構成をどうしていくかを具体的に示すものとはならない見通しであります。
現在、国の原子力政策における最大の関心事は、既存の原発の再稼働であります。この再稼働を認めるかどうかの審査は、原子力規制委員会が行ないますが、この規制委員会は、 三つの審査チームを設け、今年7月に策定予定の新しい安全基準に基づき一つの原発を約半年かけて審査する方針です。従って、既存の原発は50基あることから、順調にいっても全ての既存の 原発について審査が完了するまでには、8年以上かかる計算になります。
また現在、政権党である自民党は、「10年以内に、電源構成のベストミックスを確立する。」と公約しています。電源構成のベストミックスをどうするかについての最大の焦点は、 総発電量における原子力発電の割合をどうするかということであります。
こうしたことから、上関原発を含め新規の原発建設計画をどうするかについて国の考えが定まるまでには、この電源構成のベストミックスと既存原発の再稼働についてその全体像が 具体的に見えてくることが必要との観点に立てば、今後10年近く要することになります。
しかも、国のエネルギー政策が、原発ゼロではなくても「原発依存を減らす」という方向に進むのであれば、原発の新規計画の中でも増設ではなく純然たる新設であり、 未だ準備工事段階であって正式な建設許可が下りていない上関原発は、計画中止になる公算が高いと常識的には思われます。
その間、「座して待っている訳にはいかない。」、上関町がそう考えるのは、当然のことであります。
私は福島原発事故以後、上関原発の建設計画は中止すべきとの立場を明確にしてきましたが、原発による町興しを上関町が政策として選択して来た所以は理解する必要があると考え、 上関町の現状や歩みを知る努力をしてきました。
そして、記紀万葉の古代から、瀬戸内海の海上交通の要衝として栄えてきた歴史があること。それが、船が帆船の時代から動力機関を備えた船舶の時代に移行すると共に、 主に潮待ちの港としての上関の役割が薄れていったこと、それでも明治時代から終戦後頃までは人口が一万人ほどであったのが、戦後の復興、高度経済成長、 都市化の進展の中で上関町では人口流出、過疎化が続き現在は人口が、3千数百人にまで減少していること、町のほとんどが山地であり平地が少なく、以前は水道もなく産業振興、 企業誘致の有効な策がなかなか見いだせなかったことから、原発誘致で活路を切り拓こうと町を挙げて取り組むことになったこと等のことがわかってまいりました。
それが、3.11福島原発事故以後、原発立地が不透明となり、それがない場合を想定した町振興の課題に取り組まざるを得なくなりました。このことは、私は上関町にとっては幸いであったと見ております。
確かに、原発誘致は数十年の賑わいをもたらしてくれるかもしれません。しかし、原子炉の寿命は原則40年とされており、その後は高レベル放射性廃棄物としての廃炉が残ります。
さらに、使用済み核燃料も核燃料サイクル確立の見通しが立っていないことから、原子炉に併設される核燃料プールに保管されたままになる可能性が高いと思われます。
福島原発事故で、最も憂慮されたことの一つは、4号機の燃料プールが余震や水素爆発で崩壊したり、若しくはプールの水が蒸発してなくなってしまい、 そこに保管されている核燃料が露出してしまうことでした。そうなった場合は、首都圏を含めた3000万人避難という最悪事態も想定されていました。
使用済み核燃料が安全な状態になるまでには少なくとも10万年は要すると見られており、その間の安全管理をどうしていくかの解決策は、未だ確立されていません。 原発立地は、そうしたものを併せ抱え込んでしまいます。
上関は、記紀万葉の時代のみならず、遺跡からすると縄文時代にさかのぼって住民の生活があった地域であることがうかがえ、これからもまた、 数千年以上にわたって人々の暮らしが営まれる地域であることを思えば、出来れば困難な道であっても原発立地に頼らず町の振興を図っていくことが、 上関町にとって望ましいことのように、私には思われます。
ただ上関町は、国のエネルギー計画に上関原発の新規立地が位置づけられない可能性もあることから、その場合に備えての検討を真剣に行った次第で、 検討会においては、原子力発電所の是非については一切議論されていません。
私は、上関町のこのような今日の事態への対応姿勢は、誠に的確であると思うものでして、その結果、原発立地如何にかかわらず、上関町の地域資源を生かす施策を、 ハード・ソフト両面から推進することが、町政運営の中軸となりつつあることを評価するものであります。そして、そうした上関町の取り組みを県も支援すべきであると考え、 「上関町の産業力・観光力強化について」ということで、端的に以下三点お伺いいたします。

第一点は、財政支援についてであります。
今後、上関町への原発関連の交付金が、どれだけ確保されるか不透明な中、少なくとも向こう10年にわたって上関町が、今日の行政水準を維持し、 将来に向かって町の振興のために政策投資が出来るよう県も必要に応じて財政支援をすべきであると考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
第二点は、観光力強化への支援についてであります。

上関町のキャッチフレーズは、「花咲く海の町」ですが、上関町は加えて歴史の町であり、様々なストーリイの観光ルートの設定が可能であります。
また、かって昭和40年代、NHKの朝の連続ドラマ「鳩子の海」や、山田洋次監督の映画「愛の讃歌」の舞台になったこともあり、観光面での潜在的ポテンシャルは大きいと思われ、これを最大限生かしていくことが町振興の重要な柱の一つであります。
そこでお尋ねです。山本県政が全力を挙げて取り組む最優先課題の一つが観光力の強化でありますが、上関町を含む広域観光ルートの開発を図るなど、上関町の観光力の強化について、どう支援していかれるのか、ご所見をお伺いいたします。

第三点は、漁業の6次産業化への支援についてであります。
上関大橋の室津側のたもとに整備される「ふるさと市場(仮称)」は、来年秋オープン予定であります。ここでは、上関の海産物をはじめとする特産品が展示販売されますが、その中には勿論祝島の海産物、特産品もあります。
この「ふるさと市場」を、しっかりしたものにしていこうという点では、原発への賛成、反対は関係ありません。私は、素晴らしいことだと思います。
上関町で基幹産業に育つ可能性がある産業分野と言えば、やはり漁業ということになると思いますが、そのためには加工・流通のみならず観光も含めた漁業の6次産業化への取り組みが不可欠であり、 「ふるさと市場」の開設は、そのことに大きく寄与するものと期待されています。
また上関は、海産物の加工という点では、「平天が、うまい。」ということはよく知られており、私も上関に入ったら必ず平天を買って帰りますが、 こうした製品が、「ふるさと市場」の開設で、より広く知られることになり、さらには新たな製品が次々と開発される契機になることが期待されます。
そこでお尋ねです。上関町において漁業を基幹産業に育てていくためには、観光を含む漁業の6次産業化を進めていくことが不可欠であり、 「ふるさと市場」の開設は、このことに大きく寄与するものと期待されています。ついては、こうした取り組みに対し、県もしっかりした支援をしていくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答◎総合企画部長(藤井哲男君)
上関町への財政支援についてのお尋ねにお答えします。
上関町では、平成二十三年十一月に、地域ビジョン検討会を立ち上げ、八回にわたり、今後の町財政運営や地域振興策について検討し、先般、その議論の取りまとめを公表されました。この中で、定住促進策は最優先、産業・雇用創出のための事業の新しい展開が必要、交通システムの再編・確立は優先的課題などの方向性は示されているものの、今後の具体策については、さらに検討を深め、町民のコンセンサスを形成していくことが課題であるとされております。
市町が取り組むまちづくりにつきましては、県では、これまでも地域のニーズ等を踏まえた市町の意向を尊重し、市町との適切な役割分担のもと、支援を行ってきたところであります。
上関町のまちづくりにつきましても、こうした基本的な考え方に立って、同町における今後の検討の状況を注視しながら、適切に対応していきたいと考えております。
【回答◎商工労働部長(木村進君)
上関町の観光力強化の支援についてお答えします。
上関町における昨年の観光客数は、鳩子の湯の開設効果等もあって、前年の二倍を超える約十五万八千人となりましたが、宿泊者数は千七百人余りと伸び悩んでおり、ほとんど日帰り・通過型エリアとなっているのが現状です。
こうした中、県としては、全県的な課題である宿泊滞在型観光の充実を図るため、年間延べ宿泊者数五百万人の実現を新たな目標に掲げ、宿泊客の誘致拡大に向けた重点的な取り組みを進めることとしております。
その一環として、本年度は、お示しの広域観光ルートの開発等を狙いとした広域観光力強化事業に新たに取り組んでいるところであり、先般、県下全市町に対し、広域市町エリアでの実施地域の募集を行い、上関町からの応募はありませんでしたが、岩国・柳井・周防大島エリアなど、県下三地域から要望をいただき、取り組みをスタートさせたところです。
県としては、こうした取り組みに加え、さらに、「食」や「温泉」「歴史」等をテーマとした全県的な観光資源の掘り起こしや戦略的な情報発信に積極的に取り組んでいくこととしており、今後とも、上関町から広域観光等についての要望があった場合には、これらの取り組みを通じ、適宜適切な支援に努めてまいります。

2013年6月30日

平成25年2月定例県議会(1)子育て支援について

(1)子育て支援について

「子育ては、楽しい。」、そう子育て中のお母さん方が思える環境を整えていくことが、子育て支援の施策の大事な柱であると考えます。
子育て支援は、少子化対策でもなければ、雇用対策でもありません。子育て支援は、子育てのより良い環境を整えていくことそのこと自体が目的であり、その目的に沿った施策が自ずと少子化対策ともなり、雇用環境の改善にもなるものと考えます。
昨年2月17日に閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」において、社会保障改革の第一の柱に、未来への投資ということで(子ども・子育て支援)の強化が位置づけられたことは、画期的でした。社会保障と言えば、これまで医療・介護・年金のことでありましたが、新たに「子ども・子育て支援」が、財源的裏付けを持って推進すべき最優先の国の社会保障政策の柱として加えられたからです。
そうした関連の中で子育て三法が成立し、子ども・子育て支援が国の社会保障政策の一環として、より拡充される方向で取り組まれることになったことは歓迎すべきことであり、評価するものであります。

子育て三法の主なポイントは三つあります。

その第一は、認定こども園制度の改善です。
幼稚園の機能と保育園の機能とを併せ持つ認定こども園は、認可や指導監督等の所管が、幼稚園機能は文科省、保育園機能は厚労省と二元管理になっていたのを、内閣府が統一的に所管し、文科省や厚労省は必要な連携、総合調整を通して関与するという仕組みに改善されました。また、学校及び児童福祉施設としての法的位置付けが明確にされました。

第二は、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付(「施設型給付」)及び小規模保育等への給付(「地域型保育給付」)の創設です。
このことにより、認定こども園・幼稚園・保育所の各事業者への運営費補助は、原則内閣府から給付されることになりました。また、現在認可を受けていない小規模な保育施設に対しても、市町村が地域型保育の必要性を判断したうえで、新たに市町村が定める認可基準を満たしている場合は、運営費補助が行なわれることになりました。

第三は、地域の子ども・子育て支援の充実です。
子育て中のお母さん方が、親子ともども自由に集い交流でき、また子育ての相談などもできる場所を、地域地域に開設していく地域子育て支援拠点事業等が、市町村が行なう地域子ども・子育て支援事業として明記されました。
こうした子育て支援の施策には、二つの方向があると思われます。いずれも、子どもを産み育てやすい地域社会の形成を目指すという点では共通ですが、一つは、地域社会自体が提供する保育の量と、幼児期の学校教育や保育の質の向上といった保育機能を拡充する方向です。もう一つは、お母さんの子育てを支える地域環境を整えていく方向です。
先程の、子育て三法のポイント第一と第二は、前者であり、第三は、後者であると言えますが、私が、ここで強調したいことは、地域社会自体の保育提供体制の拡充も、お母さんの子育てを支える地域環境を整えていくことも、同等に大事であるということであります。
そういう観点から、今回はお母さんの子育てを支える地域環境を整えていくことにつき質問を行うものであります。
尚、お母さんの子育てと申しますと、子どもを育てるのはお母さんだけではない、父子家庭もあるぞとの指摘を受けるかもしれませんが、ここではお母さんという言葉は、お母さんの役割を果たす人という意味で使っているというようにご理解いただきたいと思います。
さて、ご案内のように我が国では、子供たちは3歳になるとほとんどが保育園か幼稚園に入園いたしますが、0歳から3歳未満の子供たちの場合、保育園等にお世話になるのは2~3割で、7~8割の子供たちは家庭で主に母親が育てています。
私は先程、お母さんの子育てを支える地域環境を整えることの大事さを強調しましたが、それは、ことに7~8割と見られている3歳未満の未就園児のお母さん方の子育てを支える環境を整えることの大事さであると言えます。
昔は、そういうお母さんの子育てを、家族や隣近所のつながりのなかで支える環境が普通に存在していたように思われます。それが、今日の時代、核家族化が進行し地域における人と人とのつながりも希薄化の傾向にあることから、子育て中のお母さん方を支える地域環境を意識的に創り出し整えていく取り組みが求められています。
こうした要請に応える事業として今日推進されているのが、「地域子育て支援拠点事業」であります。
未就園児を持つ家庭への支援として、先ず始められたのは平成7年からスタートした保育所の機能を活用し子育てに関する専門的な相談や交流を図る「地域子育て支援センター事業」でした。次いで、平成14年から空き施設や空き店舗等を活用し身近な場所で気軽に集える環境整備を目的とした「つどいの広場事業」が始まり併せ展開されることになりました。この両事業が、平成19年に再編統合されて「地域子育て支援拠点事業」として推進されることになり、今日に至っております。平成21年には児童福祉法が改正されて、この事業の法律上の位置づけが明確にされました。そして、平成22年に策定された「子ども・子育てビジョン」では、平成26年までに全国1万カ所の子育て支援拠点を整備する目標が示されているところであります。
では、山口県における「地域子育て支援拠点事業」の取組み状況は如何でしょうか。平成25年1月現在、本県では139カ所の地域子育て支援拠点があります。平成26年度目標数が150カ所でありますので、ほぼ目標達成が視野に入っており、高い水準で本県の子育て支援拠点の設置が進んでいることが分かります。ただ、この設置状況を仔細に見ていきますと、より優れた子育て支援の環境整備に向けて、課題も明らかになってまいります。山本知事は、昨年10月に発刊された山口県の「平成24年度子育て文化創造白書」において、「子育て環境日本一の県づくりの実現を目指す」旨、表明されています。
つきましては、知事表明の「子育て環境日本一の県づくり」に向けて、子育て支援の地域環境が、より一層豊かに整い充実していくことを願い、以下数点お伺いいたします。
お尋ねの第一は、子育て支援の施策推進の基本方針についてであります。
子育て支援が社会保障政策の中に位置づけられ、子育て三法が成立して、国・都道府県・市町村の役割も明確にされ、云わば国を挙げて子育て支援の政策がこれから推進されようとしています。そうした中、本県は今後どういう基本方針のもと、この子育て支援の施策を推進し役割を果たしていくお考えなのか、先ずお伺いいたします。

お尋ねの第二は、子育て支援拠点の設置推進についてであります。
先ず第一点目として、先程子育て支援の施策として、地域社会自体の保育提供体制を拡充していく取り組みも、お母さんの子育てを支える地域環境を整えていく取り組みも、同等に大事である旨申し上げましたが、こうした子育て支援の施策についての基本認識につきましてご所見をお伺いいたします。
次に第二点目として、「つどいの広場型」子育て支援拠点の設置推進についてであります。
「同世代のお母さん方と、話ができることでストレスも解消する。」
「主人は、仕事でほとんど家にいない。子どもと二人きりの生活でストレスがたまっていた。ストレスがピークの頃、ここを知った。ここでは、スタッフが子どもを見てくれて、少し離れて見ることができ、ゆっくりできる。」
「何で、こんな思いをしなくてはならない、と一人でかかえこまなくてすむ。自分だけではない、とお母さん同士共有し合えて、気持ちが楽になる。」
「いろいろと先輩ママの話が聞けて育児の参考になる。」
「二人子どもがいるが、三人でいけるところが少ない。ここに来たら安心。家で三人で居るより、ここに来た方が楽しめる。」
「我が家はアパート住まいで狭い。ここは、自分の家のような感じで過ごせる。子どもは子ども同士で遊べる。お互い息抜きができ、くつろげる。」
「ここがなかったら、どうやって過ごしているだろうか、と思う。」
以上は、山口市内にある「つどいの広場型」子育て支援拠点数カ所を訪ねて、そこに集うお母さん方から聞いた声の一端です。
「つどいの広場型」子育て支援拠点は、空き施設や空き店舗、空き家等を利用して子育て中のお母さんが親子ともども、自由に集い交流できる場所でして、子育て支援を目的とする地域組織やNPO法人等が運営主体となり、スタッフには、母子保健推進員や子育て経験豊かなお母さんのお母さん世代、また先輩ママ等がいることから、子育て相談にも応ずることができる、そういうところであります。
私は、そこに集うお母さん方の声を直接聞いて、こうした「つどいの広場型」子育て支援拠点の開設が、全県的にもっと推進されるべきではないかとの思いに至った次第であります。
地域子育て支援拠点は、支援センター型、つどいの広場型、児童館型の3タイプありまして、最も多いのが「支援センター型」で主に保育園に併設されています。先に本県の子育て支援拠点の総数は139と申しましたが、そのうちの121カ所は、この「支援センター型」で、「つどいの広場型」は、グッと減りまして現在17カ所であります。而も、その17カ所のうち9カ所は山口市であります。尚、児童館型は、全県で1カ所です。
私は先程、本県の子育て支援の拠点整備の水準は高いものの、子細に見た場合課題があると申し上げましたが、その一つが、この「つどいの広場型」子育て支援拠点の増設です。
「支援センター型」拠点は、ほとんどが保育園併設で保育士が配置されます。よって、専門的な見地から子育て支援ができる点に特徴があります。一方、「つどいの広場型」拠点は、集いやすく地域や人との親しいつながりができる点に良さがあると思われます。
この二つのタイプの子育て支援拠点施設が、全県の地域地域に両方あってこそ、
山本知事が目指す「子育て環境日本一の山口県」が実現するのではないでしょうか。
そこでお尋ねです。本県は、地域子育て支援拠点事業における設置目標は、ほぼ達成の水準にありますが、その9割近くは「支援センター型」であることから、「つどいの広場型」子育て支援拠点の増設に、目標を定めて取り組むべきだと考えます。そして、「支援センター型」と「つどいの広場型」の両方の子育て支援拠点がある地域子育て環境を全県的に実現すべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
次に第三点目は、地域子育て支援拠点事業への県負担についてであります。
子育て三法のひとつ「子ども・子育て支援法」は、その第65条から68条までの条文で、子育て支援事業の実施主体である市町村が、費用を支弁すべき事業と、その費用の国及び都道府県の負担について規定しています。
それによりますと、保育施設に係る施設型給付及び地域型保育給付については、国が2分の1、都道府県が4分の1の負担となっています。これは、従来の認可保育園への運営費補助の在り方を、小規模な保育を 提供する施設にまで拡大して明文化した規定と言えます。
一方、地域子ども・子育て支援事業に係る費用の、国及び都道府県の負担については、「予算の範囲内で交付金を交付することができる。」と記されていて、どういう割合で国及び都道府県が負担するかが制度として担保されていません。
これでは、国の子育て支援の政策は、保育の提供体制の整備も子育て支援の環境整備も同等に大事であるとの基本認識を欠いているのではないかと言わざるを得ません。そうとは云え都道府県の裁量に委ねられたからには、本県においては同法第59条に列挙されている地域子ども・子育て支援事業のうち、特に第9号の地域子育て支援拠点事業については、子育て支援の地域環境整備を、保育提供体制の整備と同様に重要視する政策判断に基づき、費用の2分の1は国が負担すると見做し、4分の1を県負担とすることが望ましいと考えます。
「支援センター型」ないし「つどいの広場型」等の子育て支援拠点を運営する事業が、この地域子育て支援拠点事業でありまして、これまで事業費用の概ね半分相当が国からの交付金でまかなわれてきています。よって、この事業の費用を、国が2分の1負担することは事実上行なわれていて、後の半分は、実施主体の市町村が負担し、県負担はありませんでした。そこに、国の2分の1負担に加え、県の4分の1負担が行なわれるようになれば、県下の市町は、地域子育て支援拠点事業へ一層取り組みやすくなり、課題である「つどいの広場型」の子育て支援拠点の設置も全県的に進むのではないかと期待するものです。
そこでお尋ねです。子ども・子育て支援法で、都道府県は「予算の範囲内で交付金を交付することができる。」と規定されている地域子ども・子育て支援事業のうち、地域子育て支援拠点事業については、本県では費用の4分の1を負担するようにするのが望ましいと考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。

次に第四点目は、元気子育て支援センター推進事業についてであります。
元気子育て支援センター推進事業は、平成17年に創設された単県事業であります。
国が推進する地域子育て支援拠点事業は、市町村が保育園等の事業者に支給する事業費の半分相当が、子育て支援交付金で補助されることになっています。ただ、そのためには保育園等の事業者は、週に3日ないし5日以上開設すること、一日の開設時間が5時間以上であること、保育士等を1名ないし2名配置すること等の運営水準を満たすことが求められます。
こうした国が求める水準に応ずることが難しい過疎地域等の子育てニーズに対応するため、補助要件を緩和して子育て支援の拠点事業をやりやすくしたのが元気子育て支援センター推進事業でありまして、国の制度が行き届かない過疎地域等を、県事業でカバーしようとするものです。尚、県の事業費補助は2分の1であります。
実は、本県の支援センター型の地域子育て拠点数は、121カ所と申してきましたが、より正確に申しますと、その内40カ所は、この元気子育て支援センターでして、国の子育て支援交付金交付の対象になっている支援センターは81カ所であります。
この現在40カ所の元気子育て支援センターへの事業費補助は、平成17年度から21年度までは単県で、平成22年度と23年度は、国から交付されて県において造成した「山口県安心子ども基金」を活用して行なわれて来ました。
それが、今年度すなわち平成24年度から、この事業への補助がなされていません。当該事業にかかる国の「安心子ども基金」の予算措置がないようになったからです。
元々、この元気子育て支援センター推進事業は、県からの運営費補助を3年間と定めており、その補助期間で事業が軌道に乗り市町で継続されることを期待したものでありました。しかし、この事業への補助がなくなったことにより、事業実施が困難となり過疎地域等での子育て支援環境が後退することがあってはなりません。むしろ、過疎地域等だからこそ、子育て支援の環境をより充実していく取り組みが必要であることは言うまでもありません。
そこでお尋ねです。元気子育て支援センター推進事業への補助が今年度からなくなったことの影響をどう見ておられるのか、先ずお伺いいたします。
次に、子ども・子育て支援法では、保育提供の拡充ということで、地域の実情に応じてこれまで認可を受けていなかった小規模の保育園等も、保育ニーズ調査により必要性が認められれば、地域型保育ということで運営費補助をするようになりました。同様に、地域子育て支援拠点事業はバリエーションを増やして適用対象の事業を拡大し、本県が実施してきたような過疎地域等をカバーする元気子育て支援センター推進事業も包含できるものに改めるよう国に要望すべきであると考えます。ついては、このことにつきご所見をお伺いいたします。
また、そうした要望に国が応える措置をするまでの間、元気子育て支援センター推進事業への単県補助の再開を検討すべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎知事(山本繁太郎君)
合志議員の御質問にお答えします。
まず、子育て支援の施策推進の基本方針等についてであります。
私は、子育て環境日本一の県づくりを進めるためには、子供を安心して生み、育てることができる環境づくりを推進することが重要であると考えております。
こうした環境づくりを進めていく上では、国、県、市町の役割分担をより明確化した上で、基礎的自治体である市町が前面に立って、保育所の機能強化や子育て中の親子が気軽に集える地域子育て支援拠点の設置などに主体的に取り組めるよう、広域的行政体である県は、市町をしっかりと支えていく必要があると考えております。
お示しの子ども・子育て関連三法においても、同様に、子供の健やかな成長のため、保育等の実施主体である市町、国や県が重層的に支えていくこととされております。
お尋ねの子育て支援については、県づくりの基本的方向としてお示ししている「五つの全力」のうち、「人財力の育成」を進める上で、極めて重要な施策の柱であります。
このため、私は、こうした県が市町を支えていくという考え方をもとに、県民の皆様に、「山口県で子供を生み、育てて本当によかった」と心から実感していただけるような県づくりを進めることを基本方針として、市町が主体的に進める子育て環境づくりを支援するなど、県としての役割をしっかりと果たしていく考えであります。

【回答】◎健康福祉部長(渡邉修二君)
地域子育て支援拠点の設置等についての数点のお尋ねでございます。
まず、子育て支援の施策についての基本的認識についてお答えいたします。
県としては、保育等の実施主体である市町村を国・都道府県が重層的に支えるという子ども・子育て関連三法における役割分担を踏まえ、地域のニーズに応じて、お示しの保育提供体制の拡充と、子育てを支える地域環境の整備を適切に組み合わせながら、子育て支援の施策を総合的に推進していくことが重要と考えております。
次に、「つどいの広場型」子育て支援拠点の設置についてです。
地域子育て支援拠点については、住民に身近な市町が地域におけるニーズ等を把握した上で、開設場所や開設日数等の事業計画を定め、当該地域に適した子育て支援拠点を設置すべきものと考えております。
次に、地域子育て支援拠点事業への県の負担についてです。
地域子育て支援拠点事業における費用負担については、現在、その内容が明らかになっておりませんが、今後、国の「子ども・子育て会議」において、国・県・市町村の役割分担を踏まえた検討がなされ、交付金の枠組み等が定められることとされており、県としては国の動向を注視してまいります。
次に、元気子育て支援センター推進事業の廃止の影響についてですが、本事業は、このセンターの立ち上がり支援を目的として実施したものであり、廃止後もおおむね運営が継続されていることから、大きな影響はなかったものと考えております。
次に、地域子育て支援拠点事業に関する国への要望についてです。
地域子育て支援拠点事業の適用対象事業の拡大については、地方の実情に応じた柔軟な対応が可能となるよう、昨年十一月に国に対し要望を行ったところであり、今後とも必要に応じて要望してまいりたいと考えております。
次に、元気子育て支援センター推進事業への単県補助の再開についてです。
県としては、単県補助制度や基金事業により、元気子育て支援センターの立ち上がり支援を行ってきたところでありますが、設置促進が図られていること、それと、基金事業の終了にあわせ、当初の予定どおり補助事業を廃止したところでありまして、単県補助の再開については考えていないところであります。

2013年2月28日

平成25年2月定例県議会(2)エネルギー政策と上関原発建設計画について

(2)エネルギー政策と上関原発建設計画について

エネルギー政策と上関原発建設計画について端的にお伺いいたします。

第一は、山本知事は、我が国の今後のエネルギー政策は、どうあるべきとお考えなのかについてです。
知事選挙の時、山本知事は「3.11を体験した日本人にとって、脱原発依存はあたりまえの話です。」と、明言されました。
この考えは、今も変わっていないのかお伺いいたします。

第二は、原発依存を減らすという方向と上関原発についてです。
平成22年6月に策定された国のエネルギー基本計画は、54期ある原発を、さらに14基新設・増設して我が国の総発電量において原発が占める割合を、3割から5割に増やすというものでした。その新設・増設14基の原発の中に、上関原発2基が計画されていました。
このエネルギー計画は、3.11福島原発事故後、白紙に戻して見直すことになりましたが、これに取り組んだ民主党政権は、2030年代の原発ゼロの方針は示したもののエネルギー基本計画そのものの見直しまでには至りませんでした。
そして、昨年末の総選挙で自民党が勝利し第二次安倍政権が誕生しました。安倍総理は、「前政権が掲げた2030年代に原発稼働をゼロにするとの方針は、ゼロベースで見直す。」と国会で答弁しております。
ただ、自民党が総選挙の時、エネルギー政策については「原発依存は減らしていく。」という方針を公約しており、この方針は、安倍総理も言明しているところです。
そこで、私が指摘したいことがあります。それは、原発依存を減らしていく方向に、上関原発の建設はない、ということであります。
原発依存を減らすと言いながら、上関原発の建設を容認する政治家がいるとすれば、彼は真剣に、本気に原発依存を減らすことを考えていない、ただポーズとしてそう言っているだけで、有権者をごまかしていると言わざるを得ません。
新設・増設の計画がある14基の原発のうち、既に原子炉設置許可が下り、工事計画が認可され着工しているのが3基あります。それ以外の11基の中には、福島第一原発で増設予定だった7号基、8号基や、福島県浪江町・小高町に新設予定の1号基もあって、これらの建設はないと見れば、新設・増設の計画があるが未着工の原発は8基ということになります。この8基の中で、純然たる新設は上関原発の2基で、ほかの6基は全て増設であります。増設は、言うまでもなく既に原発が建設されているところに、新たに建設されることです。
このことから、私が申し上げたいことは、上関原発建設計画が、実施になれば、それは、我が国のエネルギー政策が、福島原発事故以前に戻ったに等しい、ということであります。私は、そういうことは断じてあってはならないと考えております。それは、多くの人達が犠牲になり、過酷な運命に追いやられ、我が国が存亡の淵に立たされた、3.11の大震災そして福島原発事故から、何の教訓も学んでいないに等しいと思われるからです。
私は、3.11の大震災とそれに伴う福島原発事故は、ある意味、我が国への天の警告であり、原発拡大路線からの転換を促すものであった、と受け止めております。
3.11大震災で2万名近くの人々が犠牲になりました。そして、福島原発事故では、東日本壊滅の一歩手前という戦後最大の危機的事態に直面しました。
そのような多大の犠牲を払い、深刻な危機に直面した体験から教訓を学び取り、よりよい日本を創っていくことが、今この国に生きている私たちの責務なのではないでしょうか。
上関原発の計画は、それが建設になるか中止になるかが、我が国のエネルギー政策が、原発依存を減らす方向に行くのかどうかの分岐点になるものと思われます。
福島原発事故を経験したことにより、将来原発をゼロにするかどうかはともかく、原発依存を減らす方向に進むことは、ほぼ日本国民の総意、コンセンサスになっていると見ております。

そこで、山本知事にお伺いいたします。
私は、国のエネルギー政策において原発依存を減らしていくことが、国民の総意であり、その方向に上関原発の建設はないと見ておりますが、このことにつき知事のご所見をお伺いいたします。

第三は、公有水面埋立免許の延長申請についてであります。
山本知事は、今議会で上関原発建設に係る公有水面埋立免許の延長申請についての判断は、1年間先送りする考えを表明されました。
要は、「国のエネルギー政策における上関原発の位置づけが不透明だから許可できない。」との考えから、「国のエネルギー政策における上関原発の位置づけが不透明だから判断できない。」との考えに変わり、「今後1年間の間に国のエネルギー政策における上関原発の位置づけも明確になるであろう。」との見通しで、判断の1年間先送りの表明となったものと見ております。
1年間判断先送りの理由は、そのような理解でいいのか、お伺いいたします。
また、そのことは、経済産業省が国の「エネルギー基本計画」の諮問機関として新たに総合資源エネルギー調査会総合部会15人の委員を決め、年内の基本計画策定を目指して、議論を再開することにしたことと関連があるのか、併せお伺いいたします。

第四は、県の基本的な考えについてであります。
県は、これまで上関原発建設計画に対しては、「国のエネルギー政策に協力する。」「地元上関町の政策選択を尊重する。」との考えに立って対応して来られました。そして、その考えは山本知事も同じであり、踏襲しておられます。
しかし、私達は3.11の原発事故から、原発建設問題は立地自治体だけの問題ではなく、広範な周辺自治体も含めた広域的問題であることを学びました。
ご案内のように、広域行政は県の役割であります。
そこでお尋ねです。上関原発建設計画については、「地元上関町の政策選択を尊重する。」との考えを踏まえた上で、「山口県全体の民意を代表する。」との立場に立って国に対して対応すべきであると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。

【回答】◎知事(山本繁太郎君)
次に、エネルギー政策と上関原発建設計画のうち、我が国の今後のエネルギー政策についてのお尋ねにお答えいたします。
三・一一の原子力発電所の事故を経験した国民にとりまして、脱原発依存は当然のことであり、この国を将来に向けて、できるだけ原子力に依存しないエネルギー構造に持っていきたいという思いは、国民の願いであると私は受けとめており、その考えは、現在でも変わっておりません。
その余の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

【回答】◎商工労働部長(半田健二君)
エネルギー政策と上関原発建設計画のうちの二点にお答え申し上げます。
まず、原発依存を減らすという方向と上関原発についてでございます。
エネルギーは、国民生活の安定向上並びに国民経済の維持・発展に欠くことのできないものであり、エネルギー政策は国家運営の基本です。
したがって、国において、国民の期待に応えられる新たなエネルギー基本計画をできるだけ早期に策定し、その中で、原子力発電所の新増設計画をどうするのか、国の責任において明確に示していただきたいと考えております。
次に、県の基本的な考えについてです。
上関原子力発電所計画については、周辺自治体や県民の間にさまざまな意見があることは承知しておりますが、県としては、これまで一貫して国のエネルギー政策に協力し、地元上関町の政策選択を尊重するという立場で対応してきており、今後ともこうした立場を堅持してまいります。
こうした中、原子力発電については、国及び事業者の明確な責任において、安全性、信頼性の確保を大前提に進められるべきものであり、県としては、これまでも、上関原子力発電所計画に関して、広く県民の安心・安全を守るという観点から、国に対して言うべきことはしっかり言うという姿勢で対応しており、今後とも同様に対応してまいります。

【回答】◎土木建築部長(小口浩君)
公有水面埋立免許の延長についてのお尋ねです。
上関原発に係る埋立免許の延長について、前知事が示された「申請があった場合には公有水面埋立法に基づき適正に審査する」こと及び「埋め立ての前提となる土地利用計画が不透明であれば、公有水面埋立法上の要件である正当な事由がなく、埋立免許の延長を認めることはできない」ことという法的整理を知事は引き継いでおり、こうした考え方は、現時点に至るまで全く変わっておりません。
したがいまして、県としては、このたびの申請が適法なものであることから、その内容の的確な把握に努め、公有水面埋立法に基づく適正な審査を予断を持つことなく、公正な立場で行っているところです。
その結果、代表質問で答弁があったとおり、審査の過程で事業者が変更はないと主張する上関原発の重要電源開発地点の指定についても審査を尽くさなければ、法律上の要件である「正当な事由」の有無を判断し処分することはできないとの認識に至ったことから、審査を継続し、さらに補足説明を求めるとしたところです。
その際、事業者がみずからの主張に対する立証を行うには、重要電源開発地点の指定に関する将来の見通しなどについて相当の情報の調査・収集が必要と考えられ、一年程度の期限を設けることとしております。
また、したがいまして、お尋ねの今回の補足説明を求めることと、国のエネルギー基本計画の年内策定を目指した議論が再開されたこととは、関連はありません。

2013年2月28日

平成24年11月定例県議会【産業政策】(1)産業戦略本部について

産業政策について

山本知事が、県政運営に当たって最も力を入れておられる産業政策についてお伺いいたします。
山本知事は、知事選出馬を決意されてからは、何よりも本県の産業力の再生強化に取り組むことを第一番に訴えてこられました。その結果、多くの県民の支持を獲得し期待を担って見事当選を果たされました。そして、第46代山口県知事に就任されるや、最優先課題として産業力強化に取り組む姿勢を明確にされ、担当副知事を議会の同意を得て任命され産業戦略本部準備室を立ち上げられました。
こうした山本知事の産業力強化に向けた取り組みは、来年四月に予定されている産業戦略本部の設置で本格稼働になるものと思われます。
そこで、そのことに向けて準備段階にある現在、この戦略本部が正式に発足したら直ちに有効に機能するよう、少し辛口になりますが大事と思われる数点につき議論を提起いたしたく今議会での質問を行うものであります。

(1)産業戦略本部について
その1は、産業戦略本部についてであります。
さて、私は山本知事の産業力強化に向けたお考えを知るべく、選挙戦で訴えられたこと、知事就任後の議会や記者会見で発言されたこと等を、つぶさに見てまいりました。そこからは、確かに山本知事の産業力強化に向けた意気込みや熱意は伝わってまいりますが、その内容は総論、一般論であり、各論も常識的な列挙の域を出ていません。しかし、産業強化のために必要なのは、本県の現状と課題を正確に認識した上での実践を前提とした各論であり、具体的な対応策であります。
産業戦略本部は、産業分野の取り組みを統括的・総合的に進める中核組織と位置づけられていますが、往々にしてこうした組織は、立派な計画を作ることや、そのために委員会を設けて審議することが主たる役割となり、実践面が充分伴わないケースが見受けられます。然るに、この産業戦略本部は、そうではなく何よりも実践組織として、とにかく本県の産業力の強化につながることは、何でもドンドンやる、担当副知事を置いて部局横断的に取り組むことができるので、縦割り行政の弊を排して課題の解決や必要な事項の実現が スピーディに進むようになったというようにならなければなりません。
取組みの目標や方向を明確にする上での計画作りは必要でしょうが、それも、あくまでも具体的な行動の指針としてのものであるべきだし、委員会も課題解決の取り組み実践を通して必要性が見えてきたことに関して設ければいいと考えます。
以上の考えから産業戦略本部について第一のお尋ねです。先ずは、当面する課題の解決にドンドン取組むことが産業戦略本部の役割であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
また、同様の考えから来年4月に正式に産業戦略本部が立ち上がった時には、本県産業強化に向けて取り組むべき各論、具体的な対応策が明確になっておくことが必要と考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
それから、10月の記者会見で知事は、産業戦略を諮問できるような有識者会議の設置の準備を進める旨のお考えを述べておられますが、有識者会議を設けるのであれば、それは準備室の段階で、産業戦略本部が立ち上がるまでに会議を開催して産業戦略を諮問し確定するというスケジュールであるべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
産業戦略本部についてのお尋ねの最後は、「次世代周南コンビナート形成基本戦略」の扱いについてであります。
山本知事が、本県の産業力強化ということで繰り返し言及しておられるのは、瀬戸内沿岸部の産業集積を生かすということであります。
この瀬戸内沿岸部の中央地域において基幹産業として産業集積を実現している周南コンビナートの将来に向けた戦略をまとめた報告書が、「次世代周南コンビナート形成基本戦略」であります。
平成19年3月に策定されたこの基本戦略は、将来のあるべき周南コンビナートの姿として、「東アジア最強の次世代型化学コンビナート」を目指すとしており、現状の認識や取り組むべき課題が切迫感を持って述べられており、県商工労働部も含めこの基本戦略策定にかかわったメンバーの熱い思いが伝わってくる内容となっております。
そこでお尋ねです。私は「次世代周南コンビナート形成基本戦略」は、瀬戸内沿岸部の産業集積を生かすということで産業戦略本部が取り組むべき課題と方向を具体的かつ的確に示していると見ております。よって、この報告書の内容は、産業戦略本部が今後取り組みを進める上において大いに生かすべきものと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎知事(山本繁太郎君)
合志議員の御質問のうち、私からは、産業戦略本部についてのお尋ねにお答えいたします。
閉塞感に覆われた今の時代環境の中、私は、地域の活力を取り戻すため、産業力の強化を最優先の課題として取り組むこととしております。
その取り組みの中核となる「産業戦略本部」は、部局横断かつ目的実現型の組織とし、当面する課題の解決にスピード感を持って取り組んでいく実践組織として機能させたいと考えております。
こうした本部の機能を設置後、直ちに発揮させていくためには、まず、企業や市町などのニーズや課題をしっかり掌握し、戦略を明確にすることが重要でありますことから、私みずから企業等を訪問し、その意見を聞くなどの取り組みも進めているところであります。
次に、産業戦略の構築に当たっては、こうしたさまざまなニーズなどの把握に加え、産業の第一線で頑張っておられる方や、最先端の産業情報にアクセスできる方の御意見も甚だ重要であり、このため、企業関係者や学識経験者で構成する有識者会議を年度内に設置・開催し、高い見地から助言・提言をいただくことにしており、新年度の本部設置後も、産業戦略の構築にあわせて、適宜、御意見やアドバイスをお聞きする考えでおります。
また、お示しいただきました次世代周南コンビナート形成基本戦略につきましては、平成十八年度に企業と行政が協働・連携して、周南コンビナートの国際競争力の強化などに向けた諸課題に対応するために策定したものであり、私の進める瀬戸内産業の再生・強化に重なる部分も多々ありますことから、最近の産業情勢の変化もしんしゃくしながら、今後の作業にも深く参考にしてまいりたいと考えております。
その余の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

事が、県政運営に当たって最も力を入れておられる産業政策についてお伺いいたします。
山本知事は、知事選出馬を決意されてからは、何よりも本県の産業力の再生強化に取り組むことを第一番に訴えてこられました。その結果、多くの県民の支持を獲得し期待を担って見事当選を果たされました。そして、第46代山口県知事に就任されるや、最優先課題として産業力強化に取り組む姿勢を明確にされ、担当副知事を議会の同意を得て任命され産業戦略本部準備室を立ち上げられました。
こうした山本知事の産業力強化に向けた取り組みは、来年四月に予定されている産業戦略本部の設置で本格稼働になるものと思われます。
そこで、そのことに向けて準備段階にある現在、この戦略本部が正式に発足したら直ちに有効に機能するよう、少し辛口になりますが大事と思われる数点につき議論を提起いたしたく今議会での質問を行うものであります。

(1)産業戦略本部について
その1は、産業戦略本部についてであります。
さて、私は山本知事の産業力強化に向けたお考えを知るべく、選挙戦で訴えられたこと、知事就任後の議会や記者会見で発言されたこと等を、つぶさに見てまいりました。そこからは、確かに山本知事の産業力強化に向けた意気込みや熱意は伝わってまいりますが、その内容は総論、一般論であり、各論も常識的な列挙の域を出ていません。しかし、産業強化のために必要なのは、本県の現状と課題を正確に認識した上での実践を前提とした各論であり、具体的な対応策であります。
産業戦略本部は、産業分野の取り組みを統括的・総合的に進める中核組織と位置づけられていますが、往々にしてこうした組織は、立派な計画を作ることや、そのために委員会を設けて審議することが主たる役割となり、実践面が充分伴わないケースが見受けられます。然るに、この産業戦略本部は、そうではなく何よりも実践組織として、とにかく本県の産業力の強化につながることは、何でもドンドンやる、担当副知事を置いて部局横断的に取り組むことができるので、縦割り行政の弊を排して課題の解決や必要な事項の実現が スピーディに進むようになったというようにならなければなりません。
取組みの目標や方向を明確にする上での計画作りは必要でしょうが、それも、あくまでも具体的な行動の指針としてのものであるべきだし、委員会も課題解決の取り組み実践を通して必要性が見えてきたことに関して設ければいいと考えます。
以上の考えから産業戦略本部について第一のお尋ねです。先ずは、当面する課題の解決にドンドン取組むことが産業戦略本部の役割であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
また、同様の考えから来年4月に正式に産業戦略本部が立ち上がった時には、本県産業強化に向けて取り組むべき各論、具体的な対応策が明確になっておくことが必要と考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
それから、10月の記者会見で知事は、産業戦略を諮問できるような有識者会議の設置の準備を進める旨のお考えを述べておられますが、有識者会議を設けるのであれば、それは準備室の段階で、産業戦略本部が立ち上がるまでに会議を開催して産業戦略を諮問し確定するというスケジュールであるべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
産業戦略本部についてのお尋ねの最後は、「次世代周南コンビナート形成基本戦略」の扱いについてであります。
山本知事が、本県の産業力強化ということで繰り返し言及しておられるのは、瀬戸内沿岸部の産業集積を生かすということであります。
この瀬戸内沿岸部の中央地域において基幹産業として産業集積を実現している周南コンビナートの将来に向けた戦略をまとめた報告書が、「次世代周南コンビナート形成基本戦略」であります。
平成19年3月に策定されたこの基本戦略は、将来のあるべき周南コンビナートの姿として、「東アジア最強の次世代型化学コンビナート」を目指すとしており、現状の認識や取り組むべき課題が切迫感を持って述べられており、県商工労働部も含めこの基本戦略策定にかかわったメンバーの熱い思いが伝わってくる内容となっております。
そこでお尋ねです。私は「次世代周南コンビナート形成基本戦略」は、瀬戸内沿岸部の産業集積を生かすということで産業戦略本部が取り組むべき課題と方向を具体的かつ的確に示していると見ております。よって、この報告書の内容は、産業戦略本部が今後取り組みを進める上において大いに生かすべきものと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎知事(山本繁太郎君)
合志議員の御質問のうち、私からは、産業戦略本部についてのお尋ねにお答えいたします。
閉塞感に覆われた今の時代環境の中、私は、地域の活力を取り戻すため、産業力の強化を最優先の課題として取り組むこととしております。
その取り組みの中核となる「産業戦略本部」は、部局横断かつ目的実現型の組織とし、当面する課題の解決にスピード感を持って取り組んでいく実践組織として機能させたいと考えております。
こうした本部の機能を設置後、直ちに発揮させていくためには、まず、企業や市町などのニーズや課題をしっかり掌握し、戦略を明確にすることが重要でありますことから、私みずから企業等を訪問し、その意見を聞くなどの取り組みも進めているところであります。
次に、産業戦略の構築に当たっては、こうしたさまざまなニーズなどの把握に加え、産業の第一線で頑張っておられる方や、最先端の産業情報にアクセスできる方の御意見も甚だ重要であり、このため、企業関係者や学識経験者で構成する有識者会議を年度内に設置・開催し、高い見地から助言・提言をいただくことにしており、新年度の本部設置後も、産業戦略の構築にあわせて、適宜、御意見やアドバイスをお聞きする考えでおります。
また、お示しいただきました次世代周南コンビナート形成基本戦略につきましては、平成十八年度に企業と行政が協働・連携して、周南コンビナートの国際競争力の強化などに向けた諸課題に対応するために策定したものであり、私の進める瀬戸内産業の再生・強化に重なる部分も多々ありますことから、最近の産業情勢の変化もしんしゃくしながら、今後の作業にも深く参考にしてまいりたいと考えております。
その余の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

2012年11月30日

平成24年11月定例県議会【産業政策】(2)中小企業対策について

(2)中小企業対策について

総務省が、平成21年に行いました経済センサス―基礎調査によれば、本県の中小企業数は46,307で、県内企業の99.9%は中小企業であります。事業所数でみれば66,948箇所の事業所が中小企業で割合は98.9%、従業者数で見れば491,197人が中小企業で働いており、その割合は80.7%であります。
このように、本県においても産業経済活動を担う企業のほとんどは中小企業であります。
よって産業力の強化は、イクオール中小企業の企業力の強化であるといっても過言ではありません。しかし、本県も含め我が国の中小企業は、特に平成初頭のバブル経済崩壊後、失われた20年とも称される経済の停滞状況が続く中で苦闘の経営を強いられております。そうした経済情勢は今日も変わっておらず、明るい展望が持てない景況にあります。
今年の7月から9月間の県内中小企業景況調査によれば、この前期と比べて、業況判断、売上、経常利益及び資金繰りの全ての指標において、マイナス幅が拡大しております。
企業経営が黒字か赤字かという点で、県の商工会議所連合会が県内中小企業の景況調査を行っておりますが、これによりますと同様今年の7月から9月までの間で黒字と答えたところが15.4%、トントンと答えたところが50.2%、赤字と答えたところが34.4%となっております。
この企業経営が黒字か赤字かということに関し、地元の金融機関がどう見ているかを聞きますと、その見方は一層厳しく中小企業の7割から8割は赤字と見ています。
こうした中小企業の厳しい経営状況は今後改善される見通しはなく、むしろ中小企業を取り巻く経営環境は、一層厳しさを増す方向にあります。
金融機関に貸し付け条件の変更などを制度として促し、企業が資金繰りに行き詰まらないよう措置した金融円滑化法は、来年3月で終了いたします。
中小企業への緊急雇用安定助成金は、今年の10月に支給を抑制縮小する方向で支給の要件が変更されました。
今年の8月に成立した社会保障制度改革推進法は、短時間労働者に対する厚生年金や健康保険の適用を拡大する内容になっており、このことに伴い企業負担は増大することが予想されます。
加えて、消費税の増税が予定通り実施された場合、中小企業の企業経営にどう影響するのか懸念されるところであります。
そこでお尋ねです。こうした厳しい状況だからこそ政策の真価が問われることになります。私は、産業力の強化に総力を挙げて取り組もうとしておられる山本知事が、大胆な中小企業対策を打ち出されることを期待するものですが、本県の中小企業が明るい展望を持てるようにするためにどう取り組もうとしておられるのかご所見をお伺いいたします。

次に、中小企業対策ということで広報活動や研究・技術開発への支援についてお伺いいたします。
私は、中小企業対策としては、「育てる」という視点が重要だと考えるものです。産業力強化の可能性を持った企業の芽を育てるには、県がしっかりした広報戦略や研究・技術開発支援の方針を持つことが求められます。
具体的な事例を紹介しようと思いますが、山口市にK製作所と言って戦前から主に葉たばこ乾燥機の開発・製造・販売を社業としてきた会社があります。
近年葉たばこの生産が減少して来たことから新たな事業展開を模索する中で、長年培ってきた乾燥技術を生かして、野菜や果物の乾物を作る機械の開発に成功しました。
乾物と言えば水産物が一般的で、野菜や果物では干し大根とか干しブドウとか乾物に出来るものは限られていたのが、K社が開発した機械は、どんな野菜や果物でも、元の風味を損なわないで乾燥し乾物に出来るという点が、特筆さるべき性能であります。
この機械で作られたスイカとか梨とかの乾物が道の駅で販売されて好評を博しているということがローカルニュースで報道されたこともありますので、見られた方もあるかもしれません。
生鮮食品としては捨てられていたものも、乾物にすれば生かせるし、賞味期間、保存期間も長くなり、乾燥したものは粉にしやすくパウダーとしての用途は大きく広がり、輸出食品に育てていくことも夢ではありません。また、農業の6次産業化という方向にも沿うものであり、中山間地域の活性化にも活用が期待されており、テレビ産業、自動車産業といった意味での乾物産業形成の可能性も展望されるところであります。
山口市は、そういったことに着目してK社と共同企画で「山口から“Kanbutsu”を発信」プロジェクトを立ち上げたところ、これが総務省認定事業として採択され、併せて6次産業化支援の実績により「ニッポン新事業創出大賞」の受賞となりました。
山口市が、このプロジェクトでやったことの一つは、フェイスブックに山口市役所乾物部を登録したことです。現に乾物部が山口市役所にあるわけではありませんが、乾物事業の情報発信拠点として活用すべくフェイスブックにそういう名称で登録したという次第です。
自治体が、一民間企業と組んでそこまでやるということに対しては、公平性の観点から批判があるかもしれませんが、私はこういうことは大いにやるべき、「山口市はよくやった。」と評価するものであります。
山口市がやったことは、広報面からK社の技術や製品を育てる支援ということができると思うわけですが、私は、広域自治体である県も、同様に広報活動を通して県内企業を支援する取り組みがあっていいと考えます。
企業は、どんなにいい製品を創り出しても、最終的にはそれを売ることによって経営が成り立つものであることから、市場、販路を開拓するマーケッティング活動が重要であります。県や市町の広報面からの支援というのは、そうした企業のマーケッティング活動を後押しし、強化する支援であるとも言えます。
勿論そこには、企業が開発した技術や製品が持つ可能性、本県の産業や地域経済への波及効果、県が推進しようとする政策との整合性等の観点から選択があるのは当然のことで、産業力強化に向けて県内中小企業を育てる選択的広報戦略の確立と推進が必要と考えます。
そこでお尋ねです。県内中小企業を広報面から支援する施策が、産業力強化の一つの柱として重要と考えますが、このことにどう取り組まれるのかご所見をお伺いいたします。

次に、研究・技術開発支援についてお伺いいたします。
このことで私が申しあげたいことは、県内の一民間企業が持つ製品や技術であっても、それを育てることが一企業の利益にとどまらず地域経済を豊かにし、産業振興につながると思われるものは、県の施策として しっかり研究・技術開発支援が行なわれていいということであります。
先ほど紹介しましたK社が開発した機械でつくられた野菜・果物の乾物は、乾燥した場合の栄養価の変化に関する分析が明らかになれば、学校給食や病院食にも取り入れられる可能性が出てきますし、さらにパウダーにした場合の分析があれば用途は一層多方面に広がり、先ほど述べましたように農業の6次産業化にも大きく寄与するのみならず、乾物を通しての産業形成も展望できるところであります。
唯そうした栄養分析を、産業化を展望したレベルで本格的に行うことは、一民間企業の研究委託では限界があるようで、県が産業振興に係る研究事業として取り組むことが検討されていいケースだと考えます。
今年、日本国民を勇気づけた最も明るいニュースの一つは、山中伸弥教授のノーベル賞受賞でした。ご案内のように山中教授は、iPS細胞の研究開発で受賞したのですが、この研究に対し科学技術振興機構が、2003年から5年間にわたって3億円の研究費支援を行ったこともノーベル賞受賞につながる研究成果を上げる上で大きかったと思われます。
そこでお尋ねです。科学技術振興機構の支援が、山中教授の研究を大きく育てノーベル賞という大輪の花を咲かせることになったわけですが、私は、県内の中小企業が取り組んでいる研究・技術開発のなかで産業力強化という観点から有望と思われるものは、これを県の施策として支援し育てるという取り組みがあっていいと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎商工労働部長(半田健二君)
中小企業対策についてのお尋ねのうち、まず、中小企業の企業力の強化についてお答えします。
本県経済を支える中小企業が、その機動性や創造性を生かした事業活動を展開するとともに、経済環境の変化に対応して、経営体質を改善・強化し、経営の安定化を図ることは本県産業力の強化の面からも極めて重要であります。
こうした中、御指摘のように、中小企業金融円滑化法が今年度末に期限を迎えるなど、中小企業を取り巻く経営環境は、一層厳しさを増しているところであります。
このため、本年十月、山口県中小企業支援ネットワークを構築し、信用保証協会、金融機関等が一体となって、中小企業の早期経営改善や事業再生を促進することとしたところであります。
また、中小企業制度融資において、セーフティネット資金である経営安定資金と経営支援特別資金の融資枠をあわせて五十億円拡大するとともに、国の経営力強化保証制度を活用した経営力強化支援資金を創設するなど、金融の円滑化に万全を期すこととしております。
一方、新事業展開等に意欲的に取り組む中小企業に対しては、やまぐち産業振興財団等と連携し、中小企業の成長の各段階に応じ、商品開発からその事業化・販路開拓に至るまでの経営・技術支援や金融支援等の施策を体系化し、総合的な支援に取り組んでいるところであります。
県としては、こうした取り組みをさらに進め、産業力の源泉である中小企業が、環境の変化に的確に対応し、意欲的な事業展開ができるよう積極的に支援してまいります。
次に、中小企業の広報活動や研究・技術開発への支援についてであります。
お尋ねの、行政による広報面からの支援については、販路開拓や企業のPR活動にもつながることから、意欲ある県内企業の取り組みを掲載しました「山口県企業ガイドブック」などの広報誌や、インターネットを活用し、魅力ある新商品・新技術を紹介する「やまぐちものづくりネット」などにより、県内外に向けた情報発信に取り組んでいるところであります。
今後、県内市町が行う地域ブランド製品等の情報発信とも連携しながら、効果的な広報活動に努めてまいります。
また、研究開発支援についてですが、企業の成長には、技術力・研究開発力が不可欠でありますことから、本県の中核的技術支援機関である産業技術センターにおいて、技術相談や共同研究の実施など、企業のニーズを踏まえた技術支援を行っているところであります。
こうした取り組みに加え、より強い本県の産業を創出するため、産業技術センターの機能を強化し、今後大きな成長が期待できる環境や医療関連分野への県内企業の参入が図られるよう、研究・技術開発への支援に努めてまいります。

2012年11月30日

平成24年11月定例県議会【産業政策】(3)林業再生への取り組みについて

(3)林業再生への取り組みについて

産業政策についての質問の第三は、林業再生への取り組みについてであります。
先月11月13日、NHKクローズアップ現代で放送された「眠れる日本の宝の山―林業再生への挑戦」は、大変示唆の富む内容の番組でした。
見られた方もあると思いますが、私なりに我が国の林業を考える上において大事なポイントと感じたところを、先ず紹介したいと思います。

政府肝いりの林業再生プランが施行されたが、この国を挙げた取り組みが逆にせっかく切り出した木材の価格暴落を引き起こした。消費者側のニーズを把握しないまま、供給側の事情で生産を拡大した故の悲劇だった。
戦後の一斉植林が収穫期を迎え、産業として自立できるかの正念場を迎えている日本林業。潜在市場規模は数十兆円とも言われながら、外材に後れをとってきた。
今回明らかになった課題は、川上から川下まで情報を繋ぐ「コネクター」不足と体制の不備。
林業を基幹産業に生まれ変わらせんことに成功したヨーロッパ。
ITで新たな需要を掘り起こし、自動車産業に匹敵する雇用の創出を実現しています。
国の再生プランがモデルの1つに掲げたのがドイツの林業です。
森林面積は日本の半分ながら木材生産量は3倍。
この10年で林業を経済をけん引する先端産業に生まれ変わらせてきました。
そのキーマンともいえる存在が森林官と呼ばれる専門家です。
政府の認定を受け、一定面積の森ごとに全国に配置されています。
(森林官が)手に持つのはIT端末
木材1本1本の長さや太さ品質など、すべての情報をその場で打ち込んでいきます。
このデーターをもとにインターネットで各地の製材業者らと随時、入札などを行うなど、木材取り引き全般を大幅にスピードアップしました。
森林官 ゲオルグ・シューマンさん
「木材の需要を把握し、それに応じた伐採、生産を進めるのが私たち森林官の仕事です。」
木材は生産地の近くにある製材所に最短経路で運び込まれます。製材加工の現場は徹底的な自動化と規格化を進めています。
これで品質の向上とコストの低減を同時に達成。
分刻みのスケジュールで木材が到着するラインは先端工業並みの精密さです。
ドイツでは、木材の伐採から製材所などの第1次加工、さらにそれを利用するハウスメーカーや家具メーカー、バイオマス企業など木材に関わるあるゆる事業者が地域の中に複合しています。

国産材生産の現場では技術や設備への投資が後手に回り、輸入される外材に比べて、乾燥や加工の精度にばらつきがあります。

梶山恵司(富士通総研 上席主任研究員)コメント
(ドイツの林業のように)システムがきちんとできて、マーケティングができるということは、その前提として、要するに木材を伐採して出す林業用の道が整備されているということが大事です。
地産地消、林業はおのずからできるはずなんです。
丸太というのは重くてかさばるわけですから、できるだけ地域で加工するというのが鉄則です。
ヨーロッパの場合ですと、大体半径50キロ圏内が製材工場の立地となります。

岡山県西粟倉村 森の学校 代表取締役 牧大介
総面積の95%を森林が占める山あいの村
牧さんが目指したのは生産から1次加工、2次加工そして販売まで一貫して村で手がける総合的な木材産業でした。
牧さんは、最大の問題は村の木材生産が買い手の望む品質レベルを実現できていないことだと考えました。
牧さんは水分を抜く乾燥機や精度の高い工作機械を国の再生プランにもとづく助成などを利用し、はじめて村に導入しました。
さらに重要なのはニーズの把握です。
牧さんたちは市場を知るため販路の開拓をみずから行なうようにしました。
牧さんから伝えられた市場ニーズをもとに適切な木を計画的に伐採。
無駄な切り捨てや売れ残りを出すこともなくなり今年、生産量3割のアップを実現しました。

梶山研究員コメント
今、日本全国でこういう取り組みが始まっておりまして、具体的な事例も出てきているんですが、まだ点なんです。
これを面レベルにしていかなければなりませんし、できれば県単位でこういうふうにして行きたいというのが、今の基本的な構想です。
戦後、苦労して植えた木が、今ようやく本格的に利用できる段階になっています。でも、今手をつけなければ、これは将来的にはごみになってしまいます。
宝の山にするか、それともむだにしてしまうか、今、その瀬戸際です。
これをきちんと将来につなげることができれば、本当に地域は再生していくことができるということです。
今、その瀬戸際にいるということを、われわれは認識しなければならないです。

以上、少し長くなりましたが番組内容を紹介致しましたのは、山本知事に是非、山口県の林業を基幹産業にする取り組みに挑戦していただきたいとの思いからでして、この番組がその可能性や取り組むべき方向、課題を明確に示していると見たからです。
山本知事は本県産業の再生と強化に取り組もうとしておられるわけですが、産業再生のターゲットとすべきは林業ではないでしょうか。
そして、このことにはしっかり腰を据えて取り組んでいただきたいと考えます。先ほど、私は産業戦略本部の役割は、先ず実践だと申し上げましたが、林業再生への取り組みについては県域全体としてのシステム改革、構造改革が必要と思われますことから、産学公連携のプロジェクトチームを設けて、数年かかってもいいからドイツ等国内外の林業先進地視察等も行い、国の政策との整合性も図りながら本県の実情も踏まえて議論と検討を行い、本県林業を基幹産業にするためのしっかりしたプラン作成に取り組むことを提案するものです。
先ほど紹介したことですが、ドイツは10年かけて林業を経済をけん引する先端産業に生まれ変わらせました。
林業再生には、それくらいの時間はいるものと思われます。よって、本県の林業再生プランも、それくらいのスパンで構想されていいと考えます。
林業を基幹産業、先端産業に生まれ変わらせる取り組みは、日本全国の各地域に希望と光明を与えるものであり、かって内閣官房で地域活性化統合事務局長をしておられた山本知事に、是非このテーマに取り組んでいただきたいと期待するものであります。
つきましては、産業政策として林業再生にはどう取り組まれるお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎農林水産部長(北野常盤君)
林業再生についてのお尋ねにお答えします。
県土の七割を占める森林は、本県の豊かで貴重な財産であり、お示しのように、これらを有効に活用するためには、林業の再生が重要であると考えています。
このため、九月定例会において、味な都・やまぐちを核とする農林水産業再生に向けた検討方向をお示しし、幅広く意見をお聞きした上で、「産業戦略本部」において、その内容を明らかにすることとしたところです。
林業再生の方向としましては、まず、優良県産木材や加工品をやまぐちブランドとして育成するとともに、民間分野や公共分野での県産木材の利用拡大など、市町、工務店、素材生産業者などと協働して、安定した需要を確保してまいります。
また、需要に即した県産木材の生産拡大を図るため、専門的な技能者を有し、新規就業者の受け皿ともなる森林組合など林業認定事業体を育成するとともに、林内路網の整備、高性能林業機械の導入などによる搬出間伐の推進や、再生可能エネルギーとしても重要な森林バイオマスの利用拡大に努めてまいります。
県としましては、こうした木材の生産から、加工、利用までの連携した施策を一層強化し、市町、関係団体などと一体となって、産業政策として重要な本県林業の再生に取り組んでまいります。

2012年11月30日

平成24年11月定例県議会【産業政策】(4)観光力強化について

(4)観光力強化について

産業政策についての質問の第4は、観光力の強化についてであります。
先月11月12日の記者会見で、山本知事は「輝く、夢あふれる山口県」の実現に向け、「『5つの全力』関連要望」として、「産業力・観光力の増強」「人財力の育成」「安心・安全力の確保」「県民くらし満足度向上」に関する15項目を国に要望したことを発表されました。その中で最重要課題と形容詞をつけて「産業力・観光力の増強」を挙げておられます。
観光は、広い意味で産業の中に含めていいと思われるものを、敢えて「産業力・観光力の増強」と表現しておられるところに、山本知事が、特に観光に力を入れて取り組もうとしておられることが伝わってまいります。

さて、日本では、明治維新以降、産業を興して国を富ますことを最優先とし、国を挙げてさまざまな工業を興し「産業力」を高め豊かな国を実現してきました。その際、「産業力」を高める施策の実施や検討のために、国や地方自治体・経済団体の統計データが長年にわたり整備蓄積されてきていることはご案内の通りであります。そして、そうした「産業力」を数値化した統計資料は、多くの国民の納得のいく精度の高い政策の実現に役立てられてきましたし、国だけでなく、山口県の産業政策についても、いろいろな角度から議論し検討することを可能にしています。

ところが、「観光力」はいかがでしょうか。
何をもって、観光の「力」とされているのでしょうか。

平成15年2003年小泉内閣が観光立国への取り組みを重要政策と掲げ、外国人観光客数を2010年までに1000万人に増やす目標が掲げられたことは記憶に新しいところです。そして、平成18年2006年に、昭和38年に制定された旧「観光基本法」の全部を改正し、「観光立国推進基本法」が国会の全員一致で採択され、平成19年2007年1月1日に施行されました。それを受けて、平成20年2008年10月1日に国の観光庁が設置されました。
観光庁設置の大きな目的について、ホームページに掲げてあります。
「観光は、わが国の経済、人々の雇用、地域の活性化に大きな影響を及ぼすものであり、21世紀のリーディング産業となるものです。中でも訪日外国人旅行者の増加は、国際相互理解の増進のほか、我が国における旅行消費の拡大、関連産業の振興や雇用の拡大による地域の活性化といった大きな経済効果をもたらすものです。したがって、自然環境、歴史、文化等観光資源を創造し、再発見し、整備し、これを内外に発信することによって、我が国が観光立国を目指していくことが重要となっています」
ここに示されている「観光を21世紀のリーディング産業にしていく」という観光庁設置の目的は、観光が持つ多様で大きな可能性に着目したもので、成熟した日本の経済社会の将来を展望する時、望ましい方向と思われます。私は、そういう意味で、山本知事の「観光力」増強の取り組みに、大いに共感するものであります。

そこで大事と思われるのが、その観光の「力」をどのように数値化して表現するか、納得のいく数値で県民に示すかということではないでしょうか。提示される観光の「力」を示す数値をもって、他の観光地との比較や経年での変化をとらえ、検討してこそ、有効な観光政策が実現できると考えます。

山口県では、前知事のもとで平成21年2009年10月から推進している「山口県年間観光客数3千万人構想実現アクションプラン」があります。成果については、報告書等で示されている通りです。
しかし、そこで扱われているいくつかの数値、観光客の動向に関する数値の意味と実態には、客観的な評価の観点から疑問が持たれています。包括的な体系が構築されていない、基準が統一化されていないため地域間比較が不可能で、標本数が少なく分析に必要な精度が確保できないなど、いくつかの問題点があるからです。

観光庁においては、観光地の開発や活性化、外国人観光客誘致のプロモーションが活発に行なわれています。しかし、その一方で、政策の基本となる観光統計の整備も実施しています。観光庁設置後、承認統計として「宿泊旅行統計調査」と「旅行・観光消費動向調査」が実施されています。

そこでお尋ねです。今後、山口県が観光力の増強を実現するためには、観光に関する客観的で有効な統計数値の把握が重要であり、これを効果的に活用し、より実態に則した政策が立案・実行・検証され、より質の高い観光政策の実現と各地域における魅力ある観光地づくりが推進される必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎地域振興部長(渡邉繁樹君)
観光力強化についてお答えします。
観光政策の推進に当たっては、お示しのとおり、客観的で信頼性の高い統計データをもとに、的確に実態を把握し、マーケティングや観光戦略の企画・立案を効果的に進めていくことが重要です。
このため、本県においては、昭和四十四年から、市町の協力を得て、県内の観光地や宿泊施設を対象とした観光客動態調査を実施しており、その調査結果や、国が平成十九年以降順次整備をしてきた宿泊旅行統計などのデータも活用しながら、県内への観光客・宿泊客の実態把握や施策の検証等を行ってまいりました。
しかし、こうした国や県の観光統計については、それぞれ調査項目や方法などが異なっているほか、県の調査については、県独自のものであり、全国的な比較が難しいこと、また、国の調査については、市町ごとの実態や出発地別の分析が困難などの課題を抱えております。
このため、今後、年間宿泊観光客四百万人の実現に向けた戦略の検討に当たり、県の観光客動態調査について、市町ごとの調査方法の標準化を図るなど、その精度の向上を図りつつ、国の統計数値との関連を整理し、的確でわかりやすい統計となるよう改善を行いたいと考えております。
その上で、実態に即した目標の設定や、効果的な誘客対策、観光地の魅力向上など、各地域との連携による、より戦略的な観光政策の企画・立案を行い、観光力の強化を図ってまいります。

2012年11月30日

平成24年9月定例県議会(1)岩国基地問題について

(1)岩国基地問題について

岩国基地が県民の理解と支持のもと、我が国の安全とアジア地域の平和のために、必要な機能を確保し安定的に運用されるようにしていくことは、山口県政が果たすべき大事な役割であります。
そのためには基地問題への県の対応が、根拠のないイメージ的な不安に基づく世論に同調するものであってはならないと考えます。
そうした観点から、この度は「岩国基地問題について」ということで、このことに関し政策判断する上で考慮すべき数点につき、私の考えを申し上げ、県の所見をお伺いいたします。

(1)日米同盟について
日本とアメリカは、国の基本的な在り様が対照的な国です。日本は国の成り立ちが神話にまでさかのぼる自然国家ですが、アメリカは、1776年7月4日、独立宣言の日が建国の日とされる人造国家であります。
文化、文明の面では、アメリカは西洋・欧米圏に属し、江戸期までの日本は東洋・アジア圏に属していました。
国旗も、日本は日の丸で朝昇る太陽を表し、アメリカは星条旗で夜の星になっているのも対照的です。
この対照的な二つの国が真正面から衝突したのが先の大戦でした。昭和天皇は、訪米された時の御挨拶で「私の深く悲しみとするあの不幸な戦争」と申されましたが、まさしく日本民族にとって悲劇の戦いでした。
しかし戦後、日本とアメリカは一転、お互いに戦った悲劇の歴史を乗り越えて、良好な同盟関係を築き上げてきました。そこに、私は21世紀の地球社会の希望を見るものであります。
いろいろな意味で対照的な国であり、且つ世界の大国である日本とアメリカが、相提携し補完し合って同盟国としての関係を深めていくことが、世界の平和の基礎になると思うからです。
違いが多いアメリカではなく、同じアジア同士である中国との関係を強めてアメリカに対抗していこうという方向は、新たにアジアと欧米の対立の構図を生みだすのみで、世界の平和に資することにはならないと考えます。
以上申し上げましたことから訴えたいことは、日米双方共に政治に携わる者は、国政のみならず地方政治家も含め、日米同盟関係をより良いものにしていくために努力していくことが、重要な責務として求められているということであります。
そこで第一のお尋ねです。知事は、日米同盟の意義をどう認識しておられるのか、ご所見をお伺いいたします。

(2)日中関係について
次は、日中関係についてであります。アジアの隣国であり、歴史的にも文化的にもつながりの深い中国との善隣友好関係を大事にしていくことは当然のことであります。ただ、「備えあれば憂いなし」を期して、中国とは付き合っていくことが肝要であると考えます。
中国共産党政権によるチベット併合は百万人を超える人々が犠牲になったと見られており、第二次世界大戦後の世界で起きた最大の悲劇のひとつです。その悲劇の経緯を事実に即してたどっていくとき、そういう事態を招いた要因が、チベット自身にもあることが分かってまいります。
チベットにおいてチベット仏教の法王と世俗的な国王を兼ねる地位がダライ・ラマであります。現在のダライ・ラマは14世ですが、その前のダライ・ラマ13世の時代1920年代に、チベットは軍隊の近代化に取り組み軍事力の強化を図ろうとしました。ところが、この動きに仏教界は、「世俗の軍隊を強化するとはとんでもない。非暴力を旨とする仏教の原理とは相いれない。」と主張して猛然と反対します。こうした仏教界の反対は、その実、新軍隊の維持費のために仏教僧院にも課税されることを嫌ったためだと見られておりますが、ダライ・ラマ13世は、度重なる僧院の反対圧力に嫌気がさしてしまい、それまで進めてきた軍の近代化を断念してしまいます。
この結果、中共軍のチベットへの侵入が始まった1949年当時のチベットの軍隊の兵力は、兵員は将校と兵士合わせて8500名、各種大砲50門、曲射砲250門、機関銃200挺といった状態で、中国の武力併合を阻止する力は無きに等しい有様でした。
中共軍の侵略がはじまった当初、チベット政府は、イギリス・アメリカ・インド等に、中国に対しチベットへの侵略の中止を勧告するよう要請しますが断られてしまいます。また、国連に訴えますが、国連総会はチベット問題を審議に取り上げませんでした。
その時の心境をダライ・ラマ14世は、自叙伝「チベットわが祖国」に、次のように記しています。
「私たちに対する悲しむべき打撃は、国連総会がチベット問題を考慮、審議しないという決定をしたニュースであった。この知らせは私たちを仰天させた。私たちは、正義の根源として国際連合を信頼していた。」
「今や、私たちの友人たちは、正義のための嘆願提出に、私たちを助けようとさえしなかった。中国軍の大軍の中に、私たちは見捨てられたと感じた。」
平和憲法と称される我が国の現憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」との文言がありますが、そのような決意に国の運命を託することができないことは、チベットがたどった悲劇が如実に物語っています。
将来、アメリカの力が相対的に弱まり、日米同盟が脆弱化して力の空白が生じた場合、海軍も含め強大化された中国の軍事力の鉾先が、「日本解放」の名のもと日本に向けられ、チベットの悲劇が我が国で繰り返されないとも限りません。
そういう事態を招かないためには、力の空白を生じさせない不断の備えが大事であり、日米同盟はその基盤となるものであります。
徒に、中国を敵視、危険視することはあってはなりませんが、建設的な日中関係も日米同盟がしっかりしていて力の空白を生じさせない備えの上に成り立つものであることを強調しておきたいと思います。
以上、日中関係については通告していましたが、私の考えを述べるにとどめまして、

(3)在日米軍基地について
私たちは、我が国に外国の軍隊米軍がいる、そのための米軍基地があるということをどう受け止めるべきなのでしょうか。
在日米軍基地の存在そのものを問題視して撤退を求める主張があります。
一つは、在日米軍を占領軍の延長と見る見方から。
もう一つは、米軍基地を、アメリカの帝国主義的世界侵略の軍事拠点とみなす見方から。
私は、こうした見方はいずれも現実に即していないと見ております。
在日米軍基地は、ご案内のように安保条約第6条「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」との規定に基づく施設でありますが、同条約はさらに第10条の後段において「この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。」と規定しております。
現在の安保条約は、昭和35年に改定されたものでありますので、それから十年を経過した昭和45年以降は、日本がアメリカに安保条約の終了を通告すれば、一年以内に在日米軍は撤退しなければならない定めになっているのです。
しかし、それから40年以上経過しておりますが、その間一度も「安保条約の終了を通告しよう。」との声は、我が国で挙がったことはありません。
日本国民の大多数は、安保条約が我が国の安全のために必要と認めている訳でして、そのことに基づいて駐留する在日米軍を占領軍の延長の如く見る見方は、妥当でないと思う次第です。
また在日米軍基地を、アメリカ帝国主義の侵略拠点とする見方は、反米の立場からのひとつのイデオロギー的な解釈であって、私はこれに同調することはできません。
今日、世界の国々の中で卓絶した経済力と軍事力をもつアメリカは、アメリカ自身及びアメリカを中心とする世界的秩序への脅威に対して、世界の何処であろうとも即応対処できる能力を軍事的に維持するとの方針のもと、世界的規模で米軍再編を進めており、その中で在日米軍基地は、一層その重要度を増す方向にあります。
このことを、アメリカの侵略意思とみなすか、平和への意思とみなすかは観点の違いであります。ただ、平和的秩序を最終的に担保する軍事力が、国連の下に置かれるようになるまでの間は、世界各地に在外基地をもち全世界規模で対応能力をもつ米軍の軍事力を世界の平和をあらしめる力として行く方向が、現実的な次善の策であると考えます。
岩国基地を含む在日米軍基地は、そういう方向の中において、特に我が国を含むアジア・太平洋地域の平和と安全のために重要な位置を占めております。
そこでお尋ねです。知事は、岩国基地を含む在日米軍基地の存在をどのようにお考えなのかお伺いいたします。

(4)基地機能の強化について
岩国基地が沖合移設されるにあたって、県は岩国市とともに国に対して「基地機能の拡大強化にならないようにされたい。」と要請されています。
この要請内容が、文字通り適用されるとしたら、おかしなことになります。我が国を取り巻く軍事環境の変化に応じて、岩国基地の基地機能の強化を図ることができないからです。
北朝鮮の核開発や弾道ミサイルの増強は、我が国の安全への深刻な脅威になっています。また、中国では、国防費が速いペースで増大しており、公表されている分だけでも過去5年間で2倍に、過去24年間では30倍の規模になっていて、軍事力の増強、兵備の高性能化が、国の重要課題として強力に推進されています。
こうした事態に対応して、抑止力としての軍事機能の強化を図ることは当然考慮されるべきことであって、その一環としての岩国基地機能の強化は、この要請によって排除されてはならないと私は考えます。
このことに関して本県がとってきた対応は、まことに賢明でした。防衛は国の専管事項であるとして基地の軍事機能の領域には直接コミットせず、「基地機能の強化」については、基地機能の変化により航空機騒音や安全性等の面で、基地周辺住民の生活環境が現状より悪化する状態が生ずるかどうかを判断基準にしてきました。
要約すれば、「基地周辺住民の生活環境を、現状より悪化させる基地機能の強化は、容認できない。」ということで、これが本県の岩国基地問題に対する基本的な対応方針でした。
私は、この対応方針については理解し、支持するものであります。
そこでお尋ねです。「基地機能の強化」についての判断基準は、これまでの考え方を踏襲するのか、ご所見をお伺いいたします。

(5)オスプレイについてであります。
オスプレイは、アメリカ国防省が25年もの長い歳月と莫大な経費を投じて開発したヘリと固定翼機を兼ねる輸送用軍用機であります。海兵隊用のMV-22,空軍特殊作戦用のCV-22、海軍向けのHV-22の三種類があり、沖縄普天間基地に配備されようとしているのは、海兵隊用MV-22オスプレイであります。
MV-22オスプレイは、普天間基地に現在配備されている輸送用ヘリCH-46の後継機として配備される予定ですが、これと比較して最大速度は2倍、搭載能力は3倍、行動半径は4倍となります。こうしたオスプレイの優れた機能は、緊急時における海兵隊の機動展開・即応力を大幅に向上させるもので、在日米軍の抑止力の強化に資すると見られています。
ただ、このオスプレイの配備には、試作機段階から事故が相次いだことがあり、関係自治体ではこれを危険視して強く反対する声があります。しかし、我が国は、このオスプレイの配備を拒否することはできません。オスプレイの配備は、安保条約に基づく在日米軍基地の部隊装備に関する機種変更であり、日本政府の了解を必要とする事項ではないからです。
運用上の安全確保については日米合同委員会で協議されましたが、ここでの合意事項を米軍が順守する限りにおいては、訓練飛行も含めその運用を我が国は受け入れざるを得ません。
配備が予定されているのは沖縄の普天間基地ですが、その本格配備前に準備飛行目的で岩国基地に、7月23日、オスプレイ12機が陸揚げされました。
山口県議会は、6月定例議会で、モロッコでの墜落事故の原因究明や安全性の再確認、配備先関係自治体の理解などの条件整備を行う前の先行搬入は認められないとする意見書を決議しましたが、効を奏しませんでした。
日本政府は、岩国基地に搬入されても安全性が確認されるまでは訓練飛行も含め一切我が国でのオスプレイの飛行はないとしていましたが、9月19日、墜落事故は、「人的要因が大きく、機体自体に問題はない。」とした防衛省の事故原因調査報告書と日米合同委員会での運用上の安全確保についての合意を受けて、「オスプレイについて、国内運用の安全性が十分確認された。」として運用開始を認める方針を表明しました。
オスプレイが先行搬入され、本格配備前の準備飛行の基地となった岩国基地がある山口県としては、こうした事態にどう対応していくべきなのでしょうか。
私は、オスプレイのことに関しても、これまでの本県の岩国基地問題に対しての基本スタンスである「基地周辺住民の生活環境を、現状より悪化させることは容認できない。」とする方針に基づいて対応するのが望ましいと考えます。
ただ、これまでのオスプレイに関しての本県の対応は、厚木基地艦載機移駐受け入れ判断の場合に比して、量を測って数値化するという定量的な分析がないまま、どちらかというとマスコミ報道で喚起された不安感がベースにある世論に影響された対応になっているように思われます。
航空機の安全性を示す指標として一般的なのは事故率であります。事故率とは、10万飛行時間において損害の大きい機体破損や乗員の死亡等「クラスA飛行事故」が起きた数を指します。これで見ますと、普天間配備予定のMV-22オスプレイの事故率は1.93でして、米海兵隊が保有するヘリを含む航空機の平均事故率2.45よりも低い数値になっています。
この1.93という事故率には、今年の4月に起きたモロッコでの事故も含まれています。尚、今年の6月に、南部フロリダ州で起きた事故は海軍用CV-22が起こしたもので、MV-22の事故率には含まれていません。
因みに、岩国基地に配備されているハリアーの事故率は、6.76であります。定量的に見れば、MV-22オスプレイの安全性は、従前の海兵隊保有航空機に比して向上していると言えます。
オスプレイに関する政治・行政上の対応は、こうしたことも踏まえた上のものであることが求められます。
そこでお尋ねです。MV-22オスプレイの岩国基地への駐機及び岩国基地をベースとした準備飛行は、日米合同委員会での合意が順守されたとしても、県として容認できるかどうかの判断基準である「基地周辺住民の生活環境の悪化」が生ずるとみておられるのかどうか、ご所見をお伺いいたします。
また、もし「生活環境の悪化が生ずる」と見做されるのであれば、そのことに関する定量的な説明を併せお伺いいたします。

(6)沖縄の負担軽減についてであります。
日米同盟は、日本の平和と安全の基軸となるものであり、将来にわたって堅持されていくべきものですが、そのための最大の懸案は、在日米軍基地が面積にして7割以上集中している沖縄の負担を軽減することであります。
岩国基地が、厚木基地の空母艦載機部隊と沖縄普天間基地の空中給油機KC-130を受け入れることになったのは、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)合意や米軍再編に係る日米合意の結果でありまして、米軍再編の機会をとらえて厚木航空基地を中心とする「米軍機の騒音問題」と「沖縄の負担軽減」の解決を図ろうとする日本政府の狙いを、岩国基地は沖合移設に伴い双方とも引き受けようとしています。
厚木基地の艦載機部隊の岩国基地への移駐は、米軍再編に関する日米協議の大きな成果とされていますが、このことも沖縄の負担軽減につながることがなければ、単に厚木の騒音を岩国に移すだけのことに終わります。それでは、本県や岩国市が反対の声が未だ根強くある中で、艦載機受け入れを容認し協力することの意味は失われてしまいます。
そういうことからして私は、県や岩国市が、艦載機部隊の受け入れと普天間基地の返還はパッケージであり、普天間基地返還の見通しが立たないまま、艦載機部隊の移駐を先行して受け入れることは認められないとしていることは、理解でき、そうした方針を支持するものであります。
ただ、これからはこれまでの経緯や実情を無視した暴論と言われるかもしれませんが、私の考えを申し上げたいと思います。
私は、岩国基地への厚木基地空母艦載機の移駐は中止を求めていいと考えております。
米軍再編の中での空母艦載機の岩国移駐に関する日米合意は、米軍機による騒音訴訟の解決を迫られていた日本政府の要請を米側が受け入れたものでした。
米側にとっては、第七艦隊の空母の母港がある横須賀に近い厚木基地に艦載機が駐機できる方が望ましいとの判断は、現在も変わっていないと思われます。
岩国基地のことに関心をもって色々調べていくうちに見えて来たことは、空母艦載機の岩国移駐は、米軍の要請によるものではなく日本政府の強い意思により推し進められてきたということです。
日本政府には、多額の国の予算を投入して基地の沖合移設を実現するのだから、そして沖合に移設すれば米軍機の騒音は軽減するのだから、空母艦載機を岩国には受け入れてもらおうとの強い思いがあったのではないでしょうか。
米軍機の騒音問題は、夜間も含めた艦載機の離発着訓練の場所を確保できれば解決することで、それが実現すれば米軍側には、敢えて艦載機を厚木から岩国に移駐しなければならない理由はありません。
これまでは日米同盟を大事に思う立場から、米軍再編に関する日米合意事項である艦載機の岩国移駐には本県も協力すべきものと考えていました。しかし、現在考えが変わりまして、それは日米同盟の強化とは関係ないことで日本政府のこだわりにすぎず、むしろ岩国基地は、沖縄の負担軽減につながる方向で必要な基地機能を引き受けることにした方がいいと思うに至りました。
その方向で考えられることの一つは、空中給油機KC-130に加えて普天間基地に配備が予定されているMV-22オスプレイ数機の配備を、岩国基地が受け入れることです。そのことは、国に対し空母艦載機の岩国移駐を中止するよう求めることと引き換えであっていいと考えます。
オスプレイに関する日米合意では、負担軽減の観点から沖縄以外での運用も検討するとされたところです。
MV-22オスプレイの配備がスムーズに進捗することは、安保条約に基づく日米同盟関係が揺るぎないものとなり、我が国の防衛力を強化する上からも大事なことであります。そのため、その負担を岩国基地が沖縄普天間基地と分かち合うことは意義ある国の安全への貢献であると考えます。
繰り返しになりますが、厚木基地の騒音問題は、空母艦載機の離発着訓練場を別途確保することが出来れば解決します。そうなれば、空母艦載機を岩国へ移駐する理由はなくなります。
日本政府が、基地の沖合移設と引き換えに岩国基地を艦載機の離発着訓練の場所とすることを考えているとすれば、撤回を求めるべきです。
基地の沖合移設は、米軍機が市街地上空を飛行することによる危険を回避し、騒音等を軽減することにより、岩国基地が基地周辺住民を始めとする県民の理解と支持を得て、将来にわたり安定的に運用されるようになることを目的としたものであり、そのことが我が国を含むアジア・太平洋地域の平和と安全のために重 要との判断のもと取り組まれた国策事業であると考えます。
岩国の米軍基地は、元来沖縄に駐留する米軍海兵隊の航空基地であります。その基地機能が、将来にわたり安定的に確保されるようになったことで、沖合移設の目的は充分達せられているのです。
そこでお尋ねです。以上申し上げましたことから、沖合移設された岩国基地が受け入れるべきは、厚木基地の空母艦載機ではなく、沖縄の負担軽減につながる方向で必要な基地機能であると考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。

【回答】◎知事(山本繁太郎君)
合志議員の御質問のうち、私からは、日米同盟と在日米軍基地に関するお尋ねにまとめてお答えいたします。
国が、安全保障の基本方針等を示すものとして、平成二十二年に閣議決定いたしました防衛計画の大綱によりますと、我が国の平和と安全を確保するためには、今後とも日米同盟は必要不可欠であり、多国間の安全保障協力やグローバルな安全保障課題への対応を我が国が効果的に進める上でも重要であるとされているところであり、県といたしましては、国のこのような外交・防衛政策については、これを尊重し、協力すべきであると考えております。
また、岩国基地を含む在日米軍基地は、日米同盟が我が国の防衛やアジア太平洋地域の平和と安全に寄与する抑止力として十分に機能するために、我が国とその周辺において米軍が迅速かつ機動的に対応できる態勢が平時からとられている必要があると国が判断し、米軍の駐留のために提供しているものであります。
いずれにしても、日米同盟や基地の存在、米軍の駐留そのものについては、地方公共団体の長である私としては、その是非を論ずる立場にはないものと考えております。
その一方、騒音問題や航空機事故の危険性、米軍人などによる事件・事故など、基地の存在に起因するさまざまな問題については、県民の安全で平穏な生活を確保する立場から、国に対し、言うべきことは明確に言うという姿勢で対処してまいります。
その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

【回答】◎総務部理事(小松一彦君)
岩国基地問題についてのお尋ねのうち、まず、基地機能の強化の判断基準についてお答えします。
県としては、岩国基地への部隊配備等の問題に対し、「今以上の基地機能の強化は認められない」「NLPの実施は認められない」「地元の意向を尊重する」という三つの基本姿勢で対処しているところであります。
このうち、基地機能の強化については、県として、基地の軍事的な機能を判断する立場にないことから、引き続き、基地機能の変更によって、騒音や安全性の面で基地周辺住民の生活環境が悪化する状態が生じるかどうかを判断基準とすることとしております。
次に、オスプレイについてのお尋ねです。
本県では、岩国基地の今以上の機能強化は認められないということを基地問題に対する基本姿勢の一つとしており、基地機能の変更による周辺住民の生活環境への影響をその判断基準としているところです。
このたびのオスプレイの陸揚げ、機体整備、準備飛行等の実施はもとより、沖縄への配備後に一カ月に二、三日間行われるとされている岩国基地への短期展開についても、航空機や部隊が岩国基地に恒常的に配備されるものではないことから、一時的な運用の範囲内であると整理しております。
したがって、これらの一時的な運用は、基地機能の変更に該当しないため、基地周辺住民の生活環境に係る定量的な検討は行っておりません。
しかしながら、本年四月及び六月にオスプレイの墜落事故が続けて発生していることから、県民の安全で平穏な生活を確保する立場にある県としては、真に安全性が確保されない限り、オスプレイの陸揚げや飛行に反対であると国に伝えてきたところであり、オスプレイの飛行運用を開始させるとした先般の政府決定においても、事故の再発防止策に具体性がないなど、内容が不十分であることから、いまだ県民の懸念が払拭されていないと考えております。
次に、沖縄の負担軽減についてのお尋ねです。
沖縄の負担軽減については、本県としては、本土の地方自治体において、沖縄の負担をできるだけ受け入れていく姿勢が必要と考えており、全国知事会においても「沖縄県に米軍基地が過度に集中しており、負担の軽減が必要であることを理解する」との声明が取りまとめられているところであります。
こうした認識のもと、本県ではこれまで、平成八年のSACO合意に基づき、沖縄の負担軽減の観点から、全国に先駆けて、普天間基地のKC130空中給油機十二機の岩国基地への受け入れを容認しております。
一方、厚木基地からの空母艦載機の移駐については、当初、騒音の単なるたらい回しであるとして反対しておりましたが、国から、米軍再編の目的は抑止力の維持と、沖縄を中心とする地元負担の軽減であり、個別の再編案は、全体として統一的なパッケージであると説明を受けてきたことから、これに協力する姿勢で対応しているところであります。
いずれにしても、沖縄の負担軽減については、どこまでも外交・防衛政策を所管する国が、その責任において、安全保障上の必要性を踏まえ、日米間で協議の上、進められるべき問題であると考えております。

(再質問)
県民が不安に思うから、県民の不安は払しょくされていないと言うだけでは、県としての役割を果たしているとは言えないと思います。
県民の不安解消の責任は、国とともに県も共有していると考えるからです。
平成11年に成立した地方分権一括法による地方自治法の大改正は、国と自治体は「対等」の原則を定め、機関委任事務の廃止等、我が国の地方自治法制を一新しました。
地方分権が進展し、国と自治体との関係が対等とされたことは歓迎すべきことであると考えますが、そのことに応じて自治体も、特に国の存立に係る防衛について、国と共に責任と課題を共有する姿勢が求められると考えます。
そういう姿勢が伴わないまま、地方分権だけが進んでいって、果たして国の将来は大丈夫なのか、危惧の念が生じます。
防衛は国の専管事項であるとしても、地方自治体の協力は不可欠です。役割の違いはあれ、防衛も国と地方との共同作業で成り立つものだからです。
国の存立があって地方がある、地方栄えて国栄える、政治・行政の面でも国と地方とは役割の違いはあっても不可分一体であることは、国の官僚として一身を捧げ、古い言い方かもしれませんが「お国のために奉公」してこられた山本繁太郎知事が、最も身を持って感じておられることであると思います。
また地方分権の意義を、最もよく理解しておられるのも山本新知事であると考えます。
その山本知事が、防衛のことに関して国と共に責任と課題を共有するとの姿勢を、全国に先駆けて明確にされることを期待します。
在日米軍基地が在ることによって生じている問題も、全国の自治体の首長が、そういう姿勢で協力しなければ解決しないと思うからです。
厚木基地の騒音問題を解決するために、空母艦載機の離発着訓練場所として、現在、鹿児島県種子島の西方12kmの海上にある無人島馬毛島が有力な候補地になっているようですが、このことが我が国の防衛上 重要であることを踏まえ、鹿児島県知事には是非その実現にご尽力いただきたいと願っています。
そうなれば、山口県は岩国市の理解を得て、岩国基地に艦載機ではなく、オスプレイのことも含め沖縄の負担軽減という方向で必要な基地機能の受け入れに協力するという展開があってもいいと考えます。
要は地方分権が進行する中、国の防衛には広域自治体であると都道府県を含む地方自治体も、責任と課題を国とともに共有して協力すべきであると考えますが、このことにつき知事のご所見をお伺いいたします。

【回答】◎総務部理事(小松一彦君)
再質問にお答えいたします。
地方分権が進行する中で、国の防衛には地方自治体も責任と課題を国とともに共有して協力すべきだという御質問でございます。
安全保障政策は、我が国の独立と平和を守るための国家存立の基盤でありまして、どこまでも国の専管事項であると考えております。
その一方で、国と県との間では、それぞれの立場を尊重し、その信頼関係の上に立って、国は国民の安全、そして、地方は、地域住民の安心・安全を両立させるために協力して取り組んでいく必要があると認識しております。

(再々質問)
オスプレイの安全性に関し、再々質問をいたします。
私は、MV-22オスプレイは安全だと見ております。それは、絶対安全だという意味ではなく、運用される上において求められる安全上の水準を確保しているという意味においてであります。
私たちが日常生活で使っているものも、絶対安全のものはありません。如何なるものも、いくらかのリスク、危険性を包含しております。ただ、そのリスク、危険性が確率上、無視してもかまわない程度のものが、安全と見做されて使われているというのが実情であります。
私が、MV-22オスプレイを安全と見做すのは、一つは、先ほど触れましたように事故率が1.93と低く、定量的に見れば安全水準は確保されており、すでに運用されている海兵隊の航空機に比して安全性は向上していると見られること、もう一つは、オスプレイの安全に最も真剣なのは米軍それ自体であって、安全上の問題があれば運用されるはずがないと思われるからです。
オスプレイは、イラク戦、アフガン作戦には実戦配備されて運用されており、また、議会や政府の要人を運ぶ輸送手段としても活用されています。
要は、安全かどうかの問題は、安全と見做し得る安全上の水準を確保しているかどうかということであります。
オスプレイは、福田岩国市長が懸念したように、試作機段階の事故の映像を繰り返し放映して不安をあおるようなマスコミ報道によって、危険のイメージ、世論が作り上げられてしまった感があります。
しかし防衛に関する政治・行政上の判断は、こうしたイメージ、世論に影響されるものであってはならず、合理的な根拠に基づくものでなければなりません。
そこでお尋ねです。知事が、MV-22オスプレイは安全性が確保されていないと見做されるのは、如何なることに基づいてなのか、また、どういうことが明らかになれば安全と見做し得るとお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

◎総務部理事(小松一彦君)
再々質問にお答えいたします。
オスプレイの安全性が確保されていないとみなし得るのはどのようなことに基づいておるのかということ。さらには、どういうことが明らかになれば安全とみなし得るのかという御質問でございます。
本年四月にはモロッコで、また六月にはフロリダで墜落事故という重大な事故が続けて二件発生したことにより、オスプレイの安全性に対して大きな懸念が生じております。
それに対して政府が日米合同委員会で確認した事故の再発防止策は、人為的ミスが起きた原因が不明のまま、指揮監督や訓練を徹底することが中心となっており、具体性がないこと。また、オスプレイの運用にかかわる日米合同委員会合意も過去の合意内容を再確認したにすぎないものも含まれるなど、その内容が不十分であることから、県としては、県民の懸念が十分に払拭されるには至っていないと考えているものであります。
県としては、五項目の要請の中で、地元自治体等が納得できる説明を求めており、ただいま申し上げましたような点について、国から納得できる説明がなされる必要があると考えております。

補足 (導入)
新政クラブの合志です。
先ず、山本知事、知事選ご当選、そして知事ご就任おめでとうございます。
山本知事誕生を強力に推進された方が、「山本繁太郎さんは、日本一の知事になる人だ。」と強調されていました。私もそう思います。
21世紀の日本の地域モデルを山口から創っていく。そして、山口から日本をよくする。
そういう方向での山本繁太郎新知事の、これからのご奮闘に期待し、通告に従い一般質問を行います。
尚、通告しておりました日中関係についての質問は、私の意見の開陳にとどめることにしましたので、あらかじめお断りしておきます。

2012年9月30日

平成24年6月定例県議会【地域活性化への取り組みについて】(1)中心商店街活性化対策

(1)中心商店街活性化対策

この30年ぐらいで日本中から小さな商店街が消えていくのがよく分かりました。『男はつらいよ』シリーズの終盤の地方ロケでは、風景が寂しくならないように、シャッターを閉めた店に頼んで開けてもらわねばならなかったのですから。
今なら寅さんのロケは大変でしょうね。似合わないなあ、寅さんに新幹線、高速道路、巨大ショッピングセンターは。全然ね。
商店街は、地域に暮らす人と人とが触れ合う場所ですよね。それは日本の文化のかなり大事な部分を占めていた。

以上は、映画監督山田洋次さんの証言の一節で、2007年から8年にかけて朝日新聞に連星された「変転経済―証言でたどる同時代史」で語られています。
この山田監督の証言に共感する人たちは多いと思います。私もその1人で、特に町の顔とも言うべき「中心商店街の賑わいの回復」に係る政策に関心を向けて、いろいろ私なりに調べてまいりました。そのことを踏まえ、この度は「地域活性化への取り組み」ということで、先ず「中心商店街活性化対策」についてお伺いいたします。
最初に、先般県下の中心商店街を見て回って感じたことを申し上げます。
何とか現状維持で街の賑わいを保ち続けているのは、山口の中心商店街であります。
岩国、徳山の中心商店街は、いくらか空き店舗が目につきますが、賑わいの回復、商店街再活性化に向けて意欲的な取り組みがなされつつあり、それに期待したいと思います。
萩の中心商店街は、観光を取り入れた商店街づくりに活路を見出そうとしており、衰退傾向には一定の歯止めがかっているように思われます
防府、宇部、下関は、中心商店街を構成する各商店街において空き店舗が増え、シャッター通り化が進行していますが、その中で幾つか奮闘している商店街があり、その頑張りには頭が下がります。
柳井は、かって中心商店街のメインであった銀天街がなくなり、その跡はきれいに整備された道路になっていて驚きでした。
商店街の衰退は、山田監督の証言のように全国各地で起きていることですが、その背景を調べていきますと原因は明らかで二つに大別されます。その一つは都市の拡散であり、その二はモータリゼーション、車社会の進展であります。
モータリゼーションの進展は、大きな時代の変化であり社会現象であることから、その変化にどう的確に対応するかが課題でありますが、都市の拡散は、我が国の都市計画、土地利用についての政策的不備によって生じている現象であります。特に平成2年に日米構造協議の合意を受けて大店法による大型店出店規制が緩和されたこと、さらに平成10年には大店法そのものが廃止され、店舗面積等による出店規制や出店調整の制度がなくなったことは、その傾向を一層助長しました。その結果、全国各地で郊外に次々と大型商業施設が進出することとなり、既存商店街の衰退が加速化しシャッター通りが増えていったことはご案内の通りであります。
こうした事態に、地方から悲鳴にも似た声が上がり、対策を求める声が高まり、平成18年の「まちづくり三法の見直し」となります。
「まちづくり三法」は、元々平成10年に制定されたもので、中心市街地活性化法、改正都市計画法、大店立地法の三つをいいます。このうち、大店立地法は、それまで大店法がしていた店舗面積等による量的な出店規制をなくし、代わって生活環境への影響という面から規制する仕組みを定めたものです。経済的規制から環境規制へという立法措置は画期的だとの評価の声もありましたが、先ほど触れましたように結果的に大型商業施設の郊外立地を促すことになりました。
大店立地法は、謂わば大型商業施設の立地に関する規制緩和でアクセルの役割を果たすこととなりましたが、一方でブレーキの役割を期待されたのが、この時の改正都市計画法で、大型店の郊外立地を規制する必要があると市町村が判断した場合、従前の都市計画法による土地利用規制を更に強化できるようにしたものです。しかし、この改正措置は充分に機能しませんでした。
中心市街地活性化法は、市町村が中心商店街活性化に向けて「基本計画」を策定し、その計画を関係省庁・民間・地方公共団体が連携して推進する仕組みを定めたものであります。
この法の制定を受けて全国で約700の自治体が基本計画を策定しましたが、中心商店街の空洞化の進行を防ぐことはできませんでした。
このように見てきますと、「平成10年の『まちづくり三法』とは、何だったのか。」ということになります。商店街衰退の主たる原因である都市機能の拡散を助長する立法措置をしながら、商店街支援の施策を講じたとしてもうまくいくはずがありません。この「まちづくり三法」は惨憺たる結果に終わり、平成18年の見直しということになる次第であります。
平成18年の「まちづくり三法の見直し」では、これまでの都市機能の郊外化・拡散化の流れに歯止めをかけ、さらにこれを転換して、都市機能の集約を図りコンパクトなまちづくりを目指すという方向で、法・制度の整備改正が行われました。既に時期遅しなのか、どうにか間に合ったのか分かりませんが、ともかく商店街衰退の本質的原因を踏まえた対策が、法的にとられたことは評価していいと思います。
また、この見直しで、中心市街地活性化法の第三条に基本理念が新たに定められました。その前段を紹介致しますと、「中心市街地の活性化は、中心市街地が地域住民の生活と交流の場であることを踏まえつつ、地域における社会的、経済的及び文化的活動の拠点となるにふさわしい魅力ある市街地の形成を図ることを基本とする」と明記されており、商業機能の強化という観点だけではなく、広く地域住民の生活と交流の場として魅力的な市街地の形成を図ることが中心市街地の活性化につながるとの考えが示されております。私は、この基本理念は、中心市街地再生に向けて最も大事な考え方を明確にしたものとして評価したいと思います。
三法の見直しにより都道府県の役割が、都市計画の広域調整という面で強化されたことも留意しておきたい点です。
ところでこの度、中心商店街のことに取り組んでハッキリして来たことは、商店街のことに関し県が直接的に権限を持ち、県の施策としてやれることが、今日ほとんどないということでした。実際、商店街の関係者に聞きますと「相談や陳情のため市や国の機関の方に行くことはあっても、県の方に行くことはここ数年ないなあ。」という声が返って来ます。
しかし、そうとは云え県が心掛ける、また取り組むことによって中心商店街の活性化につながることは色々とあることも事実です。
そこで、この度は、「まちづくり三法の見直し」に沿う方向で、県に心掛けてほしいこと、取り組んでいただきたいことにつき数点私の考えを申し上げ、ご所見をお伺いいたしたいと思います。
先ず第一点は、中心市街地への都市機能の集積、所謂コンパクトなまちづくり、コンパクトシティという方向についてであります。
まちづくり三法の見直しでコンパクトシティという方向に沿って行われた都市計画法の重要な改正が二つあります。一つは床面積が1万㎡を超える大型小売店舗などの大規模集客施設の立地は、「商業」「近隣商業」「準工業」の3種の用途地域に限定し、それ以外の地域は原則不可としたことであります。
もう一つは、これまで開発許可が不要であった県や市などの公共施設や社会福祉施設、医療施設、学校等の公益施設も開発許可を要するように改正し、公共公益施設が地価の安い郊外へ安易に立地拡散しないようにしたことです。
そこでお尋ねいたします。これは山口市に限らず県下の市町すべての県公共施設等において共通して心掛けていただきたいことですが、県公共施設及び県関連施設また県が関与している公益施設等は、コンパクトなまちづくり、即ち中心市街地への都市機能の集積という方向に沿って、今後の建設や建て替えは行っていくべきであると考えます。つきましては、このことにつきご所見をお伺いいたします。

次に第二点は、良好で魅力的な中心市街地の形成についてであります。
中心商店街活性化対策ということで、中心商店街の商業機能の強化は、政治や行政の主たる政策課題ではないと考えます。それは、基本的に商業者に委ねられるべきことであります。
政策課題として取り組むべき柱のひとつは、先に述べましたように無秩序な都市の拡散を回避しコンパクトな都市構造にしていくことであります。さらに、そのことと併せ大事なもう一つの柱は、中心商店街を含む中心市街地を住みたくなる、そして行きたくなる魅力的な街並みの市街地にしていくことであります。そうした政策課題への取り組みが結果として中心商店街の賑わいの持続と将来への展望のベースになると考えます。
中心商店街の再活性化を主たる目的とする法律の題名が「中心市街地の活性化に関する法律」とされたことの含意は、そういうところにあると見ております。
中心市街地を良好な生活環境と魅力的な街並みの市街地にしていくという政策課題への取り組みにおいて、県は道路や河川等の整備事業を通して重要な役割を果たすことができます。
そこでお尋ねです。県も道路や河川等の整備事業を通して中心商店街の活性化につながる良好で魅力的な中心市街地の形成にしっかり取り組んでいくべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

第三点は、まちなか居住の推進についてであります。
平成18年に全面的に見直された中心市街地活性化法は、計画事項に「まちなか居住の推進」を新たに加えました。これは、中心市街地の活性化にはとにかく人に住んでいただくことが重要との考えからだと思われます。
この、「まちなか居住の推進」に向けて県は何が出来るかということでありますが、本年3月に県が策定した「山口県住生活基本計画」においては、「街なか居住の推進」について、次のように述べられています。

中心市街地活性化や定住人口を確保するため、民間オーナーとの連携によ  るファミリー向けや高齢者向けの賃貸住宅の供給や、民間住宅の借上げ等による市町営住宅の供給の促進など、商業のみならず居住や公共サービスのバランスがとれた市街地を形成する街なか居住を推進します。

この「街なか居住の推進」についての県の考えで不満に思われるのは、県営住宅のことに触れていないことです。
そこでお尋ねです。私は、県営住宅を新たに街なかに増設する必要はないと思いますが、既存の県営住宅を建て替えて更新する時は、「街なか居住の推進」に沿う取り組みとして中心市街地への立地が今後計画されていいと考えます。つきましては、このことにつきご所見をお伺いいたします。

第四点は、県の広域調整についてであります。
大型商業施設の商圏は、立地自治体だけではなく複数の市町に及ぶ広域なものでありますことから、市町が単独で用途地域の変更等で立地規制をしても、近隣の市町が受け入れれば、その影響は避けられません。
都市計画法では、市町村が都市計画決定を行う際は、都道府県知事と協議することが手続き上決められていて、都道府県知事が広域的観点から調整の役割を果たすことが期待されています。
よって、大型商業施設等の立地にかかわる市町村の都市計画決定に関しては、そうした広域調整が求められることになると思われますが、平成18年の都市計画法の改正では、その際「都道府県知事は必要があると認める時は、関係市町村に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。」として、都道府県が広域的な視点から望ましい立地に向けて、より円滑に調整できるよう仕組みを強化しました。
そこでお尋ねです。中心商店街に大きな影響を及ぼす大型商業施設の立地にかかわる都市計画の広域調整を、本県はどのように行ってきているのかご所見をお伺いいたします。

第五点は、二井県政と中心商店街対策についてであります。
「住み良さ日本一の元気県づくり」を目指して推進されて来た二井県政において中心商店街活性化対策は、政策的にどう位置付けられ取り組まれて来たのか、そしてこれまでの取り組みを通して今後の中心商店街活性化対策はどうあるべきとお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎総務部長(池内英之君)
中心商店街活性化対策に関連して、県の公共施設等については、中心市街地への都市機能の集積という方向に沿って、今後の建てかえ等を行うべきとのお尋ねです。
県の施設の整備に当たっては、行政サービスの適切な提供を基本に、施設の性格や利用者の利便性等を考慮し、適地を選定しているところです。
具体的には、多くの県民や事業者が利用する総合庁舎等については、交通事情など利用者の利便性を重視し、各地域の市街地に配置しており、一方、農林水産関係の出先機関など、現地性や地域性を踏まえて配置しているものもあります。
こうした中、お示しのとおり、平成十八年に、いわゆるまちづくり三法が改正され、コンパクトなまちづくりに向けて、中心市街地に都市機能の集約を図ることとされたところです。
県の施設は、目的や機能が多様であり、一律にすべての施設を中心市街地に配置することは困難ですが、今後、多くの県民が利用する施設の建てかえ等を行う場合には、法改正の趣旨を踏まえ、地元市町のまちづくりとの整合にも配慮しながら、適切な立地に努めていきたいと考えております。

【回答】◎土木建築部長(小口浩君)
中心商店街活性化対策のお尋ねのうち、三点についてお答えします。
まず、良好で魅力的な中心市街地の形成についてです。
中心市街地活性化の事業は、市町が策定する中心市街地活性化基本計画に沿って、空き店舗対策や道路整備などのハード・ソフト両面にわたるさまざまな事業により実施されます。
これらの事業については、市町や地域が中心となって取り組んでいくこととなり、県では、事業が円滑に進むよう、計画策定時から、国の支援措置等に関する情報提供や適切な助言を行っています。
また、お示しの県が行う道路や河川等の整備事業につきましては、まず、渋滞の解消や浸水被害の防止など、事業本来の必要性が高いことを前提とし、その上で、中心市街地の魅力の向上に大きな効果が期待できるものについて取り組んでいるところであり、こうした観点から個別に検討していくことになると考えております。
次に、街なか居住の推進についてです。
お示しの山口県住生活基本計画では、「中心市街地における定住人口の確保については、それぞれの市町において、民間賃貸住宅や市町営住宅の供給などにより対応していくもの」と位置づけておりますが、県としても協力し、推進すべき施策と認識しております。
こうした中、お尋ねの県営住宅の建てかえを敷地内で行わず別の場所とする場合においては、まずは入居者の意向を調査し、さらに立地条件や建てかえ計画戸数、費用対効果等を踏まえ、総合的に検討して、移転先を決定することとなります。
したがって、県営住宅の中心市街地への立地についても、今後建てかえ計画を進めるに当たり、これらの条件が整う団地があれば、市町と十分協議しながら検討してまいりたいと考えております。
次に、大型商業施設の立地にかかわる県の広域調整についてです。
大型商業施設の立地は、周辺の人口や交通量等を変化させ、近隣市町のまちづくりや道路などの都市基盤整備に影響を与えるおそれがあるため、お示しのように、平成十八年の都市計画法の改正により、県が広域的観点から調整を行うこととされました。
このため、県では、迅速かつ的確に広域調整を実施できるよう、判断基準や詳細な手続を定めた山口県広域調整ガイドラインを平成十九年十一月の法の施行にあわせて策定しました。このガイドラインに沿って、関係市町のまちづくりなどへの影響について意見照会や調整会議などを行い、必要に応じて、影響への対策について助言や要請を行うこととしております。
本県におけるこれまでの取り組み状況としましては、下関市、山陽小野田市の二つの案件について、意見照会や影響の評価などを適切に実施してきたところです。

【回答】◎商工労働部長(半田健二君)
中心商店街活性化対策についての二点のお尋ねにお答えします。
まず、政策的にどう位置づけて取り組んできたのかということでございます。
中心商店街は、地域コミュニティーの核であり、その活性化はにぎわいのある地域づくりに寄与することから、県においては、商業・商店街の振興を加速化プランの重点事業に位置づけ、商店街の活性化に向けた市町の取り組みを支援してきたところです。
具体的には、お示しの中心市街地活性化法に基づく基本計画の策定については、現在、岩国市と周南市が、国の認定に向けて取り組んでおり、県としては、商工会議所が中心となり設置された中心市街地活性化協議会に参画し、計画づくりに関する助言等を行っているところです。
一方、既に国の認定を受けております山口市と下関市においては、大規模小売店舗立地法の手続の省略が可能な特例区域の指定を行い、こうした要件緩和により、大規模小売店舗の中心市街地への立地を促進しているところでございます。
また、中心商店街の活性化を支援する取り組みについて、中小企業の創業や経営革新を促進するための「やまぐち地域中小企業育成基金」を活用し、やまぐち産業振興財団を通じて、空き店舗を利用したチャレンジショップ事業やテナントミックス事業への助成を行っております。
次に、今後の中心商店街活性化対策はどうあるべきかについてですが、県としては、まちづくりの主体的な役割を果たす市町が、中心市街地活性化基本計画の認定を受け、国の支援制度を活用して、まちづくりと一体となった商店街振興に取り組むべきであると考えております。
このため、今後とも、計画認定に向けて積極的に取り組む市町に対し、地域の実情等に即した情報提供や助言など適切な支援を行ってまいります。

2012年6月30日